笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「蓮花楼」「古相思曲」「ロングシーズン」「宮廷の諍い女」「月に咲く花の如く」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

宮廷の諍い女69話~75話感想/李白 清平調詞,上邪,戦国策 斉策, 長命女,女曰鶏鶏,子夜歌,論語顔淵,孟子

69話漢詩

陛下は第三皇子に、魏趙の直諫を暗記するように命じ、唐の太宗はどのようにして貞観の治を遂げたか問う、2年前には「貞観政要」を暗記していたのだが……。

甄嬛は第四皇子に「賢者こそが天子の任に堪えうるのよ」と言う。

朧月も成長し、甄嬛にアゴを触られてもニッコリしている間柄になってる~。朧月は第三皇子にも可愛がられているのね。対立が多い宮中で、兄妹仲が良いのはホッコリするよ。

第三皇子は瑛貴人に李白「清平調詞」「名花 傾国相歓ぶ」と一目惚れかしら。玄宗皇帝が楊貴妃と牡丹を愛でて李白に作らせた詞。第三皇子はどうも勘違いなポイントで、えらく瑛貴人に共感している感は否めないんだが。

李白『清平調詞』其三
名花倾国两相欢,长得君王带笑看。
春风无限恨,沉香亭北倚阑干。

瑛貴人は箏の名手で『高山流』を奏でている。中国の南の山水風景を描いた箏の代表的な曲。箏の名手ならば侍女の頃に、果郡王の笛と合奏した事もあったのかな。


第四皇子弘暦は、嫡福晋に1歳下で控えめな富察総管の娘、側福晋にウラナラ氏の青桜、弘暦が気に入っている穏やかで賢い高氏を迎えることとなる。『瓔珞』の高貴妃を思い浮かべ、お、穏やかで賢い……?となる視聴者たち。

敬妃は「柳の枝を折る」のは、陛下に長くとどまってもらうげん担ぎと話す。いや、それが叶わずに瓦を数える夜を過ごす羽目になったのでは……。「迷信です」とバッサリな瑛貴人の方が正解のような。

あの果郡王が切り絵の袋を落としたのは、玉隠の策略だったか。寧嬪は果郡王のことになるとコナンくんになるね。

宮中の妃嬪が点心を好むのは、心が苦いから甘さを補っている……。ついお菓子を食べてしまうこなたもそうなのかしらん。

甄嬛は身ごもった孟靜嫻に「疑心は鬼を見せる、あらぬ妄想を生むだけ、考えないのが賢明だと」と忠告。

第三皇子は、楽府詩『上邪』「我君と相知り 長命絶えざらんと欲す」を何度もくり返している。この句のあとには、起こりえない自然現象が生じても別れないと描写されており、相思相愛ならば微笑ましいが、第三皇子のように一方通行だとストーカーじゃん案件。

楽府詩『上邪』
上邪,我欲与君相知,长命无绝衰。山无陵,江水为竭。冬雷震震,夏雨雪。天地合,乃敢与君绝。
神さま!あなたと結ばれたい、永久に切れることなく
川合康三「中国名詩選 上」2015年 岩波書店

瑛貴人を追いかける第三皇子を見ていると、安嬪の媚薬のせいとはいえ「我慢できなかった」と言っていた陛下しかり、雪の中で転げまわる果郡王と言い、この血筋は大丈夫なのか?と思ってしまうよ。

70話感想

瑛貴人はあっさり自害させられる。皇族の名誉を守るためとは、瑛貴人はずいぶんなとばっちり。他の妃嬪はせいぜい冷宮送りだった事を思えば、瑛貴人が侍女上がりで後ろ楯のないのも関係してるよね。そして敬妃が動くと大体ロクな事にならない……。

「姉上が姉上を追ってる」から「皇后、皇后を殺す」は、見初められて嫡福晋となった純元皇后は難産で死んでいったことから、側福晋だった皇后が純元皇后を殺したことだと気付く甄嬛。それを耳にしていた朧月、大丈夫?

そんなタイミングで懐妊する甄嬛、そして体調が優れず産み月までもたない甄嬛をまたもサポートしなくてはならない温実初は不憫が過ぎる。

眠れぬ時に朕が添い寝したら、身体に障りますよ~。安嬪の妊娠の出来事が再び繰り返されている……。

71話感想

スゴい!
皇后が陥っている状況が、かつて自分がしてきた事の裏返しすぎてスゴすぎる回!

