7話感想
「この人にしてこの疾あるや」は、孔子が重病の弟子 伯牛に対し嘆いた言葉で「これほどの者でもこんな病になるのか」の意。
犬が死体をつついてる。医師 程逸致が何種もの薬を煎じた釜の中で死んでいた。草烏、天仙子、白頭翁はこの量では危険となる。
医者が自分の薬の毒で死んだのは、この言葉が当てはまるよね。陸遠暴が程医師の処方箋の薬を飲むと吐血し命の危険があったと分かる。
程逸致の腕が落ちる場面から、20年前の陸遠暴の腕へと切り替わるのがよき描写。程医師には盗癖があった。
5年前に死んでいた陸直の友人 亀の友であった喬狗児。王先生の所に通っており、首のない子供の死体として発見された。陸直は「卑しい身分の者には、徳の高い学堂の先生を訴えられないと?」と冷頭領に激しく問う。
忠さんは陸直に「善人は少ない、悪人も少ない」と手話で語る。
陸遠暴は趙挙人に酔い覚ましにと特製の手羽先汁をふるまう。山椒、ネギの花、香菜、醤油で味付け。趙挙人自慢の鳩の名は銅膀白。全身の羽毛が真っ白だが1対の羽根だけが赤銅色。「美しき鳥を飾る紫金の翼、日に透き通る白雲の如く/玉鸟镶得紫金翅,白云剔透半遮日 」と詠じる。
張貴の師兄 柳十七がかつぎ込まれる。「鬼手の柳が指を弾けば人が死ぬ、夜は灯火を消し、朝に鶏を聞かず」という異名を持つ殺し屋。
(つづく)
陸直が不気味な子だなぁ。現在編はサッパリしてるけど、過去編は不気味で、視聴し続けたのを後悔していた回。
「この人にしてこの疾あるや」は、才能があるのに色欲などの欠点がある人のことも言い、程医師の盗癖を含んでいると思うと、なかなかの引用……。
8話感想
陸直が魚を釣り上げ、吐いている。
現在。夏頭領が捕吏に降格となって舞い戻ってきた、杖刑の復讐~。意外と律儀な呂三。宋典史の下に付くことになる。
鳳秀才が手がかりを見つけたと披露。4+11=15、9+6=15。論語の第15編は衛霊公編。はじまりは「衛の霊公 陣を孔子に問う」。衛国の都は濮陽で現在の河南。下手人は河南出身で河南訛りに気を付けろと推理する。
金の力で、夏頭領は杖刑を避け、曲三更たちは20年前の情報集め。
麒麟楼 店主 牛不厭は、鰣魚の粕漬け、アヒルの五目蒸しを注文されたようだ。
懸賞金目当てにやって来た肉屋の高士聡 父は、「大義 親を滅す/大义灭亲」とはこのことだ、と息子にと言い返している。「国の大義の為に父が、衛の桓公を殺した息子を殺させた故事」が由来。牛不厭→料理人の尤二だと証言。
牛不厭は林女将に、翠華楼の金玉満堂の作り方を口実に、殺人事件について話している。
薛挙人の執事の張継祖→守衛の張貴だと、劉家集の鍛冶職人 劉老五が証言。薛挙人→陸直と、冷桂兒は推測する。
易者の岳半仙は「本当に私が分からないのか?」と。
牛不厭は知県に、茶托ほどの大アワビ、暖簾大のフカヒレ、極太ナマコ、うちわ大の熊の手、指ぬき大の干し貝柱を仕入れに行っていたと話す。下手人の笠を被った髭男に狙われていた。火縄のない銃は、海寇の汪五峰が持っていた貴重な品。
易者が貼った
「故園にて君と眉を切る、人の世は蟋蟀賦の如し、二十年で音を変え、更に落ちぶれ面目なし、老いて知る若き日の光、地に開く蕓臺の花、方士が与えし還魂花、見えれば転生草となりぬ 銅頭大将軍 己酉の年 10月30日」と。
これは蔵頭詩で、繋げると「故人 二更 老地方にて見えん」となり、正体を知っているという意味で、死んだはずの人が実は生きていることを暗示。10月30日は会う日。
