52話感想
茂則は宦官に復帰するのね、針のむしろだろうなぁ……。すっかり顔もげっそりしている茂則さん。
「誰でも過ちは犯すので、償わせるほうが厳罰に処すよりもよい」が陛下の方針。茂則自身に温情をかけられた身で、張承照を処罰できるワケもなく……。宦官は宮中を追放されると、生きる手立てがないのね。
徽柔が抱いている赤子は趙宗実の子・趙仲鍼。顧廷燁@明蘭の仲良しさんね?
曹皇后は、福康公主の母 苗昭儀を二品の淑儀に昇格、張美人を妃にと上奏。
お腹が空いた徽柔を蟹の羹で誘う懐吉。饅頭がなければ芋を焼いてあげると言ったところへ聞こえてくるは笛の音~~。懲りずに曹評と密会?と思ったら、曹評は他の女人と合奏してた。これはわざわざ曹評が仕組んだのか?
箜篌(くご)を習うとは、あの女人が手にしていた楽器?意外とめげてない徽柔ちゃん。箜篌は古代の弦楽器でハープのような形をしており、胡楽器の代表的なもの。
賈玉蘭に何を吹き込まれたのか、皇后憎しな張美人。皇后のせいにしているのが腹が立つわ。やはり許蘭苕には最後に張妼晗に対して、情け容赦のない自分勝手な振る舞いが因縁を招いたのだと言い放って欲しかった。
そして趙禎の張妼晗への「大人になってほしくない」にやはり……と肩を落としたよ。趙禎が「皇后に因縁をつけ苦しめるのだけはやめよ」と言ったのに張妼晗も察したよね。貴妃を要求して、陛下にはさっさとお帰り頂く妼晗ちゃん。陛下が「今後昇格しなくて済む」と言うのは、さすがに皇后にする気はないと。
夏竦に棺を届けるのが茂則とは、なんともまぁ……。すっかり老けこんだのは愛する賈玉蘭の死を聞いたからか。茂則から陛下の評価を聞いて、『古文四声韻』を献上する夏竦。夏竦も晏殊同様、字幕死。夏竦は皇祐3年(1051年)に病没。
このドラマは賈玉蘭は悪役ではない役どころなのね。見ている方としては、皇后に寛大に処されていたのに、賈玉蘭達は皇后を追い落とそうとしており、茂則まで巻き込まれてモヤるわ。茂則と夏竦が相討ちのようになっているが、夏竦たちの方が仕掛けていたのを茂則は防御していただけなのに、痛み分けは腑に落ちん。今後、スッキリする機会は来るのかしら。
儀鳳殿の侍女笑靨児が、寧華殿の李さんにぶたれた。第29話で出てきたお菓子な名前の侍女たちか、大きくなってるね。張貴妃の伯父が状元 馮京に娘を娶るよう強要した話が笑い話で出回っている。どうやら張一族が幅をきかせているらしい。
曹皇后にボヤキながらずけずけ話す董秋和とのやり取りが、この回の一番の癒し。こちらの腹心は、頼もしい虎の威を借るキュートな狐で、イメージ的には九尾の狐な、もふもふの尾っぽが似合いそう。
徽柔の「父上は老いる一方ね」が笑える。この時代の宮中にない宝とは?
53話感想
今や陛下と曹皇后が親密であり、陛下が自由であってほしいと望む徽柔 VS 張妼晗となっている後宮。妃嬪が争うドラマは見てきたが、嫡女と寵妃が争うのは珍しいよな。皇后が菩薩なので代理戦争ではあるのだろうが。
乾元節の遼使節団は富弼が応対、どうやら遼の太子耶律洪基がお忍びで紛れているらしい。富弼の長女の縁談話をまとめるつもりの陛下。さてお相手は?渦中の人物?
