笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

慶余年1~10話感想キャスト声優/紅楼夢 留余慶,智商盆地,ヴェルサーチ,左伝襄公十年

慶余年

2022年3月1日(火)からBS11にて月~金放送で始まった。肖戦が出演するドラマという事で名前はよく耳にしており、ジャンがED曲も歌っていたしで観てみることに。全46話。感想メモ書きと漢詩と現代語を時々載せています。

慶余年の声優

声優を調べてみたが俳優本人の声が多く用いられており、范閑の张若昀を初めとして、李沁、陈道明、宋轶、袁泉、吴刚、李小冉、郭麒麟、李洪权、曹翠芬、刘桦、田雨、佟梦实、杜玉明は本人の声のようだ。

……がなぜか肖戦は声優さんの声で钱文青らしい。『陳情令』温旭、欧陽子真、『成化十四年」丁満、『大唐流流』盛楚慕、アニメ『魔道祖師』暁星塵、ラジオドラマ『魔道祖師』藍思追。ジャンは当分、出ないらしいが。

あまり声優の情報はなく中国サイトでは司理理杨婧とあったが他で見るとラジオドラマの司理理のようだし……?ラジオドラマもあるのね。燕小乙もらしいが、まだ出てきていない。

1話感想

ドラマは現代から始まり、現代の主人公が古代中国の物語をお話するという形で、現代の記憶を持った物語の主人公古代中国へ転生する。

物語は子役 少年 范閑(韩昊霖)から始まり、前世の記憶があるので子供子供していない分、子役の子はよく演じているとは思うが何となく話に乗れない。視聴もどうしようかと思ったが、『擇天記』のように1話目はさっぱり気乗りしなかったのに、各派が出てきた頃から面白く好きになったドラマもあったしと続けて見ることに。
するとこの原作が『擇天記』と同じ作者 猫腻で人気作品ということも知る。ああ、なるほど~。しかも『擇天記』より前の作品らしい。

そしてもう一度見直してみると、自分がかなりすっ飛ばして観ていた事にも気付く。現代の主人公張慶(张若昀)は葉教授(袁泉)に、現代思想と古代制度の遭遇の物語を描き、テーマは”再び生き返ったら?”、物語の意義は「今を懸命に生きること」と説明していた。

タイトルは、1957年『紅楼夢』第2版 “余慶を留める”より。

紅楼夢』 第五回「紅楼夢十二支曲」第十曲「留余慶

留余庆,留余庆,忽遇恩人;幸娘亲,幸娘亲,积得阴功
劝人生,济困扶穷,休似俺那爱银钱、忘骨肉的狠舅奸兄!
正是乘除加减,上有苍穹。

陰徳を留めてくれた母のおかげ 困窮を扶くるを勧むる
我が銀銭を愛し骨肉を忘るる舅や兄に似るなかれ

紅楼夢十二支曲」は金陵十二釵の運命が描かれており、これは賈巧姐のことを語った曲で「情は人のためならず」ともある。曲はさわりの部分で、第六回で贾巧姐の母 賈煕鳳劉ばあさんの縁が生まれる。のちに賈巧姐は身内に売り飛ばされそうになったが、母親に恩のあった劉ばあさんが助けてくれるという物語が展開する。

映るPC画面は『紅楼夢 第四十回 史太君两宴大观园』。農家出の劉ばあさんが、大観園を案内されるの回。

葉教授が修復しているのは

左伝 襄公十年
(主人)辞焉乃退,带其断以徇于军三日。诸侯之
师久于逼阳,荀偃、士匄请于荀罃曰:“水潦
将降,惧不能归,请班师。”知伯怒,投之以机,
出于其间,曰:“女成二事而后告余。余恐
乱命,以不女违。女既勤君而兴诸侯,牵帅
老夫以至于此,既无武守,而又欲易余罪,
曰:‘是实班师,不然克矣’。余赢老也,可重
任乎?七日不克,必尔乎取之!”五月庚寅,
荀偃、士匄帅卒攻逼阳,亲受矢石。甲午,灭之。以与向戌,向戌辞曰:“君若犹辱镇抚宋国,而以逼阳光启寡君,群臣安矣,其何贶如之?

