25話メモ&感想
焼き肉で陛下を供しながら、皇太子は初めての狩りで射た山羊を自ら焼いて父にあげたことに触れる。その時の肉は丸焦げだった。
皇后が生けているのは黄梅かな?
姚子衿がかつて受け取らなかった宝石箱が大事そうに置かれている。「君子が子を遠ざけ孫を近くするのは、木が火を遠ざけるに同じ。先帝にとって殿下はかわいいばかりの孫だった。殿下の心には陛下を敬う思いが欠けている」と指摘。この木は五行の木性か、何となく串焼き場面な木と火を連想していたよ。『白虎通徳論』は儒教の解釈についての議論が記された書物。
『白虎通徳論 卷三』
五行
君子远子近孙,何法? 法木远火近土也.
洪熙帝が皇太子の頃に詠んだ詩を記す。将棋を詠んだ詩に見えるが、太平の世を立てるという気概が秘められている。こういう話を立ち聞きされると良いよね。
仁宗
二国争强各用兵,摆成队伍定输赢.
马行曲路当先道,将守深宫戒远征.
乘险出车收散卒,隔河飞炮下重城.
等闲识得军情事,一着功成定太平.二国の戦で、勝敗を決めるは配置なり。
馬は曲路を先に行き、将は宮殿の深くで守る。
車を出して敗卒を救い、河を隔てて炮を放つ。
軍の情勢を見極めて、功を成せれば太平来たる。
市井の者が言っていたと、建文帝に仕えた奸臣が粛正された際、その無辜の妻や娘は教坊司で歌舞音曲を学ばされたり、異郷へ流され客死した事に言及した。子衿の生母の事か。奸臣の家族への罰は永楽帝の意向。
皇后は祖訓を引用し「法外の刑罰は世への戒めであり、常に用いるべきではない。皇帝となる子孫は定めを守るべし。むやみな刑罰で無辜の者を傷つけてはならぬ」。洪熙帝と張皇后も歩み寄った。
『太祖高皇帝実録 巻二百三十九』
洪武二十八年 六月二十七日
联自起兵至今四十余年,亲理天下庶务,人情善恶真伪,无不涉历。其中奸顽刁诈之徒,情犯深重,灼然无疑者,特令法外加刑,意在使人知所惊惧,不敢轻易犯法。然此特权时处置,顿挫奸顽,非守成之君所用长法。以后嗣君统理天下,止守《律》与《大诰》,并不许用黥刺剕劓阉割之刑。
洪熙帝が勅命する「建文帝の奸臣はすでに罰を受けた。教坊司に送られた家族や錦衣衛、浣衣局、職人および功臣の奴婢に落とされた者で命ある者にはすべて大赦を行う」。
『仁宗昭皇帝実録 巻四上』
永樂二十二年 十一月一日
御札付礼部尚書呂震曰建文中奸臣其正犯已悉受顯戮家属初發教坊司錦衣衛浣衣局并習匠及功臣家為奴今有存者既經大赦可宥為民給還田土凡前為言事失當謫充軍者亦宥為民
陛下直々で司膳に昇進した! 皇太子は兔ではなく狐を送るべきだったと言う。狐と言えば瓔珞~。そしてハグ。最近では袁琦の方が皇太子の意を汲んで子衿との仲を取り持ち、陳蕪はちょっとお邪魔虫。
えんじ色衣装の姚司膳は尚食局で人気者。皇后に呼ばれ江司薬が診察する。飛ばされていた司薬ね、藩司薬は病で辞めたようだ。越鞠丸を飲めば気も整うと診察される。行気解鬱の効用がある漢方。彭城伯夫人が来て、皇太子嬪に冊封されると言う。え?ここで嫁入り?
