笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「蓮花楼」「古相思曲」「ロングシーズン」「宮廷の諍い女」「月に咲く花の如く」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

月に咲く花の如く62話~66話/王維 送厳秀才還蜀,商訓,范蠡十富歌,天演論,韓菼,戊戌の変法

62話感想

重苦しい展開が続いたこともあり、楽しく一息つけた回。

西院孫長男 玉勝は年長で人柄もデキている。中院次男 玉林は中院三男 玉成の帽子を取ってからかっている。中院長男 玉進に投げる。西院次男 玉同に応援を頼む玉成。

東院の養子腕比べで、王世均からのお題「商いの道」で、玉成は絵を描く、互いに採点して褒め合うのがなんだか面白い。
江福祺からのお題の計算で、玉成は「江さん、君はおしまいだ」と。
趙鴻伍からのお題「銀子20両を渡され1時以内に使いきること」では、皆に配る玉成、自身は小斑鳩の雛の方が大事。王世均たちがお題を出すのがなんだかイイね。

西院 玉勝は計算力、玉同は無駄遣い、中院玉進は気配り、玉林は眼力、玉成は人に使い、枠にとらわれず能力を発揮したと、玉成が選ばれる。こうやって見ると玉同は能力と言えるのか……。

嫌がる玉成に周瑩は「この世の大半のことは思いどおりにならない、受け入れるしかないの」と伝える。まぁ、周瑩にそう言われてはね……そもそも攫われている身の上なワケだし。

玉成は名前も懐先、字は念昔に変えられた。なんだか周瑩の思いがにじんでいるような名付け。

懐先のように出ていくことばかり考えていたのは、東院に来た頃の周瑩と、もうひとりとはあのヒト……。
……周老四ですね?と、ボケはしない春杏ちゃん。

63話感想

寒さに耐えかね布団にくるまる懐先、周瑩が布団をかけ直してあげる姿はもはや母。

范蠡の『商訓』『商売の入門書』『商売の道』『商人の指南書』『商人の手引き』(陶朱公《生意经》《生意世事初阶》《一统路程图记》《商贾指南》《商贾便览》)を読むようにと言う周瑩。亥時に就寝、卯時3刻に起床と言い渡す。

耐えかねた懐先が荷物を背負って出ていこうとする姿がなんだかカワイイ。木登りして出くわしたのは周瑩。自分は出ていきたいのに、義母も出ていこうとしているのは、どうも不公平だとは思わないのか、玉成。ここでも周瑩が偲んでいるのは沈星移。周瑩がひらりと木を降りるのがカッコイィな。

懐先は「人のよしあしを知ってこそ」と読みあげている。【知人善恶,账目…】は『商訓』。

王世均が「私が呉家を守るのでどうかご安心を、もし帰って来たくなったらいつでもどうぞ」と周瑩に言うのが泣ける……。

懐先が疑われる。義母 鄭氏、冤罪には思いこみが激しいのは変わらないのね。

山には狼がいるのか……。

64話感想

柔らかい光の中、呉聘と周老四が迎えにきて……と思ったら、懐先の声に反応して去って行くふたり。久々の呉聘の姿に、やっぱり呉聘の存在感は大きくて、生きている間に優しい人は、亡くなると一段と優しさが沁みて囚われちゃうよなぁと再認識。周老四が気配を察して先に動くのが、らしくて何だかイイのよね。そしてここには沈星移はいない……。

懐先が周瑩を助けようと狼に立ち向かう場面は、さすが周瑩が選んだ息子だ!幼いながらもこの義侠心がスゴい。

東院に帰ってきた周瑩の姿を見た、王世均の表情が彼の思いを全て物語っている。

杜明礼は副局長に、趙白石が陝西巡撫となった。劉秉璋の罷免、李瀚章の弾劾も趙白石の手柄だとか。周瑩も真相を知ることができて良かった良かった。

懐先は「人のよしあしを知ってこそ帳簿に損なし礼儀をもって相対し大勢と行き来すべし故きを厭い新しきを喜ぶは…」と読みあげている。

陶朱公《商训》
能识人:知人善恶,账目不负
能接纳:礼文相待,交往者众
能安业:厌故喜新,商贾大病

えええええ。呉漪ちゃん……。趙白石と夫婦となれたのに。このドラマ、わりとポンポンあっけなく人が死ぬよね。

周瑩は「過ちは繰り返さないわ。過ぎたことは忘れなければ」と。

沈星移の墓の前で佇む人物……この人は!

