笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「君花海棠の紅にあらず」とアニメ「天官賜福」、漢詩で「山河令」もはじめました。

漢詩で入山 山河令 1話,2話解説/中国声優 簡簡吟,浮雲翳日,桃葉歌,史記遊侠列伝,九九消寒図

『陳情令』に続いて話題になっていた中国武侠ドラマ『山河令』。

最近はやはり日本語訳で見るのが一番物語が味わえる、と待っていたら、人気の『山河令』がWOWOWで2021年8月12日(木)より放映となり、早速観てみる。
時間帯も陳情令と同じ放送枠で、公式タグ「#山河令山開き」もトレンドに入る人気ぶり。

これ以上、感想記事をあげるのはタイトなのでのんびり観賞していたのだけれど、WOWOWのプログラムガイド誌に「漢詩や隠喩を用いた優雅なセリフ」とも書かれていた通り、ドラマ中の「漢詩」が気になる!

誰かまとめてくれていないかなぁと他力本願でそろりそろりとネットを見てみると、主人公ふたりに関するものはみかけるのだが、晋王がつぶやいた詩や2話の史記などは人気がないようで……。晋王が未練タラタラでどんな事を言っていたのか、史記でもどの部分なのかとか気になりません?? あまりウロウロすると、先のネタばれに遭いそうなので、自分なりに調べた方が早いと入山したものの、漢詩ルートは結構な山道である。なれど見える景色はなかなかのもの。

どうやら中国の『山河令』設定資料集の小冊子に、漢詩などがまとめられているらしい。公式ガイドさん(中国語)での登山はそちらをどうぞ。

コチラで、合っていると言えるのはドラマ内の漢詩の中国語であり、それ以外は自分用登山記録なので、こういうルートもあるらしいよ、位の気持ちでお楽しみください。

1話 帰れざる路

1.静安群主の言葉

四季花は常にあり 天下の事情を知り尽くす
四季花不断 九州事尽知 

宋の王義山『斎居雑興 其五』

天根分上下 月窟几晴阴
老树吹来古 流芳直到今
四时花不断 一本理尤深
记得南轩说 要观生物心

 

2.晋王が周子舒を見送る

小川 江漢となり天窗の光 冥き室に通ず 讒言 公正を害し 浮雲 白日を翳らせる
涓涓江漢流 天窓通冥室 谗邪害公正 浮雲翳白日

東漢孔融臨終詩

涓涓江汉流 天窗通冥室
谗邪害公正 浮云翳白日

小川は大河となり 天窓は冥室に光を通す
よこしまは公正を害し 浮き雲に太陽が遮られる

浮雲翳日/ふうんえいじつ】という四字熟語がある。邪臣(浮雲)が君主(日)の心をまどわすたとえ。孔融曹操の怒りに触れ処刑された。
人は異心を抱きやすく、真実でないことでも3人が言えば本当のようになり、讒言が続くと膠や漆のような仲も裂かれる、という句につづく。

3.四季山荘の81人の兄弟

周子舒は【四季花常在 九州事尽知】と呟いている。四季山荘は残りふたりとなり、絵に色を付けているのは「九九消寒図」ですね。冬至から九×九を数えて春を待つ、というもの。9輪の梅の花びら9枚に1枚ずつ色をつけるのが主流だが、ここでは81輪の梅なのか。「九九消寒図」についてはアニメ魔道祖師羨雲編6話の窮奇道でも説明。


4.周子舒が顧湘にもらった酒をかざして言う

美人がくれた酒は格別
凭酒寄紅顔

李徳裕
检经求绿字 凭酒红颜
君不见秋山寂历风飙歇 半夜青崖吐明月

青崖山の「青崖」という言葉も出てきている。
李徳裕は唐の貴族の息子、一方、科挙で進士となった李宗閔牛僧孺と激しく対立し、40年にわたった牛李の党争となる。21.10.5追記

 

2話 君子の義挙

1.子供たちが歌う、鏡湖派が話す、童謡

君が追い 僕が追う 江湖に伝わる不思議な伝説 五胡の水は天下に集う 武林の至尊に誰がなるべし?
彩雲は散った 琉璃は砕けた 青崖山の鬼と泣く者は誰ぞ? 

