故宮博物院の宝物や京劇も出てきた!
瓔珞16話メモ
- 側福晋:清代親王や郡王の側室。
- 鑵黄旗(じょうこうき):八旗の最高位。順治帝時代での序列は、鑲黄旗、正黄旗、正白旗、正紅旗、鑲白旗、鑲紅旗、正藍旗、鑲藍旗。黄旗に紅色の縁取り(镶)。爱新觉罗氏、富察氏、叶赫那拉氏など。
- 『快雪時晴帖』:王羲之の書。台湾の故宮博物館に所蔵されている。山陰の張侯は宛名。
- 『中秋帖』:東晋の王献之の書。
- 『伯遠帖』:東晋の王珣の書。二帖も流出したが現在は北京の故宮博物院に所蔵されている。
- 相思相愛の美女二人が同じ夫に嫁ぐ物語:崑曲 李魚『怜香伴』。別名『美人香』。1651年に清代の戯曲作家 李魚が書いた伝奇集『笠翁十種曲』の一篇。
果たして麝香か蘭の油膏の香りか。簾を隔てればまるで梅花の香り。今生は姉妹となれど、来世では兄弟になるのはいかが。いけませぬ、私はすでに范郎に嫁いだ身、あなたも范郎に嫁げば我らは姉妹になれる。上下分かつことなく終始掛け合い、一時も離れず夫婦よりも親密に。
- 万寿節:天子の誕生日の祝日。乾隆帝の誕生日は1711年9月25日なので、二ヶ月後となると劇中は7月下旬頃。満30歳。
みるみる堕ちていく答応金氏、赤い服は京劇の罪人な色なのかな。珍妃が北三所に入れられた時、立ち入りは太監のみというのを見かけたような。
嫻妃が怡親王のことを尋ねると、金氏は急変してあなたのせいと言い返す。そして手を下し復讐を誓う嫻妃。影で示す演出が効いている。
皇后からの寛容の字の罰を忍耐にすり替える瓔珞。前段の嫻妃とも重なる場面。
明玉の衣裳が濃紺色になっている。高貴妃はもはや高喜妃な位にコメディパート。邪推がちっとも当たらんポンコツさが良い。そして瓔珞の必死なフォローを、誘惑とのたまう乾隆帝。傅恒と思考回路が同じね……。純妃がほどこしていたのは鍼灸だった。皇后の百合疑惑もなんだか雅やか。
瓔珞17話メモ
- 藩主、貝勒、貝子、四品:皇室爵位には12等級あり、親王・郡王・貝勒、貝子、公……の順となっている。
- 希生の三珍宝にちなんで、養心殿西側南面書斎を三希堂と名付けた。
- バウルサク:海生包尔斯克。モンゴル族の北疆(ジュンガリア)における家庭の主食。小麦粉に水は加えず奶、酥油、奶皮子と塩を混ぜてこね、丸く伸ばして焼く。甘くないホットケーキのようなものか。ネットで見るバウルサクは揚げパン。
- 高貴妃が観賞~あでやかな姿を想い星には鮮やかな衣装を想う:崑曲『長生殿 驚変/謀反に驚く』の楊貴妃と唐明皇。楊貴妃の泣顔回の部分。
- 高貴妃が言う~かぼそき腰は支え難し:同上、楊貴妃の台詞。上記の部分よりは後に出てくる。愉貴人が食べていたお菓子のことか?
- 金瞳:金色の瞳孔。不吉とされた。皇族血統の不正が疑われる。
- 高貴妃:四人姉妹で父に前妻もいたのは史実通りだが、馬氏は生母。1741年に父は直隷吏総督に任命されたが、この頃は大臣ではない。
乾隆帝は朝議を怠けたくなると、皇后と甘々~。高貴妃は京劇好きなのね、西太后と同じ部屋だからかしら。愉貴人の第五皇子を巡り瓔珞と高貴妃の心理戦での戦い。
瓔珞18話メモ
第五皇子は葉天士(易勇)により黄疸の診断を受け、母親の胆汁による病理性だった。蒙古の妊婦はおやきを好み、四川の妊婦は辛い物を好む、というのがお国柄が感じられ面白い。この第五皇子・永琪がとても可愛い赤ちゃんなのも配役なのね。愉貴人は愉嬪に昇格~。
高斌(苏茂)は治水工事に取りかかろうとしている。宿遷(江蘇省)から清河(河北省)の区間、瓜州の河は河道を造り淮河からの流入量を減らす。永定河は下流の三角州付近に海へ続く河道を造り、取水口は鄭家楼、排水口は老河頭(河北省)。直隷吏総督に任ぜられる。元は六品の内務府郎中から一品の大臣に登り詰めた。
純妃の告発で高貴妃は禁足となる。前回の驚変はこの事にかかっていたか。紫禁城で育つ子は皆権力闘争にまきこまれ犠牲はつきものと言う純妃に、同意できないと言い返す瓔珞。純妃のブラックな面が出てきたと思ったら、ここへ来て高斌は案外、忠臣で、高貴妃のホワイトな一面もかいま見えた。継母・馬氏への憎しみと、墓や祠堂にも入れてもらえなかった亡き母への思慕と。そして高貴妃もまた、嫻妃と同じに父の言葉通りに後宮で生きようとしていた。
歌や舞いが好きな寧聲が酔って唱っていたのは、京劇『貴妃酔酒』の人生在世如春梦~。愛する玄宗皇帝が清楚可憐な梅妃のところへ行ってしまい、楊貴妃はヤケ酒を飲んで酔っている場面。高貴妃が楊貴妃を舞うという妙……。
