笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」・「魔道祖師Q」・小説/アニメ「魔道祖師」の感想や考察を綴っているブログです。「愛なんてただそれだけのこと」「宮廷の諍い女」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。

孤城閉42話,43話,44話,45話感想/晏殊,王益柔 傲歌,李白 長干行,黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る

42話感想

欧陽修は朝臣たちは親しくしても馴れ合ってはおらず、『後漢書』にいうところの「忠臣は和せざるの節あり」と言う。

欧陽修の姪との不倫疑惑への反論、なんだかそれまでとトーンが異なるというか、曖昧に抗弁してないか。このドラマではそういう描き方の欧陽修なんだな。

五岳高険にして崑山玉を生じ、四溟果てなく麗水金を生ず」は、晏殊が章懿皇后の神道碑のため書いたもの。

晏殊 为章懿太后写《神道碑文》
五岳峥嵘,昆山出玉,四溟浩渺,丽水生金

晏殊は工部尚書 潁州知州となる。これは慶暦4年(1044年)のこと。


陛下・ 苗心禾・徽柔とで吐蕃の枸杞と桂花糖を入れた五穀米で作った粥を食べ、陛下はこれからは1日おきに儀鳳閣へ朝餉に来ると言う。最興来がいる時にそれができていれば……。

 

晏殊は小七こと晏幾道を連れている。孫かと思いきや息子だったのね。
船上で晏殊が歌う。思えば第3話でも晏殊は自分の詞を歌っていた。
つかの間の歳月命限りあり。等閑離別に魂をすり減らす。度々の酒宴を辞するなかれ。満目の山河に空しく遠くを思い風雨に散る花に更に春をいたむ。せめて眼前の人を慈しまん。

晏殊《浣溪沙·一向年光有限身》
一向年光有限身。等闲离别易销魂。酒筵歌席莫辞频
满目山河空念远落花风雨更伤春。不如怜取眼前人

回想場面は、おぉ、幼い趙禎だ、晏殊も若い。そういえば教育係だったね。
「夏の蓮 冬の梅は花の君子で、雨後の蓮 雪中の梅は最もすばらしいと/夏颌冬梅,并称花中君子,以韵盛群芳,而雨后荷、雪中梅为最」と言うと、新雪でいれた茶梅餡の酥餅を頂きましょうと言っている。青年趙禎もお懐かしい。

そしてナレ死。晏殊は至和2年に病没、皇帝は朝議を2日休止し、碑に旧学の碑と刻ませた。

なんだか劇中カップルの回想のようだった、趙禎と晏殊……。このドラマは恋愛劇というより、臣下愛のドラマなのではないの(皇后含む)。

曹皇后が国を思うのは、陛下が国と一体だからと、陛下への思いにも言及する秋和ちゃん。鋭いわ。

礬楼ではついに厄よけとなっている茂則。もしや『夢華録』のように閻魔呼びされていたりするのかしら。

碧桃が茂則を見て茶椀を落とす。義母が市場で拾い口が利けない。鋭く目が光る茂則。宮中内人事には詳しい茂則は見逃さないよ!

それに続いて許蘭苕がせっせと身支度する流れがたまりませんね。

43話漢詩メモ

夏竦の元に、賈相から蘇州より早馬で運んだ鬼蓮や刺繍が届く。夏竦と賈玉蘭はこの世の春だね。

馮氏の子どもは女児で、「夜明け」の意味の(き)と名付けられた。

中秋節で、山車に乗った弓引きのカラクリ人形みたいな人がいる……と思ったら、羿(げい)役でしたか!祇園祭みがあるな。
曹佾の子である曹評は、曹皇后の甥で、女子の間でもブィブィ言わせているらしい。記憶がおぼろげだけれど、むか~しやんちゃとか言われていた甥っ子かな?

徽柔も興味を持ちつつも、月の神に願う事は皆の健康と弟が増えますようにと心優しい。徽柔はヤマモモを食べお腹を壊したらしい。


王益柔
が歌う。
九月爽快な秋の日、天も勤めを終え群仙と楽しむ三江を杯に注ぎ、四海でも酒壺は満たせぬ、酒壺は満たせぬ」。

酔っても休める場所はない。玉山が倒れても誰も支えられぬ酔って倒れれば紫微大帝が支え、酔った輩は周公や孔子のごとき聖人を顎で使う」。通りかかった李定が不穏な様子。蘇舜欽が王益柔を止めている。

王益柔(宋代)《傲歌》
九月秋爽天气清,祠罢群仙饮自娱
三江斟来成小瓯,四海无过一满壶
座中豪饮谁最多?惟有益柔好酒徒。
三江四海仅一快,且挹天河酌尔吾。
漫道醉后无歇处,玉山倾倒难相助
醉卧北极遣帝扶,周公孔子驱为奴


