笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

尚食24話料理感想/元曲「琵琶記」,洞庭饐,石子羹,蘇易簡 冰壺珍,酥油鮑螺

24話メモ&感想

上元節には雑伎団や楽団、工部職人が643人出入りしていて調査に時間がかかる。姚子衿は殿下は眠れていないので、人参は入れすぎないでと雪蘆に伝える。心を落ち着かせる百合棗仁湯を飲んでいたのは、アナタのせいでは……。

姚子衿が梅少淵と親しげなので、不機嫌を隠せない皇太子。菓子が届けられると知り、途端に具合が悪そうにしたのに持ってきたのは殷紫萍。

負傷した游一帆は陛下から免死金牌を授けられる。太祖から丹書鉄券を授かった者は、全員謀反の罪を着せられた死んだ。朱元璋は開国の功臣36人に丹書鉄券を授けたが謀反を疑い殺している。免死金牌や丹書鉄券は功ある臣下に与えられ死罪をも免れるが、謀反を起こした場合は適用外となる。

看病してくれる人のいなかった蘇月華が游一帆の手当をする。すると游一帆はかつて負傷した折に、幽閉されていた姚子衿に助けられていた。興味を持ち物乞いに扮して見ていると、マントウの差入れも。自由にしてあげたいと思っていたら、一足遅く去ってしまっていた。好きなんですね……。幽閉されていたのは宮中に入る前の半年なので、想像していたより最近のお話だったゎ。

梅少淵は殷紫萍に酒楼で働いていた報酬を渡す。無駄遣いをして盗みを働かないように保管してくれていた。良い人だった梅少渊。皇太子も姚子衿を盛寅に診察させてくれている。

考え込む姚子衿に、殷紫萍が京劇チックに「あの人ったら、なんて失礼なのかしら誠心誠意尽くしてるのに、あの人は私の気持ちを分かってくれない」と唱う。自分ならば紅玉石か緑玉石、猫眼石の宝石をもらうと言っていると、姚子衿が目ざとく男物の巾着を見つける。

高明(元代)《琵琶记》
第三十一出 几言谏父
这妮子无礼,却将言语来冲撞我。我的言语到不中呵,孩儿,夫言中听父言违,懊恨孩儿见识迷。我本将心托明月,谁知明月照沟渠。〔外下贴〕自古道酒逢知己千锺少。话不投机半句多。好笑我爹爹不顾仁义。却道奴家把言语冲撞他。昨日我丈夫教我休说破。我如今有何颜见他。只得且在此坐一坐。寻思个道理去回他则个。

元曲「琵琶記」で、南曲の代表作。京劇調というより南曲なのですね。太祖が愛好したそうな。京劇では『趙五娘』という演目となる。《封神演义》第十九回、《金瓶梅》第四回にも「我本将心…」は出てくる。

蔡伯喈(朱瞻基)は父の命で新婚の妻 趙五娘(姚子衿)を置いて科挙を受け状元で合格し天子永楽帝)により牛丞相の婿(胡善祥を娶る)となる。五娘は蔡伯喈の親の面倒を見るが亡くなり、琵琶(料理)を弾きながら上京。一方蔡伯喈も残した家族を思いを弾き、その事を牛家も知ることとなる。唱ったのはこの辺りで、牛氏の娘に諫められた牛丞相の台詞のようだ。やがて巡り巡ってふたりは再会し牛家に迎えられた。と何だかどこかで聞いたようなシチュエーション……。( )内は参照にと記してみた。


陛下は皇太子を南京へと送りこむ。刺客と通じていたのは、皇太子が8歳時に永楽帝が民間から子供を集めて訓練相手とされた人物。すっかりおかんむりな洪熙帝。姚子衿が陛下と仲を取りもどすように策を立てる。姚子衿に「阿狸」と呼びかける皇太子。

蘇月華はしれっと宴での郭貴妃を持ち出し、洪熙帝は傍にいてもらえなかった事を思い出し不機嫌となる。いや、武器の心得がないばかりも素手の貴妃がいても被害が増えるばかりよね。

練武場で会う皇太子と洪熙帝。つれない割には肉を焼く匂いには誘われる陛下、それは「花小厨」の山賊と同じですよ?

