中国ドラマ『寧安如夢~宮廷にふたたび舞い降りる愛~』がWOWOWにて2024年9月25日より毎週2話放送で始まった。全38話。
中国語タイトルは同じく《宁安如梦》、英語は《Story of Kunning Palace》。kunningは狡猾な・抜け目のない等の意味。
悪役皇后な姜雪寧(白鹿)が転生して、今度はまっとうに生きようとするいわゆるなろう系物語。そこにブラック・リンホー君と言われる謝危(張凌赫)が関わり、果たして物語はどの方向に?
悪役皇后転生と言えばドラマ『古相思曲』を思い出すけれど、あちらは男主小説家が転生しているので全くイメージは異なる。
なんとなく政治面での動きはドラマ『楽游原』のような感触なんだけど、監督はドラマ『長歌行』の朱鋭斌なのだとか。そういえばそんな感じも。
漢詩を中心にまとめています。
1話の漢詩
皇后が追い詰められているのは景煦3年3月28日、最後に皇后が望んだのは張遮のこと。
現代の作家 姜寧の元から蝶がひらひら舞っていく。
転生した先は姜雪寧が18歳の万貞20年。
謝危が乱闘する燕臨と薛燁に言う「君子争う所なし」。
姜雪寧は侍女たちの盗みにお灸をすえるために、『詩五冊』を手に取り、姜雪寧の父に見せていた本の中の詩。「寒雨 江に連なりて夜 呉に入る、平明 客を送れば 楚山 孤なり」
王昌龄《芙蓉楼送辛渐二首(其一)》
寒雨连江夜入吴,平明送客楚山孤。
洛阳亲友如相问,一片冰心在玉壶。
その左には
《闺怨》
闺中少妇不知愁, 春日凝妆上翠楼。
忽见陌头杨柳色, 悔教夫婿觅封侯。
『春宮曲』ともある。
昨夜风开露井桃,未央前殿月轮高。
平阳歌舞新承宠,帘外春寒赐锦袍。
侍女の王さん(王佳寧)は『明蘭』大奥様の侍女 房さんだ。かつては怒鳴り散らすだけの姜雪寧で、現世の雪寧が敢えてそうすると、侍女たちが「やっと元に戻ったわね」と言うのがオモシロい。
2話感想
転生した姜雪寧にも、謝危と燕家の関係については分かっていない。燕臨の父 勇毅侯 燕牧(张兆辉)《择天记》教宗大人だ。姜雪寧の父は燕臨にとって伯父。
姜雪寧は長公主 沈芷衣を回避し、皇后の女官 尤芳吟(汤梦佳)《卿卿日常》阮思思に会いに行くと、尤芳吟は監禁され池に顔を突っ込まれ、こんなにヒドく虐げられていたのか。2026.3.31追記
3話感想
長公主 沈芷衣(刘些宁)《墨雨云间》姜若瑶が菊花宴へと定国公の娘 薛姝(叶晞月)《沉香如屑》月瑶仙君と共にやって来て、姜雪寧は沈芷衣の傷跡に桜の化粧を施し、すっかり気に入られちゃう。皇帝は燕家の断罪を目論んでおり、謝危はそれを回避したい。
4年前の姜雪寧が謝危を助けつつ、彼の大切な琴をぶっ壊すのが豪快すぎて笑ってしまった。
燕臨との重陽節の提灯祭りイベントが発生、飴や鬼蓮の実を食べている。
謎解き「風がないのに蓮の葉が動く」(无风荷叶动 打一字)→「衡」。無風で蓮の葉が動くのは何らかの外力が働いており、衡という字は「人」「魚」「行」という字に分解でき、人や水中の魚によって蓮の葉が動く、ということらしい。
「私は好かれない存在」と嘆く姜雪寧に、「婉娘が帰したのは愛があってこそ」と慰める燕臨がホント、イイ奴。でも姜雪寧には親友ポジ。
興武衛の百戸 周寅之(王子腾)《一笑随歌》陆珂が登場~。2026.3.31追記
4話の論語
燕臨は姜雪寧のために松の実や高価な琴(蕉庵)を贈っている。
