笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

宮廷の諍い女第3部漢詩47話~55話/長相思,九張機,代贈二首,白石郎曲,陋室銘,大学

第三部スタート!

46話感想

尼寺で心静かな生活……と思いきや、コチラも生活するのに大変そうだった。果郡王は母心をよく分かっている~。母親のことで苦労したのかな。

この回で一番驚いたのは、侍女の槿汐の年齢が25歳以下だったこと……。官女は25歳で出宮できる、そういえば『瓔珞』でもそうだったね。この時代はプラス10歳くらいと考えればそんなものか。

皇后が祺嬪に首飾りを贈っていた時、安貴人は競争心が強いからひがむのでは……と思ったら、香りに敏感なだけに察知していたね。そっちか……。満族出身の祺嬪でもダメなのね。

47話漢詩

甄嬛が徐太妃と出会い、太妃の穏やかそうな暮らしに、そうそう仏門ってこんな風に暮らすのかと思っていたわな様子。果郡王ママだけあって優しそう。そして阿晋、勝手にフラれてお気の毒……イイ子なのに。長相思と長相守の行方が気になる。

寧古塔の父親からの文を果郡王に届けられ、甄嬛は「家書 万金に抵る」と。
安禄山の軍に占拠された長安で、簪をさすこともないと詠った詩だが、まさに宮廷を追われて焼け野原な甄嬛の心境を詠んでいるような。

杜甫(唐代)『春望』
国破山河在,城春草木深。
感时花溅泪,恨别鸟惊心。
烽火连三月,家书抵万金
白头搔更短,浑欲不胜簪。

48話の漢詩

高熱の甄嬛を前に、果郡王、なんで脱ぎ脱ぎしてるの?雪に寝そべっているのは頭を冷やしているの?と思っていると流れるED《鳳凰于飛》。なーんと甄嬛を抱きかかえて人間アイスノンですと!阿晋、主のことを愚かって思ってるんだww
オモロ過ぎて、シリアスだったEDがそうと聞こえなくなる……。温侍医が恋のライバルと察したのか、果郡王を遠ざけようとしているのも愉しい。

甄嬛が琴、果郡王が笛、果郡王ママが詩を吟じる。

相思の情、心肝を摧く、日々花は色尽きず、煙霧を含む、月は水のごとく明るく、愁いで眠れぬなり、趙瑟の鳳凰柱に、思いが湧き、蜀琴を奏でんと欲す、鴛鴦の弦、情詰まれど、伝える者なし、春風に随い、燕然山に寄せる、君と迢迢たる青天に隔つ、古の情念の眼差し 今涙あふれ、泉となり流れゆく、信じぬなら、帰来し看取せよ、明鏡に映るこの顔を」。

回想でも出てきた第33話で甄嬛が舞い、果郡王が笛を奏でたのは、今回の合奏より前の部分なのである。
前半は「花のように美しいあの人は遠い雲のかなたにいる」とはりさける思いを詠い、
今回の後半は「物思いで眠れず、鳳凰や鴛鴦のようになりたいが隔てられている。あなたを見たわたしの目は、今は涙を流す泉となってしまった」と断腸な思いを綴った詞。

李白〔唐代〕《长相思三首》
长相思,在长安。
络纬秋啼金井阑,微霜凄凄簟色寒。
孤灯不明思欲绝,卷帷望月空长叹。
美人如花隔云端。
上有青冥之长天,下有渌水之波澜。
天长路远魂飞苦,梦魂不到关山难。
长相思,摧心肝

日色欲尽花含烟,月明如素愁不眠。
赵瑟初停凤凰柱,蜀琴欲奏鸳鸯弦。
此曲有意无人传,愿随春风寄燕然。
忆君迢迢隔青天。
昔时横波目,今作流泪泉。
不信妾肠断,归来看取明镜前

美人在时花满堂,美人去后花馀床。
床中绣被卷不寝,至今三载闻余香。
香亦竟不灭,人亦竟不来。
相思黄叶落,白露湿青苔。

49話の漢詩

果郡王が甄嬛に告白。
『代贈二首』「芭蕉 展かず丁香結ぶ、春風に向き各自愁う」。

李商隐《代赠二首》
楼上黄昏欲望休,玉梯横绝月如钩。
芭蕉不展丁香结,同向春风各自愁
东南日出照高楼,楼上离人唱石州。
总把春山扫眉黛,不知供得几多愁?

 

髪を出して下ろすようになった甄嬛。
雨の中、笛を吹く果郡王に甄嬛は
郭茂倩『白石郎曲』「積む石 玉のごとく、並ぶ松 翠のごとし、郎艶 独り立つ 世に二つなし」が、私の中のあなたよと。果郡王の中での甄嬛は「天地で唯一の愛」。甄嬛は「これが夢なら覚めたくないわ」と。

郭茂倩(宋代)『白石郎曲』
白石郎,临江居。
前导江伯后从鱼。
积石如玉,列松如翠
郎艳独绝,世无其二

果郡王は玉蘭を「山に咲いた愛の花だ」と甄嬛に贈る。

陛下の弟が元兄嫁を娶るのを、皆が祝福ムードなのに戸惑うが、大丈夫なのか?


