瓔珞31話メモ
- 地安門で被災民の救済:北に位置する門で、皇城後門。
- 嫻妃が言う~米1斗は恩、米1担は仇:成語【升米恩,斗米仇】。少ない援助は感激するが、多すぎると依頼心が増し、止めると恨みを買うこと。
- 嫻妃が言う~英雄出自を問わず。【英雄莫问出处,富贵当思原由】。富貴は由来を考えるべきと説く。
明 楊基『感杯』
邓禹南阳来,仗策归光武.孔明卧隆中,不即事先主。
英雄各有见,何必问出处.孙曹与更始,未可同日语。
向非昭烈贤,三顾犹未许.君子当识时,守身如处女。 - 承乾門へ密告:承乾宮の門、すなわち嫻妃の住まい。
- 劉統勛は避難所建設監督で頑固者:乾隆帝の股肱の臣。7話で張廷玉を弾劾した人。史実では1741年都察院左都御史に任命され、大学士 張廷玉と尚書 訥親について上奏しふたりは罷免され、劉統勛は名を挙げた。ドラマでの訥親は7話で審議する側の人名として出ている。
咳をしている瓔珞は一日お休み。傅恒から劉女官へのワイロが効いている。ここへ来て嫻妃の株は爆上がり。皇上は弟の弘昼をかっていたのね。兄弟三人しかいないもんね。
被災民の騒ぎが起こる様子を静かに見ている袁春望のキックが冴えわたる。和親王も到着。嫻妃と袁春望の采配が光り、袁春望も辛者庫管事に。10話を思うと因縁深いこのふたり。
皇上は縁談の命をくだしている。雨に濡れた瓔珞に心奪われたからかしら。傅恒と爾晴の縁談を知る純妃。
皇上は嫻妃にミカンまで剥いてあげている。密告を知りつつ嫻妃もワルよのう。
瓔珞32話メモ
- 嫻妃が言う
唐 李白『秋浦歌十七首 其十四』
秋浦は銀と銅の産地。安禄山が反乱を起こし、宮殿を攻めたことを詠っているとか。
炉火照天地,红星乱紫烟。
赧郎明月夜,歌曲动寒川。 - 万紫千紅:打樹花や打鉄花と呼ばれる中国無形文化遺産。溶けた鉄を空中や壁に打ちつけてその火花を楽しむもの。一度見てみたいなあ。
- 索倫侍衛:海蘭察の呼び名。索倫族(ソロン)出身はこのように呼ばれた。
- 高貴妃が言う~人の将に死なんとするその言や善し
『論語 第八 秦伯 第四』
やっぱり高貴妃は鳥なんだな。
曾子有疾,孟敬子问之。曾子言曰:“鸟之将死,其鸣也哀;人之将死,其言也善。
曾先生が重病となられた。孟敬殿が見舞いに来られた。曾先生がこうおっしゃられた。「鳥が死を迎えるとき、その絶命の鳴き声はまことに哀しい。人とて同じで、臨終のことばには心がこもっています」
加地伸行「論語」2009 講談社 - 無念やこの梨の木で楊玉環は果てるなり:京劇『長生殿 埋玉』の場面。
- 高貴妃を昇格させる時の言葉:慧賢皇貴妃がモデルか。そのためドラマ内の高貴妃とは正反対な表現に……。
『晋皇贵妃 冊文』
贵妃诞生望族。佐治后宫。孝敬性成。温恭素著。著晋封皇贵妃。
牡丹落ちるの回、高貴妃の見せ場。
舞台プロデューサーの才がある高貴妃。儲秀宮宮訓図の「创新」を思い出す。万紫千紅もあの親子がなければキレイな場面なのだが。そして嫻妃が身を挺して皇上を救った! 咸福宮の『婕妤當熊図』を思わせるような展開。
嫻妃が高貴妃に水をあげているのが怖い図、高貴妃は国色天香な牡丹か。李白が楊貴妃を牡丹にたとえているので、高貴妃は楊貴妃なのね。
意外と忠義モノな芝蘭。自分の美しい姿を留めてほしい女心に、赤く染まる衣。愚鈍を装い駒だったと話す。まぁ確かに愚鈍な策略ばかり巡らせてはいたが、高貴妃が皇上を好きな様子と、最後に母の葬儀を頼む姿にウルッとしてしまう。高垣(郑晓东)登場。皇貴妃に昇格~。嫻妃の残り一つの灯火が怖い。
嫻妃も瓔珞も同じ復讐なのだけれど、どこか違うように感じるのは、嫻妃のやり口が直接的で陰湿だからなのか?
