ドラマを見る際、私の地雷はなんと言っても「ネタバレ」。
なので、既に放映済みの再放送回で見る事が多い中国ドラマは、他の人の感想が気になっても、見るとどこでネタバレに遭遇するやもしれぬので、じっと堪えながら最終回を迎え、物語の世界を満喫するようにしている。
もちろん原作もドラマ最終回まで読まない。
しかし陳情令は、週に4話の放送ペースで見ていると、ストーリー展開が、ツラい・ツラすぎる・・・。
ドラマの美しさ・震える描写に引き込まれながらも、視聴後は悶々として気持ちを削られるこの感じ。
先に進みたいが、かろうじて踏み留まり、あちらこちらの陳情令沼※をさまよう内にネタバレに遭い地雷踏む・・・。そんな繰り返しの日々。
ドラマ陳情令は、ざっくり言うと、
②不夜天の崖落ちから始まり (第1話冒頭)
③16年後魏無羨の復活から藍忘機と再会する迄 (第1-2話)
①座学時代から不夜天までの過去 (第2-33話)
④魏無羨復活後、藍忘機と一緒に謎解き旅をしていく(第33-50話)
という①②③④という時系列の構成になっている。
一方、原作の魔道祖師は、
②はなく、
③ー①の構成は同じだが、
①の途中から細々と前世と、現世④の行ったり来たりを繰り返し、
基本的に前世は「回想エピソード」として挿入されるので、①の部分の辛さがかなり和らぐのである。
おまけに原作はBLなので魏嬰と藍湛のラブコメパートが、ドラマではツラいパートの直後に必ずあるので、物語が進むのに実に丁度良い按配なのだ。
原作はジクソーパズル、
ドラマは魏嬰視点ではオセロな、過去篇最後の崖落ちでほぼ盤面真っ黒になりながら、現世でどんどん白に裏返っていく面白さがある。
ドラマを見ながらつらつら抱いていたのは「魔道祖師と同じような話の作りだったら、どのような感じのドラマになるのか」という思い。
中国は放送前の検閲規制が厳しいので、同じ構成にすると、ラブコメ部分は使えないからぼやけた話になるのか、かえって意味深でブロマンス的でなくなってしまうのか、時系列が入り乱れて話が分かりにくくなるのか、16年後の時間の経過感を出すのが役者にとって一層難しくなるのか・・・。
この構成になった経緯を制作陣談話で知りたいが、中国語で検索する壁が立ちふさがる。
原作構成ならば、一番辛かった江氏の第16話の後に、こんなに陳情令沼にハマってなかっただろうかとも思ったり、④後半での次から次へと繰り出されるエピソードの怒濤に翻弄されず、じっくり味わえただろうかとも思ったり。
また何といっても「魔道祖師」は、現世と前世が入れ替わる繋がりが実に良いのである。これについてはまた別の機会に書くとして・・・。
とはいえ、ドラマのこの構成になったお陰で、魏無羨と藍忘機は物語前半から共に旅する事ができ、他の登場人物も出てくる場面が増えたという良い面もある。
またこの構成だからこそ、ドラマを見る内に魔道谷へ落っこちて、戻ってきても取り憑かれており、陳情笛を耳にしながらいまだこの世界を彷徨っているのかもしれない。
※魔道祖師youtubeアニメ・ラジオドラマ(無料分)・魔道祖師原作小説・漫画・youtube動画少々・二次小説など一通り。
元始、陳情令は実に動画配信ドラマであった
2020年6月30日追記
ニコニコ動画1話配信を見て、腑に落ちた面があったので、追記として書き添えておく。
さて、先日の配信は、既に最終回視聴済での鑑賞と言う事もあり、気持ちに余裕があるのはもちろんだが、画面に流れるコメントを見ていると、逐一、視聴者と感想を共有できまた違った味わいがあったのだ。
実に和む。そして思った。
陳情令の放映一話毎にこういうのがあったら、途中に一人で抱えていた辛さは随分和らいでいたのではないかと。
「みんなで渡れば恐くない」とばかり、ワッショイワッショイと物語を味わっていけるのは動画配信ならではである。
しかもこのコメントにはネタバレの心配もない。なんとうまく出来ている事か。(実際、ネタバレが一カ所付いていたが、後ではなくなっていた)
私は物語の構成を変えたらしんどさが変わるのかと思っていたが、コメント付動画があったのか。
改めて陳情令は、動画配信によるウェブドラマとして作られていたのだと実感。
公式サイトも、WOWOW放送終了後にあらすじやキャラクターを紹介しており、やはり陳情令初放送に関しては、寄り道せず最後まで陳情令だけを観る、という配慮がされていたのかなと思う。
陳情令放映が終わってからアニメ放送。
原作日本語出版は一番最後の配給となりそうか。
コメント付動画配信も、また違う回を観る機会があれば楽しそうだ。その時には登録するとしようか・・・。
私は動画配信はあまり見ないので、WOWOWで放映されなければ陳情令を見る事はなかった。これも巡り合わせである。
外部サイト