笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。アニメ「天官賜福」「愛なんてただそれだけのこと」「恋心は玉の如き」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

慶余年42話~45話感想/緑肥紅痩,蟒袍もうほう

42話感想

范閑はすっかり父親を慶帝だと思っている。肖恩は范閑を孫だと思って安らかに天に召された。肖恩は小説で読んでいたらもっと老人でイメージしていたかも。復讐もするなと孫に希望を托しているのが泣ける。最期がとても美しい眺めの所だったのがなんだか救われた。

そして譚州の暗殺計画も四処滕梓荊の人選も、陛下&院長の手の平の上。范閑はすっかり院長を首謀者と思っているが、一番コワイのは慶帝よね。でも院長は何かを含んでいる。思い詰めた愛ゆえの所業というのもありえるか。そして范建パパが一番パパみがあった。

神廟には時代を超越した資源と珍品が隠されていると思っている院長たち。

ゴン太くん(宮典)に「最も信頼しているのはそなただ」とささやくのは最近どっかで見たと思っていたら、源頼朝@鎌倉殿の13人が似たようなことを言っていたよ! あの「#全部頼朝のせい」と同じという事は~~~。これは院長お試しじゃなくて、ゴン太試しだったのかな。

そして范閑も、言氷雲が沈重に与していないか試していた。郭保坤は無実。浮かびあがる言氷雲=肖恩の孫説。ふたりは会った事がないよなぁ。言氷雲が本当に孫かどうかは確定はしていないが、どこかで生きているなら肖恩も報われたね。もっとも范閑が実の孫ではなくとも、葉軽眉の子供だと知ったら笑いそうだけどな。

そして范閑は母親殺しの真相を知るために立ち上がる。まずは鑑査院の主となり慶国一の重臣となると。

 

43話感想

慶国で上り詰めようとする范閑に、王啓年は梯子としてお使いくださいと言うが、院長の腹心でもあるよね。「梯子ではなく相棒だ」と言う范閑。

范閑は直接、沈重に内庫について訊くが当然、答えない。次に范閑は上杉虎の元へ。槍と対戦する范閑もカッコイィ。肖恩から孫への遺言を少しスライドさせて上杉虎に伝え、沈重殺害を持ちかける。沈重妹、沈重が殺されたら復讐に走らないかな……。

次に上杉虎を伴い皇太后の元へと出向く。次から次へと予想もつかない行動を取る范閑の様子を聞いている沈重の反応も面白い。

大将軍が皇太后に与する事で、越権している沈重への猜疑心を強めようというこの作戦。上杉虎もなかなかの役者振り。そして上杉虎の配下勢力図はちゃっかり北斉帝にも渡っている。

北斉太后が話していた、先帝の時にある大将軍が敗戦し敵に投降し、再起して大軍を率いたという話は、後々に出てくるのかな。

突然、葡萄やライチを食べ始める聖女 海棠朶朶。范閑への同盟サインなのかしら。

范閑が皇太后に言う。

元好問(金代)『摸魚児 雁丘詞
问世间 情是何物 直教生死相许?
世に問う情とは何ぞや。生死を托すのか。

つがいの雁の一途さを詠った詞。『山河令』6話-1でも出てきた漢詩

聖女に一目惚れしたと皇太后に言う范閑。種を吐き出す聖女さま。范閑が好き嫌いは本能というのが印象的。しかしこの策が林婉児や司理理にバレたら結構厄介なのでは?

 

44話感想

しみじみOP『一念一生』を聞きながら、これは神廟の事かしらと思いながら、聡明な者、愚鈍な者、善良な者は誰なのか思いを馳せていた。

范閑に「お前が傷つくのが心配だ」と言って、へたへたと走って行く海棠朶朶がカワイイ。北斉帝は海棠朶朶の勘違いに気付いているが口にはしない。

それをボヤく范閑をなだめる王啓年に、「そんな話を聞かせに?」とどこまでも職務に忠実な言氷雲、そこにおったんかぃ。言氷雲には「南慶のために」を繰り返す范閑。

油舗が斉国での諜報機関の元締めになっており、「香油が7斤6両9銭4毛」が暗号のようだ。代わりに据えられたのが郭保坤?!大丈夫か~~~。父親を救う事を条件に范閑配下に置くやり口は、院長に似てるよ~。

聖女が好むのは「食」。食べていたのは第二皇子と同じく食い意地張ってるだけか。でも聖女も第二皇子も「靴」の描写多いよね。「靴」は自分に割り振られた社会的役割のモチーフなのかな。海棠朶朶が大根を買い野菜籠を手にして歩き、范閑が海棠朶朶に小言を言う姿は夫婦のようだ。

太后は誕辰祝いを沈重の部下に手配させ、錦衣衛達も利や出世を求め沈重から離れていく。皇太后の遊び方、相手は幼い上にオトナ気ない感じよね。よく映る娯楽風景はキャラの思惑を表しているのかな。


海棠朶朶は離れの住まいに「虎穴に行って惚れ薬の仇を討つ」と范閑を連れて行く。庭には適当にまいた種から花が育っており、それは院長が語った母を思わせる。

「日向ぼっこをしながらくだらない話をしていたい」とサンデッキのような椅子に寝そべる范閑に、団扇を仰いでいる海棠朶朶。友がおらず孤独で寂寞としていると話す范閑。それはきっと葉軽眉もそうだったのだろうし、陛下や院長も抱いている思いなのかもしれない。父・妻・妹はあくまで家族。滕梓荊がそうだったが死んでしまい、王啓年かなと言う范閑。権力を求め、友も求めはちょっと無理なんじゃないかとは思ってしまうし、そういえば范建パパも贅沢と言っていたね。