皇后は罠とわかっていても甄嬛の元を訪れ、ふたりきりとなり、振り払っただけなのに、まさか甄嬛が自ら子を犠牲にして、その首謀者とされてしまうという……。

この回だけは自分が謀ったのではないのに、陛下からは断罪されて聞く耳持たせてもらえぬこの悔しさ。陛下はその時々の時勢に乗じて、物事を判断するからねぇ~。元々、公正じゃないもんね。

皇后は、斉妃の死・寧嬪の体・富察貴人の流産・甄嬛の初子の流産……と散々やってきてるしな。そして熹貴妃につけられた因縁を陛下から問われたけど、心当たりありすぎて陛下には言えないという~。

朧月ちゃんも甄嬛劇団の子役として立派に責務を果たしている。そうか、朧月は自分の生母と実姉を奪われているワケなのね。

唐の高宗の側室 則天武后が自ら赤ん坊を殺し王皇后になすりつけたのと一緒。なるほろ、それで第69話で貞観の治とか言っていたのか。

 

第三皇子がいる限り皇后も復活できると聞いて、早速、第四皇子が第三皇子に吹き込む……。そしてうかうかと陛下に意見する第三皇子。しかも第八皇子に第十四皇子と、コントなのかと思う位も陛下の地雷を踏みまくっている。もはやおバカすぎて確かに皇太子から外れた方が国のためだろうと思えるレベル。斉妃を思い出すが、そんな斉妃に産ませたのも皇后だし、その第三皇子の母になったのも皇后だし。

今は保身こそが大切な時期と、皇后自体は状況判断できるのだが、周りはそこまで見極められないという、チーム皇后の弱点がここへきて露呈。

皇后の「自分が養育すれば皇后として返り咲くことができる」宣言に、煎秋が唖然としているのかと思いきや、主が辱めを受けたと独断で画策していたよ。寝耳に水で侍女がやらかし、これまた自分の策だと思われる皇后。自分ならこんな拙い策は取らない!と言いたいだろうが、言えないしね。

スゴすぎる。

第六皇子 弘曕は果郡王の妻 孟靜嫻の子に懐く……さすが子供は鋭い。鶴頂紅の毒を服薬してしまい、孟靜嫻は亡くなるが男児は出産する。なるほど、こう来たのね。しかし、こんな皆が聞いている中で、果郡王を酔わせて子を授かったと言わんでもええのよ。……となると、酔った果郡王がうわごとで甄嬛の名を出した可能性もあるってことか。だから第69話で孟靜嫻は甄嬛に絡んでいたのかな。

 

皇后が失脚するのはわかっていたけれど、その方法が流れるようにお見事!

72話感想

純元皇后が害されたのは、芭蕉(血行促進の効能がある)と桃仁(胎児に害がある,杏仁と味が似ている)ゆえだった。江福海が洗いざらい喋ったそうな。

皇后は輿入れの時に決して離れないようにと、陛下から対の腕輪を贈られていた。嫡福晋と嫡子の座を奪われた思いが強かったのか。皇太后の遺言と純元皇后の言葉もあり、「景仁宮から一生でてはならず、死んでも見えぬ」とお達し。庶民に落とされ冷宮送りよりはマシなのか。

蘇培盛に、蝉がうるさいので捕まえてくるように言われる小厦子。ジュンガル部が40万を率いて雁鳴関に迫っている。遣わした岳鐘琪傅爾丹は暑さに弱い。新しいハーンとなった磨格が接見にとやって来た。

果郡王は摩格に「君子は敬して失うことなく、恭しくして礼あらば、四海の内皆兄弟たらん」と返す。兄弟を害してきた陛下は君子じゃないってか?とも取れなくもない。

論語 顔淵第十二の五』
司马牛忧曰:“人皆有兄弟,我独亡。”子夏曰:“商闻之矣:死生有命,富贵在天。君子敬而无失,与人恭而有礼,四海之内皆兄弟也。君子何患乎无兄弟也?”

臘月が叩き割った玉の環は、金は玉の陰気を減らすので金鑲玉の環を作ると言っている。この解決方法は斉の君王后と同じ。

『戦国策 斉策六』
秦始皇尝使使者遗君王后玉连环,曰:“齐多知,而解此环不?”君王后以示群臣,群臣不知解。君王后引椎椎破之,谢秦使曰:“谨以解矣。”

陛下に橙酒を勧める蘇培盛。

73話漢詩

漢の元帝王昭君との話を引き合いに出し、熹妃を娶りたいと申し出たらしい摩格。

甄嬛は果郡王を横にて、陛下に言う。明らかに果郡王に向けて伝えた心情よね。
馮延巳『長命女』「春日の宴 緑酒一杯に歌一遍 再拝して三顧を陳ぶ 一に願う夫の千歳 二に願う私めの常健 三に願う梁上の燕のごとく長く相見えん

