笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「蓮花楼」「古相思曲」「ロングシーズン」「宮廷の諍い女」「月に咲く花の如く」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

古相思曲7話~10話感想/詩経 賓之初筵,李煜 子夜歌,孫子 謀攻

ふたりの行く末が気になるドラマ中盤戦。

7話感想

元啓15年、楚同裳(徐崴罗)が36歳の陸鳶に対して、事実でない悪評に対してなぜ弁明しないのかと問うと、陸鳶は「上に立つ者は人事を尽くすのみ。弁明は要らない、結果が重要なのです」と話す。さすが!

現代に戻った沈不言は「運命を変えてみせる」と再び玉佩で大晟国へ。

元啓5年の陸鳶は「李丞相の本性は5年前から知っている」と言い、5年前は元啓元年。


元啓元年の上巳で、陸鳶は21歳で、白地に赤いラインが入った衣装を着てかわいらしい。3度目の上巳節

風車の「沐」は太子 楚沐(元啓帝)で、陸鳶は見初められ入内を望まれていた。この頃の太子は北烈の討伐を考える位に正常でだった。

お面を被った沈不言が李丞相を討とうとするが失敗、この時代の陸鳶も沈不言がわかるのね、どうやら3年前に会っていたようだ。再会した時の陸鳶の表情がとても思いが伝わってくるのよね……。

「恵みの雨に万物は流転する、春の上巳に……」と声が聞こえる。

天降甘霖,万物复苏,三月上巳…


雨降る中、ふたりは手を繋いで街を走っている。挿入歌《空待》が流れる。
陸鳶が「愛する人と心穏やかに上巳を過ごしたい」と言って話す内容は、第1話の元啓15年でふたりがしていたそのもの。でもその時の沈不言には陸鳶の思いが分からなかった、くぅ~(泣)。

李丞相は陸時を養子に迎え皇宮に取り立て、鏡花楼で情報収集や官吏の観察をさせて汚職の証拠を集めていた。この時代の陸鳶は李丞相への信頼が揺るがない。

寝所でお面をポコポコ叩く陸鳶がカワイイ。

沈不言は陸鳶と江都を離れて、未来を回避しようとする。
(つづく)

沈不言はどんどん時代を遡り歴史を変えようとするが、未来を知っている身にはツラい展開。

8話感想

陸鳶が奏でている楽器は箜篌(くご)なのね。

沈不言には言わずに、北烈侵攻しようとしている太子を説得しようとする陸鳶、やめなはれ~。

陸鳶の理想の男性は「男前で才能あふれ勇ましく家事さえもこなせる人」。

辿り着いたこの家は……と、第6話を思い出しちゃう視聴者よ。江都に移ってから清明節にしか帰っていない様子。

二匹のを釣り上げ、沈不言と倚華が料理、沈不言は素朴な料理で、倚華のは鏡花楼の秘伝のタレに香菜。

この頃には願かけを木に吊るす風習はなく、どうやら沈不言が逆輸入してしまったのね。

倚華は「陸さんが私の大将軍になれますように」。
沈不言は「陸鳶の運命を変えたい。2人で共に生きたい」。

趙啓龍が李丞相に接触

沈不言が笛を吹いてるよ。「宮 商 角 清角 微 羽 変宮」を教えたのは沈不言だった。音を外す間隔が詩経の特定の位置を示すのだそうな。丸を付けたのは【烈】。

詩経 小雅 甫田之什 賓之初筵》
宾之初筵,左右秩秩。笾豆有楚,殽核维旅。酒既和旨,饮酒孔偕。钟鼓既设,举酬逸逸。大侯既抗,弓矢斯张。射夫既同,献尔发功。发彼有的,以祈尔爵
籥舞笙鼓,乐既和奏。烝衎祖,以洽百礼。百礼既至,有壬有林。锡尔纯嘏,子孙其湛。其湛曰乐,各奏尔能。宾载手仇,室人入又。酌彼康爵,以奏尔时。(略)

杯を祈れ。文舞の舞に笙・太鼓、音楽はもはや和らいで鳴り響く。光りかがやく祖霊を楽しませようと、あらゆる供物を合わせる。あらゆる供物はもはや備わった、豊かに多く。あなたに大いなる福を賜う。
石川忠久「詩経 中」1998年 明治書院

沈不言には両親がおらず、孤児院への恩返しのため金を稼ぐことばかり考えていた。むむ、両親がいない?

9話感想

陸鳶は太子(陛下)に「曲とは朝廷と同じで、楽器の違いで音色は異なり、違いを知ってこそ本質を知る」と。唐の太宗 貞観2年。

《资治通鉴》卷一百九十二
上问魏徵曰:‘人主何为而明,何为而暗?’对曰:‘兼听则明,偏信则暗。昔尧清问下民,故有苗之恶得以上闻;舜明四目,达四聪,故共(音恭)、鲧(音滚)不能蔽也。秦二世偏信赵高,以成望夷之祸;梁武帝偏信朱异,以取台城之辱;隋炀帝偏信虞世基,以致彭城阁之变。是故人君兼听广纳,则贵臣不得拥蔽,而下情得以上通也。’上曰:‘善!’

