笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「蓮花楼」「古相思曲」「ロングシーズン」「宮廷の諍い女」「月に咲く花の如く」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

月に咲く花の如く32話~51話感想/44話呉漪の料理漢詩 短歌行,蒹葭,荘子,離思,行路難,夕次洛陽道中,送杜少府之任蜀州,凉州詞,送元二使安西

32話の合言葉

周瑩が商売にと選んだ迪化は、新疆ウイグル地区のウルムチ

盗賊の関所の合言葉は「水青くして山は遠く」「流るる水は長し」。【绿水青山远 山川水流长】は【青山不改 绿水长流】の亜流かな。

こんな僻地で沈星移の馬を放つとは、周瑩もさすがに酷くないかと思っていたら、沈星移にとっては花びら舞う中の周瑩をうっとり……な図だったと言う~。やはり沈星移は「花開」なのね。

33話のみどころ

沈星移が盗賊から解放されるが、木の葉がパラパラ落ちる様子に、花びらの中の周瑩を思い出し、音楽も流れる~♪

戻って来た沈星移が「盗賊に気づかされた」と、周瑩に見惚れながら笑ってくしゃっと目を閉じる場面、沈星移の思いが伝わってきてよき~~~。自分の真剣な思いに気付いて笑っちゃうようなガラなんだよね。好きな場面。

そして斬首される……という緊迫した場面で入れてくる沈星移の周瑩への告白場面。フツウならこれで心が通じ合う場面なんだけどなぁ、寡婦だもんな。背中をあずけて戦う場面は大好物よ。こんな状況で馬に下剤やら逃がしたやら、痴話げんかしているのも愉しい。

少し飛んで……。

37話の漢詩

ウイグル
大商人 図爾丹からの「今度いつ会える」に対して、周瑩が「海内 知己存せば、天涯 比隣のごとし」と答える。

王勃(唐代)《送杜少府之任蜀州》
城阙辅三秦,风烟望五津。
与君离别意,同是宦游人。
海内存知己,天涯若比邻
无为在歧路,儿女共沾巾。

周瑩は呉遇(逃亡してた?)に、「憎しみを背負って生きるのはつらいわよ」と諭す。夫も子も失っている周瑩がそう言えるのはスゴい。

張長清が趙白石に近年の状況を言う。
「李殿は北洋艦隊の建設資金、皇太后は宮殿の修築費、醇親王は海軍の大臣だが陛下の実父で双方の板挟み」。
李殿は李鴻章、皇太后西太后でドラマ『君花海棠の紅にあらず』でも宮殿修築が頓挫したとありましたネ。親王は第8代 道光帝の皇七子、第9代 咸豊帝の弟で、第11代 光緖帝の実父。

張長清が詠じる「渡る黄河は氷が塞ぎ、登る太行山 雪 山に満つ」。
趙白石は李殿が推挙、布政使に昇進。

李白《行路難 其一/ 行路难·其一》
金樽清酒斗十千,玉盘珍羞直万钱。
停杯投箸不能食,拔剑四顾心茫然。
欲渡黄河冰塞川,将登太行雪满山
闲来垂钓碧溪上,忽复乘舟梦日边。
行路难,行路难,多歧路,今安在?
长风破浪会有时,直挂云帆济沧海。

 

少し飛んで……。

41話感想

周瑩と千紅が義姉妹となる日が来ようとは~。懐の広い周瑩ならではの展開だ。

沈星移は花が咲いている様子をうっとりと眺め、絵を描くと言い始める。星移にとって花は周瑩への恋慕。

図爾丹が天山雪蓮を手ずから採って運んでプロポーズ。『天官賜福』でも出てきた天山雪蓮。おぉ、実物を拝めたわ。エーデルワイスと色合いが似ているような。確かに蓮花っぽぃね。

「図爾丹に金子を贈られたら感動するのに、沈星移が同じようなことをしようとすると腹が立つ」な周瑩に、韓三春が「若奥様の心の中で二人の重みが違うからでしょう」と言うのが、人の心の機微がよく分かっているのね、韓三春。こういう人はモテるよね。

42話感想

図爾丹からの求婚話に、王世均や韓三春たちは何も聞かずに「どこへでもお供しますから」と集結するのが熱い!

43話の漢詩

図爾丹は去り際に「酔うて沙場に臥すとも君笑うことなかれ  西の方陽関を出づれば故人なからん」と詠い、自分の心を取りもどすように周瑩に言う。

王翰 (唐代)《凉州詞/ 凉州词》 
葡萄美酒夜光杯,欲饮琵琶马上催。
醉卧沙场君莫笑,古来征战几人回?

