瓔珞36話メモ
・純妃が言う~山寺の月中に桂子を尋ね:江南の素晴らしさを詠っている。杭州うんぬんは、乾隆帝が江南視察へ出かけたことにちなんでいるのかな。
唐 白居易『憶江南』
江南好,风景旧曾谙。日出江花红胜火,春来江水绿如蓝。能不忆江南?
江南忆,最忆是杭州。山寺月中寻桂子,郡亭枕上看潮头。何日更重游?
江南忆,其次忆吴宫。吴酒一杯春竹叶,吴娃双舞醉芙蓉。早晚复相逢。
江南恋し、もっとも恋しきはこれ杭州。山寺月あかりに桂の実たずね、郡亭枕べに潮頭看る。いつの日か更に重ねて遊ばん。
・平復帖 皇太后より賜った陸機の書:西晋の文学者,書道家 陸機の逸品。陸機が蘇州出身にちなんだか。史実では乾隆内府に入ったのちは、乾隆帝第11皇子 成親王に賜った。現在は故宮博物院に収められている。
・成婚後に戸部の右侍郎:戸部の副長官。正三品。土地・租税・戸籍などを扱う部署。
・皇帝が言う:千里の行も足下に始まる。聖人はものごとに人為を加えようとしない、他者の本性を損なわないことを述べている章。
『老子 第六十四章』
合抱之木,生于毫末;九层之台,起于累土;千里之行,始于足下。一抱えの大木も、毛の先から生え、九層の高台も土の積み重ねから起こり、千里の旅も一歩から始まる。
嫻貴妃は純妃に、「痛みは人を目覚めさせるわ。夢は終わった。目を覚ましなさい」と告げる。純妃の便宜は李玉たち太監にも及んでいるのね。そこで皇上に、寵愛が移るのが怖いと純妃、作戦成功でチョロい朕。
死んだ目の新郎さん……。そして富察傅謙(ふけん/ 卫延侃)登場! 海蘭察かと思ったら弟か。清朝の婚礼衣装はモンゴルチックなのね。爾晴の嬉しそうな表情と対照的な傅恒。今度は爾晴が待つと言っている。
吹雪の中の三歩一叩、瓔珞は目的のためにはこれ位はやり遂げるだろうけれど寒そうだ、皇帝知らんぞ。こんな時に新婚さんと会っちゃうし、爾晴は嫻妃ちっくになっている。瓔珞は「傅恒を愛していない」と告げる選択を選ばなかった。傅恒がそれを知っていたらね……。
爾晴はようやく雪景色を楽しめると言う。爾晴のような現実的な発想は、リアルで身近にいそうな感じがするな。
そして袁春望の前に、兄(皇帝)が瓔珞をかっさらっていった~。宮女に復活!!
挿入歌『宮牆柳』が流れる。
瓔珞37話メモ
・皇上が瓔珞に言う~思うに九州の博大なる
屈原『離騒』
曰:两美其必合兮,孰信修而慕之?
思九州之博大兮,岂惟是其有女?
曰:勉远逝而无狐疑兮,孰求美而释女?
天下はかくも広いのに、よもやここにのみ女があると限ろうか。
・富察傅謙が爾春の前に落とす:楊柳絲絲たり~。この詩の背景もなかなかに複雑。王雱は優秀で思い人と結婚したのだが、心身が脆く妻の不貞や自分の子なのかと疑心を募らせ争いが絶えず、それを案じた父の王安石は離縁させてその妻を他の人に嫁がせたとかなんとか。
宋 王雱『眼児媚』
杨柳丝丝弄轻柔,烟缕织成愁。海棠未雨,梨花先雪,一半春休。
而今往事难重省,归梦绕秦楼。相思只在,丁香枝上,豆蔻梢头。
・三若様:史実の富察傅恒は第九子で末っ子だったが変更されている。傅謙は第八子。
・降り積もる雪に耳を傾ける~:皇后役の秦嵐が歌う挿入歌『雪音下的声音』。皇后の皇上への思いが感じられる歌詞。
・乾隆帝の琴:自身では弾かないが、107もの古琴コレクターだったとか。小説『書剣恩仇録』では乾隆帝が杭州で琴を弾く場面があるようだ。
・山西巡撫:史実の富察傅恒も1743年に戸部右侍郎となり、山西巡撫を歴任。巡撫は地方軍政高官の一で省を統括。二品以上。順調に出世している。
皇上は「野花に興味を引かれる」と迫り、瓔珞は「雀は鳳凰には混ざれない」と抵抗。皇上が無理強いにそそられると知るや否や、すかさず作戦変更して貴人を要求する瓔珞に大笑いした。
ようやく長春宮の奴婢に返り咲いた瓔珞だが、皇后は足が不自由になり瓔珞をも遠ざけようとする。父親が赤ん坊の瓔珞を川に捨てたってスゴいな。皇后の杖となると言う瓔珞と明玉に涙する……。
爾晴の侍女 杜鹃(とけん/ 莫小满)登場。
皇后と瓔珞が揃うと幸せそうだ。純妃が懐妊、紫色から桃色衣装の純妃は珍しい。燕姞夢蘭図の故事通りに身籠もった、そうかそれで夢から覚める必要があったのね。そして韮(明玉)が蘭(純妃)の文句を言っているんだ。
