笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「君花海棠の紅にあらず」とアニメ「天官賜福」、漢詩で「山河令」もはじめました。

漢詩と吊り橋 山河令17話,18話感想/李之儀 卜算子,鼠虎

物語もちょうど半分となり、山河令登山もこれからが正念場。この吊り橋はスリリング。

17話 最も憎い敵

1.柳千巧が顧湘に言う

目の前に危険が迫ってる
火燒眉毛 且顧眼下

李汝珍『鏡花縁 第三十五回

但因要救舅兄,不得已做了一個火燒眉毛且顧眼前之計。

長編伝奇小説。地上に落とされた百花仙子が海外なども巡る物語。男女平等論もうかがえるとか。女性が活躍する物語を、艶鬼たちが言っているのが良いな。

 

2.温客行が、弟子育成に厳しい周子舒に言う

急がば回れだ。
拔苗助長 是禍非福

孟子 公孫丑上

天下之不助苗長者寡矣。以為無益而舍之者,不耘苗者也;助之長者,揠苗者也。非徒無益,而又害之。

成語。成長を早めようとすることが役に立たないばかりか、かえって損害をもたらすことがある。

 

3.無常鬼が趙敬に言う

趙殿の策略は全くお見事ですね
趙兄这次真是運籌帷幄呀

史記 高祖本紀

運籌帷幄之中,決勝千里之外,吾不如子房。

そもそも軍の陣幕の中ではかりごとを巡らし、千里離れた所で勝つ、子房(張良)には及ばない。

張良は、劉邦(高祖)の名軍師。

 

4.葉白衣がなぜ蜀へ向かうか周子舒に聞かれて言う

火付け役以外に
除了始作俑者

孟子 梁恵王上

仲尼曰:‘始作俑者,其无后乎。’为其象人而用之也。

孔子が「墓場に埋める人形を発明した人は、子孫が絶えるにちがいない」と申されています。それは人間の形に似たものを作って墓場に埋めるのをいやがられたからです。
貝塚茂樹孟子」2006 中央公論新社

成語。悪しきならわしを作った人の意。

 

5.五湖盟の集まりで、漕幇が死体に文字が刻まれたと報告している

我1人を殺さば一族皆殺し 青崖山の鬼は恨みを忘れぬ
殺我一人 滅汝満門 青崖山鬼 睚眥必報十六个字

史記 巻六十九 范雎蔡沢列伝 第十九

一飯之德必償,睚眥之怨必報

一ぱいの飯の恩義にもきっと償いをし、にらみつけただけの怨恨にも必ず報いるのである。
水沢利忠「史記9 列伝2」1993 明治書院

四字熟語。范雎(はんしょ)が宰相となってからむくいたこと。范雎と蔡沢(さいたく)は、秦に入国して初めて認められ、持てる力を発揮できたとある。

 

6.趙敬が連れ立って言う

絵は骨まで描けぬ 顔を見ても心までは見えぬ
画龍画虎難画骨 知人知面不知心

施耐庵水滸伝 第四五回

杨雄听了,心中火起,便骂道:‘画龙画虎难画骨,知人知面不知心。这廝倒来我面前,又说海闍黎许多事,说得个没巴鼻。眼见得那廝慌了,便先来说破,使个见识。

人の心は測りがたいの意。

 

7.趙敬が蝎王に言う

我は鴻鵠のごとく 志は天地にあり
趙某已経鵬程万里 俯瞰武林

荘子 逍遥遊

鵬之徙於南冥也,水擊三千里,搏扶搖而上者九萬里。去以六月息者也。

鵬が南方大海へおもむく時、水を撃つと三千里、巡りあがること九万里。六月の風に乗って行く。

四字熟語。鵬(おおとり)の飛んでいく道のり、遠い道程。

 

8.温客行が葉白衣に言う

高名な弟子もいないくせに
震古爍今的大高手啊

民国通俗演義 第一二六回

吴帅无论怎样威望,怎比得上老帅的勋高望重,震古烁今

成語。事業や功績がこの上なく偉大であること。
『民国通俗演義』は、祭東藩『中国歴史通俗演義』の民国時代の部分で、許廑父が記した。

 

9.周子序が温客行に言う

いつ俺がくたばるか知れないから
随時都会嗚呼哀哉

春秋左氏伝 哀公 十六年
呜呼哀哉,尼父!無自律!”

