笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「君花海棠の紅にあらず」とアニメ「天官賜福」、漢詩で「山河令」もはじめました。

君、花海棠の紅にあらず 10,11,12話 感想と京劇/鄒氏にリッツ缶と天喜星

10話「 裏切りのワルツ」

「裏切りのワルツ」という日本語タイトルに、不穏な展開が予想されてちょっと観るのが憂うつだったが、なんと姉君と司令官息子とのロマンスだったとは!!

姉はレコードを聴き、曹貴修と踊った想い出にふけっている。まぁ、よくよく考えるとツッコミどころが多いけれど、とりあえず司令官息子が得体の知れない人ではなかったのに一安心。大人な壁ドンも見られたし。曹司令官からの小切手額は50万。しかし六夫人て、どんだけ……。

ラインダンスのような京劇場面。そして四義弟が連れていた女性・愛玉(汤晶媚)は子供を身ごもっていた、妊娠4ヶ月。子供の父親は別なのかと思っていたら、ホントに笵漣だったらしく、うわぁ~な対応だ。


姉と話す二旦那。二旦那は姉と司令官息子との事も知っている。アルコールランプでコーヒーを入れてるのいいな。結局、二旦那が曽愛玉に高額の慰謝料を払うのは、家族を救いたいという曽愛玉の思いに、姉の姿を思い出して身につまされたのか。姉と弟が揃うと、社交界の華のごとく美しい~。黄暁明は妖艶な年上女性との組合せが、色気があって似合うな。

ブローニングM1910サラエボの銃とな……。そんな不吉な銃も珍重されるのね。銃の早撃ちも凄腕な二旦那、カッコイィ~。「人生で恐れるべきものは奇襲」と話す。孫副官(陈宝国)の頭の上にはケーキが載っている。

ついに水雲楼後援のことが奥方にバレて、観劇に乗りこむ奥方。こちらも姉弟なんだけど、程家の麗し姉弟と好対照で、真面目姉とふがいない弟のやり取りがちょっと面白い。商老板が奥方を観た感想が「凛としていて品がありふさわしい」と好意的なのもよきよき。

十九は奥方をけなしていており、いつも一言多いキャラだな。けれど、ドラマ初めの方で私も奥方を賢夫人設定と思わず、地味だな~と思っていたので、あまり強くも言えない。二旦那はロマンチストで義理堅いから、妻に対して恩義も感じているし、賢い所も気に入っているんだろうな。なんせ美人の中で育っているから、あまり見た目の華やかさだけでは心惹かれないのね。

商老板演じる雛氏は、後ろの幕とあいまってまるで絵画のような美しさ。「想いを抑えられない、今もなお心が騒いでいる好、好。 妖艶に演じる『雛氏』に、鼻の下を伸ばす笵漣くん、寡婦なのにと違和感を感じる奥方。あまり劇を見慣れない人が持ちそうな感想だけに、真実みがあるなぁ。観客に女性がいないのはそういう時代なのか?


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10話の京劇メモ

・レコード:作詞/李叔同の『送別』。原曲はアメリカの民謡『Dreaming of Home and Mother』。日本では唱歌旅愁』。程美心のテーマソング。

・踊る:曹息子くんが不気味に踊っていたのは、『アンナ・カレーニナ』のヴロンスキーとアンナの舞踏会のイメージ?

・小切手:日付は、中華民国21年(1932年)9月17日か。

・ラインダンスのような京劇:『貴妃酔酒』かな? 脇役は、通常四人一組一堂)で、同じ衣裳を着るそうだ。そう見ると両脇に二堂だった。

FNブローニングM1910:ベルギーのFN社が製造、ブローニングが設計した。サラエボ事件セルビアプリンツィプに用いられ、現在はパリ警視庁博物館に収蔵とか。

・頭の上に:ロッシーニのオペラ『ギヨーム・テル/ウィリアム・テル』か。テルは弓の名手で頭の上のリンゴを射る。序曲は日本の運動会でおなじみの曲。

雛氏:『戦宛城』。曹操が、張繍の叔父の未亡人である鄒氏と良い仲になる。張繍曹操を倒し、鄒氏も殺される。
これはやはり……あの人?

女性の観客:本によると、男女で分けて観劇したこともあったが、慈善公演では男女同席となり、北京の第一舞台(1914年設立)では男女自由な席で見られるようになった、とはある。いつからかは不明。

第11話:「侮辱」

商細蕊の若きライバル登場!!

