はじめに
今回紹介するのは、「陳情令」最終回第50話で、
山の上で別れた魏無羨と藍忘機が、雲深不知処の滝の上で魏無羨が笛を吹く時まで
魏無羨にどのようなことがあったのか想像して、魏無羨目線で描いた“その間”の物語のプロットである。
これは当ブログを立ちあげて間もない頃に投稿した「陳情令最終回ラストエンディング」記事に続けてアップする予定だったが、柄にもなく物語にできたらなと保留していたものである。
しかし実際にブログをしてみると、予想外に次から次へと嬉しい供給が続き、当初予定のものもまだ更新できずにおり、おまけに小説にするのも私には手に余り、この物語はプロットだけとあいなった。
この話を考えていた時は、陳情令最終回から少し経った頃で、“藍忘機の気持ちはもう十二分に痛いほどわかった。魏無羨が藍忘機を思う物語が読みたい!”となっていた頃だったのでこうなっている。
今はそれもかなり抜けてしまい、二人が一緒にいるだけでいいゎレベルになってしまったのだが。
原作で、呪術に長け弁舌鮮やかな魏無羨が、自分の気持ちにはジタバタしているのが好きなのデス。
日本版エンディングから、原作と私の中の魏嬰と藍湛像で彩った想像(妄想)です。魏嬰視点の二次小説のプロット。
画像を見て、場面を思い出してくださいませ。
🐰#陳情令🐰
— 中国ドラマ『陳情令』公式 (@TheUntamedJP) 2020年6月11日
今夜0:00より第48〜50話を放送します
最終話 #忘羨#肖戦 #シャオ・ジャン#王一博 #ワン・イーボー#魏無羨 #ウェイ・ウーシェン#藍忘機 #ラン・ワンジー pic.twitter.com/xrK7JrttMX
「藍湛、今度会う時まで曲名を考えておけよ」
「もう考えてある」
山上別れから再会までのある物語
山上で藍忘機と別れた直後は、復活後久々の一人旅に気楽なもんだと思っていた魏無羨。夜狩も難なくこなし造作もない。
しかし一人で取る食事は味気ないし、夜は寝つきもよくなく夢見も悪い。元来、口は達者であるのに、話し相手はロバのリンゴちゃんしかいない。
ふとした拍子に、無意識に隣にいると思って「藍湛」と呼びかけたあと、“あ、いないんだ”と思い知ることは数えきれない。
誰にでも愛想良く話しかけられる魏無羨だが、親しくなるのは別の話であり、ましてや知り合ったばかりでは心を許せるはずもない。
次第に夜狩にも張りあいがなくなり、横笛ばかり吹く日々。
天下が家で、酒とロバと天涯放浪するはずが、お酒もなんだか物足りず、飲みたくなるのは天子笑ばかり。
ついに恐れていた犬にも遭遇してしまう。
だんだんに悄々(しおしお)と意気消沈していく魏無羨。
藍思追や温寧に会いたくなるが、自分たちで温氏を弔いたいのかもしれないとも思いを巡らす。
金凌はまだ蘭陵金氏の家の騒動がおさまってなさそうである。
蓮花塢へも行きたいが・・・・・・・・・。
・・・・・・無性に師姉に会いたくなる。
師姉なら、自分では名前の付けられないこの気持ちに対して何と言ってくれるのだろう。
首に縄を付けられるのは嫌なはずだったのに・・・。
糸の切れた風箏(凧)のようで、どうにも心もとなくなっていた頃に
夜狩で形勢不利となっていた修師に出くわし、助太刀する。
するとその修師は「魏先輩!」と嬉しそうに声をあげてくる。
よくよく見ると欧陽子真であった。
力を合わせて邪崇も祓いのける。
久しぶりの再会に一緒に食事をすることになる。
話す内に、父親の欧陽宗主から内々に聞いた話と前置きして、含光君の仙督就任の話を教えてくれる。
驚くと共に、お祝いも兼ねて雲深不知処へ行こうと魏嬰は決意。
付いて行きたそうな欧陽子真と別れ、最初は目的も定まり意気揚々と足取りも軽く歩き始める魏無羨。
いざ雲深不知処へ向かい始めると、藍湛のことが堰を切ったように思い浮かぶ。
どんどんとあふれるように自分の藍湛への思いを自覚し始め、今度は藍湛が自分の事をどう思っているかと悶々と悩みだし、足も止まるが、リンゴちゃんはお構いなしに進んでいく。
ついに雲深不知処の山上に辿り着くが、いま一歩足を踏み出せない。
言うに言われぬ思いを乗せて陳情笛であの曲を吹く。
YouTube 無羈(器楽版)(2:33)
横笛と古琴の合奏は、後半(1:17~)です.