成語。哀公十六年に孔子が亡くなった。尼父は孔子をさす。

 

17話感想

目が覚めた曹蔚寧と顧湘。夢とは言っているが、三途の川まで行ったのかな……。夢の中でも顧湘を案じるどこまでも善人・曹蔚寧。どうやら華山派の別邸にいるようだ。顧湘は珍しく薄桃色、柳千巧は水色の衣裳を着ているので、雰囲気が違って見える。こうやって並んでいると柳千巧と于丘烽はお似合いではあるんだが、顧湘にずるそうと言われていたしなぁ。なにか飛んでいたのも気になる。


馬に乗るふたりと、流雲九宮歩の修行にはげむ張成嶺と、馬車に乗る葉白衣先輩の三世代家族。張成嶺は泣言が多く、思いのほか周子舒師匠は厳しく、なだめる温客行が母親のよう……と思っていたら、周子舒に「いびられた嫁のよう」と評されていた……。


趙敬と蝎王の前に居並ぶ無常鬼、急色鬼、開心鬼。寝返ったな。吊死鬼の行方を捜しているようだ。鬼たちの望みは俗世に戻ること。そして神医谷の秘術を欲している。いまひとつ鬼になる条件がわからないが、谷主は三千の悪鬼たちに地位を狙われるそうだ。


張成嶺は「有鳳来儀」を練習するよう言われている。食事場面で、若閣主・龍孝を連れていることをようやく思い出す。龍雀と秦懐章は親友で、容炫を紹介したのも秦懐章、四季山荘のからくりも龍淵閣製らしい。一行は龍淵閣のある蜀に向かっている。


早速、趙敬が五湖盟の主導を握るが、巨鯨幇紫浪塢はいない。その場では恩情をしめす玄徳な趙敬。高崇の死体を狙った者たちー崆峒の長老鷹爪門の孫仲は殺され、鉄掌幇の16名の弟子は死体の胸に文字を刻まれたようだ。

巨鯨幇。そこへ趙敬が毒蝎ご一行を従えて乗り込んでくる。この時の趙敬の衣裳が外は金で、中が濃紺なのが目を惹いた。

趙敬の爪の手入れをしているのはまた蝎王かと思いきや、謝無恙(唐书亚)だった。しばらく誰かわからなかったが、岳陽楼で張成嶺をいびっていた奴か!白い衣裳で張敬の前だと違って見えるぞ。 于丘烽が喜喪鬼と組んだこともバレている。彼も義子のようだが、蝎王はそのことを知らない様子。趙敬のために内装や調度品を熱心に手がけたのに、趙敬はそれは仮の姿と濃紺な衣裳になり、江湖を取りに行っている。


張成嶺が広告のナッツを食べている。温客行に「名高い弟子もいないくせに」と言われ、暗い表情を見せる葉白衣。ふたりが並んでいると、嫁・姑に見えてくる……。修行にヨロヨロと励む張成嶺。体力がないのかと思っていたら、逆で経脈が広くて「頭は悪いが筋骨は極上」という奇才であったようだ。意外だヮ。

飲酒対決で酔った温客行に白髪を指摘され、慌てて髪を見る葉白衣センパイがカワイイ。葉白衣に「なぜ生き急ぐ」と言われ、周子舒は「私の道は2つだけ。まっとうな生か、悔いのない死か」と答える。葉白衣は長青という名をつぶやく。

忘塵客棧。周子舒が部屋に入り、「温客行がさあ飲もう」と言い、<周子舒がその手を押えた~「何を見てる」と言うまで>ふたり見つめ合っていたところがスペシャル版とか。

酔っぱらう温客行を寝かせ付ける周子舒。「俺は賭けたんだ。お前はいつか心を開き本心を見せてくれる。勝負がつくまで天命が下っても俺は離れない」と言って出て行くと、温客行は「本心を見せたら友と思ってもらえなくなる」と乙女のよう。
なんだか今回は凜々しい周子舒である。

 

18話 無限の暗闇

1.若閣主・龍孝が言う

悪人ほど栄華を極め 善人ほど悲惨な死を遂げる
殺人放火金腰帯 修橋補路無屍骸

俗語。殺人放火の反対が、橋や道路の補修というのが面白い。

 

2.若閣主・龍孝がつづいて言う

虎穴に入らずんば 虎児を得ず
不入虎穴 不得虎子

南朝范曄『後漢書 巻47 班梁列伝 第三十七 班超

不入虎穴,不得虎子。当今之计,独有因夜以火攻虏,使彼不知我多少,必大震怖,可殄尽也。’”

虎穴に入らずんば虎子を得ず。当今の計(はかりごと)、独り夜に因って火を以て虜を攻むること有るのみ。彼をして我の多少を知らざらしむれば、必ず大いに震え怖れ、ほろぼし尽くす可きなり。
吉川忠夫「後漢書 第6冊 列伝四」2003 岩波書店

虎口(絶体絶命の危機)をみずから体験しなければ、成功することはできないことのたとえ。

 

3.葉白衣が張成嶺に言う

災いは千年はびこる
禍害遺千年

【好人不長命,禍害遺千年/ 善人は長生きせず…】という風刺語。フォローしているような、けなしてもいるような……。

 

4.温客行が龍孝に言う

私はまな板の鯉
君為刀俎 我為魚肉

史記 巻七 項羽本紀

樊哙曰:大行不顾细谨,大礼不辞小让。如今人方为刀俎我为鱼肉,何辞为!

