中国ドラマ「月に咲く花の如く」が、TOKYO MXにて2024年2月17日より月~金各1話再放送されている。中国語タイトルは《那年花開月正圓》、英語は《nothing gold can stay》。全74話。
時代は同治8年とあり、清朝同治帝の頃の陝西商人を描いている。
スンリー演じる周瑩が武芸にも長けて飄々と強いのが小気味良くて視聴継続。身売り証文に束縛された侍女が屋敷から逃亡できるのか、とも思ったが、武侠チックなドラマは好きなのであまり気にせず。呉家が誠と信を大切にしているあたり、商売モノにしては義侠的で好きかも。
第1話の杜明礼が唱った京劇が気になり調べてみた。第1話~第31話まで、とびとびです。
人生世にいる時は春の夢のごとし
心行くまで飲みたる何杯かの杯
《贵妃醉酒》
人生在世如春梦,且自开怀饮几盅
2つ目の太鼓の音で、甲冑に身を包み
3つ目の太鼓の音で、刀を鞘から抜く
《定軍山》
【第二十场】黄忠
二通鼓,紧战袍;
三通鼓,刀出鞘
定軍山の戦いで、老将軍黄忠の台詞。
《霸王别姬》
【第八场】虞姬
汉兵已略地,
四面楚歌声
ご存知、覇王別姫の四面楚歌。
16話の歌
周瑩と呉聘のラブラブも束の間……。
呉聘の葬儀で、古月薬材店よりお悔やみの対句は「花落ちて春は去り、残月丸くなり難し/落花春 残月夜難」。
周老四が嘆き歌う「位牌をひと目見るだけで、涙がとめどなく流れてくる。呉聘は棺桶の中で眠り、周瑩は悪夢を見てるかのよう」。
《哭灵》
一眼看见灵堂
不由泪水往下淌
(亲爱的妈妈)你棺材里睡
(女儿)好像做梦一样
ずっと心ここにあらずだった周瑩が、埋葬される段になってガバッと棺の上にしがみつく場面で泣けた……。この日は『宮廷の諍い女』でも虚ろな瞳となる嬛嬛で、スン・リーの演技が光っていた。
呉家 神堂の鐘が鳴ったのは、咸豊11年と同治5年。咸豊11年(1861年)は咸豊帝が崩御した年、同治5年(1866年)は洋务派创办的造船厂海怪事件なのかしら。洋務派が造船を始めたという年。あとは李鴻章が欽差大臣となる、太平天国の王海陽が殲滅くらい。
呉聘の人の善さと包容力は、結婚相手として素晴らしい美質。胡咏梅が子供の頃からお嫁さんにと思っていたら、そりゃこんな男性は滅多にいないから、執着してしまうのは無理ないとは思う。そして周瑩とも相性が良かっただけに、幸せがあっという間に終わってしもうた。頼みの綱は父の呉蔚文だわ。
20話の唄
沈四海父が軍部での取引ができるようになって喜んでいると、杜明礼は「貝勒殿が都で権力を握る限り、すべてが順調にいくであろう」と唱う。扇子をひらひらさせながら「沈殿、これから忙しくなりますよ」。扇子を掲げ「早急に頼みますよ」と。
只要京城有贝勒爷座镇,一切都好办.
沈老板,以後你有的忙了.
那就赶走緊的.
人只要活着,都是白活
23話感想
周瑩が復活して、かつての学堂の仲間たちが助けてくれるのは和む。が、周瑩は妓楼でなぜにそんなに煽るんだろ。趙白石にも言動を考えるように言われていたというに。
そして呉聘ママ、大商人 呉蔚文の奥方の割には、人を疑わずすぐにノセられ、深窓の奥方なのか? 呉聘の真っ直ぐな所は母親譲りなのね。
25話の歌
孫番頭が賊に襲われていると、趙鴻伍が唱いながら現われる。
「五月の端午節に、ザクロの木の下で…/五月里端阳 石榴樹下」。
26話の感想
杜明礼に陥れられた白石くん、「范仲淹とて3度も陥れられたが腐ることなく天下のことを考えた」はドラマ『孤城閉』で学んだよ。
義母、礼儀をたしなめるけど、気のいい周瑩だから、許してもらえているのでは……。
28話の漢文
胡父の葬儀のお悔やみの対句は、「仍偕身影在 盡帯涙花飛」。
義母が周瑩を信頼してお金を出す場面は、ふたりの絆が深まり良き場面。
29話の京劇
呉家三院で商売したい周瑩に、迷信深い四叔父の件を頼まれ、周義父が応じて唱った「老将に任せろ、人一倍仕事ができる/老将出马一个顶俩」。小鑼音を口真似して去って行くのが楽しい。
ノーカット版ではこの場面の前から、周義父は皆の前で唱っていた。
剧本《打金枝》
第一场 庆寿
昭仪公主:(唱摇板) 驸马讲话无道理, 听我把话说来历. 自古皇家有纲纪, 那有为君拜臣的. 休怪你妻取笑你, 你本是牧牛放马的.
郭 暧〔白〕:好恼!
〔唱〕:骂声昭仪太无理
郭子儀の六子 郭暖は昭懿公主の駙馬であり、郭子儀の宴でないがしろにされ、昭懿公主を打ったという物語。公主は両親である唐王たちに泣きついたが、仲良くするようにとりなされた。
30話の京劇
杜明礼が胡詠梅と語っている。
同治帝の代、寿姓幇は寧強県の陳百万をさらい、陳家は身代金を渡すも陳百万は殺された。光緖3年には、三原周家の若君がさらわれ、生きて戻ることはなかった。
後ろの対聯は、【煙雨千古考、霜雪四時香】とある。
山有烟雨千古秀
地无霜雪四时春
は江南四大才子の対聯とか。
呉聘が亡くなった日の回想、周義父が呉聘の湯のみを盗っていく時に唱っている
「今城楼にて山の景色を望む、聞こえてくるは城外のにぎやかな声、掲げられた見事な旗が空に向かってたなびく。その実は…」。宝来のお茶は捨てられていた。
京劇《空城计》
我正在城楼观山景, 耳听得城外乱纷纷。 旌旗招展空翻影, 却原来是司马发来的兵。
諸葛孔明が司馬仲達を相手に、一計を案じたもの。
30話メモ
胡月洋布店には「紫気東来 金玉満堂/紫气东来,金玉满堂」と掲げられている。
いよいよ舞台は新天地の西域へ。
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