笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「蓮花楼」「古相思曲」「ロングシーズン」「宮廷の諍い女」「月に咲く花の如く」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

宮廷の諍い女63話~68話感想/詩経 柏舟,山重疊金明滅,永懐賦

63話感想

後宮裁判、熹貴妃を擁護する~端妃・敬妃・欣貴人・寧貴人~の心強いことよ。

慎貝勒 允禧に「福々しい限り」と言われている祺貴人がオモシロすぎる。慎郡王 允禧って、『瓔珞』第23話に出てきた人だ。

なんだかアヤシイ血液診断、いきなり熹貴妃が蘇太監の血を混ぜるのに笑っちゃったよ。その蘇培盛も崔槿汐の拷問がかかっているだけに、「子をなせぬ者が父親になれましょうか」と追随するのにもナイスボケ賞よ。明礬を加えると混ざり、清油を混ぜれば混じらない……メモメモ。

端妃の「皇后であれば何が不満でしょう」がここぞとばかりに効いてくる、さすが端妃さま。

安嬪の静白への処罰は、声を奪われた恨みも込められているのかな。しかし陛下の前で厳罰を求めてロクな事にならなかったのは、曹貴人でも立証済み……。

安嬪がちくちくと言っている辺りは、さすが皇后仕込みと思っていたが、沈眉荘まで巻き込むのはあかんぞ。

そして妹 玉嬈(徐璐)の存在が、陛下に気付かれちゃったようぅ。無邪気な気の強さで可愛いし、キャスティングが絶妙よね。

64話の漢詩

「朋友の死」、あまりにタイトルがネタばれすぎなのでは……。
なおも追い詰められた温実初は、自ら太監と成り果てる……。

沈眉荘は娘に「静和」と名付け、いまわの際に幸福感を味わいながら、温実初の腕の中で……。漢気のある沈眉荘、流れる挿入歌《菩萨蛮.小山重叠金明灭》と回想場面は凛としていてステキだった。

小山重畳し 金明滅する、鬢の雲 香腮の雪にわたらんと欲す、ものうく起きて娥眉を描き、化粧施すも梳洗遅れる、花を照らす合わせ鏡、花面こもごもあい映る、新しき帳 羅襦に繍する、つがいの鷓鴣
名前の眉荘はここから来ていて、案外と温侍医の姓名である「温」はこの温庭筠からだったりして……。

温庭筠(唐代)《菩萨蛮·小山重叠金明灭》
小山重叠金明灭,鬓云欲度香腮雪。
懒起画蛾眉,弄妆梳洗迟。
照花前后镜,花面交相映。
新贴绣罗襦,双双金鹧鸪。

 

玉嬈は慎貝勒に「縫ってる時に話をすると怖い妻を娶ることになる」っていうのがあるの? そしてムカデのような縫い目となwww

安嬪、沈眉さんへの嫉妬でなくて、甄嬛憎しからなの? 甄嬛が悲しむと溜飲が下がる……病んでるなぁ。

妹 玉嬈に崔白の『秋浦蓉賓』を贈る陛下。崔白さんと言えば『孤城閉』~。第48話に出てきた崔白から董秋白に贈られて、張妼晗に見つかっちゃったあの絵ですよ。
玉嬈は慎貝勒 允禧と一緒に絵画を楽しんでいたけれど、そんな屋外で立って名画を見るの?退色しない?と思ってしまった。

玉嬈は「雁は忠貞の鳥」と、元好問『雁丘』「雲重なり、千山の暮雪 影は誰へ向かう」で慎貝勒 允禧と意気投合。

元好问《摸鱼儿·雁丘词》
君应有语:渺万里层云,千山暮雪,只影向谁去

『山河令』第6話でも出てきた詞ですネ。
フレッシュなふたりで良いな。

65話感想

あの切り絵で甄嬛とわかる鑑識眼が、いまひとつ分からないこなた。

寧貴人は甄嬛の味方だけれど、浣碧には「いつも杜鵑草ホトトギス)を挿しているけれど、好きな花は杜若だったの?」と鋭くツッコむ。せっかく浣碧の助け船があったのに、陛下に余計なこと言っちゃってるよな果郡王。