皇后は緑色衣装へ。袁春望は嫻貴妃の後ろ楯で副管事に。生きるためには譲歩を覚えた瓔珞。敬愛する皇后のためなら、恋心の傅恒は諦めたのね。
富察家の奴婢 青蓮(方楚彤)登場。方楚彤も可憐でカワイイ。爾晴は先々読んで自分のために行動するタイプで、思い通りにならないと実はキレやすいのね。ちょっと亡き嘉貴人に似ている。その一方で嫻貴妃は時機を虎視眈々と待っておりこの対比……。
瓔珞38話メモ
・永瑢:佩玉を携える高貴な人の意味。1744年1月28日生まれ。
・永琏:国を継承するの意味。端慧皇太子、8歳に木蘭で鷹を射落とす。
傅恒は青蓮からの少爺呼びに反応したか。青蓮に掃除を頼んだら益々爾晴が怪しむじゃん……。爾晴は人権ない派だから、傅恒の嫌悪感がワカランのね。これは相性が悪すぎる二人……。そして売り言葉に買い言葉。爾晴の愚痴は皇后にしてみれば、妃嬪が味わっている思いなんだよなぁ。後宮は富察家ではないと、豪快に叩き返す瓔珞が好き。
第六皇子永瑢(えいよう)が誕生し、純貴妃になる。アヤシイ秘薬……一応本物なのか。皇后がご懐妊! 肥桶に八つ当たりする瓔珞がカワイイ。皇帝の涙は親が死んだ時、大規模な天災、国家滅亡の時だけ。
酔っ払ってコメディ調なBGMの中、夢と思って瓔珞をプニプニする皇上が愉しい。瓔珞を逃がそうと皇后との連携プレーが良いのだ。
純妃は緑色衣装……爾晴も。緑色は心密かに暗く思うところがある色なんかな?
瓔珞39話メモ
・永琮:国を治める者の意味。甘粛に慈雨が降る。史実では1746年4月8日生まれ、1747年12月29日に天然痘で死去。誕生前から乾隆帝に待望されており、釈迦と同じ日に生まれたという事でいっそう王位継承者として期待されていたようである。
・軍機大臣:定員は決まっていないが6~7名ほど。
不穏でしかない日本語タイトル「大晦日の悲劇」。あれまあ、爾晴は媚薬かなんか飲ませたか。瓔珞どうした、母のトラウマか……。
第七皇子永琮(えいそう)誕生! 純貴妃怖い。というかこれだけ差を見せつけられると、赤ん坊育ててる母親にはキツいなぁ。
難産後でも瓔珞に理解を示す菩薩な皇后様。一方、純貴妃に塩を塗り込む般若な嫻貴妃、煽るなぁ。そして傷跡が慚愧が嫌悪に変わるとも見通している。何の花だろ、トゲがあるのはバラかな?
爾晴も懐妊~傅恒には身に覚えがありませぬ……。爾晴は苦しむ姿が見たいと、はれまあ。四弟の子でも出来るかと思うていた。
乾隆13年(1748年)、大晦日。瓔珞は皇后に憎しみや恨みからは苦しみしか生まれないと諭される。またも皇后から守り神が離れてしまった。出火し、助けに行く海蘭察がカッコイイ。
え、ここで来週はキツいんですけど。
瓔珞40話メモ
・金川の莎羅奔(サラベン)が明正土司を攻めた:金川は四川省西部。1747年、大金川土司の莎羅奔が小金川土司の沢旺を襲い、清朝に帰属していた明正土司も攻撃した。張広泗を川陝総督に任じており、1748年には訥親を派遣した。
・円明園:北京の北西にあり、康煕帝時に雍親王(雍正帝)の離宮としてカスティリオーネが建設。
・長春仙館:円明園四十景の一。史実では1777年に孝聖皇太后の死去後に仏堂となった。
ここまで追い詰められている皇后に、錯乱する事も許されない。皇后が大切なのは愛する我が子や家族なのだけれど、残ったのは責任だけ。おでこにアザがあるのは梅化粧ぽいのかな?
皇帝は国と民を担い、臣下には富貴と権勢を与え忠誠と犠牲を強いると傅恒に話す。爾晴の妊娠はまだ知らないのかな……。
爾晴、ホラーだわ。皇后さま~~~。
白い衣に裸足で階段を登りながら過ちを数えあげ、富察容音となり城郭から飛び降りた。流れる『雪音下的声音』。オデット散る。
瓔珞にしてみれば何がなんだかよね。亡骸となった棺での対面がここでまた繰り返される。皇后との回想場面には泣いてまう。
皇上は死後も皇后である事を求め、瓔珞に殉死を命じる。遺書に瓔珞の事ばかりには、私もそう思ってたよ。皇上は天子であろうとしたので、皇后にもそれに準じる盾のような存在を求めていた。傅恒と爾晴が価値観が全く合わないように(こちらは気も合わないが)、このふたりの求める価値観もズレていたのね。史実の紫禁城は一度入ると出られず、自死は帝への不敬と処される。
嫻貴妃が灯明の芯を切り落とすの怖いよ~~~。最後の一つかと思っていたら、まだあったし。瓔珞を円明園まで追ってくる袁春望、大丈夫か。
外部サイト