笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

孤城閉64話,65話,66話感想/郅惲拒関,曹植 司馬門,挿入歌 以風為馬,張籍 秋風

64話感想

李瑋は反省はしているものの、懐吉の事は憎しな様子で陛下にも言いつけている。やはり男女共に、好きな相手は許せても、ライバルのせいにしたくなっちゃうのね。もはや見目よりも、媚薬のせいとはいえ酔った相手の寝込みを襲うその心根にガッカリしているよ……。

やはり門番が陛下に確認せずに殿内に入れたことが問題になっている。

光武帝が狩猟から夜間に帰り、上東門の門番 郅惲は開けなかった。中東門から入った光武帝は郅惲に褒美を与え、中東門の門番を降格。

曹操は息子の曹植が司馬門を開いたことに激怒し門番を誅殺。こちらは開司馬門出

三国志 魏书 陈思王植传》
植尝乘车行驰道中,开司马门出。太祖大怒,公车令坐死。由是重诸侯科禁,而植宠日衰。

曹植はともかく、光武帝の件に関しては、門限破りは皇帝自身なのだから、ひっかけ問題みたいよね。光武帝後漢初代皇帝、しかも調べると郅惲はただの門番ではなく、元々がんがん上奏していた人物で、城門侯という身分であった。
郅恽拒关】という古代中国の有名な故事で、『後漢書 郅惲伝』にも内容が記されている。

《后汉书 郅恽传》
恽遂客居江夏教授,郡举孝廉,为上东城门侯。帝尝出猎,车驾夜还,恽拒关不开。帝令从者见面于门间。恽曰:‘火明辽远。’遂不受诏。帝乃回从东中门入。明日,恽上书谏曰:‘昔文王不敢槃于游田,以万人惟忧。而陛下远猎山林,夜以继昼,其如社稷宗庙何?暴虎冯河,未至之戒,诚小臣所窃忧也。’书奏,赐布百匹,贬东中门侯为参封尉。


富弼さんは母の喪に服するため宰相を辞す。最後だからと諫言したのは、病身でありながら四人の子をもうけるのでなく、太子を立てること。辞任に際して言えなかった事を言うのは見覚えがあるよ。何郯は張貴妃の外戚問題だったっけ。

その返り討ちとして、陛下は若蘭が早世し若竹を馮京に嫁がせたことを挙げる。そういえば陛下のお声掛かりだったね。当時は富弼の長女(若蘭)に曹評を嫁がせるつもりなのかな?と思ったものだった。若蘭(陛下の皇子)が回復したら、嫁ぐ(皇帝)つもりだった若竹(趙宗全)はどう思うかと問いかける。ひぃ~。

この顔を近づけて囁くのは、陛下と徽柔の場面でもあったけど、なんだかサスペンス感があるね。そして姉妹同じような状況なのに、王拱辰は戯れ歌にされていたという気の毒感……。

「富弼、元豊6年逝去、諡「文忠」。昭勲閣二十四功臣にも列挙されている」の字幕死。元豊6年は1083年で、めっちゃ長生きしていた富弼さんだった。
 富弼が喪で辞職したのは嘉祐6年(1061年)三月とあり、このあたりは史実のようだ。史実では徽柔 福康公主が兗国公主となったのは嘉祐2年。『宋史』に残っている子女を見ると、嘉祐4年,5年,6年に4人生まれている。

苗心禾が娘のために立ち上がり、伝家の宝刀「六兄さん」まで用いている。「公平と娘の命、大切なのは?」とまたまた出て来た公平とは何か。
 張妼晗の時は公平なんてなかった陛下。でも李瑋の件は、生母への孝のための出来事。男児を求める陛下には、李家を悪く思えないというこの心中……。
 仁都知さんも幼い頃から公主を見ているから後押ししたくなっちゃうのね、自分で頬打ちまでしちゃってる。

そうやって李瑋を降格し帰京させたことが、「適切でない時間に参内した」と司馬光による公主糾弾の弾劾となっていく……。誰一人罰を与えたくない陛下や皇后はこれを恐れてもいた。

徽柔は「懐吉は私の影なのです、影がないのは生きていない者だけ」と思い詰めていく。

それぞれの立場に立つと、その言い分はそうなんだよなぁと、がんじがらめな回。
そんな中、司馬光には自身の苦悩がないだけに、やっぱり腹ただしいな。

65話感想

梁全一が自ら公主宅都監を辞す。過ぎた事には触れず、懐吉の身を案じる良い人だ……。そんな上司であれば懐吉ひとりが孤軍奮闘せず、「チーム徽柔」となって力を合わせ、どうにかできなかったのか。

茂則に問われ、「浮き木となり支えたかった」と言う懐吉。茂則が「愛しているのなら」と愛とハッキリ言うのが、茂則の思いとも重なってなんだかドキッとするよ。

仁都知さんも皇后よりお咎めありだけど、三月の禁足で済んだね。

逃れようとする蜘蛛とたわむれる陛下。がっくりと座りこんだ様子が失意と老いを感じさせる。

かつて皇太后は平廬節度使 郭崇の孫を皇后とし、好いた娘は劉従徳に嫁がせた。郭崇五代十国北宋に仕えた将軍。劉従徳は皇太后 劉娥の甥(前夫 劉美の子)で、若くして亡くなる。妻は嘉州 王蒙正の娘。陳熙春以外にも心惹かれた女性がいたの??しかし真宗世代もいろいろと捻れているよね。
 陛下は皇子がいないと嘆くけれど、それを聞かされる曹皇后も複雑よね……。

