中国ドラマ『一念関山』が2024年10月31日よりWOWOWにて毎週木曜2話放送にて始まった。全40話。視聴が進むにつれて当初の復讐モノな印象と異なり、面白さが増していった武侠ドラマ。
1~5話感想漢詩
第1話当初、血も涙もないヒロイン任如意(劉詩詩)と、寧遠舟(劉宇寧)はあまり気乗りがしなかったが、元禄(陈宥维)はカワイイ。李同光(常華森)もカッコイィが、こういうダーク系な役柄はあまり好みじゃなく。
劉宇寧はドラマ『長歌行』の皓都なイメージが強かったけど、今回でだいぶ印象が変わった役者さん。元禄役の陈宥维はドラマ『瓔珞』の第5皇子永琪(愉妃の子)だった。坊主頭だったから気付かなかったけど第5皇子、可愛かったもんね。
なんとなくゆるゆると見ていて、第5話で于十三(方逸倫)『玉骨遥』止渊 あたりが加わったあたりからコミカルな要素が増え楽しくなってきた。
やはりコメディな方が好きだなぁ。
于十三が任如意を見て詠じた「寧んぞ傾国を知らず、佳人再びは得がたし」。
(两汉)《李延年歌》
北方有佳人,绝世而独立。
一顾倾人城,再顾倾人国。
宁不知倾城与倾国?佳人难再得。
「寧ろ美女のために死んで悔いなし/宁在美人刀下死,做鬼也风流」。
汤显祖《牡丹亭》
牡丹花下死,做鬼也风流。
銭昭(王一哲)は『尚食』游一帆だし『瓔珞』福康安だし。
意外と単純だったヒロイン任如意が、恩人と慕う昭節皇后(王艳)から「簡単に男を愛するな、子を持つべき」と言われたがゆえに、寧遠舟を押し倒す場面がオモシロい。優秀そうな遺伝子を見抜く眼力は確かだな。昭節皇后は『尚食』の孟尚食~。
6話感想
于十三が任如意をくどいている。
「齢は30、藩岳のごとき美貌と李白に劣らぬ文才、女子を包み込む広い心、義を重んじる男気」。藩岳は西晋時代の文人で美貌の持ち主だったとか。
任如意は寧遠舟に言う、「白雀の経験があるからよく分かる、男はどんな女子が好きか。天竺の酒楼にいる妖艶な胡姫、世慣れていないお行儀のいいご令嬢、孤高で凛とした絶世の美女、またはとげのある真っ赤なバラ、あなたの幻想は全てかなえてあげる」。うん、確かにイイよね。
梧国の皇后たちに裏切られショックな公主から礼王になりすます楊盈(何蓝逗)に、寧遠舟が公主としての責務を説き覚悟を迫った場面は良かったわ。
「冷宮で育ち政に疎くても、楊家の血を受け継ぎ権力と富を享受している」。小説『十二国記 風の万里』の祥瓊よね。
寧遠舟は「立ち向かうには自分で答えを出さねばならない」と任如意に言う。
7話感想
任如意は寧遠舟に鈴と錦花鳥を求める。錦花鳥(キンカチョウ)は人より毒煙に敏感で察知すると鳴くそうな。
公主 楊盈を公主抱する任如意。軽々と持ちあげるもんだなぁ、色香もたっぷり。
寧遠舟は周将軍に「偸梁換柱」の策を話し、偽の使節団と話す。暗号は乳汁で書かれていた。偸梁換柱は第三十六計の第二十五計。
人付き合いが苦手な任如意は、「母親になったら我が子に優しくしたい」と望み、「寧遠舟が十三たちと仲が良いのはなぜか」と尋ねる。「昭節皇后から子を持てと言われた理由を考えるよう」助言する寧遠舟。
元禄が右手と左手で正解・間違いを問うのがカワイイ。寧遠舟の任如意評は狩りをする豹。
8話感想
とにかく戦闘場面が盛り沢山だった回。
