「狼殿下」が2023年1月12日からBS11で月~金放送で始まった、全49話。英語タイトルはそのまんま「The Wolf」。BS11では「山河令」の後番組である。
肖戦が出演すると聞いていたので楽しみにしていたドラマ。
義侠系かと思いきや、狼に育てられた純真な狼青年と郡主な物語で始まり、ルールも分からない狼青年が街中に連れてこられて教化される話はとっても苦手なジャンル。自然のままいたらいいじゃないかと思ってしまうのだ。
しかも信頼関係を築いていたのに、なぜ郡主はそんな粗い言葉で追い払うのよ。言葉が分かるんだからちゃんと説明しようよ。それじゃドラマにならないけど。
勢力争いな宮中モノで、しかも陛下はただただ権力欲が強くて狡猾そうな、これまた苦手なタイプ。
肖戦が11話で出るのと、時代背景が五代十国時代でドラマ「山河令」と近いと知り俄然興味がわく。まずはおジャンさんが出るまでは見てみようかなとサクサク鑑賞。結論から言えば、楽しく観賞しています。
興味が湧いたのは、第4話で狼仔と馬摘星郡主が再会するのか?というあたり。馬摘星郡主が影絵人形で狼仔とのエピソードを再現しているのも良かった。ここで渤王が紅児にきつめに声をかけたのも、あとあと力になってくれるんでしょ?紅児は成化十四年の冬児だ!
第5話感想
馬摘星郡主が好きだと言った花は女羅草、母が好きな花でもあった。星羅酒も出てきている。女羅草は松羅とも言いサルオガセという寄生植物だとか。ドラマとは関係ないがこんな詩もある。
李白(唐代)《古意》
君为女萝草,妾作菟丝花。
轻条不自引,为逐春风斜。
百丈托远松,缠绵成一家。
谁言会面易,各在青山崖。
女萝发馨香,菟丝断人肠。
枝枝相纠结,叶叶竞飘扬。
生子不知根,因谁共芬芳。
中巢双翡翠,上宿紫鸳鸯。
若识二草心,海潮亦可量。
第6話感想
おんぶしてふたり崖落ちは新鮮かも。渤王も強引な面倒見の良い女性には弱いよね。あれよあれよと龍鳳瑞祥杯で渤王との婚約となり、溍(しん)を滅ぼした後に婚姻の予定とあいなった。中国ドラマ名物死んだ目の婚約したふたり。
馬摘星郡主が手酌してると思ったら、狼仔に献げていて、「そこにいるよ~、ホッペムニュムニュしてるよ~」と思っていたらラップが来た!思いを告げるチャンスなのに、なーんでまた狼仔を追い払うのさ。
第二皇子は妓女の子、第四皇子は皇后の子、迄貚(きったん)人質な第四皇子がおジャンさん??←違います。
第7話感想
渤王府へ来た馬摘星郡主が用意した贈り物が気になった。
王叔和「脈経」は晋代の書物。
索靖、魏詮の法帖。索靖は西晋の著名な書家、政治家。
端渓硯は息で墨がすれると来たもんだ。貴重な硯を割るくらいなら、欲しがる人にポィすればいいのにとも思ったが、渤王の性分として、馬摘星郡主からの硯を誰かが嬉しそうに使っているのも腹立つのよね、きっと。
「気まぐれに助けたり見捨てたりするな」という言葉が心中を物語っている。確かに心許してまたあのヒドイ言葉言われたら立ち直れんよ。
蘇鉄に花が咲いたら誠意を認めるって、周期が合えば結構咲いたりするもんよ? 第二皇子、妓女の子なだけでなく、ホントに父親が違うの? 馬摘星郡主が母の肖像画を持っているのは不穏だな。
第8話感想
第二皇子曰く、渤王は第一皇子から「習字とは心の鍛錬にして、本心を悟られぬ手段」と教わったらしい。第一皇子はデキるようだが、誰に殺されたんだ? 奴婢な林広が作った鶏粥は母の味、煮込む長さと火加減が肝心で老いた雌鶏を使うのがポイントだそう。
陛下に命じられ三日三晩跪くのを案じた馬婧が、渤王に足を折られた経緯を訴え、誤解がとけた~~、ナイスアシスト食いしん坊で腕の立つ侍女な馬婧。 まさに日本語タイトル「誤解が解ける夜」だった。
土砂降りの中、馬で駆けつける渤王、ラップも出た~~~♪ こんなに早く誤解が解けるとは思わなんだ。しばらくすれ違いが続くんだろうか。第二皇子も良さげだったけど、みるみる黒化していくのかな。
第9話感想
渤王デレ回。すっかり馬摘星郡主に懐いている渤王は別院へと招く。蛍が飛び、
白居易『長恨歌』
夕殿萤飞思悄然,孤灯挑尽未成眠。
迟迟钟鼓初长夜,耿耿星河欲曙天。
夕殿蛍飛んで思い悄然たり、孤灯挑げ尽くすも未だ眠りを成さず。