浣碧を鈕祜禄家次女とし、孟静嫺と同時に果郡王の側副晋に、と勅命がくだる。これで史実の果郡王の嫁事情に追いついたのね。
陛下が「皇族の婚礼に真心は必要ない」と言う一方で、甄嬛は「真の情こそが一番大切よ」と言うこの対比……。

相変わらず外で会っている甄嬛と果郡王。人に見られやしないかとハラハラするわ。

浣碧の名には玉と女の文字を付けようとするが、実子との区別を付けるため、女が付かない。玉沁・玉隠・玉喬から選んだのは玉隠。側副晋だから原色の赤ではないともらす浣碧。足らない不満を数えてしまうタイプなのね。

浣碧を送りだす甄嬛の顔は穏やかで、妹や家族への思いが感じられるね。貴妃にならなければ、両親も都へ戻って来られなかったワケだし。

寧貴人が「あなたなら彼も幸せだった」と、果郡王のことを理解しているのがさすがである。甄嬛の周りには、大切なことを理解している心強い味方が多いね。

それにしても同時に婚礼って、全方向にどんな嫌がらせなんだ。自分の方に来てくれて「やはり心に私が?」と思えるポジティブ浣碧。一応、七年越しに晴れて婚礼を挙げたという表向きになっていたし、事情も分かっている分、酔い潰れても気を使わずに済むというのもありそうなんだけど……。

66話漢詩

陛下が突然、玉嬈の名前を玉婉に変えると言う。そんなのイヤだわね。
張華『永懐賦』「麗しき姿を揚げ、娩なる情を抱く」と、朕:美人を褒めた一句、
玉嬈は「淑人の妖艶を賛美する」と、追悼の詩で自分はまだ生きていると反論、
甄嬛は「恵余りて歓びに至り、また我と同心を結ぶ」、亡き妻を偲んでいると言う。

张华〔魏晋〕《永怀赋》
美淑人之妖艳,因盼睐而倾城扬绰约之丽姿,怀婉娩之柔情。超六列于往古,迈来今之清英。既惠余以至欢,又结我以同心。交恩好之款固,接情爱之分深。誓中诚于曒日,要执契以断金。嗟夫!天道幽昧,差错缪于参差。怨禄运之不遭,虽义结而绝离。执缠绵之笃趣,守德音以终始。邀幸会于有期,冀容华之我俊。傥皇灵之垂仁,以收欢于永已。

陛下は玉嬈に鴛鴦の玉佩を贈る。
そりゃ、好みの顔で、亡き純元皇后に年齢の近い若さで、この切り返しができる女性ならば、傍に置きたくなっちゃうわよね。朕が思い留まったのは懐古塔送りにした罪悪感もあったのかな。

祺貴人を庶民に落とすという処分が下されたのに、蘇培盛は殴り殺させるという、意外な一面を見せる蘇公公。槿汐が巻き込まれたのを恨んでか。

浣碧も夫人となってキレイになったね。でもやっている事は相変わらずで、果郡王の美しい侍女 采蘋を陛下の元へ送り込む。心配しなくても果郡王は甄嬛以外の女性は眼中にないよ。

甄嬛が安嬪に「牢獄の鼠」の事を触れた~~~!知っていたのか。こ、コワイ。
そして甄嬛が安嬪に「シーッ」をする場面。
もはや悪女な甄嬛なんだけど、美しいわ。

慎貝勒 允禧は「我が心 石にあらずば転がせず」と、玉嬈への気持ちを宣言。
ちょっと可笑しいのが、その直前の【亦有兄弟,不可以据。薄言往愬,逢彼之怒】のくだり。兄の果郡王は親身になってくれたけれど、允禧ともうひとりの兄である陛下の関係だと思うと、この詩を引用した允禧の心情が伝わってくるようだ。

詩経 国風 邶風 柏舟』
(略)
我心匪鉴,不可以茹。
亦有兄弟,不可以据。
薄言往愬,逢彼之怒。

我心匪石,不可转也
我心匪席,不可卷也。
威仪棣棣,不可选也。
(略)

わたしの心は鏡じゃない。何でも包み込むなんてできはしない。
兄弟はいるにはいるけど、頼りになんてなりはしない
行って泣きついてみたところで、きっと怒られるに決まってる

わたしの心は石じゃない。転がすなんてできはしない
わたしの心はむしろじゃない。巻き上げるなんてできはしない。
ふるまい、態度は堂々として、どれと一つを挙げるまでもない。
川合康三「中国名詩選上」岩波書店

 

甄嬛も「神女に拒まれた楚の襄王」を持ち出してやんわりと拒む。お、曹植が詠んだ『洛神賦』かしら。そういえば曹植の弟、曹丕(文帝)の甄后がモデルという説もあったと、『瓔珞』第21話で調べたっけ。甄という姓はここから来てるとか?