冯延巳(五代)《长命女·春日宴》
春日宴,绿酒一杯歌一遍。再拜陈三愿:一愿郎君千岁,二愿妾身常健,三愿如同梁上燕,岁岁长相见。

陛下は甄嬛に「そなたの心は朕の元になければならぬ」と言い、甄嬛は槿汐に「陛下に情けを求めるのはうぬぼれというものよ」と言う。

朧月は『孟子』「孟子いわく君子に三楽あり、王たるは与り存せず。父母ともに存し、兄弟ことなきは一の楽。仰いで天に恥じず、人に恥じざるは二の楽。天下の英才を得て教育するは三の楽」、父上や母上に孝行し兄弟を大切にしたいと訴え、陛下を諫める。
賢い、賢すぎるぞ、朧月ちゃん。同じ兄妹でこの差はやはり母親の差…(自粛)。

孟子
君子有三乐,而王天下不与存焉.父母俱存,兄弟无故,一乐也;仰不愧于天,俯不怍于人,二乐也;得天下英才而教育之,三乐也.君子有三乐,而王天下不与存焉

端貴妃が陛下に侍っておられる~~~。

果郡王は親王に、慎貝勒は慎郡王に封じられる。

赤とんぼの季節、果郡王が帰京、甄嬛は公然とそんなに泣いていて大丈夫なのか?

74話漢詩

陛下は果親王が甄嬛に恋慕している事よりも、皇位を狙っていると疑っているのか。十七弟は先帝に最も愛され、詩書も弓術も直伝で陛下より勝っており、皇太子にと考えていたとか。それを覆した負い目と脅威と羨望があるのね。陛下とは十三弟と十七弟だけが親しかった。

親王は蘇軾『水調歌頭』を詠む「人の情長久に 千里嬋娟を共にせんと」蘇軾『水調歌頭』第60話でも出てきた詞。
終身を誓い 永結好しとする」。【终身所约,永结为好,琴瑟再御,岁月静好】

甄嬛は「琴瑟の和を守り、歳月平穏であれ」。

詩経 国風 鄭風 女曰鶏鶏』
女曰鸡鸣,士曰昧旦。子兴视夜,明星有烂。将翱将翔,弋凫与雁。
弋言加之,与子宜之。宜言饮酒,与子偕老。琴瑟在御,莫不静好
知子之来之,杂佩以赠之。知子之顺之,杂佩以问之。知子之好之,杂佩以报之。


合歓の花
は、果親王 母の好きな花で先帝が桐花台を建てる時、窓に施させた。合歓には「永遠」、「心が合えば歓ぶ」という意味がある。

親王が杯を飲みほし、甄嬛が飲むと……毒は果親王の杯に入っていた。

副皇后の勅命を受ける甄嬛。足を傷めるが、驚鴻の舞は愛する人のために踊るものと言う。

浣碧は果親王を追ってゴン死。

夏刈が率いる粘竿処は、別名 血滴子といい、陛下のために密偵や暗殺を行う。

甄嬛と陛下の間に流れる寒々しい空気。

寧嬪

75話感想

寧嬪は媚薬と辰砂を所望、丹薬には硫黄と水銀が含まれ辰砂と一緒に服用すると衰弱する。

張延玉は「主が幼く母が強ければ、漢の呂后のように朝廷を乱す、漢の武帝のように先手打ちし母親を排除すべし」と上奏。

凝暉堂の合歓の木が切られた。果親王が15歳の時に先帝より幸あれと賜わったもの。不眠を治すため合歓を煎じると、寧嬪のところに何本か移植されている。寧嬪は「簡単に許さぬことです」と言って去り、甄嬛は「焦らないで」とひとりごつ。

甄嬛と端皇貴妃との挨拶は、両手つないでのスクワットなのはナゼ?


甄嬛は陛下に言う「郎の膝上に婉伸し、可憐ならざらん」。

《子夜歌》
宿昔不梳头,丝发披两肩。
婉伸郎膝上,何处不可怜

陛下に「孫応答が侍衛と私通~」で衝撃をくらわせる甄嬛。母とロンコドが抱き合っているのを見て嫌悪感を抱いている陛下。

倒れた陛下の療養を妨げたら容赦しないと言う甄嬛は、華妃の迫力を思い出すなぁ。
(つづく)


終盤に来て大活躍しているのは寧嬪なので、画像は寧嬪のフィギュアを載せてみた。馬付きで凜々しい寧嬪。

 

 

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