笛の音と琴の調べ

中国ファンタジー時代劇ドラマ「陳情令」・原作小説「魔道祖師」・アニメ「魔道祖師Q」・漫画「魔道祖師」の感想や考察を綴っています。

江楓眠と蔵色散人の噂の真相をさぐる/虞紫鳶の紫電が伝える思い①

陳情令つらい・魔道祖師しんどい

陳情令第16話の蓮花塢の物語はつらい。
つらすぎて録画保存はしているが、放映時に一回観ただけである。WeTV特別版もそのあたりは観ていられず飛ばした。

そんな中、アニメ魔道祖師第11話を観るとまたしんどくなり、江楓眠と虞夫人と蔵色散人のことが頭をぐるぐるし始めた。これは陳情令にハマり始めた頃、毎日ドラマのことを考え続けていた日々の再来である。あまりに毎日考えに耽っていたせいか、昨秋、字幕版放映していた頃、旅先でもすっころんでしまった程である。漫画のようであった。字幕版の時は、中国詩歌②③記事で江楓眠や紫電と中国文学について書きつづった。
ブログに書くと、そのぐるぐるが鎮まる効力があるのでまとめてみる。長いです。

陳情令・魔道祖師の親世代

この親世代の物語というのは、気になることが満載なわりに情報が少なく、想像がふくらみやすい。「スター・ウォーズ」のように親世代のドラマ・スピンオフ、というのがあったら絶対皆観ると思うのだが。騰訊視頻さん、ぜひぜひ。

蔵色散人藍啓仁、江楓眠魏長澤、虞夫人金夫人金光善。そして藍父(青蘅君)藍夫人。あとは遡って、藍翼包山散人、もしくは薛重亥温卯あたりでも面白そう。

江楓眠好きから見たとりまく関係

さて、江楓眠と虞夫人と蔵色散人である。

ドラマ視聴時には私は江楓眠に対して、雲夢江氏の侠客な雰囲気に好意を抱いてはいたものの、今ほどではなかったのだが、魔道祖師Q・アニメで、すっかり江楓眠贔屓となっており、江楓眠への思いが相当強い。その上、かなり原作で補足しており、陳情令と原作小説と自分の義侠好きで練りあげた江楓眠像であることを断っておく。そして原作が最も江氏夫婦の仲に関して描写が鋭く、その影響も受けていると思われる。
メディアによって夫婦像は異なるとは思われます。

江楓眠と蔵色散人を考えてみる

まずは江楓眠と魏無羨の母親・蔵色散人から。
原作第56章で江楓眠は、包山散人のところから世に出てきた蔵色散人と気が合い、一緒に夜狩をした、とある。原作番外編では姑蘇藍氏の夜狩は、基本男女別、と書かれているので、他の世家ではどうなのか不明なのだが、結構この組合せは目立っていたのではないか、とは思われる。なので噂も立ちやすかったのではないだろうか。

私は陳情令や魔道祖師内での噂、というものは物語を観ていく内に信じないようになったので、噂は噂、という認識に留めている。

では江楓眠と蔵色散人の実際の仲はどうだったのか?

  1. 気が合っただけで想いはなかった。
  2. 江楓眠は想っていたが、散人がその思いに気付くか気付かないかは別として、魏長澤と気が合い道侶となった。
  3. 付き合っていたが、家の結婚話が進み、魏長澤と気が合い道侶となった。

③はないような気がしている。さすがにそうならば江楓眠も本気を出して押し通したと思うのだ。そして①もなくはないのだが、蔵色散人は魏無羨ママだけあって、相当魅力的だと思うし、江楓眠の想いがなければさすがに虞夫人ともここまでこじれていなかったように思うので、やはり②あたりが妥当かと。

そして蔵色散人は、恋心には鈍感なあの魏無羨の母親である。しかも純粋培養でお人好しな弟子を輩出しやすい包山散人系である。江楓眠の想いにも鈍感だった可能性は高い。

 

いっぽう、江楓眠は蔵色散人に対してどうだったのか。

  1. 自分の気持ちに気付いていなかった。
  2. 気付いていたが、伝え損ねていた。
  3. 気付いていたが、蔵色散人が魏長澤に好意を寄せていることがわかった。
  4. 気付いていたが、蔵色散人が広い世を渡り邪崇を祓い弱きを助けたいという大志がある事を知り、五大世家に閉じこめるのを躊躇して、敢えて言わなかった。

さすがに①はなさそうである。自分に寄せる思いには鈍感そうだが、自分の気持ちは分かるとは思われる。大事なこともあまり口にしなさそうな江楓眠ならば②や③もありそうなのだが、私としては④を推したい。
そうして、愛する女性を閉じこめることで守った、姑蘇藍氏の藍父・青蘅君とあえて対比にしたい。と思うのはあまりに夢みすぎだろうか。

 

虞夫人(ユー夫人)と江楓眠を考えてみる

さて、対する虞夫人である。

第56章で「蔵色散人と魏長澤は道侶になった。(略)江虞二人は怨侶になった」とあるのが、なかなかの対比なのだが……。
英語でどう表現されているのか気になり見てきた。道侶は[cultivation partners]、怨侶は[a grudging couple]とはあった。怨侶の中国語単語としての意味がみあたらず、英訳とは異なった意味合いを百度知道で見かけたが、信憑性が定かでなくここでは取りあげず。


さて、そんな二人が結婚して、なぜこんなにこじれているのか
夫婦のことは、第三者からは本当のところは分からず、まさに「犬も食わない」。それは物語であってもそうであり、大きなお世話とは思いつつ、ぐるぐるが止まらないので考えてみた。

