『尚食~美味なる恋は紫禁城で~』がWOWOWにて2022年9月1日(木)より始まった。毎週2話放送で全40話。『瓔珞』BS放送が終わると流れるように始まり、WOWOWオンラインでは『君、花海棠の紅にあらず』も放映されている。
1話メモ&感想
時代は明代の永楽20年、西暦1422年なので今から600年前になる。キーボードで「えいらく」と打つと、まだ「瓔珞」と変換されるのだ。
OPのイラスト風なのもカワイイ絵柄。
『風味巡礼』のようなツヤツヤした調理映像が流れる。
皇太子 朱高熾は太っちょで人は良い感じ。
皇太子妃 張氏は「孝慈高皇后(明初代皇帝 朱元璋の皇后 馬氏)は自ら夫の食事を確かめた」と登場。この時は気付かなかったけど美心姉さん@君花海棠の紅にあらずか!
親征軍がアルクタイを破り、陛下は凱旋されすでに昌平に。アルクタイはモンゴルの族長。
許凱・富察傅恒@瓔珞な皇太孫・朱瞻基登場!!盛楚慕@大唐流流の登場時みたいだったらどうしようと思ったら、この皇太孫は学門にも熱心で物事に動じず漢気もあり、デキる御仁のようで。
「万事不調旅するべからず」「3つの吉星が助け合い、困難に遭おうと必ず切り抜ける」と言っており、3つの吉星はひとりは前世瓔珞さんだろうけど、他は誰だろう?
そして袁琦は李玉@瓔珞のような蹴飛ばされ枠……。
尚宮について
後宮の六局一司は、尚宮、尚儀、尚服、尚食、尚寝、尚功、宮正司。
各局の主事は皆正五品で、尚食局が①孟尚食。(えんじ色)
尚食局には司膳、司醞(しうん)、司薬、司饎(しき)の4つの司がある。
司膳司には②司膳(えんじ色)、③典膳(青色)、④掌膳(若草色)が各4人と、あとは⑤下働き(薄灰色)。
尚食は部署名であり役職名でもあるのか! 呉謹言@瓔珞な姚子衿たちが受けているのは厨役の再吟味なのかな。尚食局主事が妃と考えると、司膳は嬪あたりになろうか。
乾清宮。第3代皇帝 永楽帝 朱棣(しゅてい)。楊栄と金幼孜(きんようし)は労をねぎらわれる。皇太子の長弟で 漢王 朱高煦(しゅこうく)は野心満々な様子。こちらも気付かなかったが永楽帝は肖恩@慶余年だった。そして四喜児@君花海棠は井泉に。
乾清宮での詔は『明実録』にある。2022.9.14追記
《大明太宗文皇帝实录 卷二百五十》
永乐二十年八月十七日(略)
以班师书遣谕 皇太子及颁诏天下诏曰天地之大覆载而无外帝王之治一视以同仁朕恭膺 天命主帝华夷夙夜勤劳勉图治理无非欲天下生灵咸得其所而已往者丑虏阿鲁台穷居漠北鼠穴偷生屡为瓦刺所困妻子不保遂率部落来归朕念其遑遑无依特加优恤授以封爵令仍居本土安生乐业岂意此虏心怀谲诈僭妄骄矜违(略)
昔は光禄寺が献立、尚膳監が膳を用意し、尚食局は配膳係だったのを、孟尚食が御膳にと業務を拡大させたようだ。『チャングム』もそうだったが、手際良く料理しているのを見ると、料理が簡単に思えてくるのだ。
尚食1話料理メモ
炙骨(しゃこつ):光禄寺より凱旋を祝す。炙子骨头とも言う。北宋 徽宗の誕生日の宴で食されたとか。
糖醋活鯉魚:活鯉の甘酢揚げ。
桃花泛(とうかはん):有名な宮廷料理。《中国饮食500种》にある。おこげ料理で『中国くいしんぼう辞典』によれば、
桃の花が盛りの時期に、春のエビの、歯切れのよいむき身だけを用いる。(略)揚げ色のついたおこげが赤い汁に浸り、間にはピンク色のエビの身が散りばめられ、窓の外に咲く妖艶な桃の花のようだ。(略)弾ける音は、遠くでかすかに鳴る春雷を彷彿とさせる。
崔岱遠「中国くいしんぼう辞典」2019 みすず書房
とあり、なんと雅な料理なのでせう。
包児飯:肉、生姜、大蒜を刻み白飯に混ぜて葉で包む。明の内監劉若愚『酌中志』に記載。四月に記されている。瓔珞58話でも『酌中志』は出てきておりこちらは七月だった。円明園で皇太后や明玉と楽しく葡萄や茄子の漬物を作っていた時のエピソード。
刘若愚『酌中志』卷二十 饮食好尚纪略
四月)是月也,尝樱桃,以为此岁诸果新味之始。吃笋鸡,吃白煮猪肉,以为"冬不白煮,夏不熝"也。又以各样精肥肉,姜、蒜剉如豆大,拌饭,以莴苣大叶裹食之,名曰"包儿饭"。造甜酱豆豉。
沙鶏の肝を味付けて蒸した汁物。沙鶏は主に砂漠に住んでおり、ハト目サケイ科とされる。
鶏汁豆腐:豆腐脳の鶏油かけ。軟らかく消化を助ける。
薬膳肉:丁香、官桂、白豆蒄(ぎゃくずく)を加えたもの。脾臓を丈夫にし食欲を増す。
子母会:四川伝統料理。鳩姿焼きに鳩の卵を添えている。日本ならさしずめ親子丼だが、ビジュアルからして親子感マシマシで、卵が3個なのが徐皇后と息子3人(皇太子や漢王たち)を表しているような……。
主人公の姚子衿だけでなく、同僚な蘇月華、殷紫萍も活躍しているのが愉しい。殷紫萍は六月紅@君花海棠だし、掌膳 雪蘆(せつろ)は吉祥@瓔珞、察察児@君花海棠だ。
豆腐料理には『成化十四年』の隋州を思い出す~。永楽帝は成化帝の高祖父。桃花泛は桃花飯が泛に変えられた、ともあり、もしや唐泛の名前の「泛 fàn」の由来は「飯 fàn」だったりするのかな?
