14話「連れ去られた宮女たち」感想(吹替版20,21話)
ドギムが目覚めるとイ・サンの肩の上。影のシルエットがいいな、そしてサンがドギムの頬をつねる。都承旨が観象監(天文を研究し吉日を定める)を買収し、元嬪の共寝の日を早めていた。
王の3つの目標は、①治水に、②労働に対する代価を払って華城を築く、そんな大事な事を知らされていないドンノ都承旨。いつもは忘れっぽいカン・テホ内禁衛将が、その事を覚えているという設定が効いている。
兄のドンノを案じて、力になりたい健気な元嬪ちゃん。ドギムはイ・サンに「王様の女人になることを望んでいない」と告げる、あれま。あくまでドギムの居場所は宮女なのだと。
元嬪 重篤から、あっという間に急逝してしまった。
「子の刻に凌虚亭で会おう」が、「九ト七|二一八十四十九十八」なのは宮中では普通な文なの?
ドンノ都承旨がチョ堤調尚宮の勢力を受け継いでいるとの知らせの中、王妃様付きの宮女が失踪している。都承旨は宿衛大将(夜間の王を警護する長)でもある。
大妃に本を読んでいるドギム。大妃の金×紫色の衣装も綺麗。だけど大妃がドギムを囲い込もうとするのはコワイコワイ。
中宮殿の針房内人ペ・ギョンヒの匂い袋かと思って池に飛び込むドギムを追ってイ・サンも池の中。『詩経 蒹葭』の水の中を思い出す。
旧アジトに集められている宮女達をイ・サンがアッサリと目撃、相変わらず見張りも置いていないのね。都承旨は奎章閣(キュジャンガク)に入ったのは初めてか……。奎章閣は王室専用の図書館で、正祖の政治を実現する人材を集める機能もあった。奴婢を解放したい王と、いくらでも代わりは調達できると言う都承旨。
イ・サンと大妃が囲碁をしている。王は即位して3年、大妃の兄キム・グイジュは黒山島から羅州へと移される。黒山島は韓国南端の西に位置する島。王は老論派でない者を側室にしたい。老論派は祖父の英祖寄りで、父の思悼世子を追いやった派閥。
下女サモルは、砒霜を中宮殿に渡し、王妃が元嬪を殺害したと仕向けるように脅されていた。ドギムはイ・サンを信用できずに、『洪桂月伝』は大妃に渡すようにと言い残す。あやや、そう来たの。ここで王を信じない展開はちょっとテンション下がるよ。
『洪桂月伝/홍계월전』は中国の明を舞台に、女性が男装して科挙に合格し将軍として活躍する物語。作者は19世紀以前の韓国女性で、家父長制や男性中心の制度の中で、女性の活躍を描いているとか。第1話で幼いドギムが「今日は洪桂月伝」と言い、ソ尚君に叱られていた読み物。
ドギムが物語を読みながら「ピョングクは戦から戻ったのち重病にかかり、天子は名医に診させた。医員は診脈を終えると不審な点があると言った。天子がそれを問うと医員はこう答えた。ピョングクの脈は男のものではないと」と言っていたのは、物語で主人公ホン・ギョウォルが女性とわかった場面。
物語では、天子はギョウォルが女性と分かっても地位はそのままに据え置き、ギョウォルが一緒に育った男性(いつも2番手)と結婚して、夫を叱咤できる強い存在として描かれている。ピョングクは主人公に付けられた号みたいなものか。
元嬪は瘧疾(ぎゃくしつ/マラリア)で亡くなったとの診断なのね。宮女は奴婢の出、いいタイミングで王様イ・サン登場~~~。王様の所へ持って行ったのかな、ナイス。
王様イ・サンとホン・ドンノの場面。駙馬で官職に就けず、同志と思っていたと言っているのがイイ奴だ!ここで王様がドンノに放った「時が来たら排除せねばならない罪悪感があり、過ちを許してきた」は、元々信じていなかったのか。「警戒すべき外戚」とも言い、ホン・ジョンヨ左議政が王は怖いと言っていたのはこの事か。こえ~~~。
腹心である事が心の支えだったドンノ都承旨にはなんて残酷な……生きる希望もなくなるよね。ここで王に従うだけと言っていたカン・テホ内禁衛将が助命を請い、「王も救うことを望んでる」と。そして都承旨は辞職扱いとなった。史実でも1780年に財産を没収され故郷に追放されている。
