中国ドラマ『長安二十四時』の感想をネットで探してみると案外少なく、「こんなに面白いのに?」と思ったら、今まで有料番組でしか放送されていないのですね。
やはしこの変則的な放送時間がBS放送には難しいのかしら。
玄宗皇帝時代の長安だし、十二時辰な24時間サスペンスアクションだし、唐詩も出てくるし、NHK-BSで放送されたら人気出そうだけどなぁ。
21話感想
靖安司から流れている灯籠?
そして龐博士さんは丸2日厠に行かず観測していた事もあるという……そんな事が可能なのか?今日は何度か場を離れていた、むむむアヤシイ。
戌の正刻(午後8時)、日夕の時。
龍波は魚腸に「自分の剣が密かに家族を斬ろうとしたら?」と解雇するが、魚腸は炭の中から銭を拾いあげて「この銭の借りは消えない」と。火傷しないの?
プジャ長老の刺客を追うイスと張小敬、異国な街並みの屋根を走って行くのがなんだかアラジンぽぃ。そしてイスの身体能力が思いのほか高かった。
檀棋が「人は自信がない時過ちを犯す」と語っていると、のこのこ戻って来た刺客さん。
プジャ長老は右刹だった。首領ガロの末息子で、狼衛は天保元年に大食に殲滅され、ガロは死亡、右刹は唐に投降。陛下は右刹を王宗汜に長安まで護送させ何監に丁重にもてなさせた。
一方、右相は自分が陛下に任命されれば、「君は裏で臣に指示し、相を盾にして防御を最大の攻撃とする。無為にして治めるのだ。何事も法制が判断する。法が正しければ天保年間は比類なき繁栄だったか明記されよう」と語っており、法治国家を目指しているのね。
馬車の中での攻防を上方から撮しているのもイイね。
刺客も捕らえた。馬車の中では張小敬が檀棋を見つめていて「不埒者」呼ばわりされてるよ~。張小敬は19歳で従軍。
張小敬が檀棋のために詩を詠んでいる。
「趙の侠客 帽子に胡纓つけ、呉鈎剣 霜雪のごとく光る。銀鞍と白馬が映え、颯爽と流星のごとし。十歩で一人殺し、千里の行 留める者なし、事了すれば…」、檀棋「衣を払って去り、身と名を明かさず」、張小敬「俺は去らない」と。
おぉ、これは『侠客行』!!前半部分ですね。
イスは守捉郎の刺客に「祖父の波斯王は国破れて逃亡する道中…生きてこそ最高なのだ」と語りかける。守捉郎というワードは、あの間者だった伝令係に、徐賓が合言葉うんぬんを問いただしていた時にでてきたね。
張小敬は武周期にいた来俊臣が考案した8つの刑を使えると刺客に話す。来俊臣は武則天時代の酷史。
魚腸が現れ、「雀を捕らえていたら鷹のお出ましか」と評する張小敬。張小敬VS魚腸。守捉郎は「平康坊の劉記書房」と檀棋に伝える。
イスは同胞の亡骸を並べ「『志玄安楽経』いわく、人の世では家族や愛する者と最後は離散し会すことかなわず。生死を達観した時こそ安楽を得られる。達観できるわけない」と泣き崩れる。『志玄安楽経』は景教の経典。
檀棋は張小敬に「唐の民としての檀棋は、善人には報われてほしい」「今日長安であなたと出会えて、この長安も魅力ある場所だと思えてきた」と伝えてるよ。
イスの伝書鳩は、郭将軍のところへ飛んでいた。
龍波が炭から銭を拾っている。
ED:『短歌行』。35分ほど。
22話感想
戌の刻(午後7時~9時)、日 暮れる時。
郭将軍が右相に陛下の詔を伝えにやって来た。右相は28歳ではごろつきだったけど、今は還暦なのね。
郭将軍は「憶測せず、言葉にせず」で移り変わる世を生き延び、右相は「人心を読む」でここまでのし上がってきた。このターンでは陛下の心を掴んでいる右相の勝ち~。ここでのふたりの高度なやり取りに、宮中で生き抜くとはこういう事なのね……。
郭将軍が禁軍を動かし、捕らえられた魚腸は靖安司へ。
一方、何孚は龍波と会っている。この屋敷は元は何孚一家が住んでおり、沈香木で作られ、自雨亭と名付けられた風流な建物、今は右相に奪われ所有物となっている。贅を凝らした建物に、龍波は反感抱いてるよね。史実で自雨亭は御史大夫 王鉷の太平坊宅にあったと記録に残っている。屋根から水うんぬんは避暑建築のようですね。
平康坊の屋敷から勤政楼までに右相を襲撃したい何孚。しかし龍波は仲間(魚腸)を助けることを優先。ほよ、仲間認定なのか。
