笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「蓮花楼」「古相思曲」「ロングシーズン」「宮廷の諍い女」「月に咲く花の如く」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

月に咲く花の如く74話最終回感想/ドラマ完走記

74話感想

太后との謁見を終え、周瑩は変法の標語だった言葉「民を尊べば国は治まる」を引用したようだが、褒美として東阿阿膠爵位を賜わる。

《尚书 五子之歌》
 其一曰:「皇祖有训,民可近,不可下,民惟邦本,本固邦宁。予视天下愚夫愚妇一能胜予,一人三失,怨岂在明,不见是图。予临兆民,懔乎若朽索之驭六马,为人上者,奈何不敬?」

周瑩が范蠡の『商訓』にある「天地人神鬼」を説明するように問うと、
懐先は「天とは時勢に応じることであり、地とは信用を守ることである、人とは仁義を重んじることであり、神とは何事にも果敢に挑むこと、そして鬼とは手腕を振るうことである」と答える。

周瑩は「大切なのは時勢、信用、仁義と強い意志で、鬼は最後」と話す。

范蠡《商训》
五字商训:天,地,人,神,鬼。
天:为先天之智,经商之本;
地:为后天修为,靠诚信立身;
人:为仁义,懂取舍,讲究“君子爱才,取之有道”;
神:为勇强,遇事果敢,敢闯敢干;
鬼:为心机,手法活络,能“翻手为云,覆手为雨”。期限要约定,切勿延迟,延迟则信用失。


太后が郡王を排除、沈星移が涇陽の街で目撃された。沈星移の狙いは皇太后と陛下の暗殺。

懐先「利を得ることとは何かー物の動静及びその大局を見ることである」【物之动静及其大局也】
「物の動静はなぜ利をもたらすのかー物が動けば利を得ずして静はない」【以物之動者非利不静】
最近の懐先は『格物測算』『格物小引』『格物入門』を読んでいる。


太后たちが呉家東院に逗留、呉沢が呉家東院に忍び込んだ。

周瑩の元にやって来た沈星移、周瑩を刺して・キス~~・くるくる~~~。一体、ナニが起こっているんだぁぁ。

沈星移は「一番怖いのは国が滅びること」と言って、周瑩を椅子に縛り付けている。周瑩が懐先のことを聞かないのは異変だと思い、戻って来た趙白石、さすが。周瑩は趙白石に「これ以上、家族を失いたくないのよ」と訴える。

そしてそんなタイミングで追われる呉沢……なんてこった。
事が露見したら呉家全員が処刑されてしまう。
すると呉沢になりすまし、沈星移はあのいつもの表情で笑って、外に飛び出す

沈星移~~~。

周瑩のいる部屋の方向を見て、崩れ落ちる沈星移。


太后は去り際、「何年寡婦を貫いた?」と周瑩に問い、「14年です」と答えると、「私は39年だ」と言う。同じ寡婦という事で、感じるものがあったのか。

時は流れ……上海埠頭
懐先も大きくなってる! 懐先の留学は2年、どこへ行くんだろ。

周瑩の略歴が字幕で語られる。「1869年陝西三原県の周家に生まれる」とあり、だから周老四が生まれのことを言っていたのか。

「17歳で涇陽安呉堡村の呉家に嫁ぎ、呉聘の妻になった」
「結婚後は夫と義父を相次いで亡くし、幼い養子の懐先を抱え呉家の商いを一手に担った」
「呉家東院を比類なき大商家にのし上げた」ともあり、ここで語られたストーリーがこの物語になった、という事ね。

 「1908年40歳でこの世を去り、一品の誥命夫人に封じられた」とあり、1908年はあの義和団から8年後、この懐先の旅立ちは何年だったのだろう、再会はできたのだろうか。
(完)

翻訳:伊藤あゆみ
配給:エスピーオー/コンテンツセブン

ドラマ完走記

『月に咲く花の如く』は歴代のドラマの中でも評判が良く見たかったドラマ。折しも同じくスン・リー主演の『宮廷の諍い女』再放送と重なり、毎日放映のドラマを2本視聴というのは継続が難しい時もあったが、どちらも良作で楽しめた。

なんといっても役柄の異なる主人公スン・リー(孫儷)が演じているのがスゴい! そして視聴途中でようやくドラマ『上海グランド/2008年』のヒロインである馬程程がスン・リーだった事に気付く! お~そういえば!!
なんとなく方艶芸役の陳数(チェン・シュー)が、『擇天記』で貫禄のある皇后を演じていたので、馬程程ももっと年齢を重ねているのかと思い込んでいたのだ。
緑衣装が印象的な馬程程、スン・リーは緑系が似合うよね。

どの役を演じても俳優自身が出るタイプと、役柄によって変わるタイプの俳優がいるが、スン・リーは後者だな。
優雅な甄嬛と、ワシワシ歩いて座りこむ周瑩の落差は大きいが、どちらの主人公も魅力的なのだ。