口に酒杯を含む【衔杯】のは飲酒を示し、えび反りは【下腰】で、これらを【衔杯下腰】と言うらしい。妖艶な見せ場。
しかし皇上、チョロぃぞ。そんなもんだろうけど。
瓔珞19話メモ
- 硫黄膏:解毒、殺虫、殺菌、痒み止め作用がある。
- 蘆薈(ろかい):アロエ。
- 憂慮による血痰は怒りで除かれる:五行で怒り(木・肝)は憂慮(土・脾)を抑える。
- 黄連:薬用植物。味は苦く、湿熱を取り(清熱燥湿)、熱症状を取る(潟火解毒)。
李玉に笑った後に、清々しい傅恒。瓔珞と見つめ合ってる~。
皇上の入浴シーンがあったかと思えば、瓔珞がお背に手を触れている。ニエ朕の表情芸が楽しい。
親切にも倍の見返りを求めるという瓔珞に、皇后が求めるのは「陛下のご無事と健康」と微笑み、慈愛が伝わる良き場面。母のようだな。
治療と称して挑発する瓔珞。悪口は言われた方には本心かどうか伝わるもんね……。そして「次は誰をお慰めするので?」の後に「繍坊の女官?」と、瓔珞は自分で言っていたのね。2022.6.15追記
葉天士の笑顔に見覚えがあるのに思いだせなかったけど、君花海棠の梨園協会な鈕さんだ!前回から気になってたのがわかりスッキリ~。
瓔珞20話メモ
- 木通:アケビ科。水分を排泄しむくみに効く。
- 龍胆草:リンドウ。味は苦く、湿熱を取り、肝によってもたらされた熱を冷ます(潟肝胆火)。
- 苦参:クララ。根は噛むとめまいを起こすほど苦いとか。湿熱を取り、殺虫、利尿作用がある。
- 眠れる瓔珞の場面~皇宮の壁の柳 玉の簪をつけ 桃色の柔らかな手~:挿入歌『宮牆柳』。6話で舒貴人が唱っていた。
宫墙柳 玉搔头 纤纤红酥手 寂寞酒 锁春愁 往事难开口 挥挥衣袖带不走 相思那堪忧 一觉黄粱梦醒后 闲话到白头 闲话到白头。
- 南宋 劉松年『四景山水画』:故宮博物館蔵。
- バイオリンをトマスの指導で制作:トマス・ペレイラ。イエズス会修道士のポルトガル人。康熙帝に西洋音楽を教えた。
ここで流れたのはパッヘルベルの『カノン』。楽器編隊も面白い取り合せ。なぜにこの曲かと探ってみたら、ロバート・レッドフォード監督の映画『普通の人々』でも使われていた。皇帝ファミリーはフツウじゃないけど、どちらも母(皇后)が愛する長男を亡くして囚われているのだ。高貴妃の贈り物なので、高貴妃も亡き人(母)に囚われている……なのかな? 私見です。
- 舒妃の献上品:瑠璃仏塔。仏塔の中には唐の高僧の仏舎利があり、佛之蓮と呼ばれ光を帯びている珍宝。泰山の寺で見つけた。
- 万字錦地団寿紋灯:万字錦地紋は中国漢族伝統装飾図案の一。紗彩形に似ているような? 団寿紋は「寿」が図案化され、字形が円いもの。
- 傅恒が瓔珞に言う~夜の皇宮でかくれんぼ~:明の皇帝が隧道に隠れたが、帯びた香り袋のせいですぐ見つかった。
このトンネルは乾清門から乾清宮に通じる石畳の道「閣道」の下を、東西に走り長さは10m、太監や宮女が通る。通称「老虎洞」。
明 秦兰徵『天启宫词』
石梁深处夜迷藏,雾露溟累护月光。
捉得御衣旋放手,名花飞出袖中香。 - 東次間:正殿には、正屋、東次間、西次間、東梢間、西梢間などがある。
- 舒妃:葉赫那拉氏出身とあり、満州族の氏族のひとつで名門。曾祖父は康煕帝の権臣・納蘭明珠、だから舒妃は得々と康煕帝について語っていたのか。1728年生まれで、史実でも1941年に入宮し貴人を賜わった。瓔珞より1歳下。葉赫那拉氏はのちに西太后を輩出した。
苦い薬を瓔珞に飲ませて地味に復讐する明君な朕。瓔珞を看病してるのは誰かと思いきや傅恒!大胆ね。目隠して返す瓔珞、ラブラブ~。
落花生での発疹だったのか~。女官の噂話を皇上が聞きこみ、お付き達もしゃがみこむ姿が笑える。今度は舒妃納蘭と高貴妃が組んだか、すぐ足が付きそうなコンビ……。
高貴妃の贈り物は祖父の康熙帝の西洋音楽。舒妃はやり手で実家が太いのね。長生智慧仏、鶴鹿仙齢碧花瓶、万字錦地団寿紋灯なども贈られている。
張女官も頼りになる相談役。瓔珞にも母代りな皇后の教えがしみ入っている様子。
花火を皇后と観賞する皇上。嫻妃が弟を思い出しているのがコワイ。そろそろ明玉はナゼにここまで威張っているのか不思議になってきた。
瓔珞と傅恒も花火デート。傅恒の様子に、さっさと瓔珞との結婚を姉(皇后)に申し出てハッピーエンドでいいのではないかという気持ちになる……。でもそうなると身分的に側室止まりになるか。
外部サイト
▼瓔珞15話~28話まで収録