姉 姜雪蕙(喻鐘黎)《逐玉》齐姝と臨孜王 沈玠(周大为)の出会い、意外と身のこなしが武闘派だった臨孜王 沈玠。周大為って『君花海棠は紅にあらず』光緖帝か。2026.4.4追記
謝危が姜雪寧のために試験問題を見ようとした燕臨に言う。
「詩三百 思い邪なし」。
孔子『論語 為政第二 一』
子曰:诗三百,一言以蔽之,曰:思无邪。老先生の教え。詩三百篇(は多種多様であるが)、一句で断定すれば、<こころのままのまっすぐな表われ>である。
加地伸行「論語」2009 講談社
5話の論語
なんとか入宮を回避したい姜雪寧だが、そうは問屋が卸さず~。
入宮するための試験対策として、姜雪寧は『儒文二十編』の第3編と第6編をよく読むべきと周囲に助言している。
「子いわく 三軍も師を奪うべきなり…」
孔子『論語 子罕第九 二十六』
子曰:“三军可夺帅也,匹夫不可夺志也。老先生の教え。三軍の多数の兵がいても、(心が一つでなければ)その司令官を奪い捕えることができる。しかし、一人の男といえども、(心が堅ければ)その志を奪うことはできない。
加地伸行「論語」2009 講談社
姜雪寧の解答は、『留侯論』や『戦国策』からの答案だと指摘する謝危。
6話感想
庭に花がないことを燕臨に言われ、姜雪寧が「夾竹桃でも植える?美しいけど猛毒よ」と。夾竹桃ってそんなに危ないの?と思ったらホントだった。
姜雪寧、燕臨、周寅之の微妙な空気の中に、謝危までもが入ってきたのは周回視聴した身にはちょっと笑える。
燕臨の従兄は陛下を守って死んだとされているが、平南王の手中にあるとの文が来ていた。
平南王の策士 公儀丞(夏铭浩)《孤舟》富贵が現れた~。謝危は平南王配下?2026.4.7追記
7話の漢籍
薛姝が謝少師に「天下に乾坤と陰陽あり、男は外 女は内 2本の川ごとく交わらぬ、政論は男子の学問だ/ 天下自古乾坤分明,阴阳有序,男子出于外,女子主于内,泾渭分明不应有改」と主張。
それに対して謝危は「平南王の乱が起きた最中に薛家出身の太后(刘敏)、冷静沈着に国の舵を取った美談がある。太后の所信は『女戒』か『女徳』か、それともこの本か」と問い返す。太后は『君花海棠の紅にあらず』姉 程美心。
姜雪寧は前世で縁のあった皇后の侍従 鄭保(杨亘)《如意芳霏》元婚約者の章晏を、長公主に頼んで助け出す。
8話の漢詩と論語
平南王が謀反の際に太子を引き渡すように迫り、定国公府の息子 薛定非が身代わりとなるが、人質の子らは……。ムゴイ話だな。薛定非の生母は勇毅侯 燕牧の姉、薛姝は後妻の子。
長公主の学友たちが詩を読誦している、「渓谷には松が茂り果てが見えない、人々の話し声や渓流の音が聞こえる。長い道に…/奚谷承松,道廪及终.喋喋言声,靡届琮琮.」「暗闇の中を歩くと心細くなる、なぜか理由は分からない」。尪は曖昧。
「峨眉」は謝危の作った琴譜で、皇后時代の姜雪寧は出典は「峨眉山は一面に雪が降り、海は氷で覆われている」と推測していたが、実は大志を抱く李白の詩で、かつて謝危が謀反を起こし、燕臨軍と宮中へと押し入っていた。
『高山吟』か『梅花弄』を弾くようにと言う謝少師。
陈造(宋代)《题扇七首》
峨眉山北雪极目,方丈海中冰作壶。
我自飚轮随所往,怜渠局息寄洪炉。
李白(唐代)『登峨眉山』
蜀国多仙山,峨眉邈难匹。
周流试登览,绝怪安可悉?