序盤はテンポ良く展開し、仁義と信用を重んじる義父である呉蔚文が師父で、そこに弟子入りする周瑩といった様子で、武侠版の商家な物語であった。

なんといっても人格者な夫 呉聘と幸せな時間が描かれていたのも印象的。結婚相手には比類なく申し分のない呉聘だが、正直、大商人としては大丈夫かぃなと案じられる面もあり、呉聘母である鄭氏を見ていたらその理由がわかる気がした。
善人で可愛い女性だけどなんというか短慮なんですよね、鄭氏。呉聘も沈月生の件で誤解されているとはいえ、沈家の神経を逆なでするような行動は慎もうよと思ったり……。


杜明礼と周老四の京劇がちょこちょこ挟み込まれたのも愉しい。

大商人のドラマなので、どれだけスケールが大きくなっていくのだろうとワクワクしていたが、実際に展開されていたのは紡績工場がメインだったので、ちょっとその辺りの肩すかし感はアリ。実際には「学業支援、廟の建設、道路や橋の修繕、造船、災民や貧民救済などに貢献」とあったので、造船業あたりも見てみたかったな。

電報を駆使して、沈家を追い詰めていくのは、この時代ならではで面白かった。
商売を広げていくのに、周瑩の取る方法が『商訓』に沿ったものだったのも見応えがある。
周瑩を取り巻く王世均を初めとして、韓三春たちが頼もしかったね。というか、韓三春は私の中ではポイント高いのだ。そういう意味では千紅、良かったね~。

周瑩と義母 鄭氏、周瑩と侍女 春杏との関係も好ましかった。
そして懐先もこましゃくれていて可愛い。中国ドラマの子供は、おおよそイイ子しか出てこないな。

周瑩は主要な登場人物から愛されまくり、ここまでヒロインばかりもてはやされるのは久々なような。作りとしては古典的な感じだけど、2017年制作よね? 主人公カップルが上手くいっていない時に、わりとサブカップルが展開するものだが、珍しくそういうのがなかったドラマ。

最初の方は引き込まれたが、途中少し集中力が切れたのは、多分、周瑩と沈星移とのすれ違いが何度も繰り返されたからかなぁ。

ウイグル商人の図爾丹はインパクトあった!

趙白石も最初は不憫だったが、呉漪とゴタゴタした辺りで気持ちが切れてしまった。そしてどこかで「味方だよね?」という思いもあり、郡王載漪の配下となっても、「今はどっちに付いてるのかな~」とちょっと距離を置いて見てしまうし、求婚もあまり乗れず。

そしてこのドラマ、予想以上に人が死んでいく……。
義父である周老四までも死ななくても良さげだが、呉聘と一緒に現われた場面が、らしかったので良しとしよう。
みんなのお父さん、沈保平も胡志存役で登場。あれ?信義を通さないの?と思っていたら、最後は通していましたネ。

ずっと周瑩を応援してくれていた呉漪ちゃんと呉沢の展開はちょっと残念……。
でも呉漪ちゃんの趙白石への求愛の時の、料理と漢詩は面白かった!呉漪ちゃんの料理、食べてみたい!!


予想と異なっていたのは、ドラマに変法などの時代背景が色濃く組み込まれていたこと。
その影響を最も受けていたのは沈星移で、最初は遊び好きなお坊ちゃんだったのに、最後は国を思う人物となり、周瑩への言葉通りに、周瑩を娶り、守って、逝ってしまった

このドラマが武侠的なノリならば、一緒に逃げてしまって痛快に生きてほしかったのだが、周瑩をモデルにしたドラマならばそうもいかないか。

 

杜明礼と査坤のコンビも、やった事は厄災だけれど、他に選択の余地もない彼らの有り様を思うとやるせない。

悪いのは群王 載漪だ! 明らかな悪人は郡王 載漪と張長清だったので、最後、郡王 載漪がナレだけで新疆へ流刑となったのはスッキリせず~。皇太后が言っていた「貴族を死罪に処した前例がない」ってそういうものなのか……。


このドラマを見ながら頭に浮かんだのはドラマ『清越坊の女たち』。というか『清越坊』はこのドラマをオマージュしてるよね?と思っていたら、MXさんのこのドラマの後続は『清越坊の女たち』という~。


このドラマの中国語タイトルは『那年花開月正圓』。
ドラマを見ていると、満月は呉聘で、花は沈星移であり、ドラマ内でも呉聘が紙で欠けた月を満月にしたり、沈星移と周瑩との場面では花が舞っていたのが印象的。

なので色々な方が指摘されている通り、やはりこの邦題の『「月に咲く花」の如く』なのは、ちょっとひとくくりにまとめられすぎているような思いになる。
あえて言えば『月満ち 花咲くとき』あたりなんだが、これだとぽやんとして覚えにくいしなぁ。邦題を付けるのも大変だ。

主題歌は、「来世でも再び誓う、庭に咲く花がその証し、一生に一度の愛」と(沈星移)を歌い、
エンディングは「断てるはずもなきこの想い、夜空に昇る満月、月夜が照らす大地を進む、私の隣にはいつもあなたがいた」と(呉聘)を歌っている。

月も花もなんだな、というドラマの感想である。

 

 

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