4話論語
物語は20年前の万歴17年に。
陸直は私塾に通い、「この文は曾子が…一国の運命を任せ得る人は…このような人は確かに君子だ。士は以って弘毅ならざるべからず」と暗唱し、「弘は大きいこと、毅は強いこと」と答え、「弘毅ならざるべからず」の書字を掲げている。
曾子曰:“士不可以不弘毅,任重而道远。仁以为己任,不亦重乎?死而后已,不亦远乎?”
曾先生の教え。(人の道を求めるという)志のある者は、度量があり(弘)、また強い(毅)人間でなくてはならない。その負担が重く、達成まで遠いからである。人の道を己の任務とする。なんと重いことだ。それも死ぬまで続く。なんと遠いことだろう。
加地伸行「論語」講談社
陸直と小宝子がつまみ食いしていたのは、酥油鮑螺、梅桂菊花餅。酥油鮑螺は『尚食』第24話でも出てきたお菓子。同じ明代ドラマだから親近感湧くね。
陸遠暴は金華老酒、アヒルの丸焼き、魚の塩漬け、蟹の粕漬けを、陳旺に伝えさせている。四種類だしコレも何か意味がありそうなんだが。
王先生が像に話しかけていた地面には、骸骨の頭部が埋められていた。先生が殺したの? これがヒヨコっぽいよね。
そして陸遠暴は林四娘を囲っていたが、コチラも妓女を傷つけ、お抱え妓女は行方をくらましているという黒い疑惑。妓女を傷つけ云々は『琅琊榜』でも出てきたのよ。林四娘は『星漢燦爛』程少商の母,『楽游原』蕭妃でもお馴染み曾黎。
5話感想
話は現在に戻り万歴37年、新しく赴任した夏頭領は臬台(按察司、省の司法)から派遣されており、事件解決の期日にうるさく杖刑大好き。
曲三更は訪行や打行も親分(二鼠三狼)も一網打尽にしていた。あの銭湯ミーティングはなくなったのね。
コオロギを捕まえる高士聪。
鳳可追は黄柏・橡斗子・臙脂を煎じた貼金湯を紙に塗り、白芨を煎じた汁に通すと、書画を古く見せることができ高く売れると話している。
王先生の書棚には『千金方』、『傷寒雑病論』の医学書がある。
陸遠暴は雷公藤で毒殺されたのかな。曲三更は程医師に湿阻中焦と診断され、甘草・黄芩・乾姜・半夏・大棗・黄連を処方するようにと言われる。
冷頭領の娘 冷桂兒は「父曰く、誰にでも弱点が3つある。最も恐れるもの、最も求めるもの、その人の最大の長所」と言いながら、菱の皮を切っている。
冷無疾による動物診断(第1話)によれば、夏頭領は「犬」かな。易頭領は「鼠」だったか。
化け猿対策にとお札が町で流行。真珠の代わりに石榴石を入れた簪は、王店主が陶慧文に贈ったものだった。
お札売りが「六丁六甲 我を守る神々よ、邪悪な外道を追い払え」と唱えている。六丁六甲は道教の武神名で、天干地支の概念が神格化されたもの。
鳳可追はお札を貼る高士聪に、「子曰く、怪力乱神を語らず」と言っている。
孔子『論語 述而 第七 二十』
子不语怪力乱神。
老先生は、怪力や乱神(怪しげな超常現象)についてはお話にならなかった。
加地伸行「論語」講談社
過去には、王先生が冷頭領をあおって、子猿を始末させており、猿回しは盗人であった。
第3話の川で見つかった白骨は、猿回しのものだった。
「7つの銅鑼が鳴り響く、暗闇の中手を伸ばせば、指先に触れるは女の髪/ 一呀伸手摸呀摸至在,姐姐的头发」と歌う。いわゆる『十八摸』と言うおさわり小唄。『山河令』で紹介した十八摸とはまた異なったバリエーションな歌詞。
『十八摸』
半呐夜啊三呐更,睡呀么睡不着哇啊,摸头摸脚解心宽,叱吧隆咚呛咚呛
一呀伸手摸呀摸至在,姐姐的头发边呐啊,姐姐的头发桂花油鲜,※叱吧隆咚呛咚呛
不让你摸,偏要摸,哎呦喂哎呦喂哎呦喂呀,叱吧隆咚呛咚呛
