32話メモ&感想
世に正義を問うために、自らで薬を試すと話す孫貴妃。
宣徳帝は胡皇后に、『神農本草経』の3巻を坤寧宮へ届けさせたと伝える。
「医者は治療に際し、まず慈悲と哀れみをもって人を病苦から救うと誓うべし。貧富貴賤を問わず人命であるかぎり親の情をもって見よ」と。孫思邈は唐代の著名な医師で「薬王」とも称される。
《大医精诚》孙思邈(唐代)《备急千金要方》第一卷
凡大医治病,必当安神定志,无欲无求,先发大慈恻隐之心,誓愿普救含灵之苦。若有疾厄来求救者,不得问其贵贱贫富,长幼妍媸,怨亲善友,华夷愚智,普同一等,皆如至亲之想,亦不得瞻前顾后,自虑吉凶,护惜身命。
罰を受けている殷紫萍のところへ孫貴妃が駆け寄り、殷紫萍が「あなたと出会ってから真に人として生きた」と言っている辺りはうるっとしたのに……お芝居かーーーい!!
胡皇后は耐えきれずに許しを請う。游一帆は、「錦衣衛の杖は豆腐を崩さぬほど軽くも打てる」って、そんな事言ってたっけ?スゴ技ね。宣徳帝に「お二人に深く恨まれたようですね」って楽しそうに言ってないか?
この豆腐うんぬんは料理ドラマだから比喩として言っているのかと思いきや、ホントに打ち方を習熟しているらしい!調べると興味深いのでこちらもまとめました。
宣徳帝より禁足を言い渡されるが、以前、皇太孫妃候補時代に幽閉された事がフラッシュバックして失声してしまう孫貴妃。
胡皇后も宣徳帝に、10年かけて医学を学んだのに、殺すばかりだと恨み節。『赤い袖先』でも側室のつまらなさを言っていたから、望まない人ばかりが後宮に入っている不幸……。
故郷の物乞いがかぶる犬の帽子をかぶって見せる殷紫萍。二月も口を利いていない孫貴妃。
公侯伯五府六部大学士給事中に命じ、重罪人を詳しく再審するという勅令を出した。
《宣宗章皇帝實錄 卷十》
洪熙元年 十月 二十三日
上命會公侯伯五府六部堂上官大斈士及給事中審覆可疑者再献問勿令含冤自今决重囚悉准此例
宣徳帝は游一帆と連れだって弓を射る。この時代の弓矢はストレス発散のレクなのね。
袁琦は瓊苑の菊が見事で皇后と観賞するように陛下に勧め、胡皇后に今年の「消寒図」を届ける。そういえばかつて胡皇太子妃の口添えで追放を免れたんだっけ。胡皇后と呉昭儀のゲームはなんだろ? 呉昭儀の義理堅いところは好きよ。
象耳は素朴ながら優美で、礼部が「博古図」の中の銅器を参考に鋳造。銅はシャムの献上品、永寧宮の三つ足香炉は鈞窯(きんよう)の品で、玉のような光沢と精巧な技が参考になると。『宣和博古図録』とも言い、北宋の徽宗の命を受けて古器を集めて編纂された。鈞窯は北宋五代窯の一で、北方青磁の流れをくむ。故宮博物院には鈞窯三足炉が多く所蔵されている。
禁足から三月経っている。孫貴妃が黙って薬を試そうとし、部外者として扱われ腹を立てた宣徳帝、そこへ広西の前線から急報が入る。
杖刑について
杖刑の歴史は古く、後漢より始まったとあり、南北朝時代の梁武帝が鞭杖制度を定め、北斉北周時代に杖刑が定められたようだが、『尚書』にもそれらしい記載がみられている。【扑】が杖刑にあたる。
『尚書 虞夏書 舜典』
象以典刑,流宥五刑,鞭作官刑,扑作教刑,金作赎刑。眚灾肆赦,怙终贼刑。钦哉,钦哉,惟刑之恤哉!
