笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。アニメ「天官賜福」「愛なんてただそれだけのこと」「恋心は玉の如き」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

夢華録13話,14話感想/杜甫 客至,散茶 碾茶,元稹 桃花,桃夭,笑春風,晩更紅,春水生

13話感想メモ

沈如琢は法曲部に所属、住まいは長楽坊左街。議礼局 検討 沈銘殿の子息で音律や舞楽に最も長けている名家。

顧千帆は硬骨漢の拷問へと出向く。起居舎人の石泉と結託したと自白するも、遼人は金を好むが、西夏人は玉を好む。西夏は遼との戦を恐れ、連環の計を仕掛け、大宋と遼を争わせようとしている。石泉は御史中丞 斉牧の婿であり、斉牧って第12話で顧千帆が会っていた人か。

「鋼の鞭 脊に入る。美人が軽くて攏え、慢く撚るがごとく、抹でて復た挑ねん/钢鞭入脊,犹如美人轻拢慢捻抹复挑」と西夏人が締めあげられている。

顧家は5代続く文人の名門で気骨にあふれていたのにならず者が現れたとそしられている。

真如茶の注文を受けるも店は閑古鳥。散茶を求められる。茶葉を蒸して固めた緊圧茶に対して、一枚一枚の状態の茶葉。

于中全は拱宸門が管轄のようだ。

馬行街には打撲治療院、米穀店、薬輔、鍛冶職人の店、織物店が並んでいる。東京の街は職で分かれており、馬商人が集まるから付いた。生薬は薬巷局、衣は潘楼の東、茶は茶湯巷で飲む。開店日は観音院で生誕祭があったので賑わっていた。

「悔しい気持ちに嘘はつけず自分の力を証明したい」趙盼児と、友に裏切られ生き閻魔や宦官の手先と言われるツラさを語る顧千帆。趙盼児からは「男気がある反面けちで支離滅裂だけど利口な人」という評価なのね。

趙盼児は「この世の人は三娘の作る一口酥のようで、同じようだが自分で味わって初めてどんな味かわかる、と。

趙盼児は散茶と碾茶(てんちゃ)の両方を出すと話す。茶を挽いたものが抹茶となる。

立派な扉を替えており、杜長風が「花徑(かけい)曾て客に縁って掃はず、逢門今始めて君が為に開く」と詠じ、誰の詩だったかと自問している。なんとなく趙盼児か顧千帆の心の扉かと思うと興味深い詩。

杜甫(唐代)『客至』
舍南舍北皆春水,但见群鸥日日来。
花径不曾缘客扫,蓬门今始为君开
盘飧市远无兼味,樽酒家贫只旧醅。
肯与邻翁相对饮,隔篱呼取尽余杯。
花の小道はお客のために掃除したということもなかった
雑草の生いしげった門をひらくのもあなたのためにこれがはじめて
小野忍「唐代詩集上」1969 平凡社

陛下の前で五穀輪廻の気(屁)を発した杜長風。名前を聞かれて騙ったのは胡之遠と劉永波。

宋引章は生け花もできる。

趙盼児は、趙氏茶輔には気品があり「談笑に鴻儒有り、往来に白丁無し」と語る。「談笑するのは学者ばかりで(無位無冠の)良民はいない」という意味。

劉禹錫(りゅううしゃく)(唐代)『陋室銘』
山不在高,有仙则名。水不在深,有龙则灵。斯是陋室,惟吾德馨。苔痕上阶绿,草色入帘青。谈笑有鸿儒,往来无白丁。可以调素琴,阅金经。无丝竹之乱耳,无案牍之劳形。南阳诸葛庐,西蜀子云亭。孔子云:何陋之有?