2話メモ&感想
愉嬪、じゃない司膳 王遥清は、イケズとかでなくストイックで厳格なのね。
清寧門を歩く皇太子妃。
「天下太平」と言いながら重そうな物を持って歩く姚子衿。提鈴の処罰らしい。
宦官は「罰を受けた女官は泣きわめく」と言うが、瓔珞魂な姚子衿が泣くワケがない。
おまけに御輿を見て駆け寄り倒れたのは、「幸運は天から降ってはこない」と言っているあたり図ったか? 手にしているのは玉佩かな? 嫻妃と弘昼@瓔珞みたいな感じ?
罰を受けて紫禁城を歩くのは、瓔珞36話の「雪中の三歩一叩」を思い出す。あれは瓔珞と傅恒が恋愛関係としては終わった傅恒の婚礼後で、傅恒もただ見ていることしかできなかったが、今生(?)では皇太孫なので罰を免ずることができている。今度は成就できるのか?
尚食2話料理メモ
無心蓮子酒:蓮の竹筒飲。
如意炒め:如意荪。これらは、心を静める食べ物。「荪」と「孫」、どちらも同音の「sūn」という事らしい。
鴨肉は乾燥による病を防ぐ、筍の旬は春と冬だが、旬の時期に鴨肉と合せると味が落ちる。誰と誰の事を言ってるんだろ。
酒漬けの棗:醉枣。墨香に酒の香りが相伴す【墨香伴酒香】。一般的には白酒に漬けるそうな。料理脳になっていたせいか、墨香に「墨ってイカ墨でも使ってるの?」とおマヌケな考えがよぎったが、筆の墨だったわ……墨香銅臭さんの墨香でしたね……。。
洪慶宮には皇大孫妃 胡善祥。南巡で熟したみかん、緑豆より松葉で覆うと長く保存できるらしい。皇太孫には呉才人もいる。「瓔珞」では南からの果物は茘枝だったな。
胡善祥と胡善囲司膳は複雑な事情がありそうだ。
行雲草舎には皇太孫の書斎がある。王瓊苑の角に建てられた。
内訓について
孝慈高皇后が宋代の賢后の教えを記録させ、妃たちに歴史を鑑とさせた。仁孝皇后(永楽帝の皇后 徐氏)はそれに学び自ら「内訓」を記した。
前半6章は、徳性、修身、慎言、慎行、勤勉、倹約。
殷紫萍が魚の鱗をはがしながら、「礼と義に背く行いはせず、道理と信用を重んじ」で詰まり、姚子衿「言を慎まねば災いを招く」はフラグか。
殷紫萍「行いを慎まねば悪となる」姚子衿「閾で言を慎み玉で動きを制す。礼で心を制し、道で欲を制し徳を養う」「女子権力を握れば災禍あり」で孟尚食が映る……。
徐皇后《内训》徳性章第一
古之贞女,理性情,治心术,崇道徳,故能配君子以成其教。【言古之贞女理其性情,治其心术,崇其道徳,以成教于内也。】是故仁以居之,义以行之,智以烛之,信以守之,礼以体之。匪礼勿履,匪义勿由。动必由道,言必由信。匪言而言,则厉阶成焉;匪礼而动,则邪僻形焉。阈以限言,玉以节动,礼以制心,道以制欲,养其徳性。所以饬身,可不愼与!
【牝鸡司晨】は『尚書 牧誓』“牝鸡无晨。牝鸡之晨,惟家之索。”より。
幼い蘇月華に教えているのは「床前に月光を見る、疑うは是地上の霜かと」。
李白『静夜思』
床前明月光 疑是地上霜
挙頭望明月 低頭思故郷
頭を挙げて高みを目指し、垂れて故郷を思うの意味かな。
意外とドロドロした家族な内情が入ってくるのね。
宮廷料理も盛り沢山で楽しみ。
▼中国料理ドラマ
外部サイト
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