氷中の蝉が興味深かった回。
18話漢詩
梨花林には、相思梨花陣が敷かれている。互いに思い合いながら(李蓮花と)別れる……という意味かしら。そして李蓮花と別れるのは誰?とも、思ったりもする。
笛飛声がバンッと手を地面に打ちつけて、花がブワッと舞い飛ぶ場面がカッコイィ。
角麗譙が喬婉娩に放った毒は、「氷中蝉 雪霜寒 揚州漫で解毒す/氷中蝉 雪霜寒 解其毒 揚州漫」で氷中蝉の毒。氷中蝉と雪霜寒が合わさると毒性を増し、肺腑に至ると半刻で凍りつき絶命するが、純粋な陽の内力は臓腑を守り、毒を薬効に変える。揚州漫は李相夷だけの内力。
李蓮花は鶴頂紅の毒性で氷中蝉の寒毒を制したのち鍼灸で肺腑に導くと、寒冬梅 新春李 夏末荷 早秋菊の花を各60本用意するように言う。
氷中蝉が気になり調べていると、【氷中蝉 雪霜寒】に関連したようなものが見つかったので紹介してみる。ドラマに関連しているかは不明なのでご容赦を。
《相思疾》
九叶重楼二两,冬至蝉蛹一钱,煎入隔年雪,可医世人相思苦疾,可重楼七叶一枝花,冬至何来蝉蛹,雪又怎能隔年。
殊不知,夏枯即为九重楼,掘地三尺寒蝉现,除夕子时雪,落地已隔年。
相思亦可解,过了离别时。过了离别时,还解相思否。
记挂之忧忧心房。相思之愁愁断肠。魂牵梦萦萦不回。望眼欲穿穿胸膛。
これは恋わずらいの苦しみを癒す薬を詠ったもので、9枚の葉の重楼、冬至の蝉のさなぎ、年を隔てた雪など(有り得ないもの)で治すと言っている。
九叶重楼が分かりにくかったが、重楼(Paris polyphylla)は別名、七葉一枝花と呼ばれる植物。9枚の葉の重楼はないが、夏枯草(カゴソウ,ウツボグサ)は花を咲かせるとすぐに枯れて九重塔のような花穂(九叶重楼)となる。蝉は三尺掘る、大晦日から年を越せば翌年だ、と、離れている時が過ぎることが苦しみから逃れる方法なのだとか。
喬婉娩の病を治せるのは、李蓮花の揚州漫……は、もう揚州漫が有り得ないものなのか、とか、ふたりの再会などを考えると、なんだか物悲しくも思えてくるのだ。
回想で、喬婉娩の好物である桂花糕を贈る李相夷、その結び目は李相夷独特のもの。
あのお香は、無心槐で作る迷香で、南胤で2番目の秘術。
李蓮花は李相夷になると、雰囲気も変わるのね。かつて李相夷だった頃のふたりを「幼い2人の真似事」と言うのは、ホントなら良いけれど、そうでないなら余計に喬婉娩の気持ちが吹っ切れなくなるのでは……。
李相夷は豆平糖好きだった。
閻王尋命は、単狐刀からの決闘状を受け取るが、約束の地に行くと既に死んでいたと話す。
19話感想
決闘状は単狐刀の筆跡ではなかった。笛飛声が一品墳から奪った木箱は、南胤公主の嫁入り道具だったが、笛飛声の目的は観音垂涙。10年前に雷火弾を買ったのも南胤人で、四顧門と金鴛盟を爆破した。そして角麗譙も南胤人。
肖紫衿が四顧門の盟主となる。壬子年8月25日付けの布告。
黒衣装の封磬が現われる、噂の新勢力な万聖道か。
李蓮花の座る時の仕草で、かつての李相夷と重なる肖紫衿。喬婉娩曰く、李相夷は金遣いも人使いも荒かったの。やり手ワンマン社長みたいな感じだったのね。
喬婉娩たちを祝福して山を下りた李蓮花の前に、あらわる犬……じゃなく方多病は癒し。李相夷の強火推しな方多病に、四顧門設立の思いを理解されているよ。李蓮花は「新たな友」として方多病と杯を交わす。方多病の実母も氷片を持っていた。
