中国ドラマ『致命遊戯』が2024年10月18日よりWOWOWにて毎週2回放送で始まった。全38話。中国での配信時は全78集。英語タイトルは《The Spirealm》。
主人公たちふたりの関係は、アニメ『時光代理人』を思い出し、ゲームの世界へ入りこむ、というのが『三体』を思い出すな。ゲームの世界設定なので、ホラーみがある描写もあるけれどあまり気にならず、むしろ「このゲームはなに?」を推理するドラマなのかな。
ブロマンスとあるけれど、いきなりふたりが同室同ベッドで眠る羽目になるし、指輪を贈ってるし、もはやBLじゃあーりませんか?
義侠好きとしては、現代ファンタジーモノだしちょっと猟奇的だし視聴を迷ったのだけど、格言みたいなのが出てくるのにつられて視聴継続。最近このパターンばかりだな。
各話までのネタばれはあります。
1話
本名を使っている凌久時(黄俊捷)『斛珠夫人』周幼度,『夢幻の桃花』白真に、阮白潔(夏之光)『華麗なる皇帝陛下』瑶光 は本名を使うなと言うと、凌久時は「偉丈夫は名を変えず」と返す。「偉丈夫を気取るほど、最後は凄惨な死を迎える」とはまぁそうなんだけど……。
杂剧(元代)《盆儿鬼》
行不更名,坐不改姓,自家盆罐赵的便是.
雑劇『盆児鬼』は、強盗で殺された霊が盆に取り憑き、包拯に訴え、犯人の盆罐趙夫妻が捕まり処刑されるという物語。
一人欄干の側で死に、阮白潔は「独り欄干に凭るなかれ」と言う。
李煜《浪淘沙令·帘外雨潺潺》
帘外雨潺潺,春意阑珊。罗衾不耐五更寒。梦里不知身是客,一晌贪欢。
独自莫凭栏,无限江山。别时容易见时难。流水落花春去也,天上人间。
2話
棺用の木を切りに行き、力仕事をせず見ているだけの阮白潔に、凌久時は「手足を動かさず五穀も分からずの典型だ」と言う。
孔子『論語 微子 第十八 七』
子路问曰:‘子见夫子乎?’丈人曰:‘四体不勤,五谷不分,孰为夫子?子路がたずねた。「うちの先生を見かけられませんでしたか」。老人がこたえた「肉体労働をしたこともなく、五穀の見分けもつかない男、それを「うちの先生とはどういうことだ」と。そして杖を突きさして草取りを始めた。
貝塚茂樹「論語」1973年 中央公論社
(つづく)
井戸から出てくる怪物が日本のSNSでは「貞子」と呼ばれている。人もどんどんいなくなっていくけれど、現実味がないからかあんまり怖くはないが猟奇的だなとは思う。
3話
鍵を手にすれば、一番先に出られ次の扉のヒントも入手できる。
凌久時が「知っているタブーを共有しよう」と提案、小柯は「賢そうでバカ正直なのね」と言ったことに対して、阮白潔は「正直者には福がある/傻人有傻福」と言う。
タブーは、「一人で廟に入るな/一人不进庙」「二人で井戸を見るな/二人不观井」「三人で木を抱えるな/三人不抱树」「一人で欄干に凭るなかれ/独自莫凭栏」。
【一人不进庙,二人不观井,三人不抱树】は、中国古代の民間の知恵らしい。
一人でお寺へ行くと濡れ衣を着せられたり、人里離れており不用心なので危険。
二人で井戸を見ると、一方が落ちた場合に疑いをかけられるし、突き落とされる可能性があるから。
三人だと公平に樹を運ぶことが難しくなることを指すのだとか。
女怪は女将と族長の娘だった。
娘は万華鏡を取りに戻って逃げ遅れる。村人たちを救うために狼の生贄となった娘。
凌久時は「娘さんが望んでいるのは、一緒に生きることなんだよ」と訴えると、口々に謝り始める村人たち。
なんだかいきなり良い話になっている。怪物となった人の怨念を鎮めると、ゲームクリアとなる感じ? 益々『時光代理人』みたいな展開だ。