杖刑は五刑の一であり、唐代封建五刑は苔刑(鞭打ち)、杖刑(板打ち)、徒刑(懲役)、流刑、死刑。
明代では成化帝以前は、杖刑は辱めるのが目的であったようである。
朱国禎(明代)《涌幢小品》
成化以前,凡廷杖者,不去衣,用厚绵底衣重毡迭帊,示辱而已,然犹卧床数月,而后得愈;正德初年,逆瑾用事,恶廷臣,始去衣,遂有杖死者。
杖刑の執行人には杖打ちの技術が必要であり、人形を用いて訓練を受け、皮膚が赤くなる程度でも内傷がひどい、もしくは表面の損傷が激しくとも内傷はない場合など、杖刑でも様々に打ち分けられた。
沈家本《历代刑法考 刑罚分考十四》
明代厂卫负责施行廷杖的校卒在训练时, 先用皮革绑扎成两个人形,一个里面放上砖头, 一个里面包上纸,,然后再给它们穿上衣服,让校卒对它们行杖。放砖头的人形是用来练习“外轻内重”手法的,要求能做到看起来似乎打得很轻,衣服也不会破损,但里面的砖头要打碎。包纸的人形是用来练习“外重内轻”手法的,要求做到看起来似乎打得很重,但里面包裹的纸不能损伤。行杖者要达到这样的水平才算合格。
豆腐うんぬんに関しては、清末の官庁刑罰を記した清代の小説にこのような記載がある。これは外軽内重系な打ち方……。
李伯元《活地狱》
第九回 遇酷吏简缺变烦难 受严刑良民负冤?
从来州县衙门掌刑的皂隶,这小板子打人,都是要预先操练熟的。有的虽然打得皮破血流,而骨肉不伤,亦有下死的打,但见皮肤红肿,而内里却受伤甚重。有人说,凡为皂隶的,预先操练这打人的法子,是用一块豆腐摆在地下,拿小板子打上去,只准有响声,不准打破,等到打完,里头的豆腐都烂了,外面依旧是整整方方的一块,丝毫不动,这方是第一把能手。
回数は罰の重さであって、だからと言って刑が重いとは限らないのかな?人間の技っていろんな事ができるもんなのね。姑蘇藍氏子弟@陳情令も習得してるのかな……。
32話料理メモ
殷紫萍は「心を溶かさない美食はない」と、久々の調理場面だ!
蒸し鰻(蒸鰻)。輪切りにして蒸して骨を取った。鰻が舌の上でとろけ、さっぱりと口当たりよく鰻の脂っぽさを一瞬で消し去るのは、草魚を合わせ芥子と鶏汁も加えたから。
含笑香螺。新鮮な香螺をさくさくの皮で包み、歯ごたえも最高。
炙り蟹(爆蟹)。阿金も指を立てている。蟹の殻が開いても身は焦げていないのはごま油がポイント。
鮑汁の混ぜご飯(鮑汁螃飯)。広東省伝統料理。鮑、干し貝柱、雌鶏、金華火腿、豚骨を煮込んだ物。とろ火で二時、それを3日間、しっかり味が出て10里まで香る。この匙も可愛いな。全部食べたい~~~。
梅少渊は母の咳が治らず、孫貴妃より珠玉二宝粥がよいと言われたと話す。伝統薬膳でヨクイニン(ハトムギ)と山芋に干し柿と砂糖を加えたもの。
胡皇后の所にせっせと通っていそうな呉昭儀。皇后は好物の虎眼糖も食べていないようだ。虎なのね……。
刘若愚(明代)《酌中志 内臣职掌纪略》
甜食房:掌房一员,协同内官数十员,经手造办丝窝、虎眼等糖……皆内臣自行经手,绝不令人见之,是以丝窝、虎眼糖外廷最为珍味。
(つづく)
殷紫萍は良い場面と思っただけに、やり過ぎ感はあるよね……。
ショックで体調を崩すのは商老板@君花海棠の紅にあらずもなっていたよ。返事せずにいたら二旦那@君花海棠にも怒られてたよ。
美味しそうな料理を食べているから身体は大丈夫だろうけれど、精神的にショックを受けた時に、転地療法な宿下がりもできないし、話せる相手もいないのが後宮……長引くよね。
游一帆が助けてあげられないのかな。
▼蓮房魚包
▼順嬪と瓔珞が一緒にお眠り。
外部サイト
▼許凱、呉謹言のインタビュー記事。
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