菓子には桃夭、笑春風、春水生、晩更紅と名付けられる。


14話感想

趙盼児たち3人が「姉妹のように年を取っても助け合うの」と並ぶ姿が爽やかだ。

濁石が杜長風と共に来店。「去年の今日この門の中、人面桂花相映じて紅し」と映じる。桂花は桃花で、次のような詩がある。

崔護(唐代)『題都城南庄』
去年今日此门中,人面花相映红
人面不知何处去,桃花依旧笑春风

それに対して屯田が絵は元九の詩「桂花浅深の処、均しく粧の浅深の典故に似る」と指摘。元九のモデルは元稹と思われる。

元稹(唐代)『桃花』
花浅深处,似匀深浅妆
春风助肠断,吹落白衣裳。


趙盼児の傘や扇での舞いが雰囲気ある~香まで焚かれる。あ、太鼓持ちな何四がいる。「半遮面」が開店、室内に入る時に、茅の輪くぐりみたいにくぐるのが良いな。

香果子の名前は桃花にちなんだ桃夭晩更紅春水生笑春風 上述した崔護『題题都城南庄』

詩経 周南 桃夭』
夭,灼灼其华。之子于归,宜其室家。
桃之夭夭,有蕡其实。之子于归,宜其家室。
桃之夭夭,其叶蓁蓁。之子于归,宜其家人。
桃は若やぐ。輝くその花。この子がお嫁に行ったなら、そのお家にもふさわしい。
川合康三「中国名詩選 上」2015 岩波書店


韓愈(唐代)『題百叶桃花』
百叶双桃晚更红,窥窗映竹见灵珑。
应知侍史归天上,故伴仙郎宿禁中。


杜甫(唐代)『春水生二絶』
二月六夜春水生,门前小滩浑欲平。
鸬鹚鸂鶒莫漫喜,吾与汝曹俱眼明。
壹夜水高二尺强,数日不可更禁当。
南市津头有船麦,无钱即买系篱旁。

孫三娘は南唐の寧国節度使の子孫で小周后が伝えた菓子を継承と説明されている。一日の限定を「縁は先を争うのではなく時機しだい」と話しプレミア感マシマシ。

九九帰元茶(とう)、耀(し)、(じょう)、龍泉(てい)の各窯で焼かれ、唐朝以来の各王朝の宮中で愛される9色の名器に、陛下の好きな龍鳳団茶をいれる。250文で1日10名まで。

張好好にも食い込む趙盼児。開店祝いは定窯の焼き物で、八大王自筆の題字もある。顧三帆は「私を案じているのに厳しい顔をして説教ばかり」と言われている。趙盼児の服はクリーム色に若草色のさし色が効いて綺麗だな。優しく趙盼児の髪についた植物を取ってあげている顧三帆。欧陽旭は西京が赴任地なのね。

店の売上げは7425文で儲けは425文。趙盼児に「笑顔が貼り付いている」と孫三娘が問いかけると、「あの人が好きみたい」と打ち明ける趙盼児。「近づいてきたかと思えば離れていく。何を言えば私が戸惑い混乱するか分かってる」と。「君を哀れんでいただけ」と言う趙盼児に、やるせなさが伝わってくるな。

子方が「家を愛すると屋根の烏も愛する/屋乌之爱」と話していたと言う三娘。「賢くても人に好かれれば長生きです」と陳廉。

蕭謂(しょうい)は、蕭家の嫡男か。屋敷を神経質なまでに磨き上げさせるのは父親譲りなのかこの息子由来なのか。皇城司の于中全が結託しようとしているが?

双井茶と桂花菓子の注文が入る。皇城司が不当逮捕にやって来た~。
(つづく)

欧陽脩(宋代)『双井茶』
西江水清江石老,石上生茶如凤爪。
穷腊不寒春气早,双井芽生先百草。
白毛囊以红碧纱,十斤茶养一两芽。
长安富贵五侯家,一啜犹须三月夸。
宝云日注非不精,争新弃旧世人情
岂知君子有常德,至宝不随时变易。
君不见建溪龙凤团,不改旧时香味色。

宋代の銘茶で献上品の一で散茶。先を争って旧きものが捨てられるのは世の人情だが、至宝なるものは変わらない、とも詠われており、趙盼児が「縁は先を争うのではなく時機しだい」と言っていたのを思い出すと面白い。

 

今回は中国の有名窯の名前が出てきた。
このドラマは『尚食』系な、蘊蓄と女性陣の結束と雅なロマンスが楽しい作品なのね。

 

 

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