39話感想・阿箐の杖
霧の中の義城。魏無羨は薛洋を挑発して、薛洋の居所を突きとめようとする。薛洋の「復讐するのに相手に気を使えと?」は、第32話の魏無羨の「俺が自分の身を守る時は誰それ殺さぬよう気にしないとダメ」を思い出すし、温寧が薛洋の放った刺顱釘を防ぐのは、第31話の窮奇道での弓矢を思い出す。
杖の音がする方向に藍忘機が剣を投げると、薛洋を捕らえた。阿箐を刺す薛洋は、含光君に右腕を切られる。鬼面の男が現われ、陰虎符を奪って伝送符で逃走。鬼面の男は姑蘇藍氏の剣を土台に蘭陵金氏の技も入った剣法を使う。
薛洋の願い
意識を取り戻している宋嵐が立ち上がり、薛洋に払雪で腹を刺し決着を付ける。この血たまりに宋嵐の顔が映るのが良いのだ。回想。薛洋は暁星塵に腹を刺される……のは宋嵐と同じ。
そして薛洋は昔話を始め、飴が欲しい子供は馬車を追いかけたが、男はうるさいと鞭で打ちつけ、あろうことか馬車で7歳の子供の指を轢いた。その男こそが常萍の父親、常慈安。それならば「指や腕を斬ればいいこと」と言う暁星塵に、「指は俺の物で、命は他人の物、何人殺しても償えない」と言い放つ薛洋。白雪閣を襲ったのは、暁星塵が邪魔をして常家に協力したからである。
「誰が正しく誰に非があるかなんて、他人に分かるか?下山したのが間違いなんだよ」「俺が一番嫌いなのが、正義を自負し高潔だと気取った奴らだ」。そして薛洋は暁星塵の夜狩の真実を告げ、「俺の嘘を信じたのに、なぜ真実は信じようとしない?」と叫ぶ。薛洋が相図すると、暁星塵に向けられた剣は払雪。「何とか言ってくれ」と訴えても、宋嵐は傀儡であり、そもそも話すこともできない。絶望した暁星塵は、霜華で自らの首を斬る。暁星塵~~~~。傀儡な宋嵐が首をかしげるのがもう……。
暁星塵が死んでも傀儡として復活させる気満々な薛洋。いそいそと体を拭き、包帯も変えている。ウキウキとしながら飴を食べようとするが留まり頬杖をつく。いっこうに暁星塵は目覚める気配もなく、ついに死を悟った薛洋は暴れ、暁星塵を脅す。
「昔、甘い物が大好きな子供がいた」ここからは泣ける…。薛洋の語り「もし誰かが毎日、飴をくれたらいいのに」と共に、暁星塵が微笑んで部屋に飴をふたつ置いていく。ぐは~~。薛洋の左手には飴が!!この音楽も良いのだ。
宋嵐、霜華を背負う
魏無羨たちは阿箐を弔う。少年組は死を悼み、藍景儀はボロ泣き。藍湛は魏嬰に「幸いだった」と言ったのは、魏嬰の霊識が残っていて復活できたことに対してかな。封悪乾坤袋が反応し、義荘へ戻る魏嬰と藍湛、それを見送る温寧。
義荘。宋嵐が暁星塵の眠る棺の前にいる。『夜奔』♪ 霊識の入った鎖霊嚢を渡し、阿箐を弔ったことを告げると、宋嵐は「感謝する/多謝」と剣で書く。この先については「霜華を背負い、世を渡る。星塵と共に魔を除き邪を倒す/負霜華行世路、同星塵魔誅邪」と。藍忘機に霜華を渡されると、宋嵐は霜華と払雪を両肩にかけ、義城を立ち去る。いつか2人が再会する日が訪れてほしぃ……。
義荘の棺を開けると、その下に鎮圧法陣が敷かれ陰虎符の痕跡があり、覇下が立ち上がる。ストラヴィンスキー『春の祭典』♪。
ウサギの提灯
夜の潭州。屋台巡りをする少年組。『人生若只如初見』♪ 藍思追は蝶の玩具に見入っている。藍景儀に「3歳より前の記憶があるか?」と尋ね、一瞬浮ぶ竹トンボ。