角麗譙がいそいそと笛飛声の為に手料理を作る姿は、中国ドラマで奥さんがよくやっているヤツ。13年仕え、望みは「主君にとって最後のただ1人の女子」になる事と、健気なのか悪辣なのか振り幅が大きい。そして角麗譙は南胤皇族の末裔だった。
単狐刀には四虎銀槍という4人の側近がいた。薬を煎じて扇いでいる李蓮花がなんだかカワイイ。李蓮花を見る喬婉娩の目つきの違いと気付くとは、方多病も観察力があるわね。
なんだか李蓮花・笛飛声・角麗譙で、江湖を巻き込んでジャンケンしているみたいだな。
20話感想
あ、笛飛声の部屋でお香が焚かれている。角麗譙の主、とやらが覆面マントで現われ、笛飛声の体内に無心槐を注いだ。大量に使うと記憶を失うらしい。
川に落ちた笛飛声を拾ったのは、都合良くあの四虎銀槍 劉如京。
街中でふかしたての饅頭が売られている。死人を扱い視力に乏しい劉如京に、笛飛声は冥婚の相手として売られようとしていた!それで赤い衣装を着ていたのか。
一寸紅に雪里剣、蕭飛刀は18に切断され3切れだけ拾われている。
単狐刀の骸には無心槐の切れ端が付着していた。李蓮花は方多病に、笛飛声のことを「安心しろ、この世で最も役立つ助っ人になる」と話す。この少年・笛飛声(徐嘉希)《国术少年》がカワイイな。
笛飛声は記憶を無くしていても、「人を助け悪を除く」という言葉には違和感を覚え、「主」についても「その単語がどうしても言えぬ」となるのに、李蓮花には「お前には生きてほしい」となるのね~~~。
食べ物を箸で奪い合う笛飛声と方多病に和む。
単狐刀は「金鴛盟が南胤の復国を支持し、中原を害そうとしている」と、4人の豪商の子孫を捜そうとしていた。一品墳では奇門の陣のせいで中に入れずあの世に……。
料理を作ったのが笛飛声かと思いきや、蘇小慵がやって来た。南胤の文字を読め、金半山と解読。元宝山荘に繋がった。
南胤の邪神 燧弇(すいえん)は左手に無心槐、右手には修羅草を持ち、頭上には「汝の躯を燃やし、汝の魂を駆り、我燧弇を祭れ、業火天を焚く」の文字があり、南胤三大秘術の筆頭である業火虫で、千万の邪兵を集め西南7国を滅ぼし南胤を建てた。4つの天氷で羅摩鼎が開く。
漫山紅は、毎年紅葉になると玉楼春は6人の奇人を酒席に招く。
角麗譙が笛飛衿大好きであれこれ画策しているのと同じで、肖紫衿は喬婉娩大好きで、四顧門を乗っ取ったのかしらん。なんだかハタ迷惑なハナシだな。
そして語られる李相夷は、大侠にしては意外とワンマンさが語られており、なんだか現代のIT企業の社長みたいだね。そんなかつて大成功していたワンマン社長が、不治の病なり人生を見つめ直し……みたいなカンジに見えてきた。
21話感想
四顧茶会にて、四虎銀槍の棟梁 何璋が現われ、単狐刀の部屋にあった青石の碁盤を破壊、中から朝廷からの黄色い文を取り出し、李相夷が単狐刀を殺したと言う。
李蓮花と喬婉娩のやり取りを見ていた笛飛声が、「私の素性を教えるならさらってきてやる」というのがね(笑)。笛飛声は記憶を無くしていたんだっけ。事情を知らない方多病や笛飛声が見てもふたりの関係をあれこれ言うのは、ふたりにはそういう風情が漂っているんだろうなぁ。
李相夷が最も好きな詩は「酒で借りを作れど、剣は無駄に振るわず」。
なんだ、ソレ。
玉楼春から漫山紅への招待状が届く、日付は壬子年9月19日。
あっさり馬車で離れ離れとなり、笛飛声はしばらくお休みか。
奇人たちが勢揃い~は、第22話に並べて整理してみた。
女宅の家宰 碧鳳がお出迎え。
流金延年松は、一株育てるのに100年かかり、趣向をこらすには3世代かかる。
(つづく)
外部サイト
|
|
|
|