魯の襄公の段で、十年の夏四月晋の荀偃と士匄偪陽を討って宋の向戌に与えようと申し出た。荀罃は止めたがふたりは言い張り、偪陽を攻めるが勝てない。偪陽で手間取ったので荀偃と士匄が軍をひこうと言った所、知伯(荀罃)が怒って七日で勝てと言い、五月に荀偃と士匄は兵を率いて攻め偪陽を滅ぼした……辺りが上記文である。魯の襄公と言えば、孔子が生まれたあたり。

そして早々に車椅子な南慶鑑査院 院長 陳萍萍(吴刚)が登場していた。ここで出ていたのか。南慶鑑査院 三処主務 費介(刘桦)が毒を伝授し、別れの際に少年范閑が「将来みとってあげる」と言っていたのが初回時も印象的だった。羊の腸で手術用手袋は、羊の皮はソーセージ作りで用いられる位だから薄いと言えば薄い。

青年 范閑(張若昀)登場!


周回してから再放送していたので再び観ることに。改めて観ると、少年は表情豊かだが、登場人物はずいぶん地味な第1話だったのだなとも思う。これがああなるとは……と言うのが再度観た感想である。そして肖戦のED『余年』がフルに聞けた!2022.10.26追記

2話感想

この辺りから迫り来る敵コミカルな展開の中に、現代ネタをちょいちょいと入れていくテイストが、『擇天記』もヒロインと早々に会いすれ違い、出生の謎を追い、星盤大陣というあり得ない設定を入れていたなと親近感が湧く。五竹(佟梦实)のターミネーター感にも笑っちゃうし、おばあさま(曹翠芬)もイイ味だしてる。

門の男は「若造のくせに強い真気だ」と言い、「訪れたのは神廟で、天地が分かれ巨獣は横行し、神廟のお方が世に降臨。世人に文字と礼を教え天下を切り開かせた」と語る。2022.10.26追記

3話感想

紅楼夢』はこの世でも大人気。鶏肉を持った姫君とも出会い、范閑は一目惚れ。ナゼに鶏足~。南慶大内侍衛副統領 宮典(崔鹏)は待ち伏せ東宮の仕業ではないかと陛下に答えている。南慶皇太子 李誠虎张吴唯)と宮典の絵画を巡ってのやりとり。絵が勿体ない……。

ドラマでは注釈を付けてくれるのが有り難い。范思哲ヴェルサーチの中国語名。日本語読みするとあまりピンとこないが、中国でのVersaceとfàn sī zhéは似ているのかな? 轍と哲が同じzhéらしいが、中国サイトで検索していると范思轍(郭麒麟)が范思哲で通っていた……。

「吐くうちに慣れる/ 吐着吐着就吐习惯了」は『チャイニーズ・オデッセイ/大话西游』の至尊宝(周星馳)の台詞。

4話感想

ここではすっかり面白くなっていた。
父 范建(高曙光)と対面、范閑の母親がガラス、石けん、白砂糖を開発しており、なんとなく察するものはある。思えば范父がイケオジ第1弾だった。
不治の病に現代の技術を過去へもたらす辺りはドラマ『仁』を思い出す展開。
しかしいつもこの手のドラマを見ていて思うのは、自分が過去の時代へトリップしても、もたらせる技術があるんだろうかということ。この中では苛性ソーダで石けん作りくらいはできそうだが、苛性ソーダをどうやって作るんだ?とすぐに行き詰まる。物語を伝えるか?でもそれは技術の伝承と異なりなんだかなぁ。

