今回はカルテット⑤として、陳情令・魔道祖師親世代の、藍曦臣と藍忘機の母親、父親・青蘅君とその恩師を取りあげる。
この三人は本来ここに入れる予定はなく、藍忘機の両親記事で書いてみようかと思っていたが、ここで一気にカルテット候補として紹介しておいた方が分かりやすいかなと、こちらに入れてみた。
藍忘機の母・藍夫人
藍氏双璧の父母編 これまた便宜上そのまんまつけてみた。
ドラマ「陳情令」第43話。静室前にて藍曦臣が魏無羨に両親の事を語る場面。
原作「魔道祖師」第64章。
ここでの呼び名は次のようにとする。
藍曦臣と藍忘機の母:藍夫人 魏無羨がそう呼んでいた
藍曦臣と藍忘機の父:青蘅君 原作での呼び名
青蘅君の恩師:藍父恩師
このカルテットを思いついたのは、ドラマ第43話を観たあと、清心音カルテットでの三尊の関係から連想したものである。
カルテットにするには登場人物としては一人足りず、想像の部分も多くて説得力には欠けるが
a青蘅君
b藍父恩師
c(藍夫人の大切な人)
d藍夫人
というのが思い浮かんだ。
今までのカルテットとは少し扱いが異なり、cに関する部分は全くの想像である。区別するために想像部分は斜体文字にしている。
それぞれ冒頭のスラッシュの左の人が、説明文の左側の人物に、真ん中の人が中央の人物に、右が右側の人物と呼応している。
義城編・清心音・父母編カルテット
a暁星塵/藍曦臣/青蘅君:
b宋嵐/聶明玦/藍父恩師は信頼できる間柄である。d薛洋/金光瑶/藍夫人に好意を持っていたが、b宋嵐/聶明玦/藍父恩師を害されてしまう。
b宋嵐/聶明玦/藍父恩師:
a暁星塵/藍曦臣/青蘅君は肩を並べられる存在である。d薛洋/金光瑶/藍夫人によりやられる。
c阿箐/聶懐桑/藍夫人の大切な人:
一連の状況に一番立ち会っている。d薛洋/金光瑶/藍夫人のすぐ身近にいる。
c薛洋/金光瑶/藍夫人:
b宋嵐/聶明玦/藍父恩師を害する。c阿箐/聶懐桑/藍夫人の大切な人、とは気安く話せる間柄である。
奇しくも、藍曦臣と父親である青蘅君が、同じaに位置しているのが藍氏親子の業というものか。
青蘅君と藍夫人のなれ初めの特異なところは、青蘅君は一目惚れだったけれど、藍夫人はそうではなかった、という点である。お互い憎からず思っていて藍父恩師の件があったならば、その後の物語はまだ想像しやすいが、一方は関心のない状況から殺害を経て結婚となると、一体どんな展開があったのか?と、計り知れない思いになるではないか。
清心音・父母編カルテット(想像)
ここからは全く想像(妄想)の域なのだが、清心音カルテットのように
a藍曦臣/青蘅君:d金光瑶/藍夫人を信じていたが裏切られ、しかもb聶明玦/藍父恩師を害するのに、知らずに自らの技で片棒を担がされる。
b聶明玦/藍父恩師:d金光瑶/藍夫人を怪しみ問いただすが、d金光瑶/藍夫人によりa藍曦臣/青蘅君の技でやられる。
d金光瑶/藍夫人:b聶明玦/藍父恩師を殺害しようと、a藍曦臣/青蘅君を利用する形となる。b聶明玦/藍父恩師の気を激昂させ害する。
ということがあったと考えられないだろうか。だから青蘅君は自分の藍夫人への思いと、恩師に対する慚愧の念に引き裂かれつつも責任を取り、藍夫人を保護し自ら蟄居し、藍夫人もそれに応じた可能性はないだろうか。
とはいえ藍夫人の場合は青蘅君を意図的に利用しようとした、というより、偶然が重なりそういう形になってしまった、とは考えている。
・・・と考えていたところで、あらためて第43話の場面を見直すと、藍曦臣が魏無羨に語る中で
「父の恩師まで殺した」(中略)「それを知った父はいたく苦しんだが、熟慮した結果、秘密裏に母を雲深不知処に連れて帰った」
とある。言葉通りに考えると、恩師の殺害→その事を青蘅君が知る→連れ帰る、となり、上記にあげた説とは時系列が異なってくる。しかし[藍曦臣は真相を知っている訳ではない]とも考えられうるので、迷ってはみたがここで挙げてみた。
d藍夫人とc藍夫人の大切な人、との関係であるが、d温寧とc温情のような間柄、もしくは親世代ということで、虞夫人と金夫人のような親密な仲ではないかと想像している。
そのc藍夫人の大切な人と、b藍父の恩師と何らかの不幸な出来事があり、d藍夫人が仇をとった、のではないか。
藍忘機たちの母であり穏やかで優しい藍夫人が、このような行動に駆り立てられる背景には、やるせなく悲しい物語があるのであろう。
重ねて言うが、これは私の想像で原作にも一切そのような描写はない。そして私の想像の限界でもある。
(想像・了)
金丹・父母編カルテット
a青蘅君がd藍夫人を保護したという点では、金丹カルテットのa魏無羨がd温寧たち温氏一族を保護した、というのと似ていなくもない。青蘅君は恋慕から、魏無羨は恩義からという動機の違いはあるが。
青蘅君には五大世家出身という強力なバックボーンがあった。また藍夫人を雲深不知処に連れてきた際に、藍氏一族の反対はあったようだが、他の世家との軋轢は語られておらず、b藍父恩師は世家に属していた人物ではなさそうである。それゆえ幽閉という身ながらも静かに暮らすことはできていた。
しかし魏無羨は当時後ろ楯もなく単身で、自身の陰虎符も狙われながら、温氏を根絶やしにしようとする風潮の中、温寧たちを保護しようとしていた。そして温寧の一件により四大世家の蘭陵金氏を敵にまわしてしまう。
そうしてみると、魏無羨がいかに困難な状況で守ろうとしていたのかと改めて思う。
原作小説「魔道祖師」には旧版と新修版があり、この藍氏兄弟の父母の話は、旧版にはなく新修版で付け加えられたものである。そういう意味でも今まで取りあげたカルテットとは異なっている。この話が執筆のどの段階で着想されたのか、興味のつきないところである。
「魔道祖師」の版による違いは、興味深いのだがいっそう沼となり・・・。作者は精修後の新版が一番作者の構想に近く、原版であると述べている。
今回はこれまで。
次回は、シリーズ最後の
陳情令・魔道祖師カルテット⑥まとめとあとがき
です。
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