淇奥』を奏でる玉嬈。心に慕う君子がいるのかと問われる。玉嬈は「愛する殿方の唯一の妻になること」を望む。それは甄嬛も同じ思いだったね。

陛下は、多羅格格並みの格式で嫁がせ、熙太嬪は太妃に昇格となる。おぉ、良かった良かった。甄家の三姉妹が皇家に嫁いでいるというのはスゴいね。

やはり皇后が姉の純元皇后に手を下していた!

67話感想

いまわの際に十四皇弟に会いたがる太妃、「早く眠り、大きくなれ、弓を引けるほどに」と叱咤はされど子守歌を歌ってもらえなかったと恨み節な陛下。不意に『卿卿日常』の第六皇子 尹峥を思い出していた。生母である和夫人とわだかまりがあったよね。

甄嬛が陛下に蓮の羹を届けるのは、安嬪の漢詩『江南』を見てからはコワイよ~。蓮の葉は日の出前に摘み、蓮の露は去年集めたもので煮詰めたという、なんの比喩なのよ、コレ。蓮根と桂花の茶菓子は沈眉荘の得意だったお菓子。

「粛」には敬という意味、「文」には従順で礼儀正しい意味もあるが学をなした者を称える、「儷」は夫妻を示すにんべん抗儷の意味がある。歌にも舞にも秀で、黄鸝のように従順で、雌雄仲の良い鳥だと「鸝」を勧める甄嬛。皇后に値する封号だとか。言葉巧みにディスっとるな。

昇格に追封と大盤振る舞い、花を剪定する甄嬛は、必要な枝は残し、不要な枝は切る、と後宮の剪定に余念がない。

端妃:皇貴妃、敬妃:貴妃、安嬪:鸝妃、欣貴人:欣嬪、寧貴人:寧嬪、瑛常在:貴人。采蘋、スピード出世ね。チーム甄嬛の層の厚さよ。

甄嬛が敬貴妃や欣妃を連れて、鸝妃のお見舞いに来ている時の、笑みを浮かべながら釘を刺しまくり空っ惚ける様子と言ったら! この毒気だけで体調が悪くなりそうだ。

衛侍医の、媚薬(依蘭と蛇床子)を嗅いで興奮する様子が笑える。

68話感想

甄嬛は百合をなんのために贈っているかと思いきや、朕をガオー化させるためとは恐ろしい。安嬪(鸝妃)も通常なら気付いたかもしれないけれど、体調が思わしくないからか、百合の香りが強いから振りかけられていたのを見落としたのか。甄嬛は陛下に子を失う痛みを味わわせる意図もあるのだろうか。

かつての甄嬛はと同じ状況になって、安嬪(鸝妃)は「元気になれば、また利用され闘わされる。疲れ果ててしまった」と、同じ心境になっているのね……。

端貴妃が安嬪(鸝妃)追い落としの先鋒になっているあたり、昇格させた辣腕が効いている。

そしてココで舒痕膠を持ってキター!!今日も甄嬛劇場は大当たり。

安嬪(鸝妃)の母は蘇州の裁縫職人で、父は香料売り、母の貯めたお金で下級官職を買い、側室を大勢迎え、正直者で目を患った母は馬鹿を見て、最期も父は看取りもせず。思っていたより出自が低かった安嬪(鸝妃)。あれこれ言っていたけれど、自分は踏み台にされる中、高貴な出身で美しい容貌を持ち寵愛されたという、自分が望むものを持っていた甄嬛がまぶしすぎて憎くなったのか。

「皇后……皇后を殺す」と叫び、許してと言う安嬪(鸝妃)。主題歌が流れる中、杏仁を口にした安嬪(鸝妃)は亡くなる。

散ってしまった安嬪(鸝妃)。
その散り様になんだか涙してしまったよ。

 

 

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