長公主の娘は林婉児。第三皇子 太子(张吴唯)は長公主(李小冉)と組んでいる様子。太子を見ていると金子軒を思い出す。出来は金子軒の方が良かったが。

義妹 范若若(宋轶)は味方だし、敵対していた義母 柳如玉(赵柯)や義弟 范思轍も段々可愛く思えてくる。

内庫は皇帝の財貨の倉。内裤(下着)と同じnèi kù。ダジャレなのかラップなのか……。

5話感想

鶏肉の君(鸡腿姑娘)を探す范閑。南慶 礼部尚書 郭攸之之子 郭保坤(贾景晖)は「紅楼」を取り締まる。そこへ南慶 靖王世子 李弘成(刘润南) 登場。気やすく世子の肩をポンポンと叩き「詩を口実にしたコンパ/一本正経泡文学女青年」と言ってのける范閑。

6話感想

鑑査院の審議の頃には慶帝(陈道明)が恐ろしい情報網を敷いており、実は電話でもあるのではないかと思った位である。そして乱れ髪で色気漂うのはなんなのでしょう。イケオジ第2弾と言いたい所だがなんだか恐れ多くて……。

范閑が「平等」という概念を教えようとするが、奴婢は「板打ち」の方が馴染みがあって安心するし、滕梓荊(王阳)は暗殺スキルゆえに恩返しは暗殺だし、このくい違いがコミカルに描かれているが根深いものでもある。

お花畑は【智商盆地】。ネット用語で略して【智盆】と言うらしい。智商はIQで、IQぼこぼこ→平均値を下げるという意味で、【傻】呼びな意味のようだ。日本語的に漢字だけ見ると、兵法に出てきそうに見えるのになぁ。

7話感想

靖王世子 詩会の漢詩は何が出てくるのか??と思っていたら杜甫『登高』だった。「山河令19話-6」でも同じものを紹介。

风急天高猿啸哀,渚清沙白鸟飞回。
无边落木萧萧下,不尽长江滚滚来。
万里悲秋常作客,百年多病独登台。
艰难苦恨繁霜鬓,潦倒新停浊酒杯。

風は激しく、空は高く、猿の声は悲しい。渚は清く、砂は白く、鳥は飛びめぐる。
限りない落ち葉はさわさわと舞い散り、尽きることのない長江は蕩々と流れてくる。
故郷を万里離れ、秋を悲しむ永遠の旅人。生涯、病いと道連れに、独り台に登る。
苦難が続いて真っ白になった頭を嘆き、茫然自失、濁り酒の杯をふと手元に置いた。
川合康三「中国名詩選 中」2015 岩波書店

しかも字はヘロヘロ。親近感は湧くが、澹州時代に学ばなかったんだろうか?もの悲しい詩だけに先行きも案じられる。靖王をどこかで聞いた事あると思っていたら、『琅琊榜』にも出ていたね。

8話感想

第二皇子 李承澤(刘端端)、前髪クネオ……ではないが前髪が印象的な前髪皇子。妓楼で温若寒の名前が出てきてかなり混乱する!女性でも使える名前なんだ。妓楼でトップスター扱いな司理理李純)に花火も上がり期待も高まる。滕梓荊の妻子(刘琪奕)との再会にホロリ。

9話,10話感想

京都府で皇子たちにはさまれた梅府尹(李建义)のオタオタぶりに笑っていたら、10話では陛下の鉄槌をくらっていた。あな、恐ろしや。范閑の頭が高い様子を見ていると、この時代の身分制度を実感できる。ミイラに口がある郭保坤はやっぱり可笑しい。。。(つづく)

 

ドラマ『成化十四年』と同時期に放送が始まり、どちらも皇帝が絶大な権力を持ち、皇子争いを巡って貴妃や公主が暗躍し、主人公は物語を書き、料理場面もあり、事件の謎解きが繰り広げられるので、7話頃にはどっちがどの話だったのか少々混乱する時がまだあった。


そしてやたら銭勘定にうるさい范思轍と王啓年。
先の『紅楼夢』の一節、

正是乘除加减,上有苍穹。

さても加減乗除の算盤は、天なる神ぞ弾かるる。
伊藤漱平「紅楼夢 上」1969 平凡社

ここでの加減乗除は善には善で報い悪には悪で報いる天の算盤。そう思うとなかなか面白い描写でもある。

 

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▼与子偕老

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▼高曙光、宋轶登場。

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