藍忘機が提灯を見ていると、阿苑の背格好に似た子供を見つめる魏無羨に気付く。見つめ合うふたり。ピアノ『忘羨』♪ 「藍湛、本当はウサギが好きだろ?」と言った後に、まるでウサギのように笑う魏嬰。含光君が提灯を手にしており、藍思追に渡す。この提灯はウサギ2羽の絵なのだ。
久々の沢蕪君!義城には首のない骸があり、刀霊は骸を確認して本来の姿となり、赤鋒尊だった。仮面を被った魏無羨は、鬼面の男について心当たりを尋ねるが、「彼(金光瑶)ではない」「世人は彼に対し誤解がある。だが自分で見てきたことを信じる」と否定する。少年組たちが言い争っている。沢蕪君は「魏の若君」と語りかけ、お見通しだった。
(つづく)
こんなにひどい場面なのに、王皓軒な薛洋は愛嬌があって魅力的なのはなんなんだ……。そして宋嵐……。日本語タイトルの「こぼれ落ちた」というのが、薛洋をあらわしていて実に良い。
この夜市の感じにホッコリ。ウサギの提灯を持つ含光君がなんとも言えない。
陳情令吹替版39話感想
薛洋と丁々発止な木村魏無羨、いいな。
阿箐を刺す薛洋が、含光君に腕を切られる、は、
薛洋に挑んだ宋嵐が、暁星塵に刺される、の構図に寄せたのかな。
鬼面の男、一応薛洋と一緒に伝送符を使おうとはしていたのね。薛洋が見放されたワケではなかったのね。
子供と飴の物語が哀しい……。吹替版の薛洋と暁星塵のやり取りは激しいな。「資格があるのか」「べつに」の言い方……薛洋、こ、こわい。「陳情令」は本人が言った言葉がブーメランになるのだが、薛洋が暁星塵に言った「自分で自分の身を滅ぼした」もそれは……。
もう戻らない暁星塵を脅す場面から入るこの音楽が良いのだ。「どんなにいいだろう、毎日……」の言葉に、うわ~~~っとなる。
義荘で暁星塵の包帯から、宋嵐の目が映るのがたまらない……。その目は暁星塵の目でもあるのね。最後に宋嵐と暁星塵が並んで歩く姿が映るのだけれど、かつての姿なのか、未来の姿なのか……未来だといいな。
潭州はかつて花吹雪降る中の藍湛が美しかった町。斉藤藍景儀の感じや立花藍忘機もヨイなぁ。久々の兄上登場なのだが、藍曦臣がやけに軽装になっているのは何だろう。
ドラマと小説・アニメとの違い
原作小説『魔道祖師』第2巻 第8章草木、第9章佼僚
アニメ『魔道祖師』完結編第5話
薛洋に常慈安が何をしたのか、原作の方が詳しく描かれている。常慈安め、許すまじ。暁星塵が薛洋を刺したのは、阿箐が話したのね。
ウサギの提灯は陳情令オリジナル。原作は陰虎符もなく剣霊ではないので、赤鋒尊を見つける辺りは少し描写は異なるが、沢蕪君の葛藤は同じ。
宋嵐が霜華を背負う仕草の場面、原作で赤鋒尊とおぼしき身体がしきりに刀を抜く仕草をする、という話のオマージュでもあるのかな。物語的にもこの辺りのハズ。
<陳情令用語メモ>
・轢と櫟:櫟陽の漢字変換にいつも難儀してしていた中、ふと、轢く(ひく)と櫟陽常氏(れきよう)の漢字の右側が同じなんだなと気付いたので記してみた。櫟は(くぬぎ)でもある。
WOWOW字幕版放送:2020年5月21日(木)深夜
WOWOW吹替版放送:2022年8月25日(木)深夜
▼吹替版第1~12話まで感想
▼今後のネタばれあります。
外部サイト
▼日本製。痰が切れるとか……。
▼日本製。昔懐かしい飴ということで。