65話漢文と挿入歌

変法を開始するよう勅が下された。いよいよ戊戌の変法で光緖24年(1898年)6月11日(太陽暦)の出来事。

ジョゼフさん帰国しちゃうのね、本も世界地図もくれる気前の良さ……と思っていたら、砒素の症状は呼吸器系が害されると教えてくれる。下手人は杜明礼か!

懐先は「勤勉は富なり、労苦に耐えずして道はなし。第二の富は忠厚の富、売買は公平に…/勤劳富,不辞辛苦走道路、第二富 忠厚富 买卖公平」と読んでいる。

范蠡十富歌》
第一富:勤俭富,不辞辛苦走道路。第二富:忠厚富,买卖公平多主顾。

梁先生の物まねをする懐先「聖人行蔵について一家言あり」。
その先生とは……。

韩菼(清代)《八股文范文》
盖圣人之行藏,正不易规

康先生は沈星移

再会に胸躍らせながら着飾っていくと、なぜか女性ふたりが侍っていて、沈星移もつれない。

なおも周瑩は「あなたこそが一番大切な人よ。私を娶って」と食い下がる様子に、「いいぞ、周瑩、頑張るんだ」と応援していたが、周瑩の負い目な「疫病神」とまで言われちゃうとね……。沈星移にも理由があるんだろうけど、ちゃんと話そうよ。

挿入歌《让爱碎了再碎》「燃え上がる愛もう引き返せない、身も心も砕け散った」
《一厢情愿的不舍》「許されぬ思いを胸に、とめどめなく流れる涙、演目が終わり秋風が吹き抜けた、二人の間に」
《你曾说》「弱さを見せずに生きてきた私、あなたの胸のぬくもりを今も想う、あのぬくもりを」が、ドラマに呼応していているよ~。

なんとなく「またすれ違いか」と思ってしまうよなぁ。
わりと昔の少女漫画なパターンのこのドラマ。

66話感想

打ちのめされる周瑩を案じて、冷たくなった手を温めようとする懐先。中国ドラマに出てくる子供は大体、心優しい子が多いよね。

杜明礼と相対する趙白石、同じ郡王に仕える身だと、趙白石に余裕がみられるのが頼もしい。杜明礼もやりにくそうでイイゾイイゾ。
杜明礼の扇子には「山临青塞断江向白云平」の文字。
厳秀才が故郷のへ帰るのを見送るもので、故郷への道中の風景を詠み都で再会することを願う、惜別の思いが表わされた詩。この扇子の句に続くくだりが、「賦を献じて武帝に引き立てられた長卿(司馬相如)」に喩えて、栄進する望みを詠じているあたりが、なんだか切ない引用句なの……。仕える相手が悪かったね……。

王维(唐代)《送严秀才还蜀》
宁亲为令子,似舅即贤甥。
别路经花县,还乡入锦城。
山临青塞断,江向白云平
献赋何时至,明君忆长卿。


正宜学堂で「皆これに通ずるなり」と復唱している。『天演論』は厳復がイギリスのトマス・ハクスリー『進化と倫理』を翻訳したもの。

严复《天演论》
其推陈出新,逐层换体,皆衔接微分而来.又有一不易不离之理,行乎其内.

今は康卓文と名乗る沈星移。「無能な上層部の腐敗と民衆の無知が要因」と話し、杜明礼を排除するという点で趙白石と手を結ぶふたり。

沈星移は「変法の趣旨は民のための政で、議院設立や民権を実施したい」と力説する。父上も年取ったなぁ。沈四海は親子の縁を切るしかないと言う。

沈星移が明治時代の日本の紡績工場を褒めてくれてるよ~。このドラマは2017年放送だっけ。

陛下からの勅は、役人も陝西だけでも300人以上削減したい。ん?この流れは明代の仁宗でもあったような。猛反発をくらうんだよね。

勅は連日届いており、科挙も廃止されすべて新式学堂にするようにと言われている。改革を推進すべく取り憑かれている呉沢。二叔父 呉蔚全は「今まで変法を訴えた商鞅呉起王安石らがどんな末路だったか」と訴え、こちらも父ー息子で衝突している。呉沢は科挙で苦しめられた分、その反動もあるんだろうか。

なぜだろう、沈星移だと応援したくなるのに、呉沢だと強引に思えてしまうのは。
(つづく)

 

 

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