呂三が見張っている曲三更たちに焼き芋を差し入れに来る。
林四娘が倒れている。「少き時は血気未だ定まらず」。
孔子『論語 季氏 第十六 七』
孔子曰:君子有三戒:少之时,血气未定,戒之在色;及其壮也,血气方刚,戒之在斗;及其老也,血气既衰,戒之在得。
「若い時は衝動に走りやすい、だから女色を慎むように」の意。
9話感想
父親似の桂児が林四娘に会いに行っていた。
林四娘と冷頭領の恋物語。
11歳で両親が亡くなり叔父に翠華楼に売られた林四娘、15歳で客を取るのが嫌で逃げだした。冷捕吏と出会い、饅頭と米乳を貰って食べる。
冷捕吏が半年経って来るが、すっかり人気妓女になっていた林四娘。王秀才は「青楼の中にこそ真の情がある」と言っているらしい。惚れた冷捕吏が8か月かかって6両8銭を貯めるが、四娘に会うには20両必要。なんだか切ない。
実は四娘は身請けされていたが、子供が産めないだろうと、冷桂兒の母と結婚させていた。
薛挙人は陸直。四娘が「三更に話す」と言った後に殺されたのか。
挙人 趙友仁は鳩の愛好家で女装をさせられ喉を切られている。「その鬼に非ずして、之を祭るは」。「お前が祭るな」という意味らしい。林四娘は別人の犯行の可能性がある。
孔子『論語 為政 第二 二十四』
子曰:“非其鬼而祭之,谄也;见义不为,无勇也.
老先生の教え。(世には義しいことと不義とがある。たとえば)自分たちの祖霊でない他者の霊を祭るのは、(その他者や霊に取り入り福を得ようとする)不義(規則違反)のものだ。逆に、義しいものと分かっておりながら、実行しないのは勇気がないからである。
加地伸行「論語」2009年 講談社
万暦11年、陸遠暴は悪夢を見ていた。陸直が帳簿を裁いている様子が優秀だな。剣南の老窖焼酎を貰って飲んでいる。
酔った陸直が陸遠暴に「父になってくれ」と言ったら、陸遠暴が激怒し、叩頭させられている。その様子を見た陳旺が父にとかって出る。なるほど、これは陸遠暴を恨むな。
陸直は童僕とあなどられている。
陸忠が「お前を殺しに来た」と喋ったよ!
そして井戸の中にいる陸忠。
こえぇ~~~。
10話感想
陸家の生業は盗賊で、人呼んで「血勿律」(ワニの古称)。退官役人の20万両の銀子と5箱の黄金が手に入り、老忠が他の仲間を殺していた。
ここで老忠と陸直が組んだのか。生き残る道を考えるのは陸直。父子となったふたり。
張貴は師兄を助けてくれた恩で、柳十七・陳旺が組んだ。
まずは王先生のところへ出向き、罵詈雑言の末路と脅す脅す。喬狗児は小宝子に字を教えようと筆を盗んでいた。殺害したあと、毎夜王先生を訪れる喬狗児。陸直は祭文と称して所業を記した文を記させ、陸遠暴のニセの遺書も書かせている。それが目的か。
程医師は陳旺が盗癖の告白文を書かせ、1日中眠らせる薬を処方させる。その処方箋を元に脅す脅す。陳旺は程医師の娘との結婚を要求。それを冷頭領が援護。
結婚を盾に脅す脅す。そして陸遠暴の薬を処方させた。
これであとは死ぬのを待つだけ…なところに、
陸遠暴の弟の陸近信が訪れた!
それにしても遠⇔近、暴⇔信って、なんて安直なネーミング……。おまけに息子の陸不憂まで現われた。
(つづく)
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