游一帆は皇太子の所業ではないとかばっている。疑わしい職人の師はかつて漢王府にいた。
逃げだし草舎へ逃げこんだ姚子衿。皇太子は引き渡すのかと思いきや、連れてきたのは黒猫だった。彭城伯夫人はかつて病になった子衿に名医を遣わした恩人でもある。皇太子は、願いは全て叶えてやると太っ腹。
陛下の体調不良の追求に抗弁していると、陛下の御前で皇后が皇太子嬪にと推挙する。
25話料理&漢方メモ
豚ばら肉のあぶり(焼臆子)は開封の名物料理。こりゃ、美味しそうだ。花椒塩水を塗り、肉に酥油を塗るのは陛下の体を考えてのことで、酥油で焼くとほろりとした歯触りになり歯ごたえはない。肉を炙るには様々な燃料を用い、柴や石炭、麻の根では味が異なる。屋外で食べる焼きたて串焼きは美味しいよね。
河南伝統料理で豫菜(河南菜)に属する。南宋の孟元老《東京夢華錄》に記載されており、北宋の都で食べられた軽食。
孟元老(南宋代)《东京梦华录 卷二 饮食果子》
所谓茶饭者,乃百味羹、头羹、新法鹌子羹、三脆羹、二色腰子、虾蕈、鸡蕈、浑炮等羹、旋索粉、玉棋子、群仙羹、假河鲀、白渫齑、货鳜鱼、假元鱼、决明兜子、决明汤齑、肉醋托胎衬肠沙鱼、两熟紫苏鱼、假蛤蜊、白肉夹面子茸割肉、胡饼、汤骨头、乳炊羊、羊闹厅、羊角、腰子、鹅鸭排蒸荔枝腰子、还元腰子、烧臆子、入炉细项莲花鸭、签酒炙肚胘、虚汁垂丝羊头、入炉羊羊头、签鹅鸭、签鸡、签盘兔、炒兔、葱泼兔、假野狐、金丝肚羹、石肚羹、假炙獐、煎鹌子、生炒肺、炒蛤蜊、炒蟹、渫蟹、洗手蟹之类。
羊ばら肉の焼き物(烤羊肋)。文句を言われた後にすかさず出てくる、食べ応えのありそうな肉。味付けに百里香の粉を加え、熱を取り生臭さも押えられ、菊花茶も添えた。この季節の炙り肉は寒気を和らげ虚を補う効果がある。羊は最も早期に飼い慣らされた六畜の一。百里香はイブキジャコウソウ、中国の李施德霖(リステリン)には百里香成分が含まれているとか。
桂魚の包み焼き(烤花攬桂魚)魚の腹の中に筍,干し椎茸,海鼠,干し貝柱,卵の白身,豚肉を詰め、網脂を巻き小麦粉の生地で包んでいる。さっぱりとして香り豊かで、心を養い肺を潤し脂を除く。桂魚は縁起がよいとされている。
孔府名物料理で、魯菜系に属する。桂魚と貴餘はどちらも「guì yú」で、「富貴有餘」の意味を寓し、孔府のめでたい宴席では欠かせない料理である。孔府菜は宋代に孔府(孔子ゆかりの邸宅)が再建され生まれた接待料理。孔府宴では君主や大臣、父や子の身分に従って異なる仕様となっている。儒学の「君子が子を遠ざけ孫を近く~」を受けているのね。何となく子衿を遠ざけ孫氏を近づける、に見えなくもない。
殷紫萍が陛下に菓子を用意し、褒美の反物を貰っている。
殷紫萍が出す予定の豚肉ともつの蒸し物(蒸豬蹄肚)、羊の頭と足の煮物(焚羊頭蹄)に塞外の地栗鼠(塞外黄鼠)は脂っこい。蹄の付く料理が多いな。
八珍糕は弱った脾胃を整え、心を落ち着ける効果がある。陛下の具合が悪化。
ここからは漢方薬の説明が続く。
民間での八珍糕は山薬、白扁豆(びゃくへんず)、蓮の実、茯苓(ふくりょう)、芡実(けんじつ)、山査子と麦芽。宮廷では最後の2つを党参(とうじん)と鹿茸(ろくじょう)に。山薬は山芋や長芋で腎気を益する。白扁豆は白いんげん豆で脾胃を補う。芡実はオニバスの実で健脾・補腎の効能がある。
陛下の薬には霊芝と鹿茸、党参が含まれており、脾虚なので薬材のとりすぎで病を生じた。鹿茸は気血の過多を招き吐血や昏睡を起こす。茯苓は利水作用に優れている。
姚子衿は党参を用いる際にしっかりと蒸し焼きにし粉にし、用いる水に大根汁を加えた。大根汁には熱を冷まして毒を消し気を落ち着ける効果があり補薬の効果を和らげ食欲を増進させる。
八珍糕は八種類の漢方をもち粉などに加えて作る。西太后が好んで食べていた。
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