懐吉に文人の衣を着せていた事が取り沙汰され、ついに徽柔は公主宅へ戻ると申し出る。懐吉は西京の清掃班へ転任となる。

最後にあぶり肉を茂則に託す懐吉。公主の馬車を遠くに眺めながら「徽柔は懐吉の心に」とつぶやく。徽柔って言った~~~。
長年の恋を記し、想いを指先に落とす。このまま手放せばより遠くへ行ける。きしみながら知ったさまざまな思い。当たり前のように2人そばにいた。苦しみながら知ったさまざまな思い」は挿入歌『以風為馬』。

《以风为马》叶炫清
写一场风月忆流年
让情思落指尖
放得下执念 才能走更远
过一段红尘最平凡
看尽喜乐悲欢
其实早已习惯 你在我身边


西京では少女 洛洛登場。「洛陽城裏、秋風を見る」の洛。その母はナント尚美人!郭皇后の騒動時に飛ばされた人だね。
故郷への思いや、家にのこした家族への思いをうたった詩。

張籍(中唐)『秋風』
洛阳城里见秋风,欲作家书意万重。
复恐匆匆说不尽,行人临发又开封。

洛陽の町に秋風が吹いた。家に手紙を書こうとすると、思いは幾重にも重なる。
急いで認め言い尽くせなかったかと気になって、旅人の出立前にもう一度封を開く。
川合康三『中国名詩選 中』2015 岩波書店


司馬光は《论悉罢燕饮安神养气》を奏上。

徽柔は九公主十一公主 猪猪と遊んでいる。よりによって愛称が猪猪……。芋という言葉から井戸に飛び込んだ様子の徽柔。十三公主産後の肥立ちが悪そうな董氏も肝を冷やすよ、やめてあげて。幼い公主たちが口々に「誕生日の贈り物はいらないから懐吉を大姉上にあげて」と言うのが……。幼い公主が可愛いな。

66話感想

弟の懐吉を案じる梁元生に対して、手をあげるとは茂則もキビシイわ。

懐吉が洛洛ちゃんと人形遊びをしていると、洛洛ちゃんの望みは「男の子と女の子を1人ずつ産むこと」で、思わず手が止まる懐吉。

茂則が迎えに来て懐吉は都に戻る。懐いていた洛洛ちゃんには寂しいだろうなぁ。尚美人は「迎えを期待していたが、今はこの静かな生活がいいと思うようになった」と話す。尚美人にもあれから時間は流れていた。

懐吉の「遠くから互いをひと目見るだけで十分です」のワケは、「涙を見たくないのです」。その美しい思いに、邪推する陛下をも洗われるよね。

高滔滔が皇后に平穏な暮らしを望むも、皇后は「運命で決められたこと。栄光を得られぬ運命なら策を弄しても手に入らぬし、得る運命なら栄光を放棄しようとしても不可能よ」「災禍に至れば損害を最小限に食い止めるよう努力する」と。滔滔は両思いで結婚した幸せ女子。

遠くから徽柔を見る懐吉、そんな懐吉を見た徽柔が走り出す場面は、そのひたむきな思いにうるっと来たよ。

宗全の帝位話から「陛下に憧れていました」と話し出す曹丹姝。 そうか、丹姝には最初から趙禎は陛下だったんだよね。「陛下にとって最も重要なのは国の安泰と民の平穏。天下太平こそが私の大切な趙禎を安んずるのです」。皇后も陛下の名を口にした~~~。

陛下がいれた汁物を飲み干す皇后の場面で流れるのはED『双飛燕』。この歌は皇后ソングだったか。口元を拭いてあげる陛下。ようやくしみじみ語り合えるふたりとなったね。

えっ、徽柔が火を付けてまわってるよ。

楊氏は見ていただけかぃ。嘉慶子もなぜに楊氏には憎い懐吉を呼びに来るのだ。李瑋も止めに動かないのか。

司馬光対策に、宗全立太子に動き出す陛下。韓琦も余計な事を言うでない。

李瑋は陛下に嘉慶子を側室にすることを申し出る。離婚を口にするのかと思ったよ。

徽柔が火を付けたのは真っ暗だったので燈を灯そうとしただけだったが、「壁が燃えてなくなればあなたに会える」と相当思い詰めた様子。

陛下から「宗実をどう思う?」と聞かれ、茂則が「ご立派です。しかし陛下には及びません」と返すのがイイね。

嘉慶子の「駙馬を好きです」にキョトンとしている徽柔。嘉慶子ちゃんも曹評騒ぎで苦労してきてるもんね。「私が今まで会った中で最も誠実で温厚な男子です」に、ん?と思ったが、懐吉は男子には入らないのか……。それを聞いた徽柔も「羨ましいわ、好きな人と堂々と生涯を共にできるんですもの」と、素直に祝福できるところがあるんだよね。

 

 

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