33話メモ&感想
張皇太后、孟尚宮と母の思いの回。
殷紫萍が雪が降っていると駆け込んでくるが、子衿のだんまりは相変わらず。妃嬪たちは誰が口を開かせられるか賭けているらしい。まぁ後宮は刺激がないもんね、オッズが気になるな。絵を描いている子衿。
王一哲のED曲が流れる中、見舞いに来ている恵妃何氏や、笛を吹く婕妤曹氏、とっておきなのであろう香木を削らせている呉昭儀。金槌で割る姿が口を割らそうとしているように見えてしまうよ。薄青色の鳥は子衿のお友達。
宣徳元年4月。宣徳帝が大切に育てた鷹を放つのは、狩りの季節が過ぎたので山に帰して繁殖させるため。ふむふむ、子衿ともそういう時期になってきているのかな。謀反に必要なのは兵馬と食糧。
宣徳帝は、三叔父上の北京にある禄米を戸部へ戻し、同量の食糧を彰徳の三叔父上に届けよと命をくだす。
《宣宗章皇帝實錄 卷十九》
宣德元年七月十日
○趙王高燧奏今己之國彰德北京廣有倉原存本府祿米八百五十石請歸之戶部 上謂尚書夏原吉曰趙王至親今方就國正資用度祿米在北京者姑從所言即令平江伯以所運糧米如數送彰德償之
子衿と宣徳帝が同じ榻で横になっている。
舌先三寸で百万の兵に勝つ話ってなんだろと気になり調べてみた所、
戦国時代 趙・平原君の食客 毛遂のことのようだ。
陳蕪は、貴妃が半年彭城伯府に幽閉されたことを伝える。
劉向『戦国策 東周』
三寸之舌,强于百万雄兵。 一人之辩,重于九鼎之宝。
黄宗載が乾清宮におり、命を受けて軍の管理に向かい浙江から戻った。
《宣宗章皇帝實錄 卷十三》
宣德元年正月二十四日
○遣行在吏部侍郎黃宗載等往各處清理軍伍宗載浙江戶部侍郎郝鵬湖廣刑部侍郎樊敬揚州淮安鳳陽廬州滁州徐州俞士吉應天太平池州寧國安慶廣德和州吳廷用江西北京行部侍郎金庠
蚕が葉っぱをはむはむ。皇后のお務めだ~。「赤い袖先」でも皇后が世話していたよ。……ってなんで皇太后がいまだに世話しているの。胡皇后の具合が悪いから?
太宗皇帝時代から宦官が幅を利かせているのを粛正したい孟尚宮。桑の葉は一度水で湿らし、その水が乾いてから葉を摘むもの。蚕が弱った時は干した桑の粉末を与えるといいらしい。
張皇太后が子衿を召し、仁孝皇后徐氏について話す。瞻基は祖母の仁孝皇后に育てられ、母である自分よりも懐いていた。李景隆が攻めてきた時には鎧を着て奮戦。民を我が子のように慈しみ、皇帝に気に入られなくても気にせず、己の名声に重きを置かず国に身をささげた。そんな存在を息子である瞻基のそばにいてくれる者として求めている皇太后。言葉の数々は命令ではなく願いだと。張皇太后のありたい姿はぶれなくて良いな。
李景隆の父 李文忠は洪武帝の将軍で武勲をあげたが粛清に遭う。息子の李景隆は朱棣(永楽帝)の反乱による靖難の変が起きた時に、大将軍に任命されるが敗戦続きだったとか。今は藩王に反乱されないか案じているけれど、祖父は反乱した側だったという……。
子衿が話せないと宣徳帝にもわかり、盛寅は「百病は気より生ず、怒りで気が上がり喜びで気が緩まる、悲しめば気は消え恐怖で気は滞り、驚けば気は乱れる。気持ちが沈み気血の均衡が崩れている」と言い、半夏厚朴湯に柑橘湯を処方する。気持ちが通じ合った子衿と宣徳帝はふたり抱き合う。半夏厚朴湯はストレスから来る喉の違和感や声枯れに効く。
《黄帝内经·素问·举痛论》
余知百病生于气也,怒则气上,喜则气缓,悲则气消,恐则气下,寒则气收,炅则气泄,惊则气乱,劳则气耗,思则气结。
ついに殷紫萍に話しかける子衿。幽閉された恐怖を語り「必死に料理を学ぶ姿を見て、そばで支えたいと思いここまでやってこられた」って、宣徳帝とよりも、殷紫萍との絆の方が深いよね。
口の利けない病な貴妃を後宮に置けば余計な騒動になるとは、口を利かない不遜な貴妃ならいいのか? 皇太后も1人の母親とわかり、恐怖が薄らいだようだ。やっと書斎を出られると言う子衿。意外とケロっとしているね阿金……。
孫貴妃は胡皇后に関した事で、孟尚宮と蘇月華を呼び出す。玉膾が白状したので蘇月華の処罰を宮正司に托そうとした所、孟尚宮が自らの手を傷つけ、蘇月華の罰を取りなす。「責任を持って正しい道に戻さねば」と、最後には母としての思いが勝ったか。孟尚宮は安楽堂で病を得た宮人の世話をすると申し出る。子衿はこのふたりが親子って知っていたんだっけ?
安楽堂は病にかかった宮人が送られる場所で北安門にある。『酌中志』にも記載されている。
刘若愚(明代)《酌中志 内臣职掌纪略》
安乐堂在北安门里,掌房官一员,掌司数十员。凡在里内宫,及小火者,有病送此处医治。痊可之日,重谢房主,消假供职。如不幸病故,则各有送终内官,启铜符出北安门,内官监给棺木,惜薪司给焚化赀,抬至净乐堂焚化。
方典膳は孟尚宮を師匠とも母とも慕ったと涙ながらに訴え、尚食を託され陳蕪への思いも断ちきる。孟尚宮は自分の正しいと思っていたやり方が、尚食局や女官の悪い模範となってしまい、腐敗を招いたと述懐している。
宣徳帝が「貴妃宝図」を陳蕪に渡している。雲舟から刀剣を通さない胴着を貰ったようだ。
あら?游一帆が手にしている薄青色の鳥は見覚えがあるよ?伝書鳩でもあるの?そんな高い所からも降りられる軽功もある世界なのか。蘇月華は非難されることに耐えられないようで、変わってないね。
33話料理メモ
田鰻の細切りで鰻の皮剥ぎは「将軍鎧を脱ぐ(子龍脱袍)」。この子龍の飾り切り皿、スゴいな。なんと実在する湖南省伝統料理で、ゲーム「食物語」にも出てくるキャラ。鎧を着るは、衣を鎧に見立ててつけて揚げる。殷紫萍と阿金との軽妙なやり取りが楽しい。
殷紫萍はわざわざ口の開かない貝を選んで調理したの?くっつけたの?
口の開かない貝から、子衿が話せないとわかる宣徳帝がスゴすぎる。
心の鎧を脱いだ、という象徴なのかな。
▼【一言九鼎】にちなんで毛遂を紹介しています。
外部サイト
▼許凱、呉謹言のインタビュー記事。
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