文彦博に、龐籍(ほうせき)、宋庠(そうしょう)と新しい顔ぶれになってるね。太子耶律洪基の扱いをどうするか。耶律洪基と言えば『天龍八部』、良さげな人だった。
徽柔は生けた白梅から、しれっと張貴妃の寧華殿には定州の紅磁があると陛下に暴露(諫言?)している。宮中にない宝って磁器か!宋代の陶磁器は名高い。
広い寧華殿はガランとして暗く、寝所だけが不気味に赤い。きれいに髪も結っている張妼晗。紅磁は貴重なため献上を禁じられている品だが、王拱辰夫人の薛氏からの贈り物だった。張妼晗は薛氏から贈られたと言っているが、臣下の薛氏からわざわざ禁を破るはずはないので、張妼晗があえて薛氏を試した可能性もありそうだな。王拱辰……それは弾劾されないのか?
張妼晗は「賈さんを陥れた者を調べ、張茂則とその主を罰するよう」に言うが、陛下は「張茂則の主は朕だ」と、紅磁を壊す。賈玉蘭は陥れられたのではなく自爆テロですよ~と言いたい所だが、誰が言っても信じないよね。
曹皇后は徽柔に、「陛下の心を軽くしたかったから」「愛する人のために意に染まぬことでも受け入れる」と言うが、寵愛されて育った十代にはその諦観は伝わるはずもなく……。
陛下が皇后の幼い時のことを知りたがり、曹丹姝も仙人志望な許婚の話をする中、その頃に茂則と会ったよね……とも思うコチラ側の一視聴者。だけど曹丹姝は陛下との婚姻が決まって嬉しかった話はしないのね。この先に取ってあるんだろうか。陛下が知ったら喜ぶと思うんだけどなぁ。
何郯は張堯佐を三司使に据えるのは不適切で、外戚の重用は災いを招くと進言。張堯佐夫人が張貴妃にすり寄っている。三司使は財政を司るトップ。
張堯佐夫人が言った「10人の進士より1人の娘/ 养十个中进士的儿,不如养一个姑娘」。
京劇『大登殿』に、王宝訓の母・王夫人が夫に【ひとりの娘は十人の息子に優る/一女胜过十个男】と言う場面があり、それを思い出す。
王宝訓は薛平貴を見初めて結婚、母の王夫人は応援するも父は大反対。その後異国へ行った薛平貴は代戦公主と結婚、出世し18年ぶりに凱旋した薛平貴は王宝訓を迎え、王夫人には贈り物をし、そこで夫に王夫人が言った言葉。薛平貴に辛くあたった父の王氏は役職は与えられるも実権のない名前だけのものだった。ふたりの妻や、公主など、なかなか意味深く思える。
そしてこの回で知る衝撃の事実。公主は趙禎の唯一の子どもだったという事! 馮氏の子も早世していたのか……。それならば苗心禾が皇后に次ぐ地位でも良いのでは。
張妼晗にとって信じられたのは、自分の子供と賈さんだけ。それを失い「陛下にとって一番」しか依るところがないのだろうなぁ。賈玉蘭の言う通り、許蘭苕の子を託されその子が懐けば、案外可愛がったのかもしれない。
宮中の殺し文句「九族を誅することもできる」も、親しい親族がいなければ何の効力も持たないという皮肉……。張妼晗は自分を含めて九族を誅されても構わなさそうだし、賈玉蘭は姪の話はしていなかったのかな。
広い部屋にぽつねんと置き去りにされた子どものような張妼晗。陛下が大人になってほしくないって、その通りになっているじゃないか。陛下が言っているのは、陛下にとって都合の良い子ども。でも子どもには反抗期がありますよ~。
そして欧陽修、蔡襄、韓琦、富弼が戻ってくるの? なんだか解散した人気グループが再結成されるような気分になるな。乾元節が楽しみだ。
54話漢詩メモ
耶律洪基はお忍び衣装だからか、編込みヘアではないのね。
「子 斉に在りて韶を聴くこと三月…」は主人が半杯。
《论语 述而篇》
7.14 子在齐闻韶,三月不知肉味。曰:“不图为乐之至于斯也!"
