山河令が2022年1月にWOWOW再放送となる。最終回になる前に再放送が発表されるのは珍しいような。毎週月深夜4話放送となるようだ。
33話 選択の機会
1.于丘烽が千柳巧に贈った扇
平らかな水面に映る青き柳 河畔の花 天上の月 遥かに相守る 歳々また年々 ここに逢う 氷消えし後に
平江柳色青 花月遥相守 岁岁复年年 逢此冰消后
13話-5で于丘烽たちが呟いていた詩のつづき。Priest作と思われる。
2.周子舒が言う
五義兄弟の絆もこれを機に途絶えてしまった
五子也因此分崩離析
『論語 第十六 李氏 一』
遠国が服従せず、それをなつかせて来朝させることができない。それに国家が分裂分解して、これを防ぐことができない。
3.高小怜が皆に言う
親の敵を討たなければ
若不能替父母報仇雪恨
『淮南子 氾論訓 第十三』
大夫种辅翼 越王勾践。而为之 报怨雪耻。擒夫差之身,开地数千里,然而身伏属镂而死。
大夫文種(ぶんしょう)は越王勾践を助けて、その恨みを報じ恥を雪いだ。呉王夫差を捕らえ、数千里を開拓した。しかしながらその身は剣を賜われ亡くなった。
四字熟語。曹操が父の仇を討つ時にこの言葉を記した旗を掲げたことからともある。
4.温客行が剣をふるいながら趙敬に言う
返す言葉もないか?
有口難言
宋 蘇軾『醉睡者』
有道難行不如醉
有口難言不如睡。道ありて行い難しは酒に酔っている方が良い
言いたいことありて言い難しは眠っている方が良い。
成語。
5.つづいて言う
皆に見捨てられたな
眾叛親離
『左伝 隠公四年』
阻兵无众,安忍无亲,众叛亲离,难以济矣
成語。春秋時代 魯の国王。
全く関係ないが、飽きて勉強が長続きしないことを【隠公左伝】という表現もあるようだ。春秋左伝を読み始めようとして、一番初めの隠公元年から読み始めて飽きてしまうかららしい。
6.最後に言う
孤立無援だ
孤立無援
『後漢書 班超伝』
十八年,帝崩,焉耆以中國大喪,遂攻沒都護陳睦,超孤立無援。
十八年に帝が崩御した。焉耆(えんき/現ウィグル・カラシャール市)が大喪に乗じて、攻め西域都護の陳睦を殺害、班超は孤立し助けもなかった。
後漢の班超は軍人で、班固の弟でもある。9話-7の鮑溶『壮士行』の文言と18話-2の「虎穴」で、この班超が出てくる。
33話感想
展開の早さは相変わらず。趙敬がここで成敗されるとは思わず~。
蝎王は義父にも自分にも機会を与えたかったと呟き、千柳巧にも二つの選択を委ねる。奴蠱の解毒薬2粒か一生飲む抑制薬か。なんだか蝎王の妹分みのある艶鬼……。
そして千柳巧は于丘烽に駆け落ちしようと言うが拒まれ、解毒薬を渡す。曹蔚寧は駆け落ちしたのにね。すると于丘烽は千柳巧に「お前は飲んだのか?」と尋ね、千柳巧はその言葉に満足した様子。艶鬼姐さんの話は好き。于丘烽にはもったいないのだけれど。
一方、英雄大会では白々しい駆け引きが展開され、お互いを誉め合うが、結局腕比べをすることに。趙敬が意外と戦えているのはなんでなんだ。そこへ周子舒、登場。趙敬は下働きの子から太湖派の掌門に取り入り養子となっていた。そして周子舒は趙敬の今までの悪事を挙げ連ねる。
そこへ音楽と共に白系衣裳の温客行が登場!!谷主ではなく、四季山荘弟子になりきっている。鬼谷の皆さんがやる気無く「不认识~」と首を振っているのが笑える。温客行は周子舒の剣を借り、父のお家芸な秋明十八式を披露。そして高小怜も現れ、張成嶺も弾劾し、鄧寛も証言し、趙敬の悪事は暴かれた。
温客行に倒された趙敬に蝎王が近づき、薬と言って飲ませる。それは自分の思い通りに操ろうとしている??