你追我 我追你 江湖世代有伝奇 五湖水 天下汇 武林至尊舍弃谁
彩云散 琉璃碎 青崖山鬼谁与悲。

白居易『白氏文集 巻十二 感傷四 簡簡吟』

苏家小女名简简 芙蓉花腮柳叶眼
(略)
恐是天仙谪人世 只合人间十三岁
大都好物不坚牢 彩云易散琉璃

蘇家の末娘は名を簡簡といい、はすの花のようにふっくらと美しい顔立ち、柳の葉のような切れ長の目をもつ美しい少女だった。(略)
たぶん、天界の仙女が罪を得て人の世に落とされ、ひたすら人間社会で十三年間過ごさねばならなかったということなのだろう。
おおよそ見目よい物は堅牢にはできていないのであって、彩なす雲は散りやすいし、琉璃は脆くも壊れやすいものなのである。
岡村繁「白氏文集 二下」2007 明治書院

美しいものははかないことのたとえ。十三歳の娘を亡くした両親を慰めるための詩とのこと。

2.温客行が舟を見送る場面

ただ心安らかに渡れ 我自ら汝を迎えん
但渡无所苦 我自迎接汝

晋の王献之桃葉歌 其三

桃叶复桃叶 渡江不用楫
但渡无所苦 我自迎接汝

桃葉よ、河をわたるのに櫂はいらない
苦なく渡れ 私がそなたを迎えに行く

王羲之の子、書家の王献之が愛妾桃葉を迎えたという桃葉渡が、実際に南京にある。
舟を送りだす場面でこれを言うとは艶っぽいな。

3.四季山荘の流雲九宮歩

その足さばきは風に雪が舞うかのようで 薄に覆われたおぼろ月のように美しい
这歩法飄飖兮若流風之回雪 仿佛兮若軽雲之蔽月

漢の曹植洛神賦

仿佛兮若轻云之蔽月 飘飖兮若流风之廻雪

流れる雲に月が覆われたようにぼんやりとし
雪がつむじ風に舞い上げられたように揺れ動いている
高橋忠彦「文選 賦篇二」2004 明治書院

魏の曹操の第三子の曹植が、洛水の神女の美しさを詠ったもの。
後半は人に思いを寄せながらも神霊と人では進むべき道が違うと涙ながらに去る神女と、一人残された男の深い情感が描かれている。

4.温客行:舟で共に飲まないか?

花盛りに酒壺を抱え 酌み交わす者なし
花间一壶酒,独酌无相亲

李白月下独酌四首 其一

花間一壺酒 獨酌無相親
(略)
永結無情遊 相期邈雲漢

花さく木かげに酒つぼひとつ
ひとりぼっちの手酌で、相手がいない(略)
いつまでもこのような、しがらみのない交遊を続け
次には、あのはるかな天の河ででも再会するとしよう
石川忠久「NHK漢詩紀行1」1991 日本放送出版協会

独り酒で共にするのは月と影くらいと詠う。さいごの再会を期待するところもポイントか。

5.温客行:いい名だな。

交友は広く 身は柳の絮(わた)のごとし
周身不比 身若飞絮

論語 為政編 第二14

君子周而不比,小人比而不周

りっぱな人間は誰とでも親しみあう(周)が、仲間だけと馴れあいはしない
つまらぬ人間は馴れあい(比)はするが、親しみあうことはない

 

元の徐再思折桂令・春情

平生不会相思 才会相思 便害相思。
似浮云 心如飞絮 气若游丝 空一缕馀香在此 盼千金游子何之。
证候来时 正是何时 灯半昏时 月半明时。

「柳絮(りゅうじょ)」とは、柳の実から綿毛をもった種子が飛び散るさま。「柳絮の才」という言葉もある。

6.張成嶺が父から教えられていた史記

布衣の徒 然諾を取予するを重んじ 千里に義を誦え 死すとも世を顧みず
而布衣之徒 設取予然諾 千里誦義 為死不顧世

司馬遷史記 列伝第64 遊侠列伝

而布衣之徒 设取予然诺
千里诵义 为死不顾世 

平凡な者だろうと 誓いを果たすため
千里を駆け 生死を顧みず仁義を重んじる

遊侠列伝では、侠人やその信義、朱家や郭解について描かれている。布衣は平民、庶民。

 

1,2話を観た時点では、暗殺部隊に鬼谷に鏡湖山荘襲撃と話が暗いなぁと思い、そういえば陳情令も最初おどろおどろしいと思っていたのを懐かしく思い出していた。

旅にでた周子舒は、温客行とどんな出会い方をするのかワクワクしていた……が、どう見ても追いかけられており、今見ている仙侠アニメを思い出す。攻めが最初から追いかけるのは、中国BL界あるあるなんだろか。