同日に『君花海棠の紅にあらず』5話の再放送があったので、日に二回、楊貴妃の最後を見るという~。
瓔珞33話メモ
- 義兄弟の儀式:焼香をし、互いの誕生日や金蘭帖を交わす。親友の生年月日や住所を記した帳簿。
- 婚礼の儀式:天地に拝み、庚帖も交換する。双方の生年月日を干支で記したもの。
- 高皇貴妃冊文~和を重んじ善良にして慈悲深く~
実際にこう発布されているのだけれど、ドラマだと誰のことよ?な公式文章。『皇貴妃高氏薨,加封慧賢皇貴妃』
尔皇贵妃高氏,世阀钟祥,坤闺翊政,服习允谐于图史,徽柔早着于宫廷。职佐盘匜,诚孝之思倍挚,荣分翚翟,肃雝之教尤彰。已晋崇阶,方颁瑞物。芝检徒增其位号,椒涂遂失其仪型。兹以册宝,谥曰慧贤皇贵妃。 - 敦粛皇貴妃:雍正帝が寵愛した年貴妃。福慧の生母。剥奪された年羹尧は兄。史実でも年貴妃が亡くなり、皇貴妃と遇され、一族の年羹尧は大罪を犯したとされた。年貴妃って『宮廷の諍い女』の華妃だ!「年貴妃が死んだ夜、棺の前で声を殺して泣いていた」ではないけれど、「寵を与えてもよいが愛してはならぬ」はそうかも。2024.5.9追記
- 皇太后が言う
杜秋娘『金縷衣』
劝君莫惜金缕衣,劝君须惜少年时。
有花堪折直须折,莫待无花空折枝。
花開き折るに堪えなばただちに折れ
花なきを待ち空しく枝を折るなかれ - 嫻貴妃は生来温厚にして善良~:ドラマでは以前はそうだったのだけれど……。
『乾隆帝晋封娴妃那拉氏为娴贵妃册文』
咨尔娴妃那拉氏。性生婉顺。质赋柔嘉秉德罔愆。 - 琥珀玉顔膏:琥珀、朱砂、白獺の脊髄。孫和が鄧夫人を傷つけてしまい、白獺髄と玉と琥珀を混ぜたものを塗ったところ、傷が治り美しくなったという逸話。
後秦 王嘉『拾遺記 卷八』
孙和悦邓夫人,常置膝上。和于月下舞水精如意,误伤夫人颊,血流污袴,娇姹弥苦。自舐其疮,命太医合药。医曰:‘得白獭髓,杂玉与琥珀屑,当灭此痕。’即购致百金,能得白獭髓者,厚赏之。”“和乃命合此膏,琥珀太多……更益其妍。 - 春和:富察傅恒の字(あざな)。
- 外河同知の陳克浚と海防同知の王徳宣は3万両ずつ着服した。史実では乾隆18年(1753年)の出来事か。
- 高麗鶯:黄鹂、画眉とあった。画眉はホオジロ。
- 瓔珞が暗唱した乾隆帝の詩。ドラマでは梅は皇后なので、これを取りあげたのね。
『冬至斎居偶閲旧稿志懐』
静听迢迢宫漏长,斋居暂屏万机忙。
那无诗句娱清景,恰有梅梢送冷香。
案积陈编闲检点,志期旧学重商量。
灰飞子夜调元律,又喜天心复一阳。
静かに響く宮漏の音、ひたすら政にいそしむ
詩句なき清麗な景色、梅の香かほのかに漂う - 呉中での民謡:雍正帝の厳しい統治の後、乾隆帝が即位し寛容を旨としたため、江南で流行ったとか。
乾隆宝,增寿考;乾隆钱,万万年。
寿命を延ばす乾隆通宝、万年使える乾隆銅銭。 - 戸部庫銀:即位年3395万両→翌年3438万両→今年3317万両。
- 丙寅の年は全国の年貢を免除。康煕49年に免除:丙寅は乾隆11年(1746年)である。
瓔珞が兄さんと呼ぶとウキウキしている袁春望。エリートな傅恒が思いを寄せる女性だから張り合っているのかなぁと思わないでもないのだけれど。瓔珞が長春宮に忍び込むとそこには傅恒が。明玉がすっかり海蘭察的存在になっている。
皇太后の、高貴妃は天で恥じているでしょうには、キーッと地団駄踏んでると思いますとツッコむところ。嫻妃は嫻貴妃に昇格~~。
純妃の雲肩が黒い羽根っぽいのは、闇落ちな黒鳥さんなのかしら、侍女玉壺(程茉)すらその思いに気付いていない?