遅遅たる鐘鼓 初めて長き夜。耿耿たる星河 曙けんと欲するの天。悠悠生死别经年,魂魄不曾来入梦。
(渤王)生死別れて年を経たり、魂魄曽て夢に入らず。天长地久有时尽,此恨绵绵无绝期。
天長く地久しきも時有りて尽く、此の恨みは絶ゆる期無からん。但教心似金钿坚,天上人间会相见。
临别殷勤重寄词,词中有誓两心知。
七月七日长生殿,夜半无人私语时。
在天愿作比翼鸟,在地愿为连理枝。
(摘星)心をして金鈿の堅きに似しめば、天上人間会ず相見えん。
七月七日長生殿、夜半人無く私語の時。
天に在りては比翼の鳥と作り、地に在りては連理の枝と爲らんと。
(摘星解釈)蛍が飛ぶ人けのない夜半には何事も起こりうる。心を強く持てばきっと再会できる。
蘇鉄もあっけなく花が咲いたよ。早速「星」呼びしてるし、おでこにキスしてるし。自分が狼仔とは告げないのね。朝まで抱きかかえていて、逃げないように服を踏んでる渤王くん。
弄狼弓を贈る。狼の模様が入っているのが可愛い。弓を教えると言いつつ、密着度高し、じーーーーっと見ている側近4人がなんだかシュール。
第10話感想
ワガママ公主の登場でコメディ回。3年前に渤王が好んだ迄貚の干し肉を大量に贈ってくる耶律宝娜公主。鹿、牛、魚、羊、猪の干し肉である。推しの物をコレクションする癖があるようだ。
摘星は渤王に「出師頌(すいししょう)」に贈ると喜んでいる。索靖が書いた幻の名作。故宮博物院所蔵。
摘星は渤王に巧果(こうか)を作るように言われ、なぜかほっぺに粉をつけて奮闘中。七夕に作る菓子で牽牛と織女に供える。中に赤い糸を入れた巧果を想い人に贈り、その赤い糸を互いの指に結べば愛し合う2人が一生離れることはない。小麦粉に砂糖等を加えて混ぜ成型し揚げたもの。
耶律宝娜公主登場!あどけなく悪気なくワガママだが、顔色の悪い馬摘星に高価な紅をくれる一面もある。西河郡主@如意芳霏より女子力は高い。お茶に文句を言われた海蝶姐さんが公主の口真似をするのが面白い。すっかり夜煞隊の人たちとも仲良しになっている。
迄貚で神聖とされる白馬と黒牛、白馬に乗った神と黒牛を引く天女が出会い、2人は結ばれ8人の子宝に恵まれた。8人の子が迄貚の祖となり、民は自ら「神の子」と称した。契丹の神話で、8人の子はそれぞれ8部族の首長となったようだ。黒牛となっているが神話では白馬青牛伝説なのかな?
公主を喜ばすように渤王に言った割には、実際に親切にしていると気になり後をつける馬摘星。渤王は見つけて飴を買い、馬摘星の持つ飴をペロリとして「焦げ臭いぞ、焼き餅の味だ/好酸啊.还有股醋味」と言ってのける渤王。やるな。
第11話感想
シャオ・ジャン登場~~~。登場するまで頑張ろうと思っていたが、案外デレた渤王と焼きもちまでし始める馬摘星郡主にここまで来た。
おジャンさんは賞金稼ぎな疾沖で、村のために融通しているけど村人は塩対応(でも品物は持って行く)ので、高秉燭@風起洛陽みたいな感じ?
心乱れる馬摘星は弓のお稽古。公主に匂い袋を買った左手、と言っている後ろに渤王が余裕をかまして見ているであろうぼけた映像が映るのが楽しい。公主に書を教えた右手。「今度はどこを射ようかしら」に渤王が耳元で「心の臓だ」とささやくのがキャーっ。
元狼仔を前に摘星は「狼仔は私だけを大切にする、私に一途なの、機嫌が悪い時には甘い言葉を私だけにささやく」と言い、それを聞いた渤王はニヤニヤが止まらんわね。よくよく考えると摘星が言っていることは、宝娜公主と似たり寄ったりなんだけど、李沁が言うとなんだか強がっていて可愛い。そして「射ぬけ」の時に来た、ラップ~~~!
暗闇の中、楼門の上に立っている人影!
鷹を腕に乗せシャオ・ジャン来たーーーー!
都の四大盗賊を捕まえた凄腕のようだ。第2皇子とくっついたか。
宝娜公主、落馬はあかんよ。打ち所が悪いと危ないよ。そして盟書が贈り物の中にあったと言う……。渤王、ピーンチ。
(つづく)
小説化はされているが、原作小説というワケではなくドラマ脚本なのかな? わりとコミカルで、渤王は乙女ゲームのツンデレ狼みたいになってるし、おジャンさんな疾沖がどう馬摘星と絡むのか楽しみ~。
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