 

王维(唐代)《送元二使安西》
渭城朝雨浥轻尘,客舍青青柳色新。
劝君更尽一杯酒,西出阳关无故人


呉聘のようなタイプと結婚すると、なかなか再婚する気にならないのは分かるなぁ。

周瑩との勝負に負けた沈星移は女装して街へと出向く。男前は、女装してもキレイで違和感があまりないのよね。ちゃんと約束を守る所は沈星移の良いところ。ここでも花びらが舞い散っている。

44話の料理による呉漪の告白

料理と漢詩、私が好きなものが合体した、呉漪と趙白石との問答。どんな意味なのか考えてみた。

青菜の野菜茴香八角肉桂の香料を使う(青梗菜の中央に椎茸)
青き襟元に寄せる想い ただ君がゆえに一人悩む
白石「目新しくないが深い味わいが余韻を残す、見事な腕前です」

【青青子衿,悠悠我心】は詩経『子衿』と同じ句で、女性が恋する男性を想う詩とされている。

曹操《短歌行》
青青子衿,悠悠我心
但为君故,沉吟至今

白石「見事な腕前です。味わったことのない料理を頂いて感謝しています。しかし青菜炒めは香り高い一品でした。だが青菜では平凡すぎる。大根(萝卜)に変えたらもっと引き立つでしょう」。

この大根の意味がいまひとつ分かりにくい。青(蒹葭苍苍)ではなく、大根=白で『蒹葭』の【白露为霜】という意味なのかしら。『短歌行』で霜は【譬如朝露】(朝露のようにはかないものだ)という下りもあり、そちらにすり替えたか。それとも単純に好みが平凡な青菜でなく、大根なのか?


②丸ごとの雌鶏でとった出汁に、椎茸香菜を加えた汁。盛る前に濾して雑味を取り除いた。淡泊に見えるが時間をかけてこそ出せる奥深い味わい。
対岸の君を訪ぬるに流れに逆らえば険し 流れに従えば苑として水の中央にあり
白石「確かにうまい」と言うも、詩の意味と前のお皿を見て何か察した様子。

流れに従えば目の前には呉漪がいるよという事なんでしょうか。詩をふまえて見ると、前の皿の椎茸が青菜な水の中央に位置しているように見えるような……。このスープが入った器、カワイイな。

詩経 国風 泰風 蒹葭』
蒹葭苍苍,白露为霜。
所谓伊人,在水一方。
溯洄从之,道阻且长
溯游从之,宛在水中央

白石「汁の味わいも格別でした。淡泊であるゆえにうまみが引き立っています。だが料理の名は「かつて経し大海を忘れず」では?」……と元稹『離思』を引用して水を拒否、大海=周瑩かな。この句は他の女性は目に入らないことを指す。

元稹(唐代)《离思》
曾经沧海难为水 ,除却巫山不是云。


③昨年中秋に摘んだ桂花で香りをつけたの蒸し物。
水なき潟の対の魚」【相濡以沫】

白石「魚料理の名は「荘子」によったのですね。だが荘子は「魚は干潟で情に生きるより、大海を自由に泳ぐそれこそが真の道だ、しがらみは忘れよ」と説いている。こだわりを捨てて自由に生きるほうがいい」とアッサリお断り。

(先秦代)『荘子/ 庄周』
泉涸,鱼相与处于陆,相呴以湿,相濡以沫不如相忘于江湖与其誉尧而非桀也,不如两忘而化其道

【相濡以沫】は前半だけだと「干上がった水の中、違いの唾液で潤し合う」という恋愛の意味合いで用いられるのだが、察した趙白石は後半も引用した、という事かな?

周瑩が「過去に戻りたい、呉聘がいる東院に来たばかりの頃、始まりのあの頃に」と言うと、「過ぎし日は名月のごとし」と言う趙白石さん。

崔涂〔唐代〕《夕次洛阳道中》
秋风吹故城,城下独吟行。
高树鸟已息,古原人尚耕。
流年川暗度,往事月空明
不复叹岐路,马前尘夜生。

趙白石は通州の陥落(通州兵败)、円明園の破壊、馬尾海戦での敗北があったと話す。
円明園の破壊はイギリスとのアロー戦争にて1860年馬尾海戦1884年 フランスとの清仏戦争にてである。通州の陥落は1900年の八国連合軍進軍のことかな?

