笛の音と琴の調べ

ドラマ「陳情令」アニメ「魔道祖師Q」に始まり、ドラマの漢詩やグルメを記したブログ。最近は「一念関山」「紅き真珠の詩」「安寧録」「星より輝く君へ」を更新中。⇩カテゴリー選択はスマホでは左にフリックしてください。外部リンクはプロモーションを含みます。

蔵海伝13,14,15話考察/月が畢宿に近づくと大雨,白虹が太陽を貫く,浮光錦,琵琶記,浣紗記 寄子

今日は3月3日の桃の節句。天空では皆既月食の天体ショー……のハズだったのだけれど、雨降りで雪の予報まで出ている。皆既月食は中国語で【月全食】。次回は2029年1月1日のようですよ。

13話感想

蔵海は香暗荼に、荘之行の講談を依頼する。対価に玉佩や浮光錦な蔵海の衣装を巻き上げられそうになるが、見物料や賭場で儲かるからと取り戻す。
 浮光綿は中国古代の織錦の名で、西暦825年に高昌国が唐の敬宗に献上したと『杜陽雑編』に記録がある。美しい光沢を放ち、皇帝が狩りで雨にみまわれるも、全く濡れなかったと賞賛されたらしい。
『宮廷の諍い女』第17話で寵愛を得たばかりの安陵容が皇帝から衣装を賜わり、甄嬛に贈ったのに浣碧が身に付けているのを見て腹を立てたのが、浮光錦であった。


修行中に枕楼へ遊びに来た荘之行は、蔵海に穴に落とされ説教されてる。お坊ちゃまなわりに、幼い時から扱いがぞんざいな荘之行……。蔵海は武術がからきしなので、修行で成長担当は荘之行なのね。

陸上ホッケーみたいな歩打鞠大会で、青組な荘之行、赤組さんの背中に乗って得点!紫組、濃紺組にも勝利し、講談の影絵では黒馬さんな荘之行。

ついに蔵海は曹静賢邢岷山)と対面!『琅琊榜弐』段桐舟じゃないの!掌に気をつけて!(←チガウ)

曹静賢からの蔵海クレクレ攻撃もかわす平津侯が、曹静賢の前では良い人に見えてしまう、善悪の相対効果よ。荘之行・慕占慶・蒋玉・孫永鳴が勝利して表彰されている。

骨を埋むべき青山は古今を問わず、果たしていかほどの命を葬りしや。苔むす無縁塚ならば掃く者もなく、隣の墓から紙銭が風に乗って届くのみ」と曹静賢が陸煙李嘉鑫『安寧録』趙明珠 の演奏で唱っている。
『琵琶記』蔡伯喈は立身出世したものの、故郷に残された親は飢えと貧困で亡くなった悲劇的な状況が描かれている段。台詞自体は曹静賢のしてきた事のようでもあり、物語の状況は稚奴の状況のようでもあり。

高明(元代)《琵琶记 第三十八出 張公遇使》
青山今古何时了,断送人多少?孤坟谁与扫荒苔,邻冢阴风吹送纸钱来。


曹静賢の命を受けた陸燼が江寧の青泉鎮で調査中、野菜売りが蔵海について証言するも、陸燼が急報を飛ばそうとして、野菜売りが応戦!え?騒動があると怪しまれるんじゃ。……と思っていたらひとり陸燼が生き残っちゃったよ。

14話感想

蔵海が香暗荼を訪ねると、薔薇風呂に浸かり中~、入浴場面が多いドラマだね。蔵海は督衛司の千戸 陸燼の殺害を依頼、お代は香暗荼の洗髪なのよ。約束~な指切りげんまんもしているね。

陸燼の劉宅への合言葉は、「水火は調和し、川に光が差す」(水火相济 日照江河)。ここでも襲撃されるがひとり生き残る陸燼、んなバカな。

水と火は本来、相克なのだけれど、丙火が壬水に会うと、無限の太陽を水が制することができる。よって「太陽が大海を照らす」ように、水と火が調和し、丙火が壬水に会うと大業を成し遂げやすいのだとか。平津侯が丙火かどうかは不明だが、もしや平津侯と蔵海は実は相性が良い?


息子や悲しむことはない。いざ急いで歩みを進めよ晴れた秋の道には黄葉が舞い散る。なにゆえ山を越えて川を渡るのか」と曹静賢が唱っている。陸燼が曹静賢の元へ行こうとすると鞭で首を締めあげられ殺害、しかも下手人は香暗荼!強いっ。
「寄子」は伍員(伍子胥)が斉へ諫言に赴く途中、鲍牧に幼子を預け、父子で泣く泣く別れる段。
曹静賢と陸燼のようでもあり、コチラも幼子が稚奴のようでもあり。

《浣紗記 第二十六齣 寄子》
孩兒。事已到此。不用傷悲。且速前去。再做道理。
【勝如花】淸秋路。黃葉飛。爲甚登山涉水

亡くなった陸燼が蔵海と馬車に乗って、平津侯と会っているのを目撃した見張りが曹静賢に知らせている。高明がシークレットブーツで平津侯に成り済まし、後半は蔵海が髭姿となっている。蔵海の手を取り、結婚線と官運線な手相を読む香暗荼。「君は駒じゃなくて俺の友だ」ってどこまで本気で言ってるのかしらん。

本物の平津侯は荘之行が足止め、すると夫人の蔣襄がやって来ちゃったよ。同席するワケにはいかんのね。翌日、曹静賢がやって来たが、取り次ごうとする家職を荘之行がブロック。

陸燼が溺死していると分かり、曹静賢が駆けつけると亡骸から文が取り出される。コレは筆跡真似てたやつ?どうやって体内に入れたんだ?