顧湘は賑やかで強いし、張成嶺は引きが良くこれからの成長株か。
ドラマの評判も良く、今後の展開に期待。

1話を再度見た感想

1話は殆ど感想を書いていなかったので、再度1話を見てみた。誰が誰かわかっていなかった登場人物を見直すのが一番の目的。感想というか自分メモ。

最初に容炫が出ており、瑠璃甲の形もわかる。そして天窗首領・周子舒が登場する場面であんなにランタンが大きく出ていたのにビックリ。

節度使・李殿が告発文を書いており、節度使護衛・青衣の剣客との戦いが見応えある。周子舒へ飛んできた暗器はなんだろ? 節度使の娘・静安群主の衣の広がりが綺麗。秦九霄四季山荘の若荘主だったのか。

雪降りしきる、天窗侍衛・畢長風の場面。この場にいた副首領・段鵬挙統領・韓英。ここでいたのか。天窗の紋は八つの霜みたいな感じ。七竅三秋釘は3年の命。周子舒が突き進んでいたのは10年、大切なものは誰も守れなかった絶望が伝わる。

秦九霄が亡くなってからは1年以上。1年半かけて3月ごとに1本釘をうったということは、秦九霄が亡くなって嫌気がさしたのか。晋王は系、河東を平定したようだ。允行北淵もいないと嘆く晋王。

鬼谷十大悪鬼・吊死鬼がロープの上から飛び、赤い袖に殺される。悪鬼たちも勢揃いしする中、吊死鬼は瑠璃甲を盗み、取り戻した者は首領にすると谷主が宣言。

一転して花の咲く町。こうやって見ると日陰者から光さしこむ世界へ転じる様子が、孔融の『臨終詩』を思わせ、うすら寒かった先の場面から、ひなたぼっこ感をより感じるのだ。顧湘におごってあげると言われ、「善人さん」と言っており、周子舒の方からこの言葉は言っていたのか。そしてふたり目線を交わすファーストコンタクト

初回視聴時は陰鬱と思ったが、暗がりに目が慣れたように、いろいろな景色があって愉しめた。なるほど、何度も登山したくなるワケだ。

2話感想メモ@2周目

ここは越州のようだ。渡し船の船頭により川を渡る周子舒のあとに見えるは、あの竜宮船?

この一群の花、桃かと思っていたが周子舒が「が咲き誇り霧雨に包まれる江南」と言っていたように杏なのかな。舟代を踏み倒しちょっとワル乗りに喜んでいる不良青年・周子舒。

扇が飛んできての主題歌『天問』が流れる。このふたりして舞うの好きだな。ここで脇にあるのは打ちあげられ朽ちた舟。

五湖盟 鏡湖派掌門・張玉森長男・張成峰岳陽派・鄧寛が五湖盟の中秋節の招待状を持ってきたそうだ。薪置き場に案内される周子舒。

屋敷に火が付けられ、鬼谷の鬼面が暗躍している。天窗・機関雀も飛んでいる。鬼面に追われる渡し守と張成嶺を助ける周子舒が見あげると、悠々と円窓に横座りしている白い人物。絵になるわ~。

張玉森のふたつ名は秋月剣、渡し守は救われたことがあり、張成嶺に太湖 三白山荘・趙敬を訪ねるように言う。鬼は吊死鬼を名乗り、張成嶺に瑠璃甲を渡すよう迫る中、張成嶺が周子舒をかばおうとする。これに恩義を感じていたのか。顧湘があらわれ鬼をけちらす。白い衣人が周子舒を抱きとめようとする。船頭の李殿の墓を作り、温客行・周絮と名乗り合う。

李船頭(沈保平)は、「君花海棠」の侯玉魁だった~。2021.10.2追記

中国の俳優・声優キャスト

周子舒(チャン・ジャーハン):谷江山 アニメ『魔道祖師』金子軒、ラジオ『鬓边不是海棠红』范漣
温客行(ゴン・ジュン):王凯 『陳情令』江澄、『君花海棠の紅にあらず』原小荻
顧湘(ジョウ・イエ):徐佳琦 『霜花の姫』鄺露(潤玉の従者)、『浮世双嬌伝』 符玉盞、『永遠の桃花』奈奈、『擇天記』南客(魔族の姫)
張成嶺(スン・シールン):星潮 アニメ『魔道祖師』莫子淵、『招揺』李涯子


元気でよく通る顧湘の声を、どこかで聞いたことがあるようで気になり調べてみた。奈奈の声か~。

 

 

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