１６話感想＆歴史
之虎が倒した棚から、姚子衿と皇太子が急接近。そのまま棚を支える之虎くん、姑蘇藍氏＠陳情令なみの怪力だ。
張皇后は15で皇室に嫁ぎ20余年仕え、3人の息子と1人の娘を産んでいる。盛侍医に診てほしいとの皇后の願いは聞き届けられない。瞻墉（せんよう,三子）、瞻墡（せんせん,五子）、嘉興（かこう,第一公主）も母上を案じている。
胡皇太子妃も医術の心得はあるが、申し出はしない。呉才人は殿下にけなげな姿アピールはするが、「寵愛は多すぎず少なすぎずほどほどがよい」と賢いぞ。
盛寅が永楽帝を治療した。皆が妊娠と言う中で盛寅はひとり異をとなえ、桃核承気湯（桃仁、大黄）、抵当湯（水蛭、虻虫）で血の巡りを促すべきと進言。皇后も無事に回復。
張廷玉（清代）『明史卷二百九十九 列伝第一百八十七 盛寅伝』
成祖遥望见，愕然曰：“谓汝死矣，安得生？”太监具以告，因盛称寅，即召入便殿，
令诊脉。寅奏，上脉有风湿病，帝大然之，进药果效，遂授御医。（略）
仁宗在东宫时，妃张氏经期不至者十月，众医以妊身贺。寅独谓不然，出言病状。妃遥闻之曰：“医言甚当，有此人何不令早视我。”及疏方，乃破血剂。东宫怒，不用。数日病益甚，命寅再视，疏方如前。妃令进药，而东宫虑堕胎，械寅以待。已而血大下，病旋愈。当寅之被系也，阖门惶怖曰：“是殆磔死。”既三日，红仗前导还邸舍，赏赐甚厚。
洪熙帝が皇太子時代の話のようで、盛寅は皇太子の不興を買いながらも治療に当たった。
手柄を取られると言う殷紫萍に、姚子衿「手を動かし身につけた技は誰にも負けない己だけのもの」と話す。
糸繰り車は仁孝皇后から賜わり「男が耕さざれば飢える者がおり女が織らざれば凍える者がいる。男が耕し女が織る。夫唱婦随こそ天下の理よ」と言われた、そして皇后は叩き割り尚食の薪にせよと。皇帝を見限ったのね。第15話でも出てきたが、薪は何を表しているのかな。
順徳府広宗県は今年雨が多かったが上奏が遅れ救済の時を逃す。劉殿の宴席で話した事……。 游一帆の上奏文は顧みられない。
『仁宗昭皇帝實錄 卷三下』
永樂二十二年 十月 十二日
順德府廣宗縣奏今歲雨水下田傷稼頗多乞寬其租稅...
郭貴妃の兄に武定侯を継がせ、祖母を営国公夫人、母を太夫人に封じる。外臣との私通で黄儼（こうげん）を誅し、その財産を武定侯に与え、郭貴妃はこの世の春。一方、張皇后は「動くのは策を講じてから」と動じない。黄儼は第8話に出てきた永楽帝お気に入りの太監。司礼監宦官で史実では永楽21年に趙王と謀反を企てた。
『仁宗昭皇帝實錄 卷四上』
永樂二十二年 十一月 一日
追封故彭城伯張麒并其三代俱為彭城侯封麒子中軍都督府都督為奉天翊衛宣力武臣特進榮祿大夫柱國彭城伯中軍都督府左都督如故命左軍都督府都督同知郭𡊨襲封武定侯
琴の音に皇太子がウキウキしていると、胡皇太子妃がおり琴の独幽を直してくれていた。が、そっけない皇太子。
１６話料理メモ
9月に届いた毛蚶（もうかん）という貝は婦人の気血を整える。
張皇后には、竜眼と枸杞鳩の卵の汁物（桂圓枸杞鴿蛋湯）は気血を補い陰虚を治し肺を潤す。
翡翠仏手鶏は仏手柑の花で、鶏には腐乳の汁と餅米の酒を加えている。
胡辣湯は懐かしい香り。張皇后の出身の永城での朝食。20数種の薬材が使われ季節によっても変わる。永城は河南省の都市で、胡辣湯は河南省の代表的な軽食。
生ハムみたいな品。戴院判が滋養のある物がよいと、素食を止めて洪熙帝は体調を崩す。黒枸杞を取り合い、尚食も皇后派と郭貴妃派、孟尚食派と胡尚食派に分れているようだ。黒クコは希少でアントシアニンが含まれ眼に良いとか。第10話の尚膳監との対決でも黒ナマコが良かったとあり、時々出てくる黒は何だろう。
郭貴妃は、陛下に賜わった千年人参と千年霊芝、太医院の薬をことづける。太医院はイマイチよね。寵愛されていても浮かれっぱなしではない郭貴妃ではあるのだが。
洪熙帝には恣意はなさそうだから、周りを信じて良かれと思ってやっていることが、人によってはアダとなっているのか。異を唱える人もいる中で、誰の意見を取り入れるか。皇帝の決定が及ぼす影響は大きく、張皇后にとっては命を脅かされたのは暗い影……。
（つづく）
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