『慶余年』出演メンバーが多数出演している商人痛快コメディな『贅婿』。主人公は范閑の弟・思轍(郭麒麟)が寧毅に、姉な范若若(宋軼)が蘇檀児にと夫婦になっているのだ。毎回、現代のデキるビジネスマンな記憶を持った、主人公の知恵による解決が面白く、気楽に楽しんでいる。
そして『贅婿』でも出てきました濮園詩会での漢詩!『慶余年』でも出てきていた詩会再び!!
慶余年第27話で范閑は思いきり杜甫を詠んでいたが、こちらは婿殿だけあって、寧毅は演出担当と黒子役に徹しており、漢詩も盗作というよりは引用のような形で用いられていた。
1.侍女が詠む詩
蘇檀児が侍女に詠ませている詩は、3つの詩が組み合わされている。
①燎沉香 消溽暑 燕雀悲歌 露深无人语
ほのかに沈香を焚き、消す溽暑、燕雀の悲歌、露は深く言葉なし
周邦彦(しゅうほうげん)(宋代)《苏幕遮·燎沉香》
燎沉香,消溽暑。鸟雀呼晴,侵晓窥檐语。(略)
②王維(唐代)『鹿柴』
空山不见人,但闻人语响。
返景入深林,复照青苔上。
しんとひそまった山に人影は見えない。ただ人声が響いてくるのが聞こえる。
夕日の投げかける光が林の奥まで射し込み、まだ青い苔のうえを照らし出す。
川合康三「中国名詩選中」2015 岩波書店
『鹿柴』は飼われていた鹿を囲む柵。
③青山晓月无知,不解我心底情愫;清风落花无意,
温庭筠(唐代)『夢江南』
千万恨,恨极在天涯。
山月不知心里事,水风空落眼前花,摇曳碧云斜。
下線部の白話文の翻訳である。
2.侍女に詠ませたもうひとつの詞
梦江寒 恨月残 望断江南离恨天 孤鸿声声断
夢江寒々しく、残月恨めし、別れた人を見送る、孤鸿の物悲しき声
3.いつもなら蘇檀児が詠むであろう詩
北朝民歌『木蘭詩』
阿爷无大儿,木兰无长兄,愿为市鞍马,从此替爷征的嘛吗?
父に息子なく、木蘭に兄なし、市で馬を買い、戦に馳せたい。
ディズニーでもお馴染みの『ムーラン』。木蘭ははたを織っており、父の代わりに徴兵に応じ、男性に扮して軍功をあげるお話。蘇檀児の境遇と似ている。
4.寧毅が舟であらわれ詠んだ詞
これはエンディング曲『水調歌頭』で、この詞は『慶余年』の第28話漢詩ショーでも出てきていたし、第30話では長公主も詠じていた。蘇氏にちなんだのかな? 歌っているのは鄭雲龍でミュージカル俳優。
蘇軾(宋代)《水调歌头·明月几时有》
明月几时有?把酒问青天。
不知天上宫阙,今夕是何年。
我欲乘风归去,又恐琼楼玉宇,高处不胜寒。
起舞弄清影,何似在人间。
转朱阁,低绮户,照无眠。
不应有恨,何事长向别时圆?
人有悲欢离合,月有阴晴圆缺,此事古难全。
但愿人长久,千里共婵娟。
ただ願うことは、人がいつまでも、千里をへだてつつも、美しい月をそれぞれの地で、同時に賞でられるということだけだ。
石川忠久「蘇東坡100選」2001 日本放送出版協会
蘇軾が41歳時に、弟を思って作った中秋の月の詞である。
烏氏の出し物は、井桁に組まれた新体操のリボンみたいなのが楽しい。
われらが寧毅は、スモークを焚いて舟での登場は『オペラ座の怪人』ではないですかっ!おもろすぎる。
飛んで布でトランポリンするのはスゴいな。影絵になっているのも美しい。布店ならではの演出が楽しい、好、好!
水を布にかけると、
纵横名流之门 共享锦绣人生 苏氏布行
名流となりて、輝く人生を楽しむ 蘇氏布店
と文字が浮き出る。
エンターテイメントな詩会であった。
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