親が決めた結婚とはいえ、相手が他に好意を寄せる人がいる、というのは、面白くはないであろう。しかもそれが自分は相手に好意を持っていたとしたら尚更である。

しかし、江楓眠とすれば、そもそも蔵色散人と付き合っていないし(これは私の想像)、蔵色散人が大切な部下である魏長澤と一緒になったのなら、諦めもついていただろう(これも私の想像)

しかし些細なきっかけで虞夫人はそのことを持ち出し嫌みを言う。すると痛くもない腹をさぐられた江楓眠は、弁明することでもないと思い抗弁もしない(一度は説明したかもしれない)。虞夫人は江楓眠にはっきり否定されないので、益々エスカレートする、といったあたりだろうか。

そもそも江楓眠が虞夫人に会いに行って、そばに金珠・銀珠がいつもいたら、なかなか打ちとけた話もできなさそうであるのだが。

江楓眠が何も言わずに立ち去るのも、絶対に折れない相手との言い争いは、これからも生活を共にするならば、エスカレートする前に去るのが無難、というのはわかる気もするのだ。

虞夫人の思いを想像してみる

私は虞夫人を初めて観ていた頃は、源氏物語の「葵の上」かと思った。葵の上とは、東宮妃になると育てられ、臣下の光源氏に嫁いだものの素直になれず、心が通い合った時には亡くなってしまった源氏の正室である。ついでに言うと、光源氏は義母の藤壺宮を慕っていた。

虞夫人は陳情令では江楓眠を想っていたことがわかる最後になっているが、原作ではそうは明確には描かれていない。アニメのかんざしもオリジナルである。

しかし虞夫人の真意は、紫電が江眠楓に解けた、というのが大きい要素と思われる。陳情令・魔道祖師のその人物の法器というのは、その持ち主の思いを代弁することが多い。この紫電の場面は残念ながらアニメでは描かれなかった。

原作第58章で、魏無羨と江澄を縛っていた紫電が江楓眠によって解けたとき、「江楓眠が紫電の第二主人と、いつ認定されたのかはわからない。(略)しかし虞夫人はそのことを江楓眠には伝えていなかった」とある。それが愛なのかはわからないが、少なくとも大切な法器の主人としては認めていた。虞夫人の切なる胸の内が伝わってくるようである。

紫電の意味を理解する余地が、あの急場で江楓眠にあったのだろうか。あってほしい。

そして虞夫人には江楓眠が蓮花塢に戻ってきた、ということ自体が、なにがしかの気持ちは伝わったのかな、とは思う。宗主である江楓眠があの場面で戻るのは、雲夢江氏の存亡としては危うい判断ではある。

しかし虞夫人は「なぜ戻ってきたのか」という思いと裏腹に、「この人らしい」という思いと、「なぜだか知らずこみあげてくる嬉しさ」もあったように感じるのだ。

原作やアニメでは江楓眠が戻るまで虞夫人がもちこたえたのかどうかは描かれていない。が、きっと視線をかわし通じる想いがあったのだと願っている。

江澄の親ゆずりなところ

あれこれ考えていると、江澄が自分の気持ちを口にするのが苦手なのは、江楓眠ゆずりでもあったのかと思えてくる。それまで虞夫人による、素直な気持ちと裏腹な言動になってしまう血筋かと思っていたが、江楓眠という人は、愛情を言葉にして話し顔つきでも表わしてわかりやすく伝えようとしない。虞夫人はせっかちでもありそうなので、江楓眠が反応する前に、ひとりで完結してしまいそうでもある。そして江澄の性分は母親似なので、江澄にも伝わらなかったのかもしれない。

虞夫人と藍夫人

そもそも

  • 虞夫人は余計なことを口にしてしまう。そう考えていると、
  • 言わなさすぎるであろう藍夫人が思い浮かんだ。

それはそれぞれの子供にも受け継がれ、

  • 気持ちと裏腹な事を言ってしまう江澄と、
  • 思いはあってもいつも飲みこんでしまう藍曦臣

雲夢江氏と姑蘇藍氏の親世代の別居婚は、やはり対比になっているのだろうか。


長くなったので江楓眠の魏嬰溺愛説については、次回に検証します。

考えがとまらず……

ぐるぐる考えすぎて、陳情令や魔道祖師の物語を、対比や再現としてとらえるのが好きだからか、

  • 江澄が双傑と頼りにしていた魏無羨を、藍忘機にかっさらわれる、の図が、
  • 江楓眠がもっとも頼りにしていた魏長澤を、蔵色散人にかっさらわれる、と同じ。

もしくは、

  • 江澄と共に大切な時間を過ごした魏無羨江厭離の仲良し三人だったのがとり残され一人になってしまった、そして遺児の金凌を育てる、の図が、
  • 江楓眠と共に大切な時間を過ごした魏長澤蔵色散人の仲良し三人だったのがとり残され一人になってしまった、そして遺児の魏無羨を育てる、と同じ。

と、蔵色散人との色恋よりも、置いてけぼりをくらう不憫で面倒見のよい、雲夢江氏親子二代なのではないか、という説にまで達してしまった。この説のお仲間はいるかなぁ。

ぐるぐるはまだまだ後編につづく。
次回は、乱魄壁画・アニメ12話更新後の予定です。

 

 

 

★↑ 先のネタバレあります。 

fuenone2020.hatenablog.com

 

外部サイト

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