懐吉の家族の身の上話を聞き、自分達が最も哀れで不幸だと思っていたが、そうではないと悟る陛下。


蘇舜欽が弾劾される。

《宋史 - 卷三百一十八 列传第七十七》
张方平 王拱辰 张赵概 胡宿(子宗炎 从子宗愈 宗回)
苏舜钦会宾客于进奏院,王益柔醉作《傲歌》,拱辰风其僚鱼周询、刘元瑜举劾之。两人既窜废,同席者俱逐。时杜衍、范促淹为政,多所更张,拱辰之党不便。舜钦、益柔皆仲淹所荐,而舜钦,衍婿也,故因是倾之,由此为公议所薄。

 

44話漢詩メモ

陛下は韓琦に「花咲く3月に楊州に下る」かと言う。韓琦は左遷されるのね。
送別の詩。春真っ盛りの情景と共に、のこされた者の寂寥感があらわされている詩とか。

李白(唐代)《黄鹤楼送盂浩然之广陵》
故人西辞黄鹤楼,烟花三月下扬州
孤帆远影碧空尽,惟见长江天际流。

友は西にある黄鶴楼に別れを告げ、空かすみ花煙る春三月に、楊州へと下る。
ぽつんと一つ帆影が蒼穹に吞み込まれ、目にのこるはただ水平線にまで奔る長江の流れ。
川合康三「中国名詩選 中」2015 岩波書店

君子と争う小人や才子を阻む凡人と、妥協を拒み君子と才子にこだわり続ける者たちとの釣り合いに苦心する陛下。再び陛下のおそばに戻る宣言をする韓琦。


茂則が元女官の碧桃から手に入れたのは、梶の花粉とヒマシの粉がしみこんだ手巾。香りが飛んでしまわないかとビニール袋を授けたくなるよ。

張妼晗に松の実の菓子も勧める許蘭苕。


陛下が石介の『慶暦聖徳頌』を詠じる。またまた出て来た『慶暦聖徳頌』。
朝王座に座り、昼皇宮の門を開く。皇帝は英傑を集めて自ら妖人を斬る。その勢いは世を轟かし、天地のごとく雷のごとく
 臣下は皇帝を敬い責務を果たす。四夷も奔走し敬意を捧げる。皇帝は神武なりと伝え合い、兵を解き朝貢し属国とならん。皇帝の一挙に群臣は畏れを抱き、諸侯も畏れ四夷は服従。我は願う、陛下のとこしえの繁栄を」。

石介《庆历圣德颂》
于维庆历,三年三月。皇帝龙兴,徐出闱闥。
晨坐太极,书开阊阖。躬揽英贤,手锄奸枿
大声沨沨,震摇六合。如乾之动,如雷之发。(略)

交相告语,皇帝神明。四时朝觐,谨修臣职
四夷走马,坠镫遗策。交相告语,皇帝神武
解兵修贡,永为属国。皇帝一举,群臣慑焉
诸候畏焉,四夷服焉

君子と才子が臣となり、四夷が服従してこそ太平の世を理想とするも、現状は朝廷の均衡を保ち安寧を与えることだけと語る陛下。


慶暦7年(1047年)、張宗全と高滔滔が成婚。
前髪が初めて額を覆う頃、花を折り門前で戯れていた」。

李白(唐代)《长干行二首》
妾发初覆额,折花门前剧
郎骑竹马来,绕床弄青梅。
同居长干里,两小无嫌猜,
十四为君妇,羞颜未尝开。
低头向暗壁,千唤不一回。

わたくしの前髪がようやっと額を覆ったころ、花を手折り門前で遊んでいると、
あなたは竹の馬に跨りやっていて、井筒を廻りながら青い梅の実を弄っていました。川合康三「中国名詩選 中」2015 岩波書店

夫の帰りを待つ妻の思いの詩であり、筒井筒での出会いという幼なじみの頃から、結婚、そして愛情を深める描出が描かれており、幼い頃から親しんでいた張宗全と高滔滔を感じさせる詩。

司馬光と『機権論』について話したいと言う陛下。


45話感想

曹評とその弟である曹誘が登場。曹評、ちょっと梁懐吉にも似てないか?

魏大長公主の亡き夫には16歳の娘がおり、嫁ぎ先を案じている大長公主。人柄もよい叔母上がなぜ不埒な男に嫁いだのかって仰るが、アナタ、曹皇后と置き換えて考えてごらんなさいな。義叔父ほど浮気性じゃないだけで、やっている事は変わらんやん。

そして張妼晗の無礼で、なんで皇后が怒られなきゃならんの。その言葉を受けて「では後宮を取り締まります」と手始めに張妼晗からビシバシ返り討ちにしてほしいが、こんな陛下の面前でしかも宴ではしないわね。

揚副都知、まだおったんかぃ。侍衛の顔秀と皇后の侍女綾児が付き合っているって不穏だわ。

夏竦は宰相になりたい。宰相になり損ねたくだりはこのあたり。

《宋史 卷二百八十三 列传第四十二》
王钦若(林特附) 丁谓 夏竦(子安期)
明年,拜同中书门下平章事、判大名府。又明年,召入为宰相。制下,而谏官、御史复言:"大臣和则政事修,竦前在关中,与执中论议不合,不可使共事。"遂改枢密使,封英国公。

前漢時代の古玉を贈ったのは、何か故事にちなんで意味があるのかな? 許蘭苕が身ごもった~。

 

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