古相思曲1話～6話感想/ナズナと卵の煮物,詩経同裳,見血封喉,黄河絶恋

中国ドラマ『古相思曲～君思う千年の調べ～』が、WOWOWにて2024年5月23日より毎週2話放送で始まった。全14話。

深夜放送『愛なんてただそれだけの事』の後継番組で、全話が少ない上に放送時間は30分枠。サクッと見れるかと視聴開始。

いわゆるタイムリープ系で、ベストセラー歴史小説家 沈不言が、架空の晟国妖后陸鳶と出会って……というお話。bilibili作品ながら、豆瓣も8.6と高評価なんだとか。中国では2023年6月に配信されており、日本に来るのも早かったね。

英語タイトルは《An ancient love song》。監督は知竹、映画《男狐聊斋3》の監督さんだった。

見始めると登場人物は美形で動きも安定しており、各話終わりに次が気になるような仕掛けも工夫されているし、なんといっても30分枠というのは見やすい。WOWOWは水,木曜日に中国ドラマが集中的に放映されHDDが渋滞しがちなので、短いと助かるという事情もアル。

料理が出てきたのが気になりメモしてみた。

１話の料理

妖后とされる陸鳶（张雅钦）『千古の愛、天上の詩』凤染は真っ赤な衣装を着ている。

春は3月上巳の節句、旬の食材の家庭料理のナズナと卵の煮物（荠菜煮鸡蛋）で、旬の野菜は病を防ぐ。
実際に3月3日にこの料理を食べる風習があるらしい。民間では「3月3日に萕のような地菜と卵の煮物を食べると、一年頭痛にならない」という言い伝えもあるとか。

『詩経』も映っている。晟国の上巳の習わしは、柳を水に浸し露で厄を払う【柳枝沾露,袱褉去灾】。
実際、上巳は禊ぎ【袱褉】の日であるのだそうな。
時は元啓15年。

２話の漢文

沈不言（郭迦南）『山河令』秦九霄を庇って陸鳶が倒れたところで主題歌入る～。
沈不言の現代の部屋に「室雅何须大,花香不在多」の文字。
郑板桥が出典で、「居室は広さではなく主の高雅さであり、花も量でなく香り高さである」という意味らしい。

『南晟遺事』の記述は間違っていたそうだ。
「３月上巳の節句だ、柳の露で厄を払おう、曲水の宴だぞ、春の夜に遊び酒を飲もう、大晟の民が災厄を払えるように、よき相手が見つかるように」。

三月上巳，秉柳露拂不祥，曲水流觞，游春夜，饮佳酿，愿诸位，尽拂灾厄去，觅得良人归。

陸鳶が来ていた服は海棠色。

殺神の虎豹の面は、陸時の死後着用を許された者が？
で、陸時（全伊伦）《九重紫》邬善あらわる。スッキリ爽やかイケメンなの。

今回、トリップしたのは元啓5年。
同じところをタイムリープと思いきや、10年遡った。

３話感想

陸鳶が演奏している楽器はなんだろうと興味を惹いた。音による伝達術がある世界なのね。

この時代は講談師による噂が大衆を動かすもの。【元啓5年、火烽堡の戦いで陸時は命を落とす】という過去を歴史改変できるのか。

馬から落ちそうな主人公沈不言を支えるのはヒロイン陸鳶～。

沈不言と陸時は示し合わせていた。そして26歳の陸鳶は沈不言の事を知っていた。

とりあえずあまり登場人物がいないので分かりやすい。

４話の漢詩

戦に勝利した陸鳶たち。
沈不言たちは瑠璃谷に霧が出ないことを事前に察知しており、「古土法」で硝石と砂糖を混ぜて煙幕弾を作り、人工的に霧を発生させていた。タイムリープものに付き物の、道具を編み出しちゃうのは好き。実際に「硝酸カリウムと砂糖でロケットを作る」ことができるが、取り扱いは危ないみたい。

小伍～～～。
短い出番だったが、こういうのにヨワイ。

北安王の御子が生きており、このおじいさん、味方側の人だったのか。

赤子は「鎧はあれど民と同じ裳を着て、王の指揮のもと甲兵を修め共に戦わん」より「自ら皆を率いる王となってほしい、兵士や民と共にある王に」から、楚同裳と名付けられる。
同裳！
双子の無衣はいませんか？（笑）
『陳情令』で覚えた『詩経無衣』の同裳。

《诗经国风秦风无衣》
岂曰无衣？与子同袍。王于兴师，修我戈矛。与子同仇！
岂曰无衣？与子同泽。王于兴师，修我矛戟。与子偕作！
岂曰无衣？与子同裳。王于兴师，修我甲兵。与子偕行！

５話感想

陸時と倚華（朱林雨）《我曾记得那男孩》周静芒の頬をなでているの、思いが伝わってきてなんだかイイ場面。

……と思っていたら北烈からの刺客到来、アクション場面も見応えあるな。

歴史改編されていない事に気付く陸鳶たち、陸時は倚華たちを守り、歴史書通りに見血封喉の矢を受けて絶命。
見血封喉はアンチアリン、ウパス、イポー等（Antiaris toxicariaLesch.）と言われ、矢毒の原料として有名で、傷口から血液に混じると毒が作用し心臓麻痺や窒息死に到るのだとか。血にまみえると喉を封じる……と割とそのまんまな中国語名。どうりで陸時の傷がクローズアップされていたワケだ。

えええええ～、前回のほんわかから一変、歴史改変ならず。

楊冲（王毅凡）『上陽賦』忽耶奇と范松（庞勇）《鬼狐传说聂小倩》燕赤霞は副将。北烈人は髪を大事にするのに、間者は平然としており国の人間と見抜かれる。

【元啓5年、陸鳶は寵愛を受け、鳳牌を使い皇后となる】の歴史書通り、火烽堡にて皇后を名乗る陸鳶。この火烽堡の場面、なんだか民も兵も人数が少ないような？と思った辺りが低予算ドラマならではなのかしら。いつも予算潤択なドラマを見ているからあれ？と思ったヒトコマ。

陸鳶は陛下が正気を取り戻して李擁一派を排除し、我が家で暮らすことを望んでいたが、「全ては鏡花水月のごとくはかない夢なの」と鳳牌を掲げる。