洞庭饐
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24話料理メモ

游一帆が蘇月華に渡した朝餉(早膳進)には、大蒜と酢の汁物(蒜醋白血湯)に……。毒ではない。

梅少淵が葉適の詠んだ詩の「みかんの葉で洞庭饐(どうていい)を作る」を引用。みかんの葉を入れ米粉と蜂蜜を入れて葉でくるんで蒸した菓子で爽やかな柑橘の香り。
蓬とみかんの葉汁を煮て米粉と混ぜ、蜂蜜を加えて生地を作る。生地を丸めてみかんの葉で包んで蒸す。

林洪(南宋代)《山家清供 洞庭饐》
旧游东嘉,时在水心先生席上,适净居僧送饐至,如小钱大,各和橘叶,清香霭然,如在洞庭左右。先生诗曰:“不待满林霜后熟,蒸来便作洞庭香。”因询寺僧,曰:“采蓬蓬与橘叶捣之,加蜜和米粉作饐,合以叶蒸之。”市亦有卖,特差大耳。


梅少淵は書物を真似て苔の生えた石を煮たが、薪を無駄にしただけだったと話す。

林洪(南宋代)《山家清供 石子羹》
溪流清处取小石子,或带藓者一二十枚,汲泉煮之,味甘于螺,隐然有泉石之气。此法得之吴季高,且曰:“固非通霄煮食之石,然其意则甚清矣。”


姚子衿は、宋の蘇易簡は酔って喉が渇くと、雪に埋めた漬物の壺を開け汁を飲み干した食べる人が満足すればよい。蘇易簡は北宋の大臣で、蘇舜欽、蘇舜元と並び銅山三蘇と称えられた。
 これは北宋第2代皇帝 趙光義である太宗に「最も珍なる食べ物は?」と尋ねられて「漬物の汁」と答えたもので、酔狂にもホドがあるような。よくよく話を聞くと風流っちゃ風流なのかもしれないが……。酔って喉が渇いた時には、冷たくて塩気があり丁度良かったのかナ。

林洪(南宋代)《山家清供·卷上:冰壶珍》
太宗问苏易简曰:「食品称珍,何者为最?」对曰:「食无定味,适口者珍。臣心知齑汁美。」太宗笑问其故。曰:「臣一夕酷寒,拥炉烧酒,痛饮大醉,拥以重衾。忽醒渴甚,乘月中庭,见残雪中覆一齑盎。不暇呼童,掬雪盥手,满引数缶。臣此时自谓上界仙厨,鸾脯凤脂,殆恐不及。屡欲作《冰壶先生传》记其事,未暇也。」太宗笑而然之。后有问其方者,仆答曰:用清面菜汤浸以菜,并消醉渴一味耳。或不然,请问之冰壶先生。

料理名を聞かれたのは乳鴿(にゅうこう)、鴿はハト。魚肉(黄魚)なのに蟹のような味わい。部屋を出たり入ったりで、梅少淵は殿下は心(恋?)の病と気付く。

▼山家清供な会話の数々


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帰芪蒸し鶏は当帰と炙黄芪を使っている。気血を補ってくれ食欲のない時にぴったりで傷を治す効果もある。炙黄芪はキバナオウギ(黄耆)を炙ったもの。

酥油鮑螺南宋の頃の臨安の名物で、乳酪と蔗糖で作る。当時の人々は牡蠣を鮑と呼び、牡蠣に似たこの菓子に鮑螺の名がついた。

菊苗粥は温室で育てた甘菊を使い食欲をそそる味。これらは陛下の故郷の味。南京では菊を菊花脳と呼び、汁物に使う。甘菊はめまいにも効く。うるち米に氷砂糖を加えた粥。

高濂(明代)《遵生八箋》
用甘菊新長嫩頭叢生葉,摘來洗淨,切細,入鹽,同米煮粥食之,清目寧心。

(つづく)

殷紫萍が元曲を唱った~♪ なんせ六月紅@君花海棠ですものね?
『琵琶記』がモチーフとすると、趙五娘の孝行ぶりから姚子衿がなぜにあれだけ善人なのか納得がいき、皇太子の二重婚や琴を奏でるのとうまく重ねたなぁと物語が深まった。牛氏の娘も善い人で、胡善祥も初めの頃はそんな感じだったかな。

『山家清供』がこれでもかと出てきている。姚子衿が梅少淵と『山家清供』について語っていた時、姚子衿が生き生きとして見えたので、皇太子が嫉妬するのも分かる気はした。身分的には梅少淵のような臣下の方が、女官の姚子衿はかしこまらずに振る舞えるのよね。実際、瓔珞と傅恒がそんな感じだった(それなりに身分差はあったのだけれど)。でも皇太子位でないと、後宮で助けてくれる力がないワケで、そのバランスが後宮恋物語では難しいのかな。

 

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▼21話に丹書鉄券が出てくる。

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外部サイト

▼いま日本で観ることのできる中国ドラマをすべて紹介する!

▼「琵琶記」にも触れています。