二呀伸手摸呀摸至在,姐姐的眉上边呐,姐姐眉毛柳叶儿般,※
三呀伸手摸呀摸至在,姐姐的眼上边呐,姐姐的秋波是惹人怜,※
四呀伸手摸呀摸至在,姐姐的鼻子边呐,姐姐的鼻子像小金山,※
五呀伸手摸呀摸至在,姐姐的嘴唇边呐,姐姐的红唇一点点,※
六呀伸手摸呀摸至在,姐姐的小脸儿边呐,好似那苹果到秋天,※
七呀伸手摸呀摸至在,姐姐的肩膀边呐,姐姐的肩膀香连连,※
八呀伸手摸呀摸至在,姐姐的胳膊边呐,姐姐的胳膊是圆又圆,※
九呀伸手摸呀摸至在,姐姐的手上边呐,姐姐的玉手指纤纤,※
十呀伸手摸呀摸至在,姐姐的胸脯边呐,姐姐的胸脯上两对儿尖,※
十一我伸手摸呀摸至在,姐姐的小肚儿边呐,姐姐的小肚儿有井一眼,※
十二我伸手摸呀摸至在,姐姐的屁股边呐,姐姐的屁股像大白棉,※
十三我伸手摸呀摸至在,姐姐的大腿边呐,姐姐的大腿白玉儿洁,※
十四我伸手摸呀摸至在,姐姐的膝盖边呐,一个伸来一个蜷呐,※
十五我伸手摸呀摸至在,姐姐的小腿儿边呐,姐姐的小腿儿上我肩,※
十六我伸手摸呀摸至在,姐姐的小脚边呐,三寸又三的小金莲,※
十七我伸手摸呀摸至在,姐姐的两腿儿间呐,姐姐的腿间有一片儿田,※
十八我伸手摸呀摸至在,姐姐的宝贝边呐,姐姐的宝贝里水滔天,※
6話感想
連続事件の被害者は、20年前から名前も身分も変わっていない人物で、あと2人いる。張執事は「夜は灯火を消し、朝に鶏を聞かず/三更灭灯火,不聞五更鸡」と。
化け猿は無生老母と関連があり、白蓮教は何度も分派し、大成・混元・収元と多くの流派があり、その1つ「悟空門」がさらに2派に分裂、うち1派は猿を飼い慣らす「取経道」、一方の護法道は猿になりきり身軽に飛び回る。
程医師が手にした果物は梨なの? 程医師は耳を触るのがクセ。
曲三更が捕えられ程先生の事を話している時、知県の後ろの対聯は「日月两轮天地眼,诗书万卷圣贤心」。
「明るい太陽と月は天地の眼で、人々の一挙一動を見ており、聖賢の心を理解するために万巻の詩書を読むこと」という意。
宋典史 宋辰の名は宋仲虬と言い、書画には高値がつく人物。16歳で秀才、19歳で郷試を首席合格し解元、28歳で会試を受けて会元、殿試で政争に利用され投獄、拷問に屈した宋辰は偽証、親友は首吊り、陛下より県令以下の官職を与えられ、典史を選択、五品の俸禄が出ているが典史の俸禄しか受け取らず。刺青で彫っているのは睚眦(がいさい)で、怨念に満ちた残忍な凶獣。
話の間、剥かれているのは梨かしら。
玉奴姉さんが歌う。
「枯れ蓮の根元に、身を潜める鷺、玉の簪の香りは蝶を引き寄せ、雁は空に斜めの線を引く、詩をしたため御溝へ流す紅葉、東籬の陶令酔いも醒めた、西風が忘れさせる、過ぎ去った日々を」。
《仙吕 寄生草》
枯荷底,宿鹭丝。玉簪香惹胡蝶翅,长空雁写斜行字,御沟红叶题传示。东篱陶令酒初醒,西风了却黄花事。
宋典史が詠じる。
「酔えども歌えぬ12年、牢中で遊び獄中で眠る、名を残すこともなく、酒代すらままならぬ/醉不能歌十二年,牢中行乐狱中眠,莫说海内留名字,谁信腰间没酒钱」。
右の親指で書をしたためる場面は圧巻。
元山賊の呂三が語る飛賊 口伝の掟は「高所は低所より平らかなり、片時も止まるべからず、東は暗し西は明るし、殺生は我が行いにあらず」。敵の目をくらます「声東撃西」の極意。
「白虹が現われ、稲妻が光る、千里を駆ける白狐/素霓白虹电光火,千里追風玉狐狸」と白装束な呂三。
大猿は磷磺流火、飛蝗石など多才な技を使って逃げる。この大猿がまた身軽なんだ。大猿が器用に足元の綱を避けていたのは、ゴム飛びみたいで器用だわ。
大猿が捕まった~。
▼酥油鮑螺について
▼十八摸について
外部リンク