・・・すると、雲深不知処で曲を聞きつけた(姑蘇藍氏ならではの聴力を持つ)藍忘機が飛んできて、魏無羨の背後から歩み寄り
「魏嬰」
と呼びかける。
まさに魏嬰が思い焦がれていた懐かしいその声を聞いた途端、思いがあふれでて振り返り、愛しい姿を瞳に映し相好をくずす。
胸いっぱいとなり言葉もなく見つめあっていると、藍忘機がゆっくりとかみしめるように告げる。
「忘羨」
「啊?」
思わず聞きかえす魏無羨に
藍忘機は
「曲の名は忘羨」【“曲名《忘羨》”】
と重ねて言う。
その言葉に魏嬰は目をみはり藍湛の思いを確信し、藍湛の胸に飛びこむ。
「藍湛! ・・・俺のいるところはお前だ」
あとがきとその後
少し補足&原作「魔道祖師」の解説をば。
まずこの魏無羨は、最終回の山の上で別れた時には、自分の気持ちは自覚していない設定になっています。その辺りは、人によってドラマ「陳情令」で感じ取ってきたものが異なるので、それまでに魏嬰が自分の思いに気付いていた、または結ばれていたと感じた方には、違和感を感じるかもしれません。こればかりは人それぞれなので。
この物語では、魏無羨が気持ちに気付くきっかけになったのが、藍忘機の仙督就任話としています。なので、中国版エンディングでは話は合わなくなります。
どちらのエンディングでも通じるお話の方が良かったのですが、やはり仙督就任は陳情令での大きな改編ポイントですし、日本版エンディングストーリーということでそのままにしています。
初め、魏無羨が仙督話を耳にしたのは、宿屋の噂話にしていたのですが、それも味気ないなぁとキャスティングを考えていると、欧陽子真が思い浮かびハマリ役な気がしてきました。
周囲の言うことではなく、自分で見聞きしたものを信じて魏無羨を慕う欧陽子真、いいですよね。
魏嬰は気持ちに気付きはじめたら、今まで数年分の無自覚の分があっただけに、一気呵成の展開になるのではないのかしらと。
曲名を告げるあたりの台詞は原作第113章から取っています。
【啊?/a】は”呼びかけ・問いに対する応答”なのでその辺りで。
最後の魏嬰のセリフは付けるかどうか悩みました。日本語としてはちょっと不自然な気もするし。
ただ、「藍忘機にとっての魏無羨/枇杷の実」記事でも述べたように、私にとって藍忘機は自分からは気持ちを告げようとしない(飲酒時は除く)像なので、魏無羨がハッキリ言葉で言わないと伝わらないんじゃないかと思い、付けてみました。
その魏嬰の言葉ですが、原作「魔道祖師」の中で好きな言葉のひとつに藍忘機の「我在」(我:私、在:いる)があります。日本語訳では「ここにいる」あたりでしょうか。でも訳にするより中国語の「我在/wǒzài」なんですよ(笑)。
この「我在」を藍湛が口にして、魏嬰がその度に安心する、という場面が好きで、それに対する「対句」返歌というかアンサーというかのようにしたくてこうなりました。
このあと二人はそのまま原作『魔道祖師』のクライマックスに続く。
・・・でも良いのだけれど
陳情令の忘羨ならば
静かに雲深不知処へ二人連れ添っても良き。
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