夢華録1話,2話感想/ロケ地,東京夢華録,救風塵,杜甫詠懐古跡,夜宴図,宋代の中国菓子茶

ドラマ「夢華録」が2023年1月26日（木）よりWOWOWにて毎週木曜2回放送で始まった。全40話。「尚食」の後番組。最近、ドラマの感想に追われすぎており、ちょっとセーブしようと思いつつ、新たにドラマを見ると気になってメモメモ……のループ。

「夢華録」は宋代の風俗が描かれており、それを楽しむだけにしよう！と思ったら、美味しそうなお菓子が次々と出てくる～～～。今回こそ、そのメモだけにしようと思っているが、果たして？

１話感想メモ

皇宮から皇城司の拷問から始まる。この顧千帆が男主かな。

一転して銭塘水辺の街並み。孫三娘が言う、「今朝作った鹿鳴餅に桂花蜜を入れて科挙合格を願ってみた」。科挙に合格して都に上がる貢士のために開かれる宴を鹿鳴の宴と言い、『詩経小雅鹿鳴』が歌われるそうだ。貢士はまさに欧陽旭の立場である。

女主は趙盼児で、茶輔を営みながら、婚約者の科挙合格を待っている。
茶輔一番乗りの客は謝源茶を頼み、豆児果の注文も入る。《宋史·食货志》に「婺源的谢源茶列为全国六大绝品茶之一」とあるお茶。

桃花果子、紫蘇水も絶品。茶百戯っていわゆるラテアート？
顧千帆たちが頼んだのは青鳳髄２杯、越梅蜜餞は生姜や塩を加えてみてもいい。
『紅楼夢第８回』に「鳳髄」というお茶が出てくる、建安産のお茶で《宋茶名录》に「蒸青团饼茶，就名为青凤髓」と記載。

銭塘の貴重な霊隠仏茶をあげようとするが、皇城司の獅頭佩を見るやいなやわざと落とす。「自分で決めたことならどんな結果でも後悔しません」と言う趙盼児がいなせな姐さんな感じ。杭州に霊隠寺という禅宗五山の一がある。

入れ直しさせられ龍鳳茶、梨条桃圏、蜜餞彫花、緑澗豆糕を出す。蛇と蜂より恐ろしきは女心。龍鳳茶には龍脳香が含まれ苦寒、緑豆も寒性の食材で、三時後嘔吐と下痢に苦しめられる。緑腰舞は唐の著名な軟舞で、女性が独りで舞う。

趙盼児は24歳で鄧州出身、9歳の時父の罪で官奴婢になり杭州楽宮の楽妓であったが、16歳で太守の恩情により良民となる。

琵琶娘の宋引章は湖畔で「明妃曲」を弾いていると、周舎が蕭で合わせてくれた。明妃は前漢元帝時代の王昭君のこと。急かすのはだいたい誠意がないことが多いよね。

「紫台を去り朔漠に連なり」の続きに答えられない周舎。こちらも王昭君のことを詠ったもの。

杜甫（唐代）《咏怀古迹五首·其三》
群山万壑赴荆门，生长明妃尚有村。
一去紫台连朔漠，独留青冢向黄昏。
画图省识春风面，环佩空归夜月魂。
千载琵琶作胡语，分明怨恨曲中论。

群がりそびえる山無数の谷すべて荊門山に向かっている、王昭君の生まれ育ったという村がいまでもそこに残っている。
ひとたび王宮を去るや待っていたのは漠北流沙の地、ただ一つの青塚をとどめそれは夕暮の中に残っている。
この美しい顔はみにくく描かれた画像で天子に知られた、かざりの環を鳴らして月の光の中を魂が帰って来るという
千年の後の今も琵琶歌では異国の言葉ではっきりと怨みつらみをその中で語っている。
田中克己、小野忍、小山正孝「唐代詩集上」1969 平凡社

捜している「夜宴図」は《韩熙载夜宴图》で顾闳中の作品。中国十大伝世名画の一で北京故宮博物院所蔵。

顧千帆は皇城司の生き閻魔、皇城司は宋代の皇帝直属の秘密機関で、明の錦衣衛や李氏朝鮮の暗行御史（アメンオサ）のようなものか？游一帆＠尚食みたいなのと、子衿の師匠みたいな趙盼児が出てきた。このふたりが恋仲になるの？

水路って涼やかで良いな。舟をこぐ姿や、茶輔の心地良い感じが素敵。趙盼児の茶芸もイイね。

ドラマ「夢華録」は元曲関漢卿の『趙盼児風月救風塵』をベースとしているとあり、確かに「救風塵」には趙盼児も宋引章も周舎も出てくるのだ。
　どこかで聞いたようなタイトルと思っていたら、「君花海棠の紅にあらず」にもこの崑曲が出てきていて、第４話、程家に招かれた商細蕊が師姉を見つけて急遽歌った曲がそうである。「救風塵」についてはネタばれになるのでおいおいと。

「東京の女子は率直で勝ち気、夜間外出禁止令もなく、着飾って仙女のようで化粧品が売られている」と語られていた東京は開封のこと。
　宋代では西の洛陽を西京、汴京（べんけい）を東京と称した。『東京夢華録』という宋代の開封を孟元老が記した本があり、北宋の首都の様子を知ることができる。本には地図もあるのが嬉しいところ。