15話感想

曹静賢は陸燼の文を見て、平津侯が例の物の秘密を得たと思い、陸煙の長兄を呼び寄せる。

蔵海は香暗荼にお礼にと自作の蝶に山茶花(茶花)な簪を贈っている。本当に多才多芸ね。「人情は返せば返すほど信頼が深まる」と言う香暗荼。
なんで山茶花なんだろ?荼と茶の字が似てるから? この時代、男子が女子に簪を贈るのって、結構意味深いと思うんだけど、敢えてなんだろか?

妻 蔣襄は雲が吉兆の瑞兔のように見えると平津侯に指し示す。

中元節に流した灯籠が美しい。船上ながらこんなに堂々と人前で蔵海と香暗荼が逢っていて大丈夫なんかしら。7月15日が蔵海の命日って?

枕楼の名の由来は「高枕無憂」と心意気を聞き、蔵海は香暗荼に「香さん」と呼びかけている。1万個の灯籠は亡くなった民か兵への手向けかな。

星見デートだ!星は二十八宿に分けられ、東の七宿は青龍で、西:白虎、南:朱雀、北:玄武。すぼめた口みたいな4つの星は箕宿。いて座のあたり。
隣は尾宿で青龍七宿の龍の尾。さそり座のあたり。
首飾りの宝石みたいなのは畢宿で宝石や美女の象徴。おうし座のあたり。

香暗荼の語る、首飾りの持ち主の泣き顔の女子「遠方の地に嫁いできてずっと不幸。異国で待ち続けたけど誰も迎えに来てくれなかった」。
蔵海の語る、犬の星「あの犬も泣いてる。家族を見失い涙が心の中に流れてるんだ」はそれぞれの真実の思い。

欽天監で褚懐明は畢宿と戌を指し、「箕宿風を呼び、畢宿雨を呼ぶ」「月が星を追えば恵みの雨が降り、中州の干ばつは解消する」(箕宿好风 毕宿好雨 月之从星 天降甘霖哪)と予言。箕宿は風師、畢宿は雨師が司るとされている。

蔵海は「月 畢宿に近づく時、大雨が降り注ぐ」(月离于毕 俾滂沱矣)と予言。

佚名(秦代)《诗经 小雅 渐渐之石》
渐渐之石,维其高矣。山川悠远,维其劳矣。武人东征,不皇朝矣。
渐渐之石,维其卒矣。山川悠远,曷其没矣?武人东征,不皇出矣。
有豕白蹢,烝涉波矣。月离于毕,俾滂沱矣。武人东征,不皇他矣。

畢宿は和名で「雨降り星」とも言い、月が雨降り星に近づくと、雨が激しく降るとされている。畢宿はおうし座のヒヤデス星団のあたり。ギリシャ神話のヒヤデスには「雨を降らす女」という意味があり、東西で雨に関連しているのが興味深い。

蔵海は平津侯に、洪水の前触れを示す日暈も指摘するがスルーされ……。
中州は大将軍 傅之松が守る地でもある。

蔵海は民の前で、「白虹が太陽を貫き、月が畢宿に接近した」(白虹贯日 月离于毕)「今は夏から秋へ移り変わる時で、西方に白虎七宿が現れる。その中の畢宿が雨を司る。このままだと連日大雨になるだろう」と予言。
司馬懿が蜀を攻め、諸葛孔明が魏軍を大破した時、「太陰に畢宿あり、今月大雨が降るだろう」(毕星于太陰)と言ったらしい。
『三国志演義』に記されていた。

《三国演义 第九十九回 诸葛亮大破魏兵 司马懿入寇西蜀》
孔明笑曰:“何其愚也!吾令汝等去,自有主见。吾昨夜仰观天文,见毕星躔于太阴之分,此月内必有大雨淋漓

曰:“不可轻进。我夜观天文,见毕星躔于太阴之分,此月内必有大雨﹔若深入重地,或胜则可,倘有疏虞,人马受苦,要退则难。

 

平津侯に刃を向けられながら、蔵海は「将星 隕つ」(蒋星隕落)
専諸呉王僚を刺した時、彗星が月を襲い聶政韓傀を刺した時も、白虹が太陽を貫きました」に揺れ動いた平津侯。首なし騎兵の悪夢まで見ちゃってるよ。
コチラは『戦国策』に書かれている。

《战国策·魏策四 359》
秦王使人谓安陵君
唐且曰:“此庸夫之怒也,非士之怒也夫专诸之刺王僚也,彗星袭月聂政之刺韩傀也,白虹贯日;要离之刺庆忌也,仓鹰击于殿上。

(つづく)

天象と歴史人物との関わりは面白い。

そして畢宿のは、ウサギを捕らえるカゴ状の猟具を指し、瑞兎を口にしたのは妻の蔣襄で、捕らえられるのは……。

舟に揺られながら蔵海が二十八星宿について教えてくれるのイイな。『蔵海伝』のプラネタリウム番組とか出来ないかなぁ。「月が畢宿に近づくと大雨になる」とか実際に映像で見せてくれると面白そうなんだけど。



 

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▼『戦国策 魏四 359』

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