料理は蓮根、青菜、豚汁みたいな汁物に、左上はなんだろ?この蓮根は割とよく出てくるよね。海棠朶朶が出したお酒は南慶の慶余堂。酔っぱらって箸でチャカポコし始める范閑。

巧姐の判詞は第1話で紹介しました。

余慶を留める 恩人と出会う 陰徳を留めてくれた母のおかげ 困窮を扶くるを勧むる 我が銀銭を愛し 骨肉を忘るる舅や兄に似るなかれ 何をしようと 天には蒼穹ありて

海棠朶朶は獣と人間の違いは情や義を持つことだ、と話す。

范閑が酔いから起きるとなぜか司理理がおり、告白される。海棠朶朶はしてやったり、酔う事はないらしい。どうやらこれが海棠朶朶の仇討ち~。

この海棠朶朶隠れ家の場面。野菜を洗う海棠朶朶の横で、范閑が土を耕す姿はまるで新婚夫婦に見えなくもなく、おまけに范閑の紅色な衣装は珍しく、海棠朶朶は緑色で、山河令の桜餅夫婦みたいな色合いだなぁとしばし考える……。紅男緑女もあるのだが、そうか!海棠朶朶への漢詩緑肥紅痩か!

知否?知否?应是绿肥红瘦
きっと緑の葉ばかり茂って、紅い花は色あせてしまったんじゃないの?

な海棠朶朶優位>紅な范閑劣位という意味合いだったりするのかな。あの海棠朶朶の漢詩も酔いから覚めてたな。

太后から賜わった蟒袍(もうほう)にて参内する沈重。蟒袍は蟒(大蛇)の紋が入った古代中国官吏服で、花衣とも言う。蟒袍は大夫が夢見るもので、これを身に付けるというのは位人臣を極めた栄華富貴の象徴である。そういえば斉国の朝服も赤いな。范閑は紫色。

今回はEDはなし。

 

45話感想

海棠朶朶と司理理は親友とな。ゴメン、司理理の思いは疑っていたよ。「お前と話すだけでも美しい記憶になる」ってさすが聖女、優しいね。

狼桃が范閑に腕比べを申し出るが、海棠朶朶が割り入る。剣の腕比べという名の范閑と海棠朶朶の愛の剣舞~。ドラマ終盤の緊張の高まる場面で、シルクドソレイユな布でひらひら~概念のダンスまで踊っている。EDはこの場面ね。

王啓年はもはやお式に参列している親戚のおじさんで、「聖女がうちの范殿にイチコロだからな」と、若い衆なガンダムくんに教えてあげている。郡主には「一歩も引かぬ血みどろの戦い」と変換されるらしい。

太后は范閑と錦衣衛で内庫の交易を言い渡すと、沈重は反対。そこへ上杉虎が沈重の妹が機密を漏洩したと弾劾し、皇太后は沈重の蟒袍を取りあげる。……ってココで脱がされるの?それは相当、屈辱的な事なのでは??なんだか気の毒だわ。

上杉虎は范閑から肖恩の最期の場所を聞き出し、義父をみとった恩で今回は范閑を見逃す。

狼桃は斉帝派か!というか苦荷が斉帝派なのかな。何道人が間者の長だった。そして斉帝は「最大の敵は自陣にいるのだ。南慶の皇子たちはくせ者ぞろい。范閑の将来はいばらの道」と言う。斉帝が手にしているのは『詩神』。斉帝の最大の敵も自陣の皇太后よね。古今東西、権力を求める者には常の事。

お久しぶりな荘墨韓。学者ならではの没頭ぶりが好ましい。

元稹(唐代)『離思五首 其四』
曾经沧海难为水,除却巫山不是云。
大海を知れば水と思えず、巫山を除けば雲にあらず

を尋ねる。第29話でも八処で疑問があがっていた詩。「巫山は神のごとき山で雲を抱く景観は天下一、山の名を借り忠節を論じている」と答える。

李白(唐代)『将進酒』
陈王昔时宴平乐 斗酒十千恣欢谑
陳思王曹植は平楽で宴を張り、一斗が一万もする美酒でとことん歓楽を尽くした
川合康三「中国名詩選 中」2015 岩波書店

「陳王は昔時 平楽に宴し、斗酒十千 歓謔を欲しいままに」の典故を尋ねられ、范閑は「陳王とは曹姓の王子のことで平楽観で大宴会を開いた」「もう1つの紀元前、全ての歴史よりも昔、長い時の流れに消えた輝かしい文明」と伝える。そして范閑は「悪事は働かない」と約束をする。

荘墨韓とのやり取り、しみじみしていていいね。漢詩で渡り合っていた頃にはこんな展開は想像もしていなかったよ。血縁の肖恩孫について伝えられないのがもどかしいな。また、荘墨韓が熱心に注釈を入れている姿は、第1話で葉教授が『左伝』に注釈を入れていた姿を思い出す。

沈重はまた的入れをしている。配下のこやつめ、昇進したのね。沈重は命に代えても范閑達使節団を抹殺しようとする。沈重が国のために動く姿は一処の朱格さんを思い出す……。

范閑達は上京を発つ。聖女が待っており、荘墨韓が亡くなったと伝える。いよいよ第一期最終回!

 

 

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