どうやら張成嶺も味方していたらしく、3人で和やかに帰ろうとすると、莫懐陽が混ぜ返す。趙敬と組んでいたワケではなく、超日和見に渡り歩いているのか。
そこへ葉白衣センパイあらわれる。
(つづく)
34話 赤い糸
1.温客行が言う
魔を打ち砕けるのは人の心だけです
能毀了鬼蜮的 唯有人心
2.張成嶺が曹蔚寧に言う
婚礼前は逆らえませんね
同在屋簷下 不得不低頭
『上饒集中営 煉獄雑記』
他勸你留得青山在,不怕沒柴燒,在人屋簷下,不得不低頭。
ことわざ。他の勢力下にあるので、その命には従わなければならないことの意。
3.葉白衣の髪が抜けつぶやく
『大佛顶首楞严经』
①衣服垢秽、②头上华萎、③腋下流汗、④身体臭秽、⑤不乐本座。
衣服の汚れ、髪は萎え、脇下に汗、体が臭い、本座を楽しめず、となる。
天人が亡くなる前に現れる徴候。
34話感想
葉白衣センパイは「永遠に鬼谷を封じろ」と申し渡し大団円。なのだけれど、周子舒の表情のように全く晴れないワタシの気持ち。
どうやら假死之局らしく、白鹿崖では葉白衣に張成嶺や沈慎、蝎王や鬼谷も策の内だったのだけれど、ちゃんと周子舒にも話しておけ~~~。成敗したカタルシスを私にください。
趙敬は生きてはいるようだが、坐ったきりで話もできない。蝎王は趙敬に見下されたのが逆鱗に触れたとは、趙敬か。「引きずり下ろすのもすべて私の意のまま」と言い、「あなたを上皇にしてあげる」とも言う。この時の蝎王の表情がなんとも言えない……。世の野心に関しては、蝎王に託された感じなのかな。晋王も寝たきりのハズだし。
葉白衣センパイは今日も食事に勤しんでいる。髪が抜け「天人五衰」だとか。でも明るく「死に向かう生きる日々のほうが味わい深い」と笑う頼もしいお人。もう帰っちゃうのかな。
鬼谷へ行き、顧湘と曹蔚寧の婚礼の準備が行われている。顧湘も綺麗よ~。千柳巧が子孫おけに対のお椀に鏡台に婚礼の準備が大変と言っているのは、5話の冥婚と対比にはなっているんだろうか。このあたりのやり取りはほのぼの。鬼谷の赤が婚礼の赤になっている。しかし大巫の「転生しても会える赤い糸」は気になる。無常鬼たちは寒潭水牢の中で、悔い改めさせようとする張成嶺の度量の広さがオアシスよ。そんな張成嶺は微妙に范懐空を真似して伝言を伝える。
そこへ突然、莫懐陽が婚礼の礼物を持ってやって来る。そして開口一番、「お前をたぶらかした妖女か」。嗚呼、追い返したい。
(つづく)
展開が目まぐるしくて、なんだか狐につままれたような気分で見ていた。
ブロッケン現象とは、ガスに落ちた自分の影の周りに虹のような光の輪が起こる現象を言う。要は太陽を背に雲をスクリーンとして自分が映っている状態を指す。影を見ていたような思いだったので付けてみた。
そして35話は周子舒の今後が気になりモヤモヤモヤと濃霧。切なすぎて周子舒と温客行がハグしてるのも、顧湘の花嫁姿もなんだか上の空。
34,35話は周子舒目線で見ており、9話の安吉の四賢以来の重く冷たい空気に包まれている。ついに高山病かしら……。
WOWOW放送:2021年12月2日(木)深夜
▼蝎王の趙敬への思いにも似て
外部リンク