阮玲玉(ロアン・リンユイ)の映画を持ち出し、「上品だが娼婦役がはまっていた」と笵漣も擁護に頑張っている。奥方がリクエストした「潘金蓮をそそのかした王婆さん」は道化役。北平には冬になると凍柿子なんてものもあるんだ。

小来に衣装を着せてもらっている時に、ふくよかになったと指摘される商老板。いかに二旦那に餌付けされているかがうかがえる。商老板は「痩せるには活劇を多くすれば猪八戒孫悟空に」と言い返している。

臘月紅は飯代のお礼にと察察児にアクセサリーを渡そうとする。妹は、義姉から「人には施すもの」、そして臘月紅は、座長から「人に貸しを作るな」と言われそれを引き合いに出す。

商細蕊の事は、わんぱくで聞かん坊と子供扱いの二旦那。祠堂で祖先を祀る商老板。七坊ちゃんは「前世では凌霄宝殿で奉仕していた」と軽口をたたく。

奥方は、侍女が聞き込んだ自分達夫婦の噂「お似合いの夫婦じゃないからー」が、日頃密かに思い悩んでいた事や、商細蕊が従兄の因縁の相手でもあり、おまけに水雲楼の座員が箱入り義妹と会っていたのが重なりおかんむり。とはいえ、夫の関心が商細蕊へ行っている事の嫉妬や夫への引け目という心情を思うと、まぁ敵役(?)としてはそうひどい展開にもならないだろうと見ていられる。

奥方に「玉魁もアヘンで家財を売り18歳を側室に。寧九郎は紫禁城を追われ、斉王府で奴隷も同然」と言われ、他の人なら激怒しているのに、我慢してにっこりと言い返すのみの商老板。


二旦那がのんきにアメリカ産缶入りリッツを携えて来たのを見るやいなや、帳簿と引換えに、リッツ缶はちゃっかりせしめて、ハイ、サヨウナラ。財神認定されているんだな。食神も兼務していそうである。

そんな応対をされても呆れるだけの二旦那。スーツでキメキメなのにリッツ缶をちょこりんと抱えている可愛さよ。そのリッツ缶が文曲星の手元に渡っているのが気になっていたが、座員がいなくなるとすぐさま抱え込みモグモグしており、ちゃんと手渡って一安心。

そうこうしているとライバル陳紉香(檀健次)あらわる。彼も俳優自身の声である。コチラは立場をわかっており、伯父(舅舅/母方)の姜会長の顔も立てつつ、商細蕊にも敵対的でなく対決をいどむ。会長曰く、蘇三役は跪くらしい。行脚に出たのがザクロの花の頃とは5~6月頃か。陳紉香は商老板の『打漁殺家』は新鮮で良かったと評価してもいる。洒落男ではあるがええ子や。

いつもはろくな事をしない姜会長も、若手対決とは、今回は良い事を思いついてくれた。好ましいライバルは大歓迎~。新作の趙飛燕は手のひらの上で踊れたという伝説。楽しみである。

一座の練習風景で十九が「鐘鼓の音、散りゆく朝焼けの色、昭陽殿に春が来る」と言うと、臘月紅は「広がりゆく朝焼けの色」だと言う。

 

ゴージャス姉さんは計算高いが家族思いでもあり、二旦那は商売人だけれど信義はあり、人たらし姉弟。二旦那と奥方は政略結婚としてはかなり相性が良く、二旦那は火遊びもせず浮気性でもなさそうなのだが、奥方は固定観念がある上に、熱烈な恋愛を求めており、またそんな恋もしてこなかっただろうから、その隙をつかれるとザワザワするのかな。

毎回、コミカルな要素を入れてくれるのが魅力です。

11話の京劇メモ

阮玲玉:上海映画界の伝説的な女優。1929年の映画『故都春夢』でスター女優となる。1991年にマギー・チャントニー・レオンで映画化されている。

王婆:『獅子楼』で潘金蓮をそそのかす道化。潘金蓮は『水滸伝』『金瓶梅』に出てくる淫婦で夫を毒殺する。潘金蓮の相手の西門慶もプレイボーイである。西門と聞くと総二郎を思い出してしまった。

凍柿子干し柿ならぬ、完熟した柿をそのまま外で凍らせたものだそう。冷凍みかんみたいなものか。

凌霄宝殿中国道教の最高神玉皇大帝が住む宮殿。

リッツアメリカで1934年に発売されたクラッカー。

柘榴:中国では多産・子孫繁栄の象徴なのだが……。

趙飛燕前漢成帝の皇后。卑賤の身ながら歌と舞が見事であり、姉妹共々美しく寵愛を受け、栄枯盛衰をたどる。昭陽殿は成帝が築いた宮殿で、皇后・趙飛燕と妹・趙昭儀が住んでいた。