その一方で、人知れない皇太后とロンコドとの幼なじみの愛。それはロンコドが皇后である姉 孝懿仁皇后を支えさせるという野心の顕れでもあったという……。

康煕帝の時代には、温僖貴妃の横行や良妃の台頭、舒妃の寵愛独占などがあったらしい。皇太后は、宮女→貴人→徳妃→皇太后となっていた。

50話の漢詩

親王や慎貝勒と共に、陛下の看病に付き添っている果郡王。

果郡王と歌のやり取り
「九張機」
「ひと織り目、桑採りに春衣着て春の心地に陶酔し、桃花に鶯の声 人を帰そうとせず」
「ふた織り目、人馬の流れは遅延たり 心の深き情を示せずとも 振り向く笑顔が消えゆき 花に知られるを恐れる」
「四織り目、民歌の声に眉をひそめ 杼を通して蓮を織る 盤花 綰ねやすく 愁う心 整い難し 脈々と糸のごとく乱れる」
「五織り目、沈約の詩意を込めて織る 心中を解する者なし 愁恨言わず 憔悴言わず ただ恁くも相思に寄せる」
「七織り目、鴛鴦の織物に思い悩む 裁断され二手に別れ飛ぶかと一場の離恨 再び相隨うに何を計する」

宋代《九张机》
【其二】
一张机,采桑陌上试春衣。风晴日暖慵无力, 桃花枝上,啼莺言语,不肯放人归
两张机,行人立马意迟迟。深心未忍轻分付, 回头一笑,花间归去,只恐被花知
三张机,吴蚕已老燕雏飞。东风宴罢长洲苑, 轻绡催趁,馆娃宫女,要换舞时衣。
四张机,咿哑声里暗颦眉。回梭织朵垂莲子,盘花易绾,愁心难整,脉脉乱如丝
五张机,横纹织就沈郎诗。中心一句无人会, 不言愁恨,不言憔悴,只恁寄相思
六张机,行行都是耍花儿。花间更有双蝴蝶,停梭一晌,闲窗影里,独自看多时。
七张机,鸳鸯织就又迟疑。只恐被人轻裁剪,分飞两处,一场离恨,何计再相随
八张机,回纹知是阿谁诗?织成一片凄凉意,行行读遍,恹恹无语,不忍更寻思。
九张机,双花双叶又双枝。薄情自古多离别,从头到尾,将心萦系,穿过一条丝。


第三皇子 弘時が暗唱しようとしている。
劉禹錫「陋室銘」「山は高きにあらず 仙あらば名あり 水は深きにあらず 龍あらば霊あり ここは陋室にして…」

刘禹锡〔唐代〕《陋室铭》
山不在高,有仙则名。水不在深,有龙则灵。斯是陋室,惟吾德馨。苔痕上阶绿,草色入帘青。谈笑有鸿儒,往来无白丁。可以调素琴,阅金经。无丝竹之乱耳,无案牍之劳形。南阳诸葛庐,西蜀子云亭。孔子云:何陋之有?

甄嬛、温侍医に対してバッサリ。私の幸せを祈るのかって結構言うなぁって思ったけど、ま、しょうがないか。

54話の漢詩

漢の霊帝の王美人も皇后の勢力を恐れ、懐妊を隠し続け、お産まで毎日締めていたとか。王美人は王栄で、何皇后を恐れ堕ろそうとするも、献帝を出産した。

後漢書 紀 皇后紀下》
時王美人任娠,畏后,乃服藥欲除之,而胎安不動,又數夢負日而行。四年,生皇子協,后遂酖殺美人。帝大怒,欲廢后,諸宦官固請得止。董太后自養協,號曰董侯。


第四皇子が暗唱している
大学の道は明徳を明らかにし、民を親たに至善に止まるにあり。…古の明徳を明らかにしようと欲すれば、まずその国を治め

《大学 第一章》
大学之道,在明明德,在亲民,在止于至善
知止而后有定;定而后能静;静而后能安;安而后能虑;虑而后能得。物有本末,事有终始。知所先后,则近道矣。
古之欲明明德于天下者,先治其国

55話感想

甄嬛は漢軍旗下五旗から満軍旗上三旗のニオフル氏・熹妃となり、第四皇子の生母となるべく年齢も増え、突然、史実に寄せて爆誕した!
陛下のお声がかりでなんでもアリなのね。

甄嬛の泣きの場面は胸に迫るなぁ……。果郡王に言う「祈っています、郡王の子孫繁栄と末永い幸を」は成就するのね。

悲恋を乗り越えて再び皇宮へと戻るが、やはり『宮廷の諍い女』は後宮でこそ輝く。化粧も一段と濃くなって、もはや悪役と言ってもいい位だけれど、いよいよか~とワクワクする思いもあるね。

 

 

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