夢華録19話,20話感想/胡辣湯,涼州大遍,梨肉好郎君,方山露芽,五果茶,蒙汗薬

１９話感想

顧千帆の婚約話は祖父が勝手に決めた話で皇城司となったら破談とは、わりと欧陽旭と同じパターン。官妓として秀でないようにしていた趙盼児、琴と絵の才能は封じたが舞いは下手だったので帳簿づけを習わされ今日がある、と。すっかり甘い雰囲気なふたりで、魚はたわむれ、花も雨に濡れている。

顧千帆は珊瑚の簪もようやく渡し、その時の趙盼児の笑い声や、寄り添いながら言い合うふたりの関係が良いね。

一方、秀でた官妓な宋引章は、沈如琢に甘泉山の水で入れた蘭芽茶でもてなされ。「流雲調はいかが？」と硬い表情の宋引章に枇杷をさしだす沈如琢、枇杷っ！『魔道祖師』を読んだの？　蘭芽茶は安徽省岳西県のお茶。そんなふたりを見ていた張好好と池蟠。盆栽ごしの池蟠がなんか面白い。やっぱり沈如琢は遊び人なのか……。楽心楼では馬に乗れるのね。

趙盼児と顧千帆のふたりも小舟で寝っ転がっていてステキなんだけど、舵取りのいない舟なのがファンタジーだ！蛍をつかんで趙盼児に見せるという甘々タイムなんだからイイんだけど。

南方では帽妖騒ぎで帽子の形をした妖怪が、巨大な狼に化けて民を脅かしているらしい。雷敬が処刑されたら婚儀を挙げよう……やたら斉牧が雷敬を庇ってるのも気になるし、なかなか先が長そうね。

高慧が乗り込んで来た……仮病なのかと思ったらホントだったのね。紅糖水は黄耆と枸杞が入って経絡が調い、蒙汗薬は入っていない。紅糖水は黒砂糖に棗や竜眼等を入れ煮立てたもの。蒙汗薬は一種の麻酔剤でしびれ薬など。高慧の出身は明州、この時の趙盼児の薄青緑色な衣装が綺麗～。高慧自身は箱入りなお嬢様なだけだね。父親には金明池のほとりにある玉仏廟へ言っていたとシラをきる。高鵠に劉都巡検使から文が届く。

町では傘を売っている声。

葛招娣は陳廉と取っ組み合う一方で、陳廉の颯爽とした動きも目の当たりにしている。顧千帆が帽妖を追う中で空を飛べるの！？　祥符県で蕭使相を迎えるように指示を受ける。

趙盼児が顧千帆に胡辣湯を作ってあげている。趙盼児の母が父によく作っており、羊肉の汁物にだんごと酢と胡椒を入れ煮込んだもので、広州の御用商人から取り寄せた。河南省周口市の伝統料理で、『風起洛陽』で七娘が作っていたし、『尚食』では張皇后故郷の朝食の味。顧千帆が頬にキスすると、趙盼児は蛾を指さしている。

顧千帆は「妖怪は人の心にのみ存在する」と。帽妖は絹と火薬から出来ていた。陛下は病弱で皇子昇王は12歳、皇后に力が集まっており、反皇后派の仕業のようだ。「天は君主の愚を示すため妖怪を出現させる/妖异频出就是君主失德」。北宋帽妖案は1018年5月頃に起こっている。

２０話感想

顧千帆が昔話で夜宴図のことを話し始める。美しく歌舞に長ける女子は貧しい生まれだったが王に見初められ正妻に取り立てられる。村で開かれた春宴の絵の中の妓女が王妃にそっくりであり、名前を文様にして衣の柄に描かれていた。

西京玉皇山をゼィゼィ言いながら歩いている欧陽旭。清風観へ抱一仙師を訪ねるが不在な上に穀断ちだと粥も断られ……。飢えに耐えかねて山芋を丸ごとかじりしていた。この建物は『風起洛陽』25話で高秉燭と月華君が夫婦のフリして訪れた雲萃観よね？アヤシイ巣窟！そして科挙に合格しても下級役人になると憂き目に遭うのね……。

無事なら赤、会いたい時は黄色の花を表に掛けるという顧千帆さん。バッタリ宋引章に目撃され、『涼州大遍』を渡して誤魔化している。

《杂曲歌辞凉州歌第一》
汉家宫里柳如丝，上苑桃花连碧池。
圣寿已传千岁酒，天文更赏百僚诗。（略）

お邪魔が入ったので、再び趙盼児の元を訪れる千帆。孫三娘に会ったら南唐の宮中の品書きを渡すつもりだったそうな。千帆呼びされデレデレな千帆。

袁屯田先生たちは臨江玉津（江西省清江）、方山露芽、五果茶と黄中餅、梨の好郎君に梅粉を添えてと注文。メモも取らずにオーダーを受ける葛招娣。杜長風は建茶を茶壺で頼んでいる。叩き出された杜長風。

梨肉好郎君は金庸の『射鵰英雄伝』由来で、梨の器に梨の果実等を調理し詰めたもの。孫三娘を武功に秀でて料理上手な黄蓉になぞらえてるのかな。五果茶は胡桃,銀杏,棗,栗などを加えたお茶。建茶は福建省建渓産で、最も長く献上され皇帝が好んだお茶とされている。
方山露芽は福建省福州産の最古の献上茶で『茶経』にも出てくる。