そういえばイ・サンはドギムを監視させていたっけ、お見通しだったのね。ドギムは王に「お慕いすることはない」と言いつつ、キス場面~。
(つづく)
今回はいつもより放映時間が長かった。
ドギムが友人思いで切羽詰まっていたのは分かるが、ここで王様を信じられないエピソードを入れるのは、「え?まだそんな段階なの?」とちょっとガックリ。大妃に付くと王を危うくする事は、さすがに賢いドギムなら分かるだろうと思ってしまうし、そもそも「王様を守る」って爽やかに宣言してましたやん。王様が気の毒になるよ。
ドギムの最大のライバル(?)、ホン・ドンノ都承旨がいなくなったし、王に庇護されるだけの存在ではない事を描きたかったのだろうけれど。自分の望む生き方として王を断るのはアリだけれど、信じていないのはなんだかなぁ。
15話感想「過ちの代償」感想(吹替版22,23話)
王イ・サンはドギムに王宮を去るように言う。王様が不意に宮女の所へ来て、慌てて宮女たちが集まるのがちょっと女子校ちっくでオモシロイ。王イ・サンは去ってしまったドギムを「お前のような不届き者」と。残していった『女範』には「而母婢也」の紙もはさまっている。
1年後。
ドギムは宮女の筆書で商売かな。『李馨慶伝(イヒョンギョン)』を貰っている。『洪桂月伝』と似た男装した女人の物語。
『李馨慶伝』、イ・ヒョンギョンは娘ながらも優秀な息子として育ち、チャン・ヨンは親友である。イ・ヒョンギョンが国を担って活躍する物語で、チャン・ヨンと結婚するまでの両家の葛藤も描いているそうな。1889年に書かれた写本があるのだとか。
そこへあらわるホン・ドンノ、怖っ。またも諫沢令がある事を知らせる役目なのかしら。
王イ・サンはカン・テホ内禁衛将に三甲戦法は良かったと話す。ホン・ドンノは恩彦君を訪ねているようだ。
王が淸衍郡主を訪問すると、ドギムもあらわれタイミングがイイ~。淸衍郡主も「そういえば」って暢気だな……と思っていたら、王が手配していたのか。淸衍郡主の婿(駙馬)がキム・ギソンだったのね。?
淸璿郡主は興福副尉が意中の人のようだ。ソ尚宮がドギムに会えて「雨音も温かく聞こえる」と表現するのいいな。
宮女は王にはべっても側室にあがれないと、生殺しになるパターンもあるの?悲惨やん……。
ドギムはホン・ドンノに元嬪の事で「人の寿命は天命」と伝える。ドンノは捨てられたと恨み節……やっぱりドンノはドギムのライバル枠だったね。金剛山へ見物、耽羅へと誘うのも怖い怖い。金剛山は北朝鮮に位置する山で、白頭山と並ぶ名山、耽羅は済州島の古名。だけどいまだに都承旨は空座。
少論派 領議政の姪ユン・ヨンジュは和嬪として入宮。そこへあらわるドギム……王様つら……。内禁衛将の「会いたかった」は和むなぁ。史実の和嬪は慶寿宮 和嬪 尹氏で正祖4年(1780年)に入宮、父は判官の尹昌胤。
久々の湯あみのお風呂~~~には入らず……。和嬪、怖っ。
ドンノ死す。ドンノの手紙がアシスト、あの第8話にも出てきた紙片は先王が禁じた書だったか。そういえばあったね。ドンノを思ってしたためた書は漢字なのね。
中秋を過ぎた頃には、夜に洗踏房の仕事をさせてはいけない。いじめの現場ですよ~~~。しかし実際にコレされたら、和嬪以上の階級の人でなければ止められないよね……恐るべし後宮。
ドギムを呼び戻していたのは母恵嬪か。王 サンに幸せになりなさいと言う母心……。
池に映った紅葉がキレイ。ボギョンからドンノが亡くなった事を知り、王イ・サンは自分の前だけで泣くようにと言う。王はドギムに「ありがとう」と言い、やっぱり触れられずにいたが、去ろうとする王の衣を掴んで引き留めるドギム。
(つづく)
思いっきりネタばれ全回な予告……17話中15話でようやくだ~~~。和嬪が気の毒だわね。
外部サイト
▼朝鮮王朝実録の日本語抄訳。
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