青冥倚天开,彩错疑画出。
泠然紫霞赏,果得锦囊术。
云间吟琼箫,石上弄宝瑟。
平生有微尚,欢笑自此毕。
烟容如在颜,尘累忽相失。
倘逢骑羊子,携手凌白日。
謝少師は琴の弾けない姜雪寧に「朽木も彫れる」と、居残りを命じる。
孔子『論語 公冶長第五 十』
朽木不可雕也腐った木には彫ることはできない。
加地伸行「論語」2009 講談社
中国ドラマあるあるの手ずから琴を教える謝危と姜雪寧……かと思ったら、謝危は琴の方が大事だった。猫にトラウマがある謝危。
公儀丞が宮中で暗躍しているようだ。2026.4.8追記
9話
謝少師の代わりにやって来た王先生は、『貞節と礼儀/贞礼』を読ませている。「古来より女子はその立場をわきまえ、慎み深く謙虚であり、恥辱に耐え譲歩し…」。
「古くから王朝の衰退や名士の失脚は、婦徳や女難が大いに関わっていた。それゆえ女たる者己の身を律し…」
古来生女,当守卑下,恭谨怀谦,忍辱忍让。
自古王朝衰微,名士失格,多与妇德女祸脱不了干系,所以身为女子,必须规束自身,以礼教
謝危は「時に人は道を誤る。だがその時に誰かが導いてやれば正しい道に戻ることもできる」という言葉が印象的。
姜雪寧は燕臨への言づてを臨孜王に頼んでいる「疾病に勁草を知り、雲開いて月明を見る/疾风知劲草 云开见月明」。耐え抜けば必ず転機が訪れます。
北では大月氏国が大乾を狙い、南には平南王がいるとか。
謝少師は姜雪寧に自作の詩を渡している。
「夜 月明玉の如し、空山花を弁ぜず、雲来て一庭暗し、風去り百枝斜なり」。
謝少師が使うのは高級な澄心堂の紙。
夜月明如玉,空山不辨花.
云来一庭暗,风去百枝斜.
10話の漢詩
父 姜伯游が戸部尚書となる。
疑いをかけられた姜雪寧は、薛皇太后に「己の心が善良ならば、九死しても悔いなし」と言っている。
屈原『離騒』
亦余心之所善兮,虽九死其犹未悔.
公正な裁きを求めて刑部を呼んだら、刑科給事中 張遮(王星越)がやって来た!名前がよく出ていた人物、男前!!ドラマ『ロマンスの降る街』の孟晓东だし『墨雨雲間』の簫蘅~♪。姜雪寧もすっかりときめき乙女モードになってるよ。刑科給事中は七品の小役人。
紙がはさまれていたのは『囲炉詩話』。
内務府から宮中へ支給されるのは氷翼紙、白鹿紙。白鹿紙って俳優にちなんだの?
11話の詩経
宮女が隠し持っていた紙に書かれていた詩。
《诗经 秦风 蒹葭》
蒹葭苍苍,白露为霜。所谓伊人,在水一方。
溯洄从之,道阻且长;溯游从...
姜雪寧がお礼を言うために呼びかけられた時の張遮の様子、彼も転生組なの?
そのふたりの様子を見ていた謝危が気色ばむのは、吃醋(焼きもち)ですかね?
勇毅侯 燕牧は、定非(謝危)の叔父(母の弟)。定非の母は金木犀が好きだった。
12話の動物
姜雪寧は美人だし、陛下に気に入られてもおかしくないんだけど、性格が幸いして見初められずにいるという~。
謝少師は刑部 陳瀛から「一歩進んで十歩先を見る技はお見事/走一步观十步」と称えられている。
姜雪寧と姜雪寧母が言い争う様子は、「猫と鼠か、虎と豚のように、食い合うまで終わらない」と嘆く姜雪寧父。
姜雪寧父は「慎」と書をしたため、「慎とは恐れ」と言い当てる姜雪寧。
雨の中、傘をさす姜雪寧が、2階にいる張遮を見上げる姿は恋する乙女。そしてそれを謝危がガン見していたという~~~。ストーカーか。張遮が信じるのは「正義」のみ。
回想では、張遮は姜皇后に「虎にその皮を差し出すように求め、相手の持つ凶暴性に気づかず事を改めないなら、いつかその虎に食われます」と忠告している。裾を踏んづける姜皇后ちゃん、服を破って去られてるし。素直になれないツッパリくんが、好きなのに嫌がらせしているみたいな感じね。
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