崔白は絵を描くのかと思いきや、人形を取り出し
「千里 楚江の水辺、明月楼は高く独りもたれかかる。宮殿の井戸辺の梧桐には秋の兆し、十二峰 連なる巫山を眺め、雪の肌 花の容貌 まさにかの人ならん、朱閣に漂う雲から見目麗しい仙女たち。」。晏幾道が笛を奏でている!
そして秋和が陛下のはからいで崔白に嫁ぐことに!なんだ、心配する事なかったな。
(宋代)《调笑集句 其一》
千里楚江水。明月楼高愁独倚。井梧宫殿生秋意。望断巫山十二。雪肌花貌参差是。朱阁五云仙子。
曹皇后、「女子の生涯は、相思相愛の人に嫁げるかで幸せが決まるの」って、そう言われた徽柔の心情はいかに……。
晏幾道が琴を奏で、「碧蓮の花が咲く涼しい水殿、万年の枝からのぞく赤い太陽、太平を象徴する歌が天の隊伍を伴う、床一面に散らばる祥瑞の奏状。仙人の手に水の鉢、玉炉の香、歳月は恩情のごとく長い、この天下では牢獄も静か、美女たちは皇帝の長寿を願う」。
晏幾道作なんだ。夏竦と同じメロディ?と思ったら、鷓鴣天だから同じ節になるのね。
晏几道《鹧鸪天》
碧藕花开水殿凉,万年枝外转红阳。
升平歌管随天仗,祥瑞封章满御床。
金掌露,玉炉香,岁华方共圣恩长。
皇州又奏圜扉静,十样宫眉捧寿觞。
「朋あり遠方より来る」客人が半杯。
有朋自遠方来、 不亦樂乎
誕生祝いには、「そなたが羊肉麺を作るだけで幸せなのだ」と言う陛下。
包拯(ほうじょう)は、秀州の地震は、張堯佐が宣徽使、景零宮使節度使となった事によるものと強く言う。陛下の裾をつかんで離さない~。
文彦博は貴妃に蜀の貴重な灯籠錦を献上したと責められている。
貝州の学堂。雨が降る中、范仲淹が歩く。
「君子も我を忘れ学問に専念す。聖地梁園に憧れ、魯堂に帰する。冠は星のごとし。衣は雲のごとし。書院は教えを説く。思想を読み吟詠す。経典の書を学べば道は明らかなり。太陽が六合を統べるように、文章を学び道理を理解す。四季が万物を動かす道理のように」。
范仲淹(宋代)《南京书院题名记》
由是风乎四方,士也如狂,望兮梁园,归于鲁堂。辛甫如星,缝掖如云。讲义乎经,咏思乎文。经以明道,若太阳之御六合焉;文以通理,若四时之妙万物焉。
茂則に、碧桃だ!
元気そう!!
『斉民要術』や『千金万』の講義も立ち上げている。かつて皇后が男装して学んでいたね。
わざわざ滝のふもとに教堂があるのは、鯉の滝登りをイメージしているようにも見える。登竜門の語源となった、滝を登った鯉は龍になる事から「立身出世」をたとえたもの。学ぶ彼らはこれからの鯉であり、茂則や范仲淹はかつての鯉……でもあるのだろうか。
「人学んで初めて道を知る」「学ばずして自ら然るに非ず」の対聯。張妼晗と正反対な詩だわね……。
孟郊《劝学》
击石乃有火,不击元无烟。
人学始知道,不学非自然。
万事须己运,他得非我贤。
青春须早为,岂能长少年。
范仲淹は礼部侍郞、韓琦 富弼は資政殿大学士となった。
「皇祐4年(1052年)范仲淹 徐州で病のため逝去。諡 文正。『岳陽楼記』の名句と共に後世に伝わる」
と范仲淹の字幕死に、ビックリして思わず「えっ」と言葉が出たよ。
最近、茂則は最期に会う人物になっていないか。
流れる滝の音が清々しい。
(つづく)
▼第43話で周香蕓が『大登殿』を歌う。
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