おまけに阮白潔は「君が輝いているからだ」と、凌久時をくどいとるし。
確かに数の論理で言えばひとりの犠牲の方が少なくてすむが、勝手に選ばれて背負わされる方はたまったものではないよね。
凌久時にもそんな経験があるのかな。
4話
貞子(女怪)は両親に抱きかかえられ娘さんに戻り、村人共々消えていった。
自殺ソングの「暗い日曜日/《黑色星期天》」は、聞くと精神に異常をきたす。
阮白潔がいきなり部屋に現れる方が怖いんですけど。阮白潔の名前は、阮瀾燭。
黒曜石(オプシディアン)は、重要アイテムと引き換えに、6度目以下の顧客をヘルプしているようだ。
熊漆(朱富润)や小柯達は、他の同じようなチームなのかな。
次はグリム童話のフィッチャーの鳥。程千里(刘若谷)の兄、程一榭に「一瀉千里」は禁句だったらしい。刘若谷は『君花海棠の紅にあらず』で幼い程鳳台や『孤城閉』で少年 趙禎を演じていたらしい。
扉は4つに分類され、青龍・白虎・朱雀・玄武がシンボル。
(つづく)
デスゲームなのであんまり好みじゃないけど、12段階の行き着く先が気になるし、引用されているモノも気になるしで、見続けてしまう……。
アニメ『時光代理人』も途中、わりとイイ話になっていったんだよな。でも第2期は見ず終いだった。
5話
第二扉の時代設定は1985年。卵を咥えている三つ子ちゃんが不気味。卵を割らないようにする卵ゲーム。
一番上が小土、二番目が小十、三番目が小一。3日後に三つ子の誕生日会がある。
フィッチャーの鳥の物語。
「男の魔法使いが物乞いに変装し、各地で女をさらった。ある日彼は某屋敷の長女をさらい鍵と卵を渡した。某部屋には絶対に入るなとな。でも好奇心で入った娘は卵を割り魔法使いに殺された。その後次女もさらわれ同じく好奇心には勝てなくてね、魔法使いに殺されるんだ。そして三女もさらわれるが、三女は実に賢くて知恵を働かせ魔法使いを殺すのさ」。
凌久時の聴力によって、対象者の体重55kgも分かるってスゴいな。
1階の老婆は豚肉の醤油煮よ、と話があまり通じない。お昼の12時35分までに外に出なければ建物の扉が開き、濃い霧が全てをのみ込む。
シャワー室で「ネズミが卵を運ぶ」と聞こえる歌が不気味。卵を持ってシャワーを浴びるシュールさよ……。
「フィッチャーの鳥」では卵に血がつくと魔法使いに殺される。卵が割れるのがタブーなのか。
6話
ベッドの頭上の壁から長いクギ様のモノが出てくるのは怖い!卵にひびが入ったことが原因か。
「あの人(男性)が10歳の時悪人に捕まり、母親と卵をくわえさせられ、母親が卵を落とし悪人に殺された」と話す三つ子ちゃん。
お椀に針が入っていてよく無事だったな。
卵を割り捨てた三つ子ちゃんは殺されはしなかった。
阮瀾燭が「君は優秀だ、友達になりたい。君には他の人にはない輝きがある」と言うと、凌久時は「マロンと黒曜石を訪れる」と約束している。
いよいよ誕生日会、冠を被るのは1人だけで、用意された誕生日ケーキのドロッとした様子が、また不気味でキモチワルイのよ。
「魔法使いは最後焼き殺される」ので、火を用いることにするが効かない。
14階は1985年で魔法使いは40歳、老婆のいる1階は2040年、7階は2010年で事件が起こった年で、12時35分に発生。
タイムマシンを作っているのは404号室の変わったお兄さん。タイムマシンが破損したのは半年前。
阮瀾燭のクライエントの女性(卢梦琳)が、毎度、オスカー授賞式の夢を見ているのがなんだかコミカル。
(つづく)
外部リンク
|