笛の音と琴の調べ

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尚食29話料理感想/王禹偁 甘菊冷淘,角黍,郭貴妃の疑惑

29話メモ&感想

孟尚食は事前に皇后へ毒杯について知らせており、皇后は杯を払っていたと話す。盛侍医は毒殺を否定、『洗冤集録』(せんえんしゅうろく)に服毒死の様が描かれている。南宋の宋慈が記した世界最初の検屍書。

李時勉について第27話や第28話で説明したが、この回で出てきていたのか。
端東門と端西門で入れ違い、游一帆の入れ知恵もあり「喪に服している間は妃嬪を侍らすことを控え、皇太子を遠ざけてはなりません」と上奏したと話す燃やされてしまった
この辺りはまるっと『李時勉伝』に書かれている。

『明史 巻163 列伝51 李時勉伝』
宣帝即位已逾年,或言时勉得罪先帝状。帝震怒,命使者:“缚以来,朕亲鞫,必杀之。”已,又令王指挥即缚斩西市,毋入见。王指挥出端西旁门,而前使者已缚时勉从端东旁门入,不相值。帝遥见骂曰:“尔小臣敢触先帝!疏何语?趣言之。”时勉叩头曰:“臣言谅暗中不宜近妃嫔,皇太子不宜远左右。”帝闻言,色稍霁。徐数至六事止。帝令尽陈之。对曰:“臣惶惧不能悉记。”帝意益解,曰:“是第难言耳,草安在?”对曰:“焚之矣。”帝乃太息,称时勉忠,立赦之,复官侍读。比王指挥诣狱还,则时勉已袭冠带立阶前矣。

殉葬は祖訓に関わり、さすがに帝でも変えられない。陛下は郭貴妃の殉葬を免じた。蘇月華が「見事な策だわ」と言うと、孟尚食は「まだまだ若い」と浮かない様子。


郭貴妃の祖父
は建文帝を助けて燕王(永楽帝)を攻め、危うく殺されそうになった。祖父は明建国の功臣である武定侯 郭英
 郭貴妃にとって大切なのは祖母 宮国公夫人の余生を守る事、そのために20年戦ってきた。郭貴妃は殉死。衛王がもっと暴れるかと思ったら、すんなりおさまっていた。まぁ張皇后の天下で、毒殺しようとしたのが露見したならば、しょうがない顛末ではある。

郭貴妃の疑惑が史料に残されている。

明·吕毖《明朝小史·卷五·洪熙纪》
疑饮。帝在位,郭妃以中宫诞辰,邀过其官上寿,帝亦往。妃进卮于后,后不即饮,帝曰:尔又为疑乎?遽取饮之,妃失色,然无及矣。俄而帝崩,妃自经死,时适雷。

明·祝允明《野记·卷二》
 仁宗郭妃,以中宫诞辰,邀过其宫上寿,上亦往。妃进卮于后。后不即饮。上曰:“尔又为疑乎?”遽取饮之,妃失色,无及矣。俄而,上崩,妃自纪死。时适雷。

 


洪熙元年6月、皇太子朱瞻基は皇帝に即位大赦を行う。皇后張氏は皇太后皇太子妃胡氏は皇后となり、明の宣徳帝となった。皇太后張氏は清寧宮へ戻る事を望んだ。

漢王が上奏した安国利民の四事も施行され、宣徳帝は漢王への疑念を提言するなと言う。蹇義(けんぎ)も控えており、楊傅(ようふ)は宣徳帝の竹林の絵を褒め称えている。竹林が描かれているというと《 武侯高卧图》だろうか?

游一帆は「東風いまだ至らず、万事急ぐことなかれ/ 东风未至,万事莫急」と。

孟尚食は皇太后の命で洪武初年の旧制を復活し全宮を掌ることとなり孟尚宮となる!六尚を統べることとなった。
尚宮局には尚宮司記司言司簿司闈(しい)がおり、尚宮(正五品)が女官のトップである。尚食宮については含英に任せる。蘇月華と殷紫萍で火花バチバチ

張皇太后は郭貴妃が先帝の命を縮めたので供をさせたと話す。皇后は馬皇后や徐皇后のように国と社稷と民を守る自負があり、家族を守るという妃嬪たちの事は認めていない。

貴妃の長子滕王は病死、姚子衿は「傷つけられた人が権力を握ると、今度は人を傷つける/被他人伤害,待拥有权力,又成为迫害他人的元凶为什么」と胡皇后に問うている。

宣徳帝の肖像画、「勇ましく非凡」に髭を描き加える子衿ちゃん。この宣徳帝の笑顔は久々に見るにんまり笑顔。宣徳帝の肖像画は髭が描かれているのでこれにちなんだか。


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洪熙元年中秋。蘇月華と殷紫萍が視線を交わすのが宮中バトルといった雰囲気。間にはさまれ苦労が絶えなさそうな含英さん。

太后に孫嬪を貴妃にと申し出た宣徳帝。皇太后からは寵愛と言われ、宣徳帝は「妃嬪は皆同じ」と答え、それを受けてか子衿も遠ざかる。

人形に亡き胡司膳とのやり取りを思い出す胡皇后、この人形は嫦娥なんだろか? 子衿がいるからと月餅を送らない皇后、侍女は知らせを放ったか?

29話料理メモ

姚子衿が陛下に献上したのは角黍(かくしょ)。
5月5日の端午の節句に食べるちまき

Ep29.甘菊冷淘

甘菊冷淘、郭貴妃には祖母の味。「冬至は餃子を夏至には麺を」という俗語があり、夏至には冷麺を食す。甘菊の葉の汁が練り込まれた麺なので緑色となっている。
『花小厨』では寒食節だからと槐葉冷淘(槐の葉の冷麺)が出てきていた。杜甫の『槐葉冷淘』という漢詩もあり、甘菊は弟分な感じかな。『花小厨第6話』記事にて説明。

王禹偁(宋代)《甘菊冷淘》
经年厌粱肉,颇觉道气浑。孟春奉斋戒,敕厨唯素飱。
淮南地甚暖,甘菊生篱根。长芽触土膏,小叶弄晴暾。
采采忽盈把,洗去朝露痕。俸面新且细,搜摄如玉墩
随刀落银镂,煮投寒泉盆。杂此青青色,芳草敌兰荪
一举无孑遗,空媿越盌存。解衣露其腹,稚子为我扪。
饱惭广文郑,饥谢鲁山元。况吾草泽士,藜藿供朝昏。
谬因事笔砚,名通金马门。官供政事食,久直紫微垣。
谁言谪滁上,吾放饱且温。既无甘旨庆,焉用品味繁。
子美重槐叶,直欲献玉尊。起予有遗韵,甫也可与言。

摘み摘めば束となり、朝露の痕を払う。
俸麺は新しく細く、こねれば玉のごとし。
刀で削げば銀鏤落ち、煮て寒泉 盆に投ず。
青々の色を雑え、芳しさは蘭蓀に劣らず。

孫嬪は肉、百果、五仁、卵黄、蓮蓉の月餅(団圓餅)も陛下に届けようとしない。五仁は、核桃仁(くるみ)、杏仁、花生仁(落花生)、瓜子仁(瓜科の種)、芝麻仁等のナッツ。
各宮の主は慣例どおり乾清宮に月餅を届ける習わしである。


▼槐葉冷淘について。

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