その魚腸は禁軍の捕縄術で靖安司にて捕らえられている。右驍衛が駐在しているからと、とっとと禁軍は帰って行ってしまい警備も手薄な靖安司。
靖安司の文官を呼び戻すために、震卦の第三爻で伝えるように言う李必。
「震 蘇蘇たり、震れて行けば眚なし/震苏苏,震行无眚」。意味は「雷の轟音は去ったゆえ、目覚める時だ」で、捜査に戻れということ。
この卦をよくよく調べると興味深い。震は雷で、大事変を意味し、震掛の第三爻は大事変にも粛々と無心で志正しい道を歩めば天が味方するとされる卦。また震卦は長子を指してもいるのだとか。長男と言えば太子……。
《周易下经 卷十 周易序卦傳 第十》
主器者莫若長子。故受之以震。
器を主どる者は長子にしくはない。ゆえにこれを受けるに震を以てする。
靖安司のとある文官が妻と連れだってお祭りへ。妻は青い瑟瑟石の簪を購入しようとしており、「瑟瑟石は安くても1000銭、戸部の小役人なら半年の俸禄。厳太真の姉は虢国夫人に封じられ、邸宅を修繕した大工に200万銭の給金と瑟瑟石を3斗渡した」とボヤいている。そりゃその格差に言いたくもなるわよね。
望楼の指示を耳にしたその文官は「大事を成す者、成さぬ者がいる。私に野望はないが、何か誇示できてこそお前にふさわしい」と妻に言って任務に戻るのがニクイわね。帰ってきたらごま多めのお焼きが待ってるよ。話に出ていた妻の叔祖父は誰なんだろ?
右相襲撃を目前に、仲間を助けに行くと言って聞かない龍波さん。漢気があるとは思うけれど、一連の流れを見ていると少々モタついているようにも思え、計画に10年費やしてきた何孚に同情しちゃうわね。とはいえ町人を巻き込むテロはあかんけど。
そしてこのタイミングで右相は右驍衛を靖安司から撤退させる。
龍波がもうすぐ来そうなのに~。
太鼓を叩き、灯籠が映り、笠を被った人が歩いて行く。
ED:『短歌行』。37分ほど。
23話感想
李必が魚腸に「殺し稼業なら信用こそ第一だ」とは、誰に言っとるんよとさすがに思うよ。そして「少し優しくされただけで命を懸けてしまう者を見たくないのだ」は、他にそういう人がいたの? 魚腸の縄をほどいたらそりゃそーなるわな。手を出さないって約束してないし。
夜の祭りもたけなわ、許鶴子も絶好調。丑の正刻に灯籠車は興慶宮の前に集まる。檀棋にイスも張小敬に合流。景寺の功績を挙げたいイスさん。熱い思いの人がここにまたひとり。
安殿が門を守る崔旅帥に声をかけると、もう旅帥ではないと言っている。右驍衛は撤退。さぁ、どうする崔器。
灯籠が華やかな中、笠を被って歩いているのは後ろ姿だけど龍波よね。
檀棋が李白の『侠客行』に曲をつけ歌っている。
檀棋が張小敬について「記憶に刻みたいの」と問いかけ、イスも加わっているのは、あらこれってトリオになっているのね。
張小敬が敬服しているのは聞無忌隊長と蕭規。変わり者で「男は女に灯籠を灯す」と旗を持って叫んでいる、彼は商いで西域へ行った。むむむ、この流れは……。
程参と元載が怪しい甲冑姿の人影を見付け、それはもちろん龍波たち。敵襲を察知した胸騒ぎで甲冑を付け、李必に知らせるよう姚汝能に頼みこむ崔器。
靖安司に龍波がキターーー!!魚腸をハグしてるし。
あぶった駱駝肉を食べている暢気な文官たち。前暦29年、田同秀が掘り当てた玉は天保と刻まれていた。永王の仕込みだったの?
丸腰の文官たちが襲われた~~。
李必が前に歩み出る。龍波に対峙する李必。ソグド人の安柱国が刺されたよ~~~マジか。次は王大柱さん。名を問われ「白蟻」と名乗り「皆殺し」と命じる龍波。おぃおぃおぃ。
崔器が単身で登場! 姚汝能は陰で頭を打ちつけているだけかぃ。
龍波が靖安司の太鼓を叩く間、ひとり奮闘する崔器~~~~。
逃げる李必を見やり、「長安に崔器あり」と言って太鼓を叩く龍波。なにがしたいのだ。
崔器が札に長安と、血で記すのがもう……。
戌の刻(午後7時~9時)、万物滅び尽きる時。
徐賓さん、書物を取り出し、何してるの?
ED:『短歌行』。40分ほど。
(つづく)
崔器の勇士な場面なのだが、龍波の動きがいまひとつ不可解……。
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