噲が沛公に「大行は細謹を顧みず、大礼は小譲を辞せず」とか申します。いま相手(項羽側)は刀や俎でわれら(沛公)を魚肉にして食べようというのです。なんの挨拶などいりましょう」と言い、ついに去った。
小竹文夫,小竹武夫「史記1 本紀」1995 ちくま学芸文庫

成語。まな板の上の鯉。鴻門の会から沛公が逃げ出す場面でのこと。

 

5.周子舒が言い、温客行が言う

君を共に得て 今生を枉(ま)げず 君の心幸いにして我が心に似る
得君為友 不枉此生 幸得君心似我心

鄒韜奮文集

这样做虽然艰难,但也不枉此生

出典というよりは用例と思われる。鄒韜奮は中華民国の教育者・ジャーナリストで政策を強く批判していた。【不枉】には「曲げない」と「むだにしない」という意味があるようだ。

北宋 李之儀『卜算子

我住长江头 君住长江尾
日日思君不见君 共饮长江水
此水几时休 此恨何时已
只愿君心似我心 定不负相思意

あたしの家は川上に あなたの家は川下に
ひるもよるもあなたを思うて逢えぬとは 同じ川水飲む仲なのに
川の流れぬ日が来ようとも あたしの恨の晴れる日はない
せめてのことあなたとあたしと同じ心で 意の契にそむきしゃんする
倉石武四郎「宋代詞集」1970 平凡社

卜算子は詞の形式。李之儀は左遷され、娘や息子、連れ添っていた妻も相次いで亡くし、人生のどん底にいた。そんな時に美しい歌伎・楊姝に出会う。楊姝は『履霜操』を弾き、李之儀は心打たれて思いを抱き、彼女を知音として詩詞を書いたそうな。楊姝は13歳とあり、『簡簡吟』(2話-1)の簡簡も13歳ではあった。

 

6.温客行が陣を解こうとする葉白衣に言う

一気に攻める
一力降十会

石玉昆『三侠五義 第五十回

韩爷技艺虽强,吃亏了力软;雷洪的本领不济,便宜力大,所谓‘一力降十会’

力持ちは、十の武芸に通じる人も打ち負かすことができるの意。絶対的な実力の前には、どんな謀も役に立たないことのたとえ。『三侠五義』は著名な武侠小説で、北宋の名裁判官・包拯と義侠たちの活躍を描いた。

 

7.若閣主・龍孝が言う

虎も我が子は食わぬのに
虎毒不食

釈晋済 『五灯会元 杭州竜華寺 霊照真覚禅師

山僧失口曰:‘恶习不食

山僧は口を滑らし言った「悪習な虎もわが子は食べない」。

霊照真覚禅師は、五代時の高麗の人で竜華霊照という。

 

8.鼠と虎と龍と

李白『遠別離』

君失臣兮龍為魚、權歸臣兮鼠變虎
或云堯幽囚、舜野死。

君主が臣下を失えば龍は魚となり、権力が臣下のものになればネズミも虎に変わる。
あるいは堯が幽囚されれば、舜は野たれ死したという。

若閣主・龍孝本人はをよく口にしていたが、温客行たちからはにたとえられていた。そして父・龍雀はと思われる。この詩の状況に酷似していたので取りあげてみた。「時に遇えば鼠も虎になる」という諺もあるようだ。

 

18話感想

ふたりで大活躍の回。

木立のからくりも葉白衣が一撃で壊している。センパイ、頼りになる~。自分で仕掛けた鼠取りを忘れ、自分の足を挟んだと話す張成嶺。だんだん本当におバカキャラになっていっているような……。

一行が着いたのは武陵源ぽぃ、アバターな世界。
センパイが通った時は大丈夫な吊り橋も、やっぱり落ちるのね、そしてふたりの世界
底には薬人たちが若閣主・龍孝によって作り出されていた。薬人は人を食べるのか。龍孝は病を治すために神医谷の医術を欲している。温客行曰わく、「陰陽冊」で生き延びても、道理に逆らえば正気を失い魔となるようだ。

周子舒と温客行が詩を吟じ、ふたり手に手を取り合い、敵を倒す場面がカッコイィ~。このぐるんとまわるの好きだな。
そして崖を飛び、手を取ってふたりぐるぐる洞穴を落ちていく。そこには傀儡術のからくりがおり爆発。温客行の袖に火が付き、今度は周子舒が断袖している。

地上ではからくりが動き、張成嶺が落ちて若閣主・龍孝のところへ。張成嶺の修行の成果も上がっているようだ。

陣を解こうとしている葉白衣、からくりには
紫流金が用いられている。そして張成嶺は二度目の拷問場面前ほど見ていて楽しくはないのは華がないからか。絶体絶命のところへ降り立つふたり。この場面は見たことのあるショットだ。


からくり人形に導かれ、龍淵閣 閣主・龍雀(张双利)のもとへ。どうやら息子に監禁され、武庫を開けるよう脅されているらしい。

ここへ来て、十大悪鬼や龍孝から求められる神医谷の「陰陽冊」であった。

 

WOWOW放送:2021年10月7日(木)深夜

 

 

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