23話感想
蕭家の寿宴で張好好が、陛下(真宗)の詩を歌う。
「翠萼 早朝に綻べば、清香諸処に漂う。高低に曲檻を臨み、紅白の間に見える繊条。潤いは温玉に比し、繁るは絳綃の束のごとし。図に描かれるに堪え、名筆は僧繇にあり。
春律は半ばを過ぎ、繁枝はたちまち香り競う。柔らかな霧が立ちこめ、きらめく艶やかな朝日。蝶は蘂に潜み、蜂は遠き香りを追う。物華は詩を留めて詠ませ、彫章にはるか勝る」。
赵恒(宋代)《海棠》
翠萼凌晨绽,清香逐处飘。
高低临曲槛,红白间纤条。
润比攒温玉,繁如簇绛绡。
尽堪图画取,名笔在僧繇。春律行将半,繁枝忽竞芳。
霏霏含宿雾,灼灼艳朝阳。
戏蝶栖轻蕊,游蜂逐远香。
物华留赋咏,非独务雕章。
息子 蕭謂は顧千帆に「剣の達人なので公孫大娘と雷海青のように、父を祝福する剣舞を披露するように」と、結構な無茶振りをする。
宋引章は反論、「孟子いわく、規則なくば方円は成さず」。
『孟子 離婁 上』
离娄之明,公输子之巧,不以规矩,不成方圆。
視力の優れた離婁や、巧みの技な公輸子であっても、コンパスや定規がなければ四角や円をなす事ができない。
「二甲の進二で陛下に緋衣を賜わる身なので楽妓ごときと並んでは名声に傷がつく。公孫大娘と雷海青は玄宗皇帝だけに献上したもの」。
公孫大娘は唐の名妓で剣器の舞で名高く、杜甫が幼い頃に見たという詩がある。雷海青は玄宗時の有名宮廷楽師な琵琶の名手で、安禄山に演奏を要請され琵琶を叩き割り処刑され、民間信仰の神仙となった。
顧千帆は、太祖は金齏玉膾を趙普に授けたのでこれを祝いに贈りたいと、黄河鯉を剣でさばいちゃったよ、金橙がなんやしらんけど絞れてるよ、思わず笑っちゃうよ。どうしても日本刀の意識が抜けず、中国での剣の扱い方に違和感を感じてしまうのよ、錆びるで?
金齏玉膾(金齑玉脍/きんせいぎょっかい)は『斉民要術』にも出てくる八和齏。『尚食』第18話や『風起洛陽』の二郎さんを思い出すな。趙普は北宋開国の功臣。
蕭欽言は「刻んだ金橙を膾に添え、紫花緑葉芳醇を残す/切破金橙佐脍齑,紫花碧叶存芳樽」と詠み、高観察は「魚と剣、双絶なり/鱼剑双绝」と。
顧千帆の「我慢ならぬなら、その琵琶を剣として容赦なく刺せばいい」言葉通り、気迫を込めて『涼州』を弾く宋引章。
柯政は宋引章の弾く姿に「金戈風雷(きんかふうらい)の意を感じ、唐の雷海青に匹敵する」と称賛。落雷木か?と尋ね、柯政が揮毫を贈るのは数十年ぶりの珍しいこと。落雷木(雷击木)は、道士が魔除けの法器を作るのに用いられ、陽火とされている。
柯政は「史大夫の風骨は千金より重い/士大夫风骨,重逾千金」と言い、「おもねらず媚びない、おごらず贅をこらさない、浪費とへつらいをよしとせず、質素と直言を心がけ法とせよ」と演説。友を選ぶ条件について詠じたもの。
孟郊(唐代)《择友》
兽中有人性,形异遭人隔。
人中有兽心,几人能真识。
古人形似兽,皆有大圣德。
今人表似人,兽心安可测。
虽笑未必和,虽哭未必戚。
面结口头交,肚里生荆棘。
好人常直道,不顺世间逆。
恶人巧谄多,非义苟且得。
若是效真人,坚心如铁石。
不谄亦不欺,不奢复不溺。
面无吝色容,心无诈忧惕。
君子大道人,朝夕恒的的。
イイ場面なんだけど、これって柯政の送別会じゃなくて、蕭欽言の寿宴よね?
柯政は、30年も宰相を務め、陛下と共に漠北へ出征。清流派の柱で士大夫の領袖。翰林の進士は一目会えただけで大喜びで眠れない人物。
中原の夏は暑く、酸梅水が売れている。陳廉にも渡す葛招娣。
沈如琢が宋引章を船で送り、プロポーズみたいなもんかな?
馬鹿様ではなく若様と九官鳥に教え込んでいる池蟠。30貫で購入。張好好が頼んだのは蟋蟀。芸を評価されずにいる時に、池蟠のような事を言われたら人間性を疑っちゃうよ。喧嘩で別れ話となり悲しそうな顔をしている池蟠……。
顧千帆は斉牧に結婚の事を申し出るが、官僚と商人の結婚は言官からの追求は免れないとやんわりと注意されている。
帽妖の黒幕が安国公と分かった事に違和感を覚える顧千帆、「その方が本当の黒幕でしょう」と聡い陳廉。
24話感想
高家の高禄や高福たちは欧陽旭に婚約解消書に判を押すように迫る。欧陽旭は趙盼児が他の人に嫁ぐのはヤなのね。そして宋引章、船で朝帰りになっちゃってるの?
崔指揮の姉は鄭青田の妻、柯政は高潔な気概と公明正大さがあるが、斉牧は皇太子擁立のためには手段を選ばず、帽妖の仕業を皇城司に押しつけようとしている。
氷あずきをふるまう趙盼児。陳廉の廉が幼い頃は蓮で、わざと女の名前を付け、藕さんの義理の孫にしたとか。駱駝のこぶは黄檀の大盃に載っていた。宋引章が認められて舞い上がるのも当然だろうに、分かちあえないのは葛招娣が加わっているからなのかな。そしてひとり趙盼児と顧千帆との間柄を知らされていない宋引章……なんでなの。
舟上で顧千帆に手渡しで食べさせている趙盼児。酒楼を開きたいと相談している。豊登楼は自警団長の母親の店で、妃の親族にも料理店を営む者は多い。
杜長風に菓子をおごってあげる孫三娘。
蕭欽言は護衛も付けずに顧千帆と会っている。相変わらず人目に付く所で密会してるよなぁ。斉牧は母方の親族の情ではなく、婚儀の時には花婿側の介添人だった。昨日の帽妖は蕭欽言の仕業だったが今日は違うと言い、そして刺客たちが襲撃。
蕭欽言が吟じる「趙の侠客、縵胡纓を結ぶ。呉鉤 霜雪明らかなり。銀鞍 白馬を照らし、颯沓とするは流星のごとし」。この場面は蕭欽言の見せ場ね。
船での戦闘場面だ、顧千帆だ、崔指揮だ。
蕭欽言は政敵であろう清流派に、大事な息子が付いているのも結構放置してたのね。それってどうなのよ。話の展開が割と「ん?」となる事が多く、この感じはなんというのかな、オペラな舞台演劇的なのかしら。設定や小ネタは趣深いのだが。
柯政も蕭欽言も侠客的な思いを語っている回。
斉牧は小物なのかな。
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