陸鳶の箜篌 沈不言の笛で、太子に歴史が語りかけられる。

景平20年、陛下は先帝と烏州へ赴き、霊木を植樹。
景平24年、余家村の民を飢饉から救う。
景平26年、麗州に青雲橋を建てる。
景平26年、読書を好む小怙という女子に出会い、蔵書閣の経書詩経)を書き写し贈る。
景平30年、火烽堡が陥落。

(笛が加わる)
先帝は南方の褚国へ攻め込む。雲州の戦いで犠牲兵は5214人。
霞州では1万6930人。
莽州では10万991人。
小怙は褚国出身。
余家村の男子は皆殺し。
青雲橋は逃亡する飢餓民であふれた。
烏州へ逃れた民は、霊木をむさぼった。

沈不言は「上兵は謀を伐つ、攻城の法はやむをえざるため」と進言し、武装した1人で50人に勝つ鎧を提案する。「戦わずして勝つ、これこそ善なり」と。

《孙子兵法·谋攻篇》

孙子曰:凡用兵之法,全国为上,破国次之;全军为上,破军次之;全旅为上,破旅次之;全卒为上,破卒次之;全伍为上;破伍次之。是故百战百胜,非善之善者也;不战而屈人之兵,善之善者也
上兵伐谋,其次伐交,其次伐兵,其下攻城。攻城之法,为不得已,修橹贲辒,具器械,三月而后成,距,又三月而后已。将不胜其忿而蚁附之,杀三分之一,而城不拔者,此攻之灾也。

太子に気に入られた沈不言は宰相に取り立てられ、それを聞いていた李擁が闇落ち……。


おぉ、陸時~~~~。

もう姿を見ることもないと思っていたけれど、考えてみればドラマは時を遡っているので、元気な姿を見ることができるワケね。
そして虎豹軍に取り立てられる。

さんざん割った卵を、「炒飯に使ってくれ」と言う沈不言。

太子は趙啓龍に北烈の気つけ草である夢憂草を使われ、頭痛持ちの陛下に使われると命取りになる。

10話感想

趙啓龍は元啓皇帝の弟である北安王を傀儡に立てることを計画、李擁と手を組もうとする。

陸鳶の手にしている玉佩は、老婆から貰ったあの玉佩。沈不言は「どこで手に入れた?」と尋ねているが、見ている視聴者は「アンタやろ!」とお察しな件……。

「魚は水に遊び、尾と頭は交わる。過去ははかなく消え、まだ夢の中のようだ/鱼在水中游,是尾也是头」と沈不言の声。過去の寝言で呟かれた言葉に、すれ違う定めを察した様子の陸鳶。

李煜《子夜歌·人生愁恨何能免》
人生愁恨何能免,销魂独我情何限!故国梦重归,觉来双泪垂。
高楼谁与上?长记秋晴望。往事已成空,还如一梦中


昔出発した時は、柳が風に揺れていた。今帰路に際して、この身を雪がうがつ」。入宮を決意する陸鳶。

《诗经·小雅·采薇》
采薇采薇,薇亦作止。曰归曰归,岁亦莫止。靡家靡室,猃狁之故。不遑启居,猃狁之故。
采薇采薇,薇亦柔止。曰归曰归,心亦忧止。忧心烈烈,载饥载渴。我戍未定,靡使归聘。
采薇采薇,薇亦刚止。曰归曰归,岁亦阳止。  王事靡盬,不遑启处。忧心孔疚,我行不来。
彼尔维何,维常之华。彼路斯何,君子之车。戎车既驾,四牡业业。岂敢定居,一月三捷。
驾彼四牡,四牡骙骙。君子所依,小人所腓。四牡翼翼,象弭鱼服。岂不日戒,猃狁孔棘。
昔我往矣,杨柳依依。今我来思,雨雪霏霏。行道迟迟,载渴载饥。我心伤悲,莫知我哀。

誰に反対されたわけでも、片想いでもないのに、その人の過去があなたの未来で共に暮らせない……切なすぎるだろ~~~(泣)。

沈不言は時代を通り過ぎる旅人、逆の方向に向かっている。

元啓元年、晟国で生きる女子の答えというのが、そうなのね。

そして沈不言が、「運命を変えようとしてた。考えるべきは君を支えることだな」と言うのがヨイのだ。

「皇宮へ一緒に行く」と言う沈不言に、陸鳶は「起居郎はどうかしら?」。起居郎とは古代の官職で、皇帝の言動を記録する職務。沈不言にピッタリな職域ではある。

沈不言は、現代で電気ショックが~~~。
現世で目覚めると、過去の姿は消えるのね。

ED:
(つづく)

いろいろと歴史に干渉してしまっている沈不言。
李擁の闇落ちの一端も担っていたのか……。

時の流れが正反対、なのがふたりが共に暮らすことの障害って、切なすぎる。

そして凜々しい陸時、早々に去ってしまったと思っていたが、時が逆行しているので、まだまだ会えるのね。

いよいよ最後のタイムリープ!!

 

 

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