任如意が「言ったわね?我らは仲間だと」と加わるのがイイね。于十三の弩弓もカッコイィ。
出た!盾の亀作戦。赤い女刺客 任如意もひらり舞う。元禄の雷火弾はアニメ『忍たま』みがある。南無阿弥陀仏を唱えていた杜長史(吕行)『東宮』李木戈も六芸で弓が扱えた。
任如意と寧遠舟の共闘が熱い!音楽まで付いてるよ。
元禄治療のお背なはサービスショットでせうか。
六道堂な仲間たちと戦い「少々面倒だけど1人より爽快だった」と話す任如意。
任如意のお背なを見てドキドキな寧遠舟。任如意が寧遠舟に内力を送る場面で流れる挿入歌の歌詞が「君と出会って現れた手のひらの運命線」って、わりとそのまんま(笑)。
任如意は寧遠舟に「荒草の中に金箋花が咲く景色は10里先まで美しい/荒草萋萋,中有金盏,如锦绣十里」と言う。なんかいきなりドラマ『楽游原』ちっくになってないか。
9話感想
李同光が覚えている「手を下すまでは誰よりも耐え、時が来たら誰よりも残忍になる」は任さまの言葉。
宴では于十三が舞い、寧遠舟も任如意に誘われて踊っている。任如意の軽やかなステップは蝴玄舞。茱萸をまぶしたものを任如意は断っている。茱萸はサンシュユ、ヤマグミ。
任如意は元禄より情に訴える地道な努力な策をさずけられ、早速実行。せっせと寧遠舟に蜂蜜入のお手製お焼きや天隕鉄の欠片に牛角の柄を付けた彫刻刀を贈っている。
「女が男を喜ばせようとする、その理由は何だと思う?」の任如意さんは大人の色気にあふれてる~~~。相合い傘デートも良いね。
任如意は昭節皇后が第二皇子に「少小家を離れ、老大にして帰る。安んぞ能く雌雄なるを弁ぜん」を教えていたと話す。これは【少小离家老大回】の謎かけ。
初月と李同光の婚姻を持ち出す安国皇帝(尹铸胜)。沙西部と沙東部の政治的な配慮がなされたようだ。『夢華録』の高鹄だ。
10話感想漢詩
豹を彫るつもりだったのが猫になっちゃった寧遠舟。実は彫刻の腕はなかったという……。任如意が豹から猫になるのですね?
変装した任如意、朱衣衛の合言葉は「花の命は短く、散れば物寂しい」。そんな場面を目撃していた銭昭。この漢詩作者の陳叔宝は南朝 陳の最後の皇帝で、享楽にふけり隋に攻め込まれた典型的な亡国の暗君。
陈叔宝〔南北朝〕《玉树后庭花》
丽宇芳林对高阁,新装艳质本倾城。
映户凝娇乍不进,出帷含态笑相迎。
妖姬脸似花含露,玉树流光照后庭。
花开花落不长久,落红满地归寂中。
出たよ、瓦一枚外すと会話が聞こえる中国時代劇ドラマ構造の屋根。
寧遠舟は任如意と共に戦っていた時は、敵に囲まれても安心感があったと話す。于十三、毎朝同じ女子の顔を見るのがイヤなんか……。
初国公の娘 金明県主 初月(陈昊宇)登場。なかなか勇ましい跳ねっ返り娘だ。『如懿伝』の舒妃なのか。
昭節皇后を悪く言われて思わず楊盈を引っぱたいてしまう任如意。うさぎの飴を買って帰ったら、朱衣衛の密偵と疑われて六道堂たちと戦いが始まっちゃったよ。褚国では蝴玄舞を踊らないし、安国の者だけが肉料理に茱萸を使わないのだとか。
于十三も加わり多勢に無勢だけど強い!枯れ葉が舞うのがいいな。
任如意が「いいわ 上等よ」と言って取った行動とは?
(つづく)
皆で一緒に踊ってあんなに平和だったのに……。
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