皇上は話せる者がいないと眠れる皇后に語りかける。皇帝の身近にいた乳母の子・婉児は殺された、皇帝は妃嬪に寵を与えてもよいが愛してはならないと。この“目隠しだ~れだ”は、瓔珞が傅恒にもしていたな。
瓔珞は皇上を「いけ好かない/讨厌鬼」言うし、隙をついて逃げるしで大笑い。奴婢な立場で皇上に物言う瓔珞は楽しいな。「天に顔向け/无愧干天」が気に入った様子の乾隆帝。
瓔珞34話メモ
- 永珹の書いた書:時が移り変わり、滕王の盛りをしのぶ詩。
唐 王勃『滕王閣詩』
滕王高阁临江渚,佩玉鸣鸾罢歌舞。
画栋朝飞南浦云,珠帘暮卷西山雨。
闲云潭影日悠悠,物换星移几度秋。
阁中帝子今何在?槛外长江空自流。 - 八叔父:康煕帝第八子は胤禩。雍正帝の政敵で、雍正帝が即位すると爵位を剥奪され、1726年に死去とある。
皇上が感涙にむせぶ顔が見たいに、瓔珞の顔を想像して見る前から笑ってしまう……と思ってたらまさかの密会を「皇上は見た!」だった。爾晴やるわね。
傅恒もここで折れたか。匂い袋を今さら返されても困るから捨てるは、瓔珞の傅恒への想いか。
袁春望は瓔珞の失恋に塩塗り対応、瓔珞は感情の起伏が激しいと真心をささげてはいけないと諭す。そこからの、袁春望がまさかの雍正帝の落とし胤?? 乾隆帝の兄弟がここに!? 福慧の奴婢にと八叔父が送り込んだと。それは気位が高いワケだ。31話で嫻妃が言っていた「英雄出自を問わず」は、この反対だったのね。金光瑶@陳情令の扱いの方がマシに思えてくる。
高貴妃が亡くなり高皇貴妃となって高斌が爵位を剥奪されるのは、雍正帝の年貴妃たちと同じ流れな上に、袁春望の因縁の福慧はその年妃の息子。
瓔珞35話メモ
- 銀耳:白きくらげ。
- 宝親王府:1733年に弘暦は和碩宝親王に封じられ、乾西ニ所(→楽善堂→重華宮と名は変る)に住む。史実では純妃は宝親王になる前に嫁いでいるので設定は変えられているよう。
- 純妃が言う~君が心の我に同じなれば:「山河令」18話-5で解説。純妃は川上に住んでいる……と。
北宋 李之儀『卜算子 我住長江頭』
只愿君心似我心,定不负相思意。 - 焼炕処は惜薪司に属する:宮殿の暖房。
春望もまた瓔珞を守ると誓っているが?
純妃が置いておいた房を傅恒が受け取ったと勘違いしていたのか、しかも侍女が文を握り潰していたとは。
玉壺の言う「夢からお目覚めを」は、蘭=純妃と描写されていることもあり、景仁宮の『燕姞夢蘭図 』を思い出す。あの逸話は夢が現実になったのだが……。
そしてまた皇后も目覚め、傅恒と瓔珞たちを案じている。そして皇上に私情と切り込み鋭すぎる皇后。まぁ、元々宮女は皇帝のものですから……。
明玉と海蘭察は癒し。高い所に登る二人……大丈夫かな。海蘭察は戦功を立てると志を語る。
いつの間にか逃げた事にされ消されている錦繍や、純妃の髪を漉く嫻妃が怖いわ~。
▼京劇『長生殿』楊貴妃の最期
▼『卜算子』について
▼李之儀の漢詩
外部サイト
▼瓔珞29話~42話収録