45話の漢文

沈家の大奥様の襲撃を受けて、周瑩が呉聘を思って悲痛に泣く場面に心痛む。あんな優しい男性、亡くなったら一層、その優しさを思って忘れられなくなるよね。

沈星移は「ここにある私の心をお前に差し出す」と求婚、それがかえって周瑩の誰にも嫁がない誓いを引き出してしまうという……。

沈星移が茫然とて後ずさりしながら、ちょっと口の端で笑うその表情が好きだな。

趙白石は、「克とは己の私に克つこと 己の私に克てば天理に復する 塵垢を拭けば鏡自ら明るく、瓦礫を除けば居室は清められる」と朗読するも、部屋のものを投げまくる。

『卷四十一 論語二十三』
颜渊篇上
克是克去己私.己私既克,天理自复,譬如尘垢既去,则镜自明;瓦砾既扫,则室自清

 

46話感想

沈星移は自分の行動が周瑩を幸せにではなく、苦しみを与えていたことに気付いた!おぉ、星移が成長している。

「一生かかっても周瑩を妻にしてみせる」と誓う星移。周瑩が誓ったことで、他のムシが近づく心配もなくなったからか、上海へと商売で当てるべく出向いていった。

47話感想

この回はなんだか心に沁みた回。

鄭夫人が周瑩を信頼して「一番つらい時に寄り添い、私を支えてくれたのは周瑩よ、やりたいことがあるなら応援してあげたいの」と四叔父にキッパリ言うのも心強い。

機織り機を壊されるのは胸痛むが、周瑩の言葉に「働いて恩を返すぞ」となる秦さんたち職人さんたちもヨイな。

上海で人力車に乗っている沈星移、亨利飯店(ヘンリーホテル)の文字の前で求婚している外国人カップル。

破り捨てられた沈星移からの電報を拾って、周瑩に届ける春杏にも涙。呉聘がいた時に聞いたような笑い声に、周瑩の気持ちを察しているのが側にい続けた者ならではの心情があふれていて、目頭が熱くなる。

流れる挿入歌《简单而炽热的难忘》。周瑩も沈星移の思いが沁みてきており、切ないなぁ……。

おまけは周瑩に手を握られ呆けた趙白石を見て、職人たちが西洋人と触れたから「魂が抜けてる」と言い立てている場面!笑った~。

周瑩の度量の大きさと頼もしさに、リーダーシップの鑑を見る思い。こんな人には付いていくよね。

49話の京劇

呉漪が呉沢と趙白石の元に、魚の蒸し煮などの料理を届けている。
このお酒飲ませて涙目はドラマ『策略ロマンス』でも見た手口……。呉漪ちゃん、健気で好きなだけに、こんなやり方は取ってほしくなかったよ。
死んだ目の花婿、趙白石~~~。策をさずけた千紅、うっかり口を滑らせないでね。

京劇「花嫁が居室を出る/出绣房」。
《彩楼配》かしらと思ったが、どうなんだろ。薛平貴が王宝釧に気に入られて婿入りする段のお話。

鄭氏が「娘同然と思っているから、いい人と出会ったら忘れてもいい」と語りはじめるのが良いな。それならば沈星移からの文を読ませてあげてくださいな。

周瑩は丸い月を見上げて呉聘を思うも、降り注ぐ花びらが周瑩の手のひらに。まるで沈星移の思いがその手に受け止められたかのように。

50話京劇

杜明礼がお金を数えながら唱う。「人生世にいる時は春の夢のごとし」。胡咏梅にお金を貸してくれるよう頼まれるが、全財産がかかっており、それはできない杜明礼。

『貴妃酔酒』
杨玉环(二黄平板)人生在世如春夢

周老四はまたまた詐欺。詐欺も困るけれど、手癖がワルいお蔭で、胡咏梅の手紙も手に入れたワケで……。

51話の歌

周老四~~~。

胡咏梅散る、は予想していたけれど、共連れにするなよ~。死因は砒素だったのか。
周老四は助かり、元気になったら草原へ行くじゃアカンかったのかなぁ。
結構、ショック……。

周老四の「自分にとって価値ある人生を生きるんだ」の周瑩への励まし、良かったな。

周瑩の出自を、崇禎帝に腕を斬られた長平公主と言っていたけれど、実際は三原県 孟店村の農家の周家だったらしい。この先、この経緯も出てくるのかな?
崇禎帝は明の最後の皇帝で、李自成により北京が陥落する際、妻妾と娘たちを斬ったが、長平公主は腕を斬ったのみで逃がされた、という逸話がある。

周老四は京劇を唱ってくれる貴重な存在だったのだが。
小高い丘の上に立っている、あの娘はだれだろう

《陕北民歌》
对坝坝那个圪梁梁上 那是一个谁

「いつか別れは来る、数日早いか遅いかだけの違いだ」。それなら遅い方がいいよね。

周瑩と鄭氏の「親は旅に出る子供を心配するものなの」という関係も好き。

そういや呉漪は料理自慢だった。丹精込めて用意した料理を、食べないってそりゃ趙白石、地雷踏んどる。趙白石って、あまり食に興味なさそうだもんなぁ。呉漪の料理は手が込んでいて実に美味しそう。グルメな旦那さまだったら相性ピッタリだったのに……。

 

 

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『和華』第37号

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