男狐聊斎３～狐の恩返し～映画感想,謎解き,中国声優

漆培鑫主演の映画『男狐聊斎～狐の恩返し～』がWOWOWで放送されていたので観てみた。読み方は「おぎつねりょうさい」。95分。感想タグは#狐恩返し中。

昔、雲家に恩を受けた三尾妖狐な白辰は、25歳で死ぬ運命の雲月を助けようとし、そこに三尾妖狐の内丹を狙う道士が絡み……という分かりやすいストーリー。
　漆培鑫は白狐なので、いつも白衣装で凜々しかったですよ。ちょっと成長していたけれど、金凌な情の厚さは変わらず～。

2023年3月26日には東京・大阪で1日限定のアンコール上映され、人参割なるものもあるらしい。劇中の千年人参にちなみ人参🥕に関するものを持って行くと割引されるそうな。大画面で観るチャンスですね。

漆培鑫は『陳情令』の金凌役でお馴染みの役者さん。このキービジュアルはSNSなどで見かけていたのだが配信映画だったのか。私は仙侠ドラマは好きだが、仙侠映画はあまりそうでもなく……。映画の尺だとどうも感情移入できずにストーリー展開にツッコミたくなるのだ……などと言いつつも漆培鑫につられて観たワケなのだけれど。ネタばれありです。

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男狐聊斎３感想

白辰（漆培鑫）は千年修練した霊力のある妖狐で、ワルそうな玉離道士（路順）がその内丹を狙っている…って、内丹は金丹と同じようなものと思われるが、自分で取り出せるの？というのにビックリ。そういう設定もアリなのか。

この妖狐は三尾妖狐なのね。白辰はおば上白九顔（高智洋）と共に青丘におり、『永遠の桃花』を思い出すな。

一方、人間の雲月（高凱）は祖母（黄英）と従妹安歌（諶瑋琦）と暮らしている。雲家の男は代々奇病に侵され25歳を超えた者はおらず、祖母に換命術を勧められている。

白辰は千年前に大きな恩を受け、それを返さねば神仙になれず、また人間と妖怪は本来関わってはならないので、縁を結ぶとその記憶が消されるという世界のようだ。

白辰には恩返しに当たり３つの注意事（①相手に目的を言わない、②狐族の玉佩が妖気を隠す、③人間に心を寄せない）を言い渡され、雲月は白辰に３つの取り決めを伝えるが、おおよそこれらに反する展開になっていくのはお約束～。侍衛の腕比べにと白辰と雲月が手合わせする場面も見どころのひとつ。鶏を捕まえるのもよくある事なのかしら。

瑶光（羅佩）の赤い尾っぽが綺麗だな。
財を欲するは山虎の如く猛々しく、色は即ち骨を削る鋼の刃【财如凶猛下山虎,色是刮骨钢刀】は俗語。

千年人参で治療を試みる雲月は、白辰の幻術には惑わされない。何が走っているのかよく分からなかったが、千年人参か！マンドラゴラみたいだし、めっちゃ俊足な千年人参！

幽霊蘭を求めて「死ぬ時は一緒だ」と、崖から共に落ちるふたり。谷底には秋笙墨が眠る妻とおり、輪廻するために来世へと旅立つふたりを見送る白辰と雲月。

白辰が雲月に望むのは「しっかり生きる」こと。雲月は病ではなく天劫呪であったと分かる。美しい月夜、剣舞で興を添えようとふたりは剣を交わす～この場面も花が咲き良き場面。玉佩を落としモフモフなしっぽが現われるのだ。

白辰が身を挺して雲月を守ることで、あっさりと白辰の恩返しは完了。

謎解き

燈籠祭での謎解き、店主は白辰だった。

淮海に又出会い、碍石を２人交わす…得難い
月と右を合わせて、心と青を合わせる。この世で最も愛を知る者は？…有情人（想い人）

淮海又见水退时…又＋(淮－水)：难
双人换走阻碍石…双人旁＋(碍－石)：得

月顶右手不见口…(右－口)＋月：有
青年男女树心旁…心旁＋青：情
世上何物最懂爱……人

难得有情人（想い人は得難い）

一所懸命謎解きした後で、公式さんが正解を発表していると知る……先に見つけておけば……。詳しい解説はコチラでどうぞ。
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雲月の「誕生日の間ぐらいはそばにいてくれ」に、白辰が「天地の霊気で作られているから」と玉佩を渡すのは……LOVEかしら。天灯もどこからか取り出せちゃうのね。願いを込めて飛ばすふたり。

千年前の因縁が明らかになる。雲家の先祖は妖狐と出会って救ったことが不幸を招いたと。たわむれ剣を交わす白辰とご先祖様。どうもこの因縁がいまひとつ分からない……。罰を受けた狐を助けてはダメで関わったのがいけない、という事なんだろか？

いよいよクライマックス

白辰が雲月を助けにやって来て「私も協力する」と玉離道士に戦いを挑むが、雲月の血で作った陣が張られた！道士に内丹を差し出すよう迫られ、雲月を見やる白辰の表情が印象的。叔母上が助けに来てくれるのかと思いきや、「これもあの子の天命ね」ってそのままにされてるし。

白辰と雲月は手を取り合い、白辰は「自分が死ねば天劫呪は解ける、しっかり生きろ」と言って消える間際に、千年分の霊力を雲月に渡し、その力で道士を倒す雲月。修練しないと内丹だけでは効力が低いようだ。

白辰が戻ってくるかと期待していたが、雲月が玉佩を眺めて終わっちゃったよ！？

えええええ。

そういうシリーズものなのかしら。

男狐聊斎シリーズ

『男狐聊斎』は2022年6月11日に騰訊視頻で上映。監督は知竹、何司佳。
中国語タイトルは《男狐聊斋３》とあり、１とおぼしき《男狐聊斋-秀郎》は2016年、《男狐聊斋２兰若寺》は2018年に公開された。

これらは『聊斎志異』を原作とし、『男狐聊斎１』では『阿繍』の劉子固や阿繍も出てきて狐女房モノ。
　『男狐聊斎２』では『聶小倩』を題材に寧采臣、小倩、燕赤霞も出てきている。『聶小倩』は『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の原作でもある。
　『男狐聊斎３』はいわゆる狐の恩返しなお話。
いずれも男性の妖狐が主人公の物語となっている。

最後、妖狐白辰が雲月を助けて敢えなく終わり、なのは『聊斎志異』がモチーフだからなのかな。『日本昔ばなし』の終わりも、割とそういう感じあるような。中国の同人では云月×白辰という並びを見かけましたが、どうなんでしょ。