いずれも男女関係がかなりもつれている話のようではある。

第12話

我は天喜星なり」と、白衣装な寧九郎(雷汉)が九官鳥に京劇を教えており、いかにも名代の女形という端正なたたずまい。伝説の役者だと思っていたので、実在して出てきたことに驚く。3年商老板に教えていたことがあるらしい。

斉王(張弓)に「象牙の箸で涼粉をつまめば~義母上がいつまでも長生きできますよう」と歌われ、九官鳥はあっさり「義母上」を覚えてしまう。

座員が二月紅に四月、九月、十月って、適当なネーミングだな。大聖(常钺)は宙返りが得意。

妹ちゃんはアンティーク人形やピーターラビットを置いていて、二旦那のお土産を大事にしてる感が可愛い。こんな兄がいたらブラコンになるよね。14歳で家を出たいと思うのは成長だ。妹に奥方対策を伝授しているが、ああいうタイプは裏がバレた時にかえってこじれるのでは……。早速、閉め出されても余裕綽々な二旦那、素敵。

臘月紅は役をGetしたけど、さらし者にされるわ、体を張っている。臘月紅の背中に書かれた、対決日は12月9日。「すなわち風月を見る」と歌う、ヘタれな姜登宝も段々小者ぶりが光ってきた。

甥の陳紉香が『扈三娘』で対抗すると言うと、会長には『閻婆惜』をと言われる。姜会長が陳紉香に秘伝の絶技「仙人歩法」を伝授という下りで、姜会長もちゃんと役者をしていたんだなと初めて気づく。政治方面に強いだけの人かと……。

商老板と七坊ちゃんとのやり取りも熱意が伝わってきてワクワクする。「衛子夫は美しい髪をなびかせればよい」。『小上墳』の足取りを披露。もう彼らと陳紉香だけでいいんじゃないかと思うが、まぁそう簡単にはいかないのも伝統芸能の世界よね。

悩める商細蕊に観音殿で教えのヒントを渡すのが、「義母上いつまでも長生きを」と歌う九官鳥なのが洒落ている。そして「九天玄女救世真教」が渡され、「大金を積んでも買えぬ品を縁ある人に贈る」と。くぅ~~~、粋だ。

趙飛燕をつかもうと屋根の上を歩く商老板。最後まで見届ける小来ちゃん、健気で可愛い。


伝統秘技を師に直接教えられる陳紉香と、新しい秘技を先達のヒントから得る商細蕊という対比が面白い。踊りを会得したのに、二旦那はどう思うだろう?といきなり少女漫画になっている商先生。

12話の京劇メモ

天喜星:『紅鸞禧』『棒打薄情郎』。芝居冒頭に天喜星(結婚・慶事を司る)が登場する。縁を仲立ちし、夫婦は最後に団円となる。紅鸞星は婚姻や美を司る。
寧さまはさすが吉兆だ。

・「義母上」:『双揺会』。『二美奪夫』とも言う。が争う喜劇。劇中で王氏小妾がオウム返しのように同じ台詞を言うことから、斉王は九官鳥にこの台詞を選んだのか?

ピーターラビット:イギリスの有名なうさぎの主人公。作者ビアトリクス・ポターは裕福な家庭の子女で家庭教師に教育を受ける。絵本作家となり、ナショナルトラスト活動を支援した。

臘月(腊月):農暦・旧暦の12月の意味。「腊」は「干し肉」で、干し肉を作るのに適した時節から称されたとか。12月くんの背に12月と書かれたと言う……。

風月を見る:『牡丹亭』四幕「拾画」の柳夢梅の一節。

扈三娘:『扈家荘』。「水滸伝」の物語で、扈三娘は美しい女偉丈夫。

閻婆惜:『閻惜嬌』。夫の宋江は封建的で狡猾な中年男性で、閻婆惜は若い張文遠に惹かれる。『潘金蓮』の成功を受け上演された。宋江が姜会長か?

衛子夫前漢武帝の皇后。張衡の『西京賦』に、衛皇后の髪の美しさと、趙飛燕の身の軽やかさが叙述されている。

小上墳:5話で説明。30分踊り続ける圓場(円形をえがきながら足早に回る歩法)があり、その歩き方で役者の力量が出る演目だそう。

九天玄女救世真教九天玄女は、中国神話の女神で、道教女仙

 

 

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