１０月３１日は魏無羨の誕生日！ 祝你生日快乐♪ ハロウィン生まれとは魏嬰らしい。
今回は魏無羨にも縁の深い、雲夢江氏の江楓眠と江厭離の名前、家訓についての詩歌をとりあげてみる。
１．江楓眠
雲夢江氏宗主である江楓眠（jiāng fēng mián）。
私は義侠好きなので、義侠を感じられる江楓眠を語るのは実に楽しい。
「楚辞」の「招魂」でも一字あったのだけれど、江＝長江・揚子江には、楓の樹がよく出てくるのだ。
そして盛唐の詩人、張継「楓橋夜泊」。
張継「楓橋夜泊」
月落烏啼霜満天
江楓漁火対愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘声到客船
楓橋：蘇州城の西郊にある橋。東南ほど近くに寒山寺がある。姑蘇城：呉の都。
船中で宿泊し、うつらうつらしていた
ふと外をみると、夜空に月が傾き、烏が鳴き、寒気が迫った。夜の空いっぱいの霜がおりようとしているのだ
河畔の楓樹のあいだから、ちらちら漁村の灯火がみえた。旅のさびしさに、ねつかれないでいると
城外の寒山寺から鐘の音がきこえてきた
夜半の時刻を告げる鐘だった
旅愁をたくみに詠じた名作で、川べりにある楓の紅葉した葉が漁火のあかりに照らしだされていることと、漁火そのものの赤が、やるせない旅愁の気分をよく吟じているともある。
とても有名な詩で、中国、蘇州にある寒山寺の境内には、「楓橋夜泊」と題する張継の詩碑があり、日本人観光客はこの拓本をお土産にする人多数だそう。
そういえば「漁火」や「客船に到る」のあたり、教科書に載っていたような気もしてきた。
ここでの「眠」は「愁眠」の熟語となっている。愁眠とは、愁いに沈んだ気持ちで眠ること、愁いで眠れないこと。
「江」に「楓」は頻出するので、江楓眠の名前のポイントは「眠」のようにも思われる。作者は「眠」にどんな思いをこめたのだろうか。
楓の種類は、日本の楓とは異なり、唐楓（トウカエデ）やフウ（台湾楓・楓香樹）と呼ばれるもの。
先日、旅した北海道の453号線・230号線沿いの紅葉が色鮮やかで、これほど「錦繍」という言葉があう紅葉を見たのは久々であった。今のこの時期、楓も美しく色づいている。長江のほとりもこのような風景なのだろうか。
光さしこむ宗主さま
２．江厭離/江離
師姉こと江厭離（jiāng yàn lí）。
名前そのものではないのだが、「楚辞」の「離騒」第一段に、「江離」という香木が出てくる。
『楚辞 離騒 第一段』
扈江離與辟芷兮 紉秋蘭以為佩
（略）
香ばしい江離と辟芷を身にまとい、秋蘭をつないで帯物として
星川清孝「新書漢文大系23 楚辞」2004 明治書院
「楚辞」には才能や美質の喩えとして、香草や香木の名が登場し、
「江離」なども、薫り高く枯れずに冬を越すという特徴から、美徳や節操の喩えとして用いられている。
師姉の雰囲気に合っているかと紹介してみた。
３．雲夢江氏家訓
そして雲夢江氏家訓である
「明知不可而為之」は、孔子の「論語 第七巻 憲問第十四 40」にある。
子路宿於石門。
晨門曰、奚自。
子路曰、自孔氏。
曰、是知其不可而爲之者與。
子路が石門で宿泊した。
門番が言った、「どちらから来ましたか」。
子路が答えた、「孔氏からです」。
(門番)が言った、「それ（理想）が不可能であることを知りながら、そのために行動している人のことですか。」。
解説には、この門番は道教の思想の影響を受けた人物で、儒教（孔子）の理想に虚しさや無意味を感じている人、ともある。私は夢雲江氏は、どちらかといえば道教的思想寄りだと思っていたので、少し意外でもあった。
しかし中国の歴史をたどると、孔子の出現は、思想をもとに固い結合が行われたのは中国史上初めての現象であった、とある。血縁でなく、思想を共にする世家、という意味なのかと考えている。
張岱（ちょうたい）の『四書遇』にもある。
明 張岱『四書遇』
曾寫道：不知不可為而為之，愚人也；知其不可為而不為，賢人也；知其不可為而為之，聖人也。
無理と知らずに敢えてやるのは愚人である。無理と知ってやらないのは賢人である。無理と知りながらも敢えてやろうとするのは聖人である。
2021.11.24追記
虞夫人も取りあげていたのだが、あまりに長くなりすぎるので次回にします。
騰訊視頻では、魔道祖師Qねんどろ動画とアニメ魔道祖師の、魏無羨誕生日おめでとう動画が公開されている。
最後に流れる藍忘機の琴のハッピーバースディが新鮮です。(1:20)
▼山河